紙の本
日本を代表する分子生物学者の本庶先生による生命科学の全体像を教示してくれるやさしい一冊です!
2020/02/18 09:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国を代表する分子生物学者である本庶佑氏による最新の知見を用いて生命科学の全体像を分かりやすく解説した興味深い一冊です。ヒトゲノム解読から10年以上がたった今、生命科学分野は大きく進展しており、社会の様々な分野で使われる私たちにとっては欠かせない科学的知識を提供する学問となっています。同書では、「メンデルからゲノムへいたる道」、「分子細胞遺伝学の基礎」、「ゲノム工学の技術」、「生命科学の新しい展開」、「ゲノムから見た生命像」、「生命科学がもたらす社会へのインパクト」、「生命科学者の視点から」という内容構成になっており、生命科学を分かり易く教示してくれます!
紙の本
祝!ノーベル医学生理学賞受賞
2018/10/19 18:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲノム工学技術が飛躍的な発展を遂げた現代、生命科学は文系理系を問わず社会の幅広い分野で不可欠の科学となりました。】「生命」の神秘はどこまで解き明かされたのか。DNAに刻まれた遺伝情報=ゲノムを起点に現代生命科学の全体像をやさしく語る。「医学書なんて関係ない、文系だもの!」もしくは「理系でも医学とは関係ない!」という方に。
投稿元:
レビューを見る
分子細胞遺伝学に関するこれまでの知見から新たな展開、将来の展望、生命倫理的なことまで概説された本。
広汎な内容なので、個々のテーマに対する説明が足りない感じ。自分にはついて行けないところもあった。特に免疫のあたり。数冊の本に分割して、それぞれもっと基礎的なところから説明して欲しい。
投稿元:
レビューを見る
元ネタは、1986年に刊行された『遺伝子が語る生命像』。そこから三十年近くの間に当然のことながら生命科学は長足の進展を遂げた。本書はその進展を踏まえて2013年に改訂されたもの。特にPCRなどの解析技術の発展や、ヒトゲノムプロジェクトの成果などがあり、本書の内容も大幅に変わっているのではないかと想定する。新書(ブルーバックス)だが、内容は読みごたえがある。
ヒトゲノムの全塩基配列の決定を、人口三万人の都市の電話帳を探しあてたようなものである、と評価し、この「都市」がどのような仕組みで動いているのかという全体像を明らかにしていくのは今後の大きな課題だとしている。この比喩はなかなかうまい。そして、それはおそらくは不可能ではないのだ。それが実現されたとき、何が変わるのかを考えておくことが重要なのだと思う。倫理的なものも含めて大きな課題があるにせよ、この方向は押しとどめることはできないのではないかと思う。
本書では、著者はややセンシティブな話題についても科学的観点から比較的踏み込んで書いている。たとえば、「事故が原因の生涯被爆が100ミリシーベルト以下では発ガンが増加するリスクは事実上ない」や「BSEの発生確率とその発症にいたる年限を考えるならば、実際問題として全頭検査にかかる費用をかけるほどの意味があるのかどうかきわめて疑わしい」と書く。DNA変換作物についても同様だ。「科学技術と社会の受容性について、常に考えさせられるのは、科学的に十分な理解をした上で、安心という主観的な言葉ではなく、安全性という定量的な根拠に基づく判断が必要だということだ」と書くが、実際のところ、それが最も難しいことのひとつでもある。
また医療面では、ゲノムコホートの研究成果を予防医学に結びつけることが重要で、国家的に推進していくべきであるという。
メンデルの遺伝の法則から書き起こしていて読みやすく、ためになる本。
投稿元:
レビューを見る
DNAが分子レベルで解読され、ゲノム工学技術が発展を遂げた現代、生命科学は不可欠の科学となった。分子生物学者が新しい生命像を語る。
投稿元:
レビューを見る
旧版が書かれたのは1986年4月。丁度ワタクシ、高校生物を卒業してました。教科書に出てないところで、こんなにエキサイティングな世界が動いてたんですね〜。共通一次では使ったんだけどな、生物。
生体内を可視化する多光子励起顕微鏡ってすごい!でもNHKの人体シリーズに出てくる8K顕微鏡とどう違うんだろう⁇
半分くらいまではゲノムの歴史と基礎知識的な既視感満載だったけど、第29〜33項は本領の免疫系。特に抗原の多様性に応えるVDJ組換えの辺りは説得力あり。残りはちょっとだけ脳機能や遺伝子病を掠め、生命像やゲノム工学の倫理的争点(出生前診断とかクローンとか遺伝子組換えとかね)、といった総花的な方向に…。
投稿元:
レビューを見る
免疫療法を支えるゲノム工学。メディアでは報道されない大事なポイント。もっと大事なのは、ここ近年日本人ノーベル賞受賞者が活躍しているiPSもオートファジーも微生物バイオも同じ基礎科学がベースになってるということ。だから基礎科学への投資が必要。
投稿元:
レビューを見る
ノーベル医学生理学賞を受賞したというニュースを聞き、
