四国に行きたくなります!
2019/02/28 07:26
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投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
THEお遍路小説!それぞれの事情、悩みを抱えた学生達がお遍路を通して、自問自答しつつ何かを気づく姿は、読んでる自分には、彼らを遠くから眺めて成長する姿を見守った気分になりました。玲、花凜、剣也には感情移入しちゃい、涙腺が弱いから泣かされましたね。彼らの成長する姿を見てたら、おっさんになった自分にも、お遍路することによって、少しでも成長する余地があるのかなと思い、四国の自然の素晴らしさを感じながら、お遍路してみたくなりました。
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2018033
四国のお遍路を通じて出会う7人。記憶を取り戻そうとする玲と、辛い記憶を消したい花凛、父親の言い付けでいやいや参加する剣也、失恋を断ち切りたい真っ直ぐな性格の太陽ら。
ギクシャクした7人だったけど、話が進んでいくうちに、途中で仲間の離脱もあったけど、気持ちがひとつになっていくのが妙に心地よい。
記憶はそのひと自身を形作るものであり土台だと思う。その土台がなければ、ひとは気持ちもふらふらするだろう。一方で、辛い記憶しかなければ、それを捨て去りたいと思うかもしれない。
玲の自分の弱い部分を笑って繕うと言う部分は自分と重ねる部分もあり、自分のことの様に読みきることができました。
口の悪い剣也だけど、こいつが1番素直でかわいいやつかもしれません。
いつか四国をお遍路してみたいと思えてしまう良書です。
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お遍路を通しての若者たちの成長担。
面白かったが、各札所がさっさとすぎてしまったので、そこに絡んでのイベントを書き込めればよかったなと思った。
さらに言えば、装丁の絵に5人しかいない。吉田を入れてやれよ!
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お遍路ツアーに参加した大学生たちの群像劇。
この本を読もうと思った理由は、以前読んだ「はとの神様」の著者であったことと、裏表紙の解説読む限り「夜のピクニック」的な感動を味わえると思ったこと。
結果、期待を裏切らない内容で良かった(自分が群像劇好きであることによる補正がかかってるかも)。
傷ついている人、不安を秘めている人、ささくれている人、それぞれが自分と向き合い、相互に関わり合うことでお遍路を経て変化していく。
登場人物の各々がお遍路に対する目的を持っていて(中には途中で目的を見つける人もいる)、その目的が最終的に達成できたかが丁寧に描写されている。登場人物の性格は皆違うけれども、描かれ方が繊細なイメージ。皆が考えてものを言っているな、と感じさせる。
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過去を抱えた7人の巡礼が旅をするという設定は、ダン・シモンズのSF巨編「ハイペリオン」を思い起こすなあ。それとと恩田陸「夜のピクニック」を合わせたような作品。
中高生におすすめ。
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登場人物の人数、それぞれの個性、会話と描写の割合、ストーリー展開、全てのバランスが絶妙だった。
何かしら問題を抱えた学生が、夏休みに一大イベントに参加して、みんなで成長していく、ある意味ベタな内容。ただ、四国のお遍路というテーマが非常に斬新であり、物語の中で良いアクセントになっていると感じた。
映画化してほしいなと思う作品だった。
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2020/2/8
久しぶりに読んだ関口尚さんの本ですけど、相変わらず読みやすかったです。
お遍路というのを題材にした青春小説ということで、スタートからゴールの88番目のお寺まで、ちゃんとこの小説で登場人物たちが巡ります。最初に読み始めた時から恩田陸さんの夜のピクニック感あるわ〜と感じていたので感想とか調べてみたらやっぱり同じように感じていた人が多数いてなんだか安心。
玲、剣也、太陽、花凛、木戸さん、吉田と大学のお遍路サークルの企画に集まったという設定もただでさえ気になるのに、そこに集まった彼ら7班の個性的なことこの上ないと思います。
それぞれに抱えているものがあって、お遍路を一緒にやり遂げることで、それぞれの変化も感じ取ることができてなんだかスカッとします。
また、八十八ケ所の巡礼のお寺についての描写も沢山あって、道が険しいところや楽なところ、お遍路ならではの大変さがとてもよく伝わります。自分もこの登場人物たちに紛れてお遍路に参加しているような気分になれます。
とても読みやすくて気分が良くなるような小説だと思います。
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それぞれ事情を抱えてお遍路ツアーに参加した7人の学生たち。
