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早くしなさい、ちゃんとしなさい、といつも口うるさく言う大人たちの注意や叱責は、子どもにとってこんなに理不尽ですよ、という絵本。大人が子どもになっちゃって、今まで当たり前みたいにできていたコップに牛乳を注いだり、時間に合わせて準備したり、ということができなくなって、『そうか〜子どもの見てる世界ってこうなんだ!』と大人が理解していきます。
子どもの見ている、体験している世界を大人は理解していないので、子どもにとっては理不尽と感じられる注意をしてしまうのだ、子どもの目線に立った子育てを、と言う時に、それを子どもにもアプローチする絵本で出版する意味がよくわかりません。『実は大人はわかっていないんだよ』と子どもに手の内を明かすことで、同じ目線に立とうというのでしょうか?大人(親)は子どもの保護監督責任者で、まだ責任能力のない子どもと常に同じ目線でものごとを語り合うことはできません。大人が子どもの視線を理解することは大切ですが、それなら大人向けに本を書けばよいと思います。子どもは『実は…』という話が大好きですから、「実は、大人が理不尽なことを言うのは子どもの視線を理解していないからだよ」というメッセージによって、危険の回避や、他人への配慮から子どもにとっては理不尽と感じるような忠告、制止をする場面で、「大人が子どもの視線を理解していないからだ」と解釈するようになったら、不幸なことだなと思います。