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はじめての寺地はるなさんの作品。
舞台が関西なこともあり、関西人のわたしには読みやすく身近に感じた。
何よりつっこみがあったり笑えて面白かったなぁ。
改めて色んな人がいるよねぇと思わせてくれる作品。
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会社の規則やルールの中の暗黙の了解に立ち向かうお仕事小説としてだけでなく、人間関係という名のもとに搾取される個人そのもののあり方に一石投じる作品として様々に身に覚えを感じる作品でした。
「自分で自分を認めてあげるしかない」「他人にばっかり期待してても幸せには」なれないという茉子に共感してしまう私は、伸吾にいわせると「ぞっとするくらい残酷」らしく、そういうどきっとする場面もたくさんありました。
甘さの中にほんの少しの塩味があっておいしさが沁みていくように、時々で食されるお菓子が、そのちょっとトゲトゲしたもの、不安定に揺れ動く人の気持ちをそっと包み込んでくれるような物語でした。
しんどいとき、悲しいときに甘いおかし「こまどりのうた」が欲しいと思いました。
#プルーフ
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‣ やりがいとか生きがいとかたいそうなものに頼らなくても仕事はできるし、働く喜びだって感じている
‣ 考えさせられますって言いながら実際にそのテーマについて考えている人、ほとんどおらんような気がする
‣ いっぺんは才能を認めてられたっていう事実にしがみついて生きていくのは、めちゃくちゃ苦しいと思う
‣ わたしは物事の一面しか見ていないのかもしれない。そしてその「一面」を、異様に歪んだ見かたをしているのかもしれない
‣ 黙っていたら、みんな無視するやん。無視していいってことにされてしまうやんか。いないことにしていいってなる。だから、こまどりは鳴くんや。ううん、叫んでるんや。ここにいるって
‣ みんな、勝手に他人に期待する。そのすべてをいちいち抱えていたら、いつかはその重さに耐えきれなくなる時が来る。他人の期待を自分の義務にしてはいけない
‣ 前例がない場所では、自分が前例になるしかない
‣ だいじょうぶって訊く時は相手の返事をあんまり信用したらあかんし、だいじょうぶって答える時は、ほんまにだいじょうぶな時だけにせなあかん
‣ その人が抱えている問題も、それにまつわる感情もぜんぶその人のものだから、なんとかしてあげたいけれどもなにもできない場合のほうがずっと多い。でも気にかけているよ、ということぐらいは伝えたい。そういう時に、人は食べものを差し出してしまうのかもしれない
‣ ひとりで「なんでも」は無理だ。でも皆それぞれになにかはできるから、それはなんだってできるということだ
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
いろいろな人が集まっているからこそ、職場での生きづらさって、人それぞれ。
でも、昨日よりほんの少しだけ周囲の人を気にかけて、ほんの少しだけ自分の行動を変えてみる。
すると、これまで「何もない」と思っていた場所にも、小さな希望や喜びが見つかるかもしれません。
そんなことに気づかせてくれた物語でした。
この本を読み終えたら、無性に和菓子が食べたくなりますね
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あれ?こんな感じだったっけ?
お久しぶりの寺地はるなさんは寺地はるなさん最新刊の『こまどりたちが歌うなら』です
連載時は『こまどり製菓』だったそう
『こまどりたちが歌うなら』のが二万倍くらいいい
で、まず冒頭の感想
あれこんな感じの文体だったっけ?と思ったんよね
そしたら頭の中でひまわりめろんBが「いや、寺地はるなって書いてあるやん!なに君疑ってるの?寺地はるなって書いてあるんやから、寺地はるなの文体なんやろ!」
いや別にそこを疑ってるわけじゃないんだが、ひまわりめろんBと揉めるとあとあと色々面倒なので「えへへ」とやり過ごしてしまった
あと「さん」を付けろ!とも思ったが、それも言わずにおいた
会社でよくある色々面倒なので「えへへ」問題についてのお話であったわけです
まぁ、自分はどうかとまず思うわな
で考えたんだが、どう考えても「えへへ」タイプではない
譲らない人である
そして譲らない根拠がいわゆる正論でなかったりする
つまりまぁ困った人に分類されるかもしれない
いや誰が困った人やねん
「正論」という刀をやたら振り回す人っているやん?まぁ、うちの奥さんがそうなんだが、めんどくさいな〜と思うのみである
良くない、とても良くない
ちゃんと正論に向き合おう
そして寺地はるなさん文体についてであるが、読み終わってみればはちゃめちゃに寺地はるなさんであった
要するに読み進める間にそうそう寺地はるなさんてこんな感じだった!と思い出しただけである
和菓子食べたい
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アマちゃんすぎる伸吾社長にも理詰めすぎる茉子さんにもイラッとして付いて行かれへん。気持ちはわかるが…「いろんなものを見ようとし過ぎる。考える必要のないことを考え過ぎてる。じきに消耗する。見ずに、考えずに、通り過ぎたほうが楽やで」その通りですが…性分は変えられない。「誰かになにか言う時、無意識に欲しい反応や返事を設定している」かなぁ?ヒヒーンという鳴き声が馬に似ているから“こまどり”?
