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茶太郎さんのレビュー一覧

投稿者:茶太郎

23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本火車

2003/03/27 00:00

まさに傑作中の傑作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これを傑作と言わずに何と言おうか。まさに傑作中の傑作だと思う。何度でも読み返したくなる作品。今となっては遠い昔の出来事のようではありが、80年代バブル全盛期のカード地獄を題材にしている。綿密に題材を研究しているが単なる知識の受け売りではなく、主人公が本当に隣に住んでいそうなくらい息遣いが聞こえてくるようだ。最後まで主人公が登場しないという構成は斬新だが、捜査の段階で主人公の残す足跡が人間臭くて、そこから心の叫びが聞こえてきそうだ。被害者の思い出の品を処分できずに知人に送るなど、周到に足が付かないようにトリックを聞かせているのに、意外なほどのもろさも見せる。また、日本特有の戸籍管理社会の盲点を見事に浮き彫りにしている。贅沢な戯言として聞き流してもらえるなら、事件解決の糸口を用務員のおじさんとの世間話から得るという、いわば偶然性に帰依しているところが残念。しかしそれを補って余りある見事なパズルだと思う。

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紙の本三億円事件

2001/12/06 22:06

待たれる文庫化。並みのミステリーにも太刀打ちできない面白さのノンフィクション。

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 私は推理小説が好きですが、この「三億円事件」は並みのミステリーには太刀打ちできない内容で、尚且つノンフィクションであるところが驚愕させられます。
 30年以上前に発生し、既に迷宮入り「戦後最大の謎」と言われた三億円事件。しかも誰も傷付けることなく、奇抜なトリックで事を成し遂げたこの犯人は「日本のルパン」などとも呼ばれました。「一体犯人は誰なのか?」「三億円は何に使ったのか?」日本人の喉に刺さった小骨のようなこの謎を解明してくれるのが本書です。

 三億円事件関係の本は数限りなく出版されていますが、その多くは創作でしかない。しかし、本書は三億円事件で盗まれた紙幣番号の札という物的証拠を提示している所が他の著書と決定的に違うところです。他にも数多くの物証や捜査資料をもとに書かれているので、内容に信憑性があり、読む者を納得させてくれます。
 作者の一橋文哉氏は、決して素性を明かさず、マスコミにも登場しない「ナゾの作家」として知られますが、それだけに身の危険が及びそうなほど深い闇に踏み込んで数々のルポを発表してきました。どの作品も迫真の内容ですが、中でも「三億円事件」は代表作といえるでしょう。

 犯人はたった3分の犯行の為に膨大な時間をかけて綿密な計画を立て、事件後も決して捕まらない完璧な送金ルートを用意していた…。今で言う「マネーロンダリング」を30年以上前に考え出していたのです。そして30年後の現代、執念の取材でそれを追う著者。ロスにまで渡り、犯人と対決する章では、大げさでなく本当に血が逆流しそうなほどでした。
 事件の背景にあるのは、昭和40年代「高度経済成長」という時代。「ドーナツ化現象」「日米安保条約」「学生運動」といった時代背景を巧みに利用した犯人。事件の真相を読むと同時に、混沌とした中にも活気に満ち溢れたこの時代を読み取る事が出来ます。

 30年間誰も近づけなかった謎の真相に迫ったという点で、本書を越える作品は二度と現れないと思います。ミステリーとしてもノンフィクションとしても、最高峰といえる作品だと思います。
 捜査権のある警察と違い、完全には追い切れなかった部分もあると著者は言っていますが、その部分を更に取材し加筆した上で文庫化する事を期待せずにはいられません。

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虚像の殺人犯

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 今でこそ猟奇的殺人事件が頻発しているが、宮崎勉事件は我が国では初めて世間を驚愕させた猟奇的殺人事件だったと思う。「オタク」という言葉が使われるようになったのもこの事件がきっかけだったと記憶している。警察の捜査で明らかになった事実関係にはほぼ間違いはないようだが、殺害動機は完全に警察が作り上げた虚像だったことが本書では語られている。あの頃トップニュースで宮崎の異常な自室がセンセーショナルに報じられたが、あれも結局は警察が仕組んだシナリオの一部だったのだ。確かに宮崎は異常な「オタク」だったが、必ずしもそれが理由で殺人を犯したとは言い切れない。結局本当のところの殺害動機など誰も理解できないのだ。あの頃報道されたものは「事実」ではあったが「真実」ではなかった。

