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2023年新潮新人賞受賞作。当時17歳の作者によるもので、荘重な文体で三島由紀夫の耽美世界を彷彿とさせる。主人公は美術を学ぶ学生たち。速水が北条に“幻滅”をおぼえた場面は、三島の「女方」( http://bungeikan.jp/domestic/detail/712/ )の増山と万菊を想起した。また矢谷と女性とのやりとりが面白かった。注目を惹く作品だと思う。
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海を見た人間が死を夢想するように、速水圭一は北条司に美を思い描いた――高校二年の春、同じクラスの北条の「美」の虜になった美術部の速水は、彼をモデルに肖像画を描き始めた。デッサンの進捗と共に二人の仲は深まっていくが、夏休みのある出来事が速水の心を打ち砕き――少年の耽美と絶望を端正かつ流麗な文体で描き、選考会でも激論を呼んだ話題作。
新潮新人賞史上最年少受賞作。17歳が書いたということで驚きました。
というのも、登場人物の主人公と先輩の心理描写以外は、普通の言葉で表現しているのですが、心理描写になると、大正時代や昭和初期を彷彿させるような難しい言葉で表現されています。
自分でも聞いたことのないような堅苦しい言葉の数々なので、よく知っているなと感心するばかりでした。
最初の段階では、これは昭和?大正?といった具合に時代背景がわからないので、いつの時代か把握することができません。
しかし、次第に他の登場人物の言葉遣いやラーメンといった現代ならではの要素が紹介されていくので、主人公がそういう人なのだとわかります。
どのようにして難しい言葉を学んだのか?両親はどんな人なのか?主人公の学校はエリートなのか?
そういった描写はないのですが、読んでいると、上記のような考察をしてみたくなるような気持ちにさせられるので、主人公の背景が気になります。
まるで東野圭吾さんのガリレオシリーズの湯川先生のような雰囲気を放っているようにも感じました。
序盤から、同性を好きになったということで、その表現は純文学を読んでいるようで、個人的にはあまりよくわからなかったのですが、相手は芸術作品のような「美」であって、好きとは違った好意とも感じました。
ただその後、会話をしたり、女子にとられたりと段々と「恋」という気持ちへと変化していくのですが、それがまた独特の感性で表現されていて、その表現力が素晴らしいなと思いました。哲学的で論理的。そして耽美な印象の文章力でした。読んでいるうちに大正時代にタイムスリップしているようで、不思議な感覚がありました。
内容としては、恋や嫉妬といった恋愛小説の王道のパターンなのですが、最後はまさかの展開に驚きました。
まさに本の帯で書いている通り、三島由紀夫さんを彷彿させるような光景でしたので、ある意味芸術をみているかのようでした。
好きになったが故の最後の展開は儚く、美しくも残酷な光景を目撃させていただきました。
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17歳の言葉じゃない。この1冊に感想を書くには、語彙力が足りない。
恋とか愛という言葉があるから、どちらも1つの概念として捉えていた。けれど、どちらもいくつもの感情と性欲を四則演算した先にあるんだと思う。
「夢を応援したい」かもしれないし「殺したい」かもしれない。導かれる答えは、誰にも予測できないし、誰のせいでもない。
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容姿端麗で悲しい過去あり謎めいた人が、「みんな」と同じように普通に女の子と付き合ってて、おまけに家族が亡くなったきっかけになった海を見ても楽しめるようになって克服してたらそりゃ主人公自殺しちゃうわ