紙の本
名作ぞろい
2018/10/23 23:23
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもどおり期待を裏切らない名作ぞろいだが、表題でもある「国を蹴った男」は特によかった。今川氏真をここまでよく描いた作品は見たことない。
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敗者の歴史ではあるが
2023/06/14 09:11
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの短編も大変な力作である。賤ヶ岳の戦いにおける不可解な佐久間信盛の行動にこのような解釈を付けた作者の想像力に感銘を受けた。骨肉相食む戦国時代は、みな立身出世と生き残りに懸命になった時代であった。その中で表題作の今川氏真の生き方が、幸運とはいえホッとするような清涼感をもたらしてくれる。それ以外の作品は戦国時代そのもの。
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信念を貫く男達が熱い!
2020/01/09 07:19
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投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集ですが、どの話も素晴らしい。それぞれの主人公は、決して教科書に載るような存在ではないけれど、義に生きる者、信念を貫く者、それぞれが結果的に、敗れざる者達ではあるが、その生き様はどの男達も、誇り高い“漢”だった。表題作はもちろん、全てがよかったが、とくに目を見張ったのは『天に唾して』の山上宗二の話。信念を貫き通した生き様に、心を躍らされました。
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生きざまが素晴らしい
2022/07/09 22:14
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投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの短編の主人公も結果としては、敗者の部類に属する者たちである。しかし、「牢人大将」の与惣兵衛や「天に唾して」の山上宗二、「国を蹴った男」の五助や今川氏真の生き様には結果じゃなく、どう生きたかが伝わってきた。
血筋とやりたいことの狭間に囚われ、それでもやりたいことを貫いて江戸時代まで生き抜いた氏真は戦国時代では稀有な存在だと思うが、それでもこんな人物が居たことが戦国時代に彩りを与えている、そんな気にさせられた。
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信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。一方で、彼らに翻弄されつつも、恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦いを活写する。
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6編収録の歴史小説短編集。
伊東潤さんの作品は”熱い”です!
戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
ではないかと自分は感じています。
そのアドレナリンが作品を通して読者である
自分に伝わってくるように思います。だから
”熱い”のです!
どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
カッコいい作品です。
「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
凄まじくそして素晴らしいという言葉につきます!
「毒蛾の舞」は武将という男同士の戦いという面
だけでなく、女の強さや妖艶さ、計算高さ、そして
それに翻弄される男の姿を描いた、他の作品とは
また違った意味で非常に中身の濃い短編になって
います。
表題作の「国を蹴った男」は蹴鞠職人の男が主人公。
身分を越えた絆の強さや、選択を迫られる場面、
そして時代に翻弄された男の切なさなど、傑作
揃いの短編集の中で表題作を飾ったのも納得の
読み応えでした。
各短編に共通するのは歴史上の敗者たちの物語です。
そのため表舞台でなかなか語られることのない彼らの
物語に対し、伊東さんは敬意を持って新たに魂を
吹き込んでいる、そんな風に読んでいて感じました。
文庫表紙の著者紹介で伊東さんが「高校生直木賞」
なるものを受賞されていると紹介されていたのですが、
それもなんとなく分かります。
これは過去一年の直木賞候補作の中から、
高校生が直木賞を決めるという企画らしいのですが、
これだけ物語に魂を込められる伊東さんの物語ならば、
歴史小説というある程度読み手の年齢層が固まって
しまうジャンルでも、それに関係なく読み手の心に
届くはずです。
小説のジャンルの幅が狭くなっている昨今、
いろんな世代に伊東潤さんの熱い小説が読まれて
ほしいな、と思います。
第34回吉川英治文学新人賞
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勝者がいれば敗者が存在する。
本書はその敗者に焦点を当てた短編集。
ただ、敗者といっても勝者との違いはホント紙一重だったと感じる。また、それとともに彼らの生き方に非常に感銘する点多く、その情景が浮かんできそうなくらいリアルに描かれており、面白い時代小説でした。
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人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。
相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買ってでも生き延びてほしい妻の本音も分かるなぁ。どちらを選んでもそこが十人十色の人間のおもしろさ、間違いじゃないと思いたい。
表題作は短編にしておくのがもったいないほどの底光りある逸品。
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よかった。特に「天に唾して」「国を蹴った男」。かたや天下人秀吉に喧嘩を売った宗二、かたや生まれる時代を間違えた氏真を愛した五助。末期は「死」に行き着くが、男の生き様を見た思いで感動した。痛快な短編に出会い嬉しい。
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いずれも主役になることのなかった人物が主人公の6編.長束や佐久間は名が通っているが,それ以外に本当に聞いたことのない(実在かどうか分からない)人物が主人公の話もあり.
秀吉の小田原攻めに北条側として立ち会うこととなった茶人が主人公の「天に唾して」が痛快である.ちなみに,6編の主人公達は全員死にます.
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この方の歴史短編は、誰を題材にしても深みがあって、本当に外れがない……今回も良作揃いでした。
戦国時代の「敗北者」たちをピックアップした短編集ですが、市井の人の活躍が大好きな私のお気に入りは、数字・経済的側面からの戦を描く「戦は算術に候」と、蹴鞠職人の視点で今川氏真を見守る表題作「国を蹴った男」。他のタイトルにも共通していますが、戦や政治以外の才にたけた人物たちの、だからこその皮肉が光ります。
そんな中で異彩を放つのが、冒頭作「牢人大将」。政治的思惑に踊らされることなく、己が意志を貫き、己が職務を全うする無理之介の天晴な戦いぶりが清々しいです。
それにしても、伊東さんが描かれる三英傑のキャラクターの、首尾一貫していることよ……。
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全六話からなる短編集。浪人大将、長束正家、蹴鞠職人などあまりスポットライトを浴びない個性ある主人公の物語が面白い。
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牢人大将(那波無理之輔、五味与惣兵衛門。「長篠合戦」)
戦は算術に候(石田三成、長束正家。「関ケ原合戦」)
短慮なり名左衛門(毛利名左衛門、直江兼続)
毒蛾の舞(佐久間盛政、まつ。「賤ケ岳の戦い」)
天に唾して(山上宗二。小田原合戦)
国を蹴った男(今川氏真、五助)
信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。
一方で、彼らに翻弄されつつも恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦い
。吉川英治文学新人賞受賞作。
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国など要らぬ。欲しいのは.......
欲しいものは、人それぞれ違う。本当に人を突き動かすものは、もっと目に見えないもの、なのかもしれない。
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戦国時代を舞台に、それぞれの信念を持って生きた人達の物語。自分は、茶人宗二の話が面白かった。天下人にも恐れず筋を通したところは爽快