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みんなからバカにされている不思議な能力のある少年とその両親、衰退していく市場を盛り上げようと画策する店主、テレビ業界で生き残るために必死なディレクター。
この3人が関わりながら、いろいろな人たちの利己的な欲望があふれかえり、絡みあっていくストーリー。
人間の嫌なところを淡々とクールに、おもしろく描いていくところが、チョ・ナムジュさんらしくて好きです。
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ひとりひとりが抱えていた解決したいことや挑戦したいことの原点は純粋な気持ちだったはずが、関係各所が結果を求め手段を選ぶうちに、船頭多くして船山にのぼる状態に。再び立ちあがる時も、また船頭が多くないかと思うものの、次こそは原点を守れるのか、先行きがよめない終わり方でした。
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結局キム・イルはどうなったんだろう〜健やかに生きて欲しい。大人たちが汚い!
著者インタビューでは、作家になった経緯や元々放送作家をしていたことを知れて面白かった。
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『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者の作品だ。
新聞書評欄で見かけて、作中登場する「イカサマ」という賭博ゲームに絡むお話という内容紹介に興味を持って読んでみた。
そのゲーム自体が面白いのかとも思ったが然程でもなく、それより、そのイカサマ大会に絡む登場人物三者の人物像が前段で語られるのが長くて(なかなか三者が絡んでいかない)、ちょっと飽いてしまった。
あれこれ韓国の生活習慣、ライフスタイルなどの日常描写はそれなりに面白い。具に語られていて(それゆえ長いのだが)、あれこれ付箋をはった箇所は前半が多かったか。
イカサマ大会は、思わぬ結末を迎え、終盤は、それ以降の三人を描くパートとなる。三分の1とは言わないが、その後もけっこうある。
ここが著者の描きたかったテーマではあろうかとは思う。射幸心に煽られた一家、地元の市場の人気回復と家庭内の問題を抱えた男、大会を主催したテレビ番組のプロデューサー。それぞれが、ふと、我に返ったとき、何が残るのか・・・。
それぞれの吐息のような、小さな声を拾い上げる著者の手腕と共に、本書タイトルの「耳をすませば」に込められた意図を汲み取りながら読んだ。
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韓国の貧困と教育
ネット社会と職の安定(金もうけ)
うらぶれて行く市場
これらが三つどもえで展開する
抜群の聴力を持つ少年は
バカと言って育てられ
他者から
ピアノを勧められたが
貧困と無知のため
機会を得られず
途中でその力に気づいた両親は
衰退する市場とテレビデュレクターが
主催するスリーカップに
出場し快進撃するが
事件が起こり問題が社会に
広がっていく
韓国の一側面を切り取ったような作品
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キム・イルは、知能が少し下回るためクラスメイトや
両親からも「ばか」と言われている。
ただ、聴く力だけは誰にも負けなかった。
〈見ないでいることはできるし話さないでいることもできるが、
聞かないでいることはできない〉
P146
周りの大人たちがキム・イルを追い詰めていく。
「スリーカップゲーム」大会を開催し
・客足が途絶えがちな市場を盛り上げよう。
・スリーカップ大会を放送し視聴率を稼ぐ。
・聴力がずば抜けている息子を大会に出場させ
賞金を手にしようと目論む両親。
無言で孤独なキム・イル。
反対に、大いに盛り上がり、そして堕ちていく大人たち。
違う世界で生きられたら、救われていただろうか。
キム・イルの心からの叫びが痛い。
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翻訳本を読み始めるとよくあるのが、翻訳にありがちな文体に慣れないことと外国の名前になかなか馴染めないので、最初読み進めるのが困難に感じる。この本もそうだったが、だんだん読み進めると、物語の面白さに引き込まれて行った。
大人たちの欲望に振り回された少年。大人たちこそが良心の声に「耳をすます」必要があると言うことが、著者のタイトルに込めた意味だろうか。