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装丁の感じから、いうわゆる統計オモシロ話のような内容を期待していたが教科書的な内容。数式こそ出てこないが正しいサンプリングの仕方や線形回帰、帰無仮説の意味など、硬い話が硬い筆致で展開される。
興味深かったのは確率というものに対する著者の考え方で、40年間統計学の専門家であった著者にとっても確率というものの考え方は直感に反しており、学校で出るような問題であっても紙と鉛筆でじっくり考え、試行錯誤を繰り返して出した答えであってもなかなか自信が持てないという。
また、ベイズ統計学も、条件付き確率という程度の認識であったが、統計検定学の根底にある確率分布自体に主観的確率を持ち込んでいるという点で根本的に測度論とは異なるのだという
マスコミによる統計の誤用についても色々と書かれているが、「相対リスクだけを提示し、絶対リスクは示さない」とある。一日5時間以上TVを見る人の場合、2.5時間位かのグループに比べると肺塞栓のリスクが2.5倍になるという結果があったとしても高リスクグループでの絶対リスクが158,000人年に13件、つまり1万2千年に渡って一晩に5時間以上テレビを見るということであればインパクトはない。