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乙女ゲーム本編初日に黒幕である第一王子に殺されるキャラに転生してしまったメルディが、どうにかフラグを折ろうとしたところ、その黒幕の王子ジェイクのおもちゃに……ゲフンゲフン、そのジェイクに本編前から気に入られちゃうという話。
黒幕に目覚めたゆえに性格が残虐になったという設定ではあるが、目覚めなくてもジェイクは非常に面倒くさいキャラ。
有能ゆえに他の人たちを総じて下に見ていて信頼しない。
メルディと出会うまでは。
つまり初恋もまだだったわけで、メルディに対する執着が恋心から来ることに気付いていないという。
有能な第一王子としてではなく、黒幕に目覚めると自分を殺す存在としてでもなく、一人の人間として案じ、慕い、孤独になることをよしとしないメルディ。
そりゃ落ちるよね、仕方ない。
好きな子ほど虐めちゃう態度を取り、嫉妬から逆にメルディを傷つけてしまう……このベタだけどたまらない展開がいい。
メルディはメルディで、最初は自分が生き残ることが目的だったのに、お人好しの性格ゆえ、つい自分より他の人を、ジェイクのことを優先しがち。
自分が抱いていた恋心に自覚しないまま。
彼のためにと思ってやったことが裏目に出てすれ違う展開がまたたまらないのだが、それはさておき。
まとめると、最初は自分が生き残るため、彼を闇落ちさせないために一緒にいた二人が、初めての恋にお互いちゃんと自覚して両思いになるまでの甘酸っぱい恋物語だった。
ちょっと味付けが物騒な感じだけれども。
ライバルキャラもいい発破役だったし(ジェイクを思って発破かけてくれたのがまたいいのだ)元々死体令嬢役だったメルディの本領発揮のシーンも「そうくるか!」と不謹慎ながら笑ったり、とにかく面白かったです。
まあ後者の方は、後でジェイクが色々な意味で暴走しかけたきっかけになっちゃったけど……あのシーンは挿絵込みで大好きです。