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「言わなきゃわからない、伝わらないみたいにアドバイスする人は恵まれている人」すごく心に残った。ストレートに思ったこと考えたとおりの言動が、周りから浮いたり上手く馴染めなかったり、残酷な素直さと思われる。とても生きづらく息苦しいかもしれないけれど、自分を閉じ込めてもやっぱりそれはどこか息苦しい。それぞれが生き方を考えていて少しづつ前へ向かっている。何かを変えたいと思っていても焦ることなくゆっくりでいいんだよな。大人の心の機微と弱さと踏ん張る力強さがあった。
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上読んでも下から読んでもコマツマコなヒロイン茉子の転職先は親戚(ハトコ)が社長を務める和菓子メーカー。
小さな会社ながらもなかなか歴史がある会社ですが、上司が部下にキツく言葉で指導したり、残業をつけないために残業は定時にタイムカードを切ってから、就業規則?平成のものですかね?という、いわゆる老舗の中小企業でした。
ヒロイン茉子はその実態に驚き、残業をつけないのはおかしいとか、休日出勤?休日出勤手当つきますか?などなど、法律で認められているのだと、正当な、権利だと主張して周りを困らせる。
果たしてコマツマコ(名前をついつい言いたい)は、新しい職場でやっていけるのでしょうか。それとも会社に新しい風を吹かせるのか。
というお話です。
おそらく、読んだヒロインに対する読者の印象は2通り。
①KY社員
②わかるわぁと共感できる社員(むしろ転職先の会社ヤバいでしょ?)
上記のどちらかになるのかなと。
これはおそらく作者の意図通りだと思います。
こんな社員がいて煙たいだろうなぁと思うか、当たり前のことをガンガン言えるヒロインにそらそうだろうと思うかがほとんどじゃないかと。
ちなみに、私は読んでいて、最近入った社員が
「休憩時間は60分なはずなんですが、57分しか取ってないです。3分は?」
と聞いてきた、どうしたら良い?という相談を受けたりしたなぁと思いながら、そういう従業員をヒロインに重ねてしまいました。
流石にコマツマコもそこまでは言わんやろうなとは思いますが。
いわゆる古い考えや昔ながらの社風、まわりとの同化(正しくなくても、不満があっても我慢して従う)と、労働基準法ではこうだとか、自分には権利があるという感じで正論を振り回すタイプの従業員。
本作品もまさにそれぞれの考えや思いを持っているこまどりたちがそれぞれに鳴きます。
さて、本作品から思うのは、昔ながらの社員や今どきと言われる社員の両方がはじめは歪み合い、ときには寄り添いながら会社は回っているということなのかな?と思います。
労働基準法ではといえばそれまででも、会社には会社のルールが法律上間違っていてもある。
どっちが優先すべきかは、正論で言えば労働基準法です。
でも、そうじゃないでしょ?と会社に飼いならされた私は思うし、そう考える人も多いのでは?
ところが、じゃあ、そんなに従っている会社は私達になにをしてくれるのか?
大きな失敗をしたら責任をなすりつけてきませんか?
従業員は家族だ、会社の歯車だと言いながら、何かあると会社を守るためという名目で簡単に切り捨ててきたりもします。
正論ばかりだとしんどいですが、そういうド正論は刺さるし、役に立つこともある。
そして仕事は生活を維持するための手段だし、生活の一部でもあるということに気づかせてくれるそんな作品だなと思いました。
あの新人、融通きかな���なぁ…
とか
あの上司、先輩、古すぎるねん!