Amazonで購入。増刷されるのを待ち、帯つきの本を手に入れた。内容はさすがにちょっと難しいが、しかし文体は非常に読みやすい。またポイントが項目ごとに明示されているのもよい。気になるところを拾い読みすることもできる。
特に後半6章「新技術の社会受容性―安全と安心」7章「幸福感の生物学」は、科学者の視点を考える上でも大変興味深い。
投稿元:
レビューを見る
第1章 メンデルからゲノムへいたる道
第2章 分子細胞遺伝学の基礎
第3章 ゲノム工学の技術
第4章 生命科学の新しい展開
第5章 ゲノムから見た生命像
第6章 生命科学がもたらす社会へのインパクト
第7章 生命科学者の視点から
著者:本庶佑(1942-、京都市、医学)
投稿元:
レビューを見る
生命科学の潮流を理解するための良書だが、内容をちゃんと理解するのは容易ではない。でも、ここをちゃんと押さえないと、不思議の多い分子生物学はオカルト的な怪しいものとの区別がつかなくなってしまう面もある。座右の書にしたい一冊。
投稿元:
レビューを見る
生命科学の基礎から比較的新しい知見までが網羅されておりゲノムについて体系的に捉える事が出来た。また、生命科学が抱える課題や将来像についても言及されており奥の深い構成で大変参考になった。
投稿元:
レビューを見る
「ゲノムが語る生命像」本庶佑著、ブルーバックス、2013.01.20
259p ¥1,015 C0247 (2019.11.30読了)(2019.07.04購入)(2018.10.12/5刷)
【目次】
はじめに
初版『遺伝子が語る生命像』序文
第1章 メンデルからゲノムへいたる道
第2章 分子細胞遺伝学の基礎
第3章 ゲノム工学の技術
第4章 生命科学の新しい展開
第5章 ゲノムから見た生命像
第6章 生命科学がもたらす社会へのインパクト
第7章 生命科学者の視点から
さくいん
(「BOOK」データベースより)amazon
生命の設計図DNAが分子レベルで解読され、ゲノム工学技術が飛躍的な発展を遂げた現代、生命科学は文系理系を問わず社会の幅広い分野で不可欠の科学となった。日本を代表する分子生物学者がその最前線から新しい生命像を語る。
投稿元:
レビューを見る
はじめに
第1章 メンデルからゲノムへ至る道
第2章 分子細胞遺伝学の基礎
第3章 ゲノム工学の技術
第4章 生命科学の新しい展開
第5章 ゲノムから見た生命像
第6章 生命科学がもたらす社会へのインパクト
第7章 生命科学者の視点から
索引
投稿元:
レビューを見る
2018年のノーベル賞受賞者ということで、1986年に執筆され、2013年に大幅加筆された本書を読んでみた。難しい部分も幾つかあるが、遺伝子あるいはその物質的根幹であるDNAの仕組みや、ゲノム解読などの技術的側面、そして、生命の設計図でありながら個体内でも柔軟に変異するという奇妙な性質などについて初めて聞く話が詰まっている。また、科学的な解説のみならず、終盤は、生命像や生命科学のあり方といった倫理・哲学的な思考についても、著者の考え方の一端が披露されていて、科学本の枠に収まらない内容となっている。
投稿元:
レビューを見る
'ゲノムの壁という高いハードルを越えながら生命が進化してきた道筋は、ダーウィンの考えたとおり、初めから決められた道筋のないところで遺伝子が膨大な試行錯誤をした結果である'
'では、なぜわずか2万~3万個の遺伝子で生物の多様な機能が生じたのか、また膨大な種が生じたのだろうか。この原理の国家としては、2つのことが大きい。第一に遺伝子の重複と変異である。遺伝子の変異は主として進化の過程で種の多様化に使われる。しかし、免疫系においては、個体の防御に使われる。第二に、限られた遺伝情報を組み合わせと階層構造によって制御していることである。細胞の運命づけの際には、遺伝子の逐次的発現(カスケード)によるある一定の時間に発言される遺伝子の組み合わせ、また隣接する細胞の影響から場所によって異なる遺伝子発現の組み合わせというだけで、膨大な存在様式が規定される'
'ヒトがそれぞれきわめて多様な体格や能力を持つということは、すなわち、ヒトは「遺伝子的にはそれぞれ異なっている」ということの反映なのである'
'このような遺伝子の多型性は、自然界でヒトがこれまで生き延びる上で、きわめて大切な条件であった'
'ヒトという種の集団には、さまざまな遺伝的多型性がそれぞれの個体の中に保存されていると考えることができる。ここにおいても、価値観は相対的であり、それは常に変化するということを十分に認識しなければならない'
'今日においては、個人は尊厳あるヒトの生命を持っているから、平等に尊重されるべきだと考えるよりは、それぞれが異質の遺伝子を持ち、何ものにも代えられない多様性を担う個体だからこそ、尊重されるべきだと考えるほうが適切であろう'
'人間社会において個性と多様性を尊重することが、種の存続にとってもきわめて重要であることが十分理解されるならば、社会的な見解の統一や画一的な教育がいかに有害であるかも明白であろう'
'多様性こそは種の存続にとって、きわめて重要な基本なのである'