
人気コピーライター阿部広太郎と実践!心をつかむ言葉のつくり方 イベントレポート
日ごろ雰囲気やボディランゲージで何となく使えてしまっている言葉を磨くチャンスである今回。
応募も予想以上に集まり、当初より予定を2時間延長しての開催となりました。
ガイダンスパートでは担当編集者の亀井さんから、テーマ本のタイトルにまつわる意外な苦労話も飛び出し、ワクワクした空気の漂うなかオンライン読書会がスタートしました。
ペアドクとは?
ペアドクとは、30分で読んで30分で感想をシェアするペア読書から発展したイベント/サービスです。ペアドクのイベントは、その場で著者の話を聞くだけでなく、その場で本を読んで参加者と語り著者や編集者に質問できるのが特徴です。 準備不要なお手軽さもありつつ、本のメッセージを自分ごとにして、明日からの第一歩を踏み出しやすくなってます。
イベントの流れ
それぞれに30分間本を読みグループでディスカッションする通常の読書会の流れに加え、「テーマ本を読んで自分自身のキャッチコピーをつけてみる」という課題のあった今回は、下記の流れで行なわれました。

- 19:30
- ガイダンス
- 19:35
- 本を読もう&実践しよう
- 20:10
- グループで話そう
・自分のキャッチコピーの紹介
・気になったところ・その理由のシェア
・著者への質問を纏めよう - 20:35
- 阿部さん参加!質問タイム
- 21:30
- クロージング&イベント終了
本を読んで実践しようということで、”自分のキャッチコピーを作る”課題があった今回。質問タイムに入る前に阿部広太郎さんから、なんとすべて(!)のキャッチコピーに講評をいただきました。
※運営の想定では、いくつか「おっ」と思うキャッチコピーを選んでもらう想定でした。
「言葉はピントを絞ると強くなる」などテーマ本と通じるコメントやアドバイスなど、一人ひとりのコピーにポジティブな視線を向けてコメントしておられるのが印象的でした。
言葉で価値を規定することによってより多くの人に「届く」ものになる。それは言葉を扱うすべての人にとって、学校の国語だけでは足りない発想の転換や「物は言いよう」の力を身につけることで日常が過ごしやすくなるんじゃないか。
そんなテーマ本「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」にかけた阿部広太郎さんの想いのお話を導入に始まった、質問タイムの様子をレポートします。
阿部さん参加!質問タイム
「カメラで撮るように書く」ために、「自分のセンサーを信じる」
これが刺さったという参加者が多かった「カメラで撮るように書く」というフレーズ。参加者質問ではピントを絞ったり寄り・引きといった感覚を発動して書く、そのスタート地点について掘り下げた質問がありました。
阿部:自分の直感というかピンと来たり心がゾワッとするような、うまく言葉にできないような感覚を抱くようなとき、誰しもがあると思うんですよね。そういう瞬間を忘れたくないとか、いつも思い出せるようになりたいっていう気持ちとかで僕はいつも書き残していたりするんです。
そういう感覚っていうのが皆さんあると思いますし、そういうのを信じていくのがすごく良いことだと思います。
光を当てるライトニングのコツ
常にいくつか選択肢がある「光をどこに充てるか」を選ぶことが重要だという、その選択のコツにも質問が及びます。
阿部:光を当てるときに、自分はいくつも選択肢があるんだけど相手の方にとってどこをお伝えするのが一番共通の話題を作れるかっていうところで選ぶようにしています。自己紹介をするときに「広告の広の広太郎です」というのは、広告を作る人がいっぱいいるフロアだったからその言葉が良かったんですけど。同世代の人と会うときは「クリープパイプの仕事をした話」、年上の40代50代の人と会うときには「東進ハイスクールの『今でしょ』のCMに携わった話」など、その人たちと共通の話題になるようなことを選ぶようにしています。
「心をつかむ超言葉術」の真髄?「素敵禁止」
「素敵」という言葉を安易に発することを自らに禁じているという阿部さんの「言い換える言葉を探す時間」は、参加者も驚きのわずか1~2分!
阿部:時と場合にはよるんですけど、ちょっと手を止めて考える時間というのは1~2分ですね。
どうしても出てこないときは寝かしますけど、1~2分でもスマホとかでシソーラス(類語辞典)で隣にある言葉近くにある言葉を探してみる。それはやってから諦めるんだったら諦めるようにはしています。
大事なのは1~2分でも5分でも10分でも分数は何分でもいいかなと思っていて。逡巡する、頭の中をよぎるっていうことが重要なのかなと思っています。
その「言い換え」言葉探しの直感力を磨くコツも伝授してくださいました。
阿部:一番自分の中で手ごたえみたいなものを感じるのは、その相手の方がこういうことですっていう風な表情をしてくださったときとか。そういう時に自分の感覚っていうのがレベルアップしている手ごたえみたいのがあって。自分の心ももちろん見つつ、相手の表情とかも見るようにしています。