と、実はどの時代でも起きていたことが、今でも起きているだけなんだろうなぁと思いながら。
バラバラに鳴いているこまどりたちは今日も歌っている。
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ほっこりする和菓子が全面に出てるカバーデザインだけど、内容的にはお仕事小説感が強め。
不思議とどの登場人物にも愛着が持てて楽しく読めました。
カバーイラストにも癒される。
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主人公、小松茉子(こまつまこ)。訳あって、はとこが社長の和菓子屋で働くことになった。小さいがゆえの労働基準法違反や常習的なパワハラに茉子は疑問を持つ。さらにそれを口に出したりする。1番近くで働くと思われるパートの亀田からの「この会社では嫌われる」の一言。家に帰ると同じマンションで家族関係が複雑な満智花が両親に甘えるように我が家にいる。そんな満智花から出た「いいな、茉子ちゃんは」という言葉。小さなトゲが気になるような微妙に嫌な展開が続き、このお話はすっきり楽しくなることがあるのか?と思いながら読み進めた。タイトルのこまどりは茉子の働く吉成製菓で出しているこまどり庵という店舗やこまどりのうたという銘菓っぽいお菓子、そして小さいながらに鳴き声の大きなこまどりという鳥の性質にかけられたタイトル。茉子は前職の経験やいまの生活でのもめ事などを引きずりながらも、絶対おかしいと思ったことは声を上げていく。悩みながらの行動なのでいけいけどんどんって感じでも、スーパースターのような格好良さもないから読んでいてすっきりはしないと思うけど、私は嫌いじゃなかったです。
大人っぽい悩みが多いので就業後の年齢が向いているとは思いますが中学生から。
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コロナ禍で業績が悪化した勤め先に見切りをつけ、親戚が社長に就任した和菓子会社に転職した茉子。だが、ワンマンだった先代の社長(現会長)の支配に慣れきった社員は数々の奇妙な習慣を律儀に守っており、それが茉子には不満で仕方がない。そんな彼女が巻き起こす騒動を描いたコメディタッチのお仕事小説だ。
うーん、この茉子というキャラクターがなかなかに曲者で、素直に受け取れない。彼女自身抱えているものはあるものの、作中でも指摘されているように「言える人」なのだ。正しいばかりでは回らない環境で拳を振り上げられてもねえ……。
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後悔してきたことを反省し、働き方改革にも果敢に取り組んで行く茉子ちゃんに拍手
お菓子の描写に甘党の私は無性に食べたくなりました。
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地方都市に必ずあるようなお菓子の老舗、登場人物の一人ひとりが、どこかで見たことあるような人ばかり。
正論を声高に言える人、何となく流されていく人、誰か言ってくれないかと依存してる人、そして全く何も言えない人。
会社という組織は、いろんな人間が集まるからこそバランスがとれているのかも。みんなか有能なら問題解決と言うわけではない。
自分の会社の製品を愛している、案外これが一番大切なのかもしれない。
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親戚が経営する製菓会社に転職した茉子。古い社則や人間関係に辟易する。
テーマが何だか分かりにくいが、現代的なお仕事小説なんだろうと思う。面白いのかそうでないのか、判別しにくい・・・
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現実にもあるような日常の出来事が小説になった感じで、寺地はるなさんらしいなと思いました。物語に出てくる和菓子が美味しそうで、甘いものが食べたくなりました。
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前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、味方が欲しいという親戚の伸吾に頼まれて、伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。
茉子が触媒となって、物事が動く。正論を言う人を疎む人は、結局自分の首を絞めていることにいい加減気づいてほしい。といっても、茉子は正義の味方でもなければ、特別優秀なわけでもない。等身大の働く人が、ふつうに意見を言える社会が生きやすい社会だろう。
彼女自身、迷いながらそのときそのときできることをやっている。後悔もあれば、他人を責めることもある。
パワハラ社員や事なかれ主義の人、心の弱い人…… それぞれに背景がある。そして一人一人が今いるところから一歩踏み出していくさまが描かれている。そこには周囲との関わりがある。
こうだったら息がしやすいなと思える終わり方で、読後感がいい。
真っ当に育てられた人、真っ当に育った人が嫉妬される社会はおかしい。被害者意識をもったり、怠慢を世間知にすり替えたりしていては、何も変わらない。そう思って声を上げてくれる人がいるから、環境がよくなるのに。自分ができないことをしている人を羨んで、足を引っ張ることはしたくないものだ。