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しっかりと意見が言える人にも、発した言葉に、迷いがあったり、悩んだり、ちゃんと言えるからと言って、言えない人と、同じように、葛藤もあるんだなって思いました
登場人物も、それぞれの問題を抱え、もがきながら生きている所も、しっかり伝わってきて、よかったです
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「川のほとりに立つ者は」が初読だった作家さん。現実感を感じる作品で楽しめ、相性いいと感じた。過去作にもさかのぼって読みたくなるのか判断するために読みたい
#こまどりたちが歌うなら
#寺地はるな
24/3/26出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3x7Rf0e
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新刊発売とほぼ同時に購入し読了。
優しく温かいストーリーながらも、現代の労働環境の問題に立ち向かう芯の通った主人公。多数の名言にも出逢えた。読了時に鼻の奥がつーんとしました。
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寺地はるな、最高傑作!人の見え方って会社、家庭でも違うし、同僚からみてもそれぞれでその人の見え方が違うものです。なぜそういう行動を取っているのかは一方の見方だけではわからないものです。映画化される浅倉秋成さんの六人の嘘つき大学生もそういう描写で人間の見え方の怖さを同じように感じました。
そういった感情の見え方は中学受験の国語問題で使われそうですが今回は関西弁満載なので?でしょうか。
P174の知り合いにお土産を買う心理描写。とても気に入っています。
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寺地はるなは裏切らない。
今回も世の中の生きづらさに苦しんでいるたくさんの人が寺地小説に救われるはず。
不器用で人に合わせることが苦手で、さりとて周りを気にせずゴーイングマイウェイができない主人公を描かせたら天下一品。
あぁ、これは私に伸ばされた手だ、これは私への応援歌だ、とそう思いながら読んだ。
生きていると、たくさんの呪いの言葉をかけられる。それは悪意のあるものであるとは限らない。
良い人がかける良い言葉も、その言葉にとらわれ身動きが取れなくなることがある。
そんな言葉からの解放。
強くなくてもいい、弱音を吐いてもいい、へたくそでも、不器用でも、逃げても、いい。そこに自分の心と身体があれば、大丈夫。
寺地はるなは、ずっとずっとそばでそう言ってきてくれた。
ありがとう、そんな気持ちでページを閉じた。
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久しぶりにここに帰っきたんだなという感覚が自身に満ちている。
ただいまとわざとらしく言うまでもない、なんだか息のしやすい空間。実家のダイニングテーブルでかつて自分が座っていた椅子とか、以前よく行っていたパン屋の香りとか、母校の制服とか、学生時代の友人がそろった時の自分の声のトーンとか、そういうものに似通ったもの。それが今日のわたしにとっての寺地はるなさんの物語。
ただいまと言うのは照れくさいし大げさ。でもここにいるとわたしはなつかしさと苦々しさと寂しさと温かさを同時に感じる。
こまどりたちが歌うなら
タイトルを目にした時、こまどりってどんな鳴き声だっけ?と思い、検索したら想像より50倍くらい騒々しい声が耳を劈いた。
おいおいどんな騒々しい物語かと思えば、たしかにこれは静かなようでとても騒々しい物語だ。
自分がここにいることをだれかに伝えるには、少し騒々しいくらいに鳴かないと伝わらない。
それが悲しいことなのか、憤るべきことなのかわからない。
でも、もしその叫びにもにた鳴き声を耳にしたならば、せめて自分は聞こえたよと答えたいなと思った。
伸吾の声も、満智花の声も、千葉さんの声も、茉子の声も、亀田さんの声も、ぜんぶ無いものにはしたくないし、もし自分の耳に届いたなら、ちゃんと届いたと伝えたいと思うのです。
この物語のだれに共感するとかそういうことではなく、これはすべての「ここにいる」がぎゅんぎゅんに詰まった騒々しい物語。
読む人にとって誰の声が聞こえるかはちがうのだろうし、きっと読むタイミングによってもちがうだろう。
ふと、あの子ならだれの声が聞こえたのか聞いてみたいなと本好きの友の顔が浮かんだ。
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2021年に「水を縫う」で河合隼雄賞 ー人の心を支えるような物語を作り出した文芸作品ー を受賞した寺地さん。なるほどと思う。
どこにでもありそうな街の どこにでもありそうな製菓会社。そこで生活する人達のお仕事と家庭の悩み。
主人公の女性は、人間関係で勤めていた会社を辞めて、親戚の製菓会社の事務へ転職。経験ない老舗で小規模な会社での働き方と人間関係に納得できない。
お仕事小説の側面はあるけれど、社内の人間関係や性格を幅広く描いて 全体を少しずつ良い方向へ向かわせていく。
数々の和菓子は、どれも美味しそうです。
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はじめはブラック企業と主人公の行く末を見届けるつもりで読み始めたけれど、さすが寺地はるなさん、人それぞれの価値観や人の心のちいさな声に焦点が当てられていて、気づきの多い作品だった。
もちろんパワハラやブラックな労働環境に対して、主人公のように声をあげていくことについて、その必要性や効果なども描かれていた。
職場で正論を貫くことで、煙たがられたり陰口をたたかれたり。それでもめげない精神が必要で、そうした精神を持ち合わせている人はひと握りだろうなとも思う。
だからこそ、めげない主人公の周りにいる人たちの声が読者に聞こえるようになっている。
忙しくて声を上げるのをやめた人、人から嫌われたくなくて声をあげたくない人、思っていることがあっても言葉にできない人……。
実際、私たちの生活を振り返っても、言わない/言えないタイプの方が多いはず。読んでいて、あぁこの人私みたいだ、と感じる人が必ずいるのではないかと思う。
ちなみに私は茉子のような言えるタイプの人間なので、その価値観や世界観の違いには気をつけないといけないなと思いながら読んだ。
そして、やっぱり食べ物の出てくる作品はいい。
こまどりのうたはどこで買えますかね!