現場に行けない今、「5倍の情報」の取り方は?
「僕も(参加者さんに)聞きたいくらいなんですけど(笑)」と苦笑しつつ最近心掛けていることを答えてくださったのは、テーマ本に書かれている「現場には5倍の情報がある」についての質問です。そもそも現場に行けなくなってしまった今の状況下、阿部さん流の情報収集はオンライン上にあるのだそう。
阿部:SNSがあるっていうことが、自分の情報の窓口を増やせる一つの要因にはなれている気がしていて。自分が面白いなと思っている人が何を面白いと感じているとか、何に関心を持っているか、自分の中では気づけないことを。感覚を増やすっていうのがね、現場にいたら五感が使えたと思うんですけど、今はネット上とかSNS上とかでアンテナを張るようにはしています。
今はスマホとかパソコンを触っている時間が特に長くなったので、意識するようにしてますね。
多岐に渡る仕事の軸は「原体験」に紐づいている
コピーライターだけでなく、作詞に企画、講座「企画でメシを食っていく」の主宰など多岐に渡り活動されている阿部さん。参加者からは多岐にわたる活動の目的や軸にまつわる質問もあり、原体験と今のお仕事との繋がりや想いもお話しくださいました。
阿部:中学生のころにうまく友達が作れなかった。15歳の頃にそういう自分を改めて冷静に見ちゃったときに、誰の思い出の中にも自分がいないんじゃないかという怖さ、ピンチを感じて変わりたいと思ったんですよね。
その原体験が原動力で、自己肯定感、感動の蓄積だったりとか一体感を感じられるような人と人との気持ちの繋がりを感じられる時間を作るっていう仕事をしていきたいというか、働きかけをしていきたい。(仕事の種類は)多岐にわたっているんですけど、すべてそこに紐づいてるっていう感覚があります。
最後の晩餐は「餃子か唐揚げ」
阿部:(そのときピンと来ても来なくても)これからも書き続ける、納得できるまで考えるっていうことが結構重要だなと思ってます。
クロージングパートでは参加者に向けたメッセージのほか、「1日2~3回(本書の)レビューをチェックしている」という微笑ましい一面も披露くださった阿部さん。すべての質問に真摯にお答えくださっただけでなく、本編終了後の参加者アンケート記入タイムでの気軽な追加質問にも「(最後の晩餐に食べたい大好物は)餃子か唐揚げですかね(笑)」と気さくに応じてくださいました。
イベント満足度は驚異の100%!

テーマ本の内容だけでなく、編集の亀井さん曰く「愛の塊」だという阿部さんのお人柄に触れることができたイベントになりました。参加者のアンケートをみても、満足度100%と驚きの数字になりました!参加者のコメントを抜粋して紹介します。
もっとみんなと話したい欲が止まりませんでした(笑)著者の方に直接オンラインで質問すると、より近く感じられてとても新鮮かつ新しい体験でした。ありがとうございます。とても充実した時間でした。
読書をしたい願望はあるが、継続できない、行動できてないタイプなので、読書する背中を押してもらえたことがよかった。また、対話ができて、読書だけではわからない気づき、発見ができることがよかったです。
同じグループになった人との交流が楽しくて、25分間が短く感じられました。私は田舎に住んでいるので、通常であれば東京で開催されるイベントがオンラインになったことに感謝しています。
阿部さんのコンセプトは、世の中に一体感を作ること。もしかしたら、ペアドクイベント自体がそれにフィットしてるから、相乗効果で盛り上がったのかもしれませんね。
普通の読書会や勉強イベントの類は、みんな心に鎧を纏ってることが多いと思います。ただ、ペアドクのイベントはちょっと違う。いま読みたての本について参加者や著者と話すので、まとまってないんです。つい、「できたてほやほやの本音」がでちゃう。そんな本音が飛び交うと、一体感が生まれるんじゃないかなと可能性を感じた夜になりました。
今回は、「ことば」がテーマでしたが、生き方・稼ぎ方など様々なテーマでイベントを実施していきます。先がみえないいまだからこそ、対話・一体感が必要です。是非参加してみてくださいね。