記憶をなくしたことから、コミュニケーションに消極的な玲。年上の子持ち女性に振られたことを忘れるために参加した巨漢でその名の通り明るい性格の太陽。
昔のある記憶から逃れたい、歌うことが大好きだった花凛。
何かにつけて劣等感を感じるひねくれ物の剣也は、親父が経営する不動産業を継ぐというためにいやいや参加。
学生時代にしかできないことを成し遂げたい麻耶。
今は亡き妹に見せたいと参加を決意した吉田。運営側、お遍路コーディネーターの木戸。
7人それぞれが悩み、葛藤しながらお遍路を続ける。
お遍路を題材にした一見普通の青春小説…だが、おやっ?と思わせる点がこの小説にはある。
それは設定だ。
一つ目は、玲の記憶喪失。
玲が記憶喪失を打ち明けた時のメンバーの空気感、反応(まさかそんな深刻な物だったとは…)からも意外性がたっぷりだ。(しかしこのシリアスな事情が花凛の興味を引くことになる)
この点は太陽、剣也、木戸のあるある、と共感しやすい事情と対比がされており、小説を特別な物に仕立てている。
二つ目はメンバーが離脱すること。
みんなで仲良くゴールではない。青春小説ならみんなで乗り越えみんなでゴール、と思いきやそうではないのだ。
しかし泣き言によるリタイアではなく苦渋の決断である。
このメンバーの想いものせて、結束が強くなっていく様子が見事に描かれている。
そして三つ目。麻耶の事情だ。
麻耶はいわば思い出作りで参加した。しかし玲、そして花凛の事情を聞き、理解するうちに自分にも何かが出来るはず、と空いたコーディネーターの仕事を率先して務めるようになる。
読み進めた読者が自分にも出来ることはないか、と感じる気持ちを上手に感情移入できるようになっている。
学生のうちに何か大きいことを成し遂げたい、と思う人はいるだろうが、まさか千キロ以上を歩くお遍路を選択するとは思うまい。
そこまでしてお遍路を選んだメンバーの覚悟が上手に描かれている。
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自動車でも回れる気がしないのに、暑い夏に歩き遍路とは。
時間と体力、そして気力がないと達成できそうにない。誰もが悩みとともにお遍路をしているとは思わないけど(単にレジャーの人もいるだろうし)、何かをやり遂げるということは何かしら手にするものがあるのだろうと思う。
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上質のロードムービーを
たっぷり観せてもらった読後感が
心地よく残ります
関口さんならではの
登場人物の設定
それぞれの個性が
物語の進行と同時に
うまく生かされ
うまくかみあって
ページを繰る手を
進めさせてもらえる
「お遍路」という
徒歩による進み具合が
実に効果的ですね
いろんな「お遍路」小説の
中でも、極上の一品だと
思います
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四国八十八か所を巡るお遍路を大学のイベントとして企画し、その中の一つの班の中での旅路を追った作品です。
幼少期の記憶を失った青年、シングルマザーに振られた傷心の青年、誰ともコミュニケーションをとらない美少女。そしてやたらと攻撃的で冷笑的な青年etc…。
色々な人間模様の中結願を目指していくのですが、正直イライラし通しで物語の中に入って行ってぶん殴ってやりたくなる事が何度もありました。
これがまた作者の策略に嵌ったのか、彼らと一緒に旅しているような気になってしまっていたんですね。嫌なやつも嫌な面だけでは無かったり、しっかり皆多面性を持った人間だなあと思えるいい本でした。
ひとりひとりの成長が多かれ少なかれ描かれていて、久々に読み終わるの寂しいなと思わされました。
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良かった…。想像以上に素敵な作品。
読後、静かな感動と余韻にひたりました。
「お遍路 × 青春」の本書。「恋」のエッセンスも少し♪
お遍路ツアーで同じ班になった7人は、一癖も二癖もあるメンバーばかり。10歳以前の記憶がない玲、誰とも打ち解けない花凛、ひねくれた態度の剣也、天真爛漫な太陽…。
7人それぞれが事情を抱え、ギスギスした雰囲気でのスタート。
お遍路で1200キロもの道程を歩き続け、自分と向き合い、たどり着いた先に何が見えるのかーー。
記憶を失くした玲の苦悩がひしひしと伝わってきて苦しかった。
人生には思いもよらない事が時としておこる。悲しみや苦しみにどう向き合っていけばいいのかわからず途方にくれてしまうこともある。
登場人物たちとお遍路をしながら胸を打たれたり、ハッとさせられたり、しんみりしたり、ウルウルしたり。
班のメンバーとの心の距離が本当に少しずつ、少しずつだけど縮まっていって、いつの間にか絆みたいなものを感じられるようになった。
ラストは胸がいっぱいで涙があふれました。
苦しいけど清々しい。
いや、苦しいから清々しい。
「青春小説」という言葉で済ませてしまうには軽すぎて違和感を感じてしまうくらい、深く沁みる作品でした。
あまり見掛けないので、もっと広く読まれて欲しい作品。
読みながら、恩田陸著「夜のピクニック」を思い出してしまいました。