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めーーーちゃめちゃよかった。
先日、新宿の紀伊国屋書店の店頭で見つけて、春らしい装丁と帯を見て購入。このタイミングで出会えてよかった物語だった。
言動に問題がある人のこと、「根はいい人だから」と目を逸らしたり、絶対に困っている人に「大丈夫ですか。」としか聞けなかったり、なんかひとつひとつの捉え方表し方がすごくリアルで、文字通り自分や周りの人を重ねて読むことができた。
物語を期待しちゃうとか、こんなこと言われたらどきっとする。表面的なコミュニケーションと、ぐっと心の中に踏み込んでくれる登場人物たちの言動の対比が、揺さぶってきた。うわあ、よかったな。出会えてよかった。
湿気がすごい日の湿気の凄さを、空中のどこかを手のひらではっと摑んでぎゅっと絞ったら、指のあいだから水が滴りおちてきそう、というところとか所々の表現もとても。よかった。
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お仕事というより、寺地さんの「今日の私、明日のハチミツ」に近い、どうやって自分の感情を大切に、相手に敬意を払いながら生きるか?という社会と折り合いつけるお話でよかった。
自分も含めて、誰も彼も、組織もいきなり変わることは難しくて、自分もより良い方向へ変わり続けるためにちいさな一羽のこまどりとしてまた歌い続けるぞ、と元気がもらえた一作。
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涙はしょっぱいお菓子は甘い
人は多面的で長所も短所もそれぞれ
でも人それぞれという言葉で片付けてはいけないしそんなに簡単でもない
身につまされた
欲しい答えを求めた聞き方をして聞いたり
物語を求めてしまったりしている自分が
恥ずかしい
こまどり庵 が少しずつ良い方向に
働きやすい会社になっていきますように
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よくある小説なら、入社した会社が古い体質のため、働き方改革を一人で始めたら、徐々に賛同者も増えて、スカッと終わる。
でも寺地はるなさんの小説は違う。
「同じことを繰り返したくない」
「自分も認められたい」
「自分はなりふり構わずこの現状を受け入れるしかない」
など、皆様々な事情を胸のうちに抱えながら、それぞれ自分に与えられた仕事やなりたかった自分を達成しようと一生懸命もがくも、上手くはいかない。
意見を言える人も、言えない人も、言わない人も。
そして、人は自分以外の一面だけを見て、その人のすべてだと判断し、こういう人なのだと決めつけてしまう。自分だけが問題を抱えていて、他の人が何か事情を抱えているとは思わずに。
物語では徐徐に各々が抱えている事情が明らかになり、偏見に気付かされていく。
私自身、自分の日頃の態度を見透かされているようで、ハッとさせられた。
読み終わった後、じわじわ来る作品。
自分が陥りそうになった時、繰り返し読みたい。
『涙はしょっぱい、お菓子は甘い』
ひりひりしたものも含まれているけれど、優しい物語。
この会社の未来は明るさに溢れていると思う。
茉子の両親が良いキャラ。
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物語の舞台は製菓会社『吉成製菓』。
主人公の茉子は前職の人間関係に疲れ果て、親戚の伸吾が社長を務めるこの会社に転職して来る。
この茉子が強い。
入社早々、サービス残業に物申し、社内の人間関係に声を上げる。
彼女の意見は正論で、本来であれば改めなければいけない所だ。
だがそれがスムーズにいかない所が会社という場所。
合間に挟まれる甘くて美味しそうな和菓子の描写とは裏腹に、一筋縄ではいかない人間関係の苦さが描かれる。
理不尽なルールを正し、あるべき姿にする事の難しさを思う。
自分達がより良く生きる為のヒントが込められた作品。
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うーん、なんだか読んでてイライラしてしまった。
愛されて尊重されて育った人のまっすぐさに嫉妬してた自分を思い出したのかも。
主人公に対する周りの反応に共感してしまった。
ただ、愛されて育ったからこそ、周りを強く照らせるところもあるなぁと思った。
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寺地はるな先生の本と和菓子が好きだから手に取った。
会社にある謎ルールに対して主人公が切り込んでいく物語かな。舞台は和菓子の会社なんだけど、和菓子のように人の心を甘く暖かく包むというよりは、菓子を黒文字で切っていって、切った断面を覗くようなそんな話?
もちろん現実はこう上手くいかないんだけど、主人公が奮闘する様子がかっこよかったな。
仕事で失敗したときや人間関係で上手くいかず気分が落ち込んで流す涙はしょっぱいけど、そんなときに食べる甘いものは臓腑に染みて元気に出るってことを伝えたいのかな。辛いときは甘いものを食べようと思います。