 宮崎が後に取調べの時にぽろっと「僕だって普通に女性にモテたかったんだ…」というようなことを語ったらしいが、案外そこに本音があるのかも知れない。身体の障害や性的不能などにより人一倍劣等感が強く、厭世観を強めてアニメや特撮の世界にのめりこんで行き、今で言うところの「引きこもり」状態となる。そして家庭の不和や可愛がってくれた祖父の死が異常な行動への引き金になった…。いろいろな意味で、現代の病理を提起した事件だったと思う。

 誰しもアニメや特撮ものにハマる時期はあるし、「劣等感」の全くない人間はいない。小学生の頃、好きな人の家を見に行ったり、私物をこっそり盗んだりする人はいた。「犯罪」という一線を越えるか越えないかの差は決して小さくはないが、私も一つ間違えばそちらの世界に行っていた可能性もあるのではないか。ここまで度を越した殺人となると理解の範疇を超えてしまうが、モンスターというのは案外日常の中に潜んでいるのかもしれない…。

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時効前なら大変な問題になっていた

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一橋文哉シリーズの中でもこの作品は異彩を放っている。迷宮入りとなった「朝日新聞阪神支局襲撃事件」。時効に際しての記者会見で朝日の記者が怒りのコメントを発表した一方で、事件当時同新聞社は警察の捜査には非協力的で緘口令が敷かれているかのようだったと言う。これは一体何を意味するのか??

 事件の背後に見え隠れするエセ同和団体。バブルの時代に被差別民を語り、多額の補償金を国や企業から騙し取ろうとする団体だ。殺害された新聞記者は殺される直前に知り合いのルポライターに「凄い事実をつかんだ」と電話をし、会う約束をしている。そしてその内容とは右翼との関わりが強かったとされる総理大臣の金脈に関わる問題だった可能性が高い。すでに総理自身も秘書も鬼籍に入っており真相は分からないが、朝日新聞の記者はその問題に関わる右翼団体が送ったヒットマンに殺された可能性を否定できない。当時それが明らかになっていれば政界を揺るがす大変な疑獄事件となっていただろう。ルポライターも自分の身に危険が及ぶことを恐れて、多くは語らない。

 巨額の金がいとも簡単に動いていたバブル時代、甘い汁を吸っていた政治家や闇の紳士たちの底知れない欲望と心の闇を感じた。景気の低迷する今なら有り得ない事件だと思う。実行犯も事実が発覚する直前に変死したとされ、おそらく真相は永遠に究明されないだろう。私は本書を通じて、政治家が絡んだ時に及び腰になる警察の無力さを感じた。そして圧力に屈する新聞社も決して正義の味方ではないことが分かった。新聞社から見放され、むざむざとその死を無駄にされた記者は浮かばれない。

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紙の本負け犬の遠吠え

2004/01/30 01:49

ぼくも「オスの負け犬」だ

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 「勝ち組」「負け組」と人を区別することがタブーの時代に、仕事も恋愛もバリバリし「勝ち組」の代表のように思われてきた独身女性を「負け犬」と定義したことがこの書の画期的なところだ。これまで「私たちは不幸でもみじめでもない!!」と片意地張って生きてきた女性が「はいはい私はダメ人間です」とカミングアウトした書とも言える。

 男の私がこのショッキングピンクの本をレジに持って行って買うことはかなり気が引けたが、それでもなお読みたいと思わせたのは一種の「恐いもの見たさ」に似た感覚なのかもしれない。或いは闊歩するキャリアウーマンたちへのアンチテーゼとしてこの書に期待したのかも知れない。

 しかし、かく言う私もこの書で規定するところの「オスの負け犬」である。正確に言うと「だった」。高学歴高収入の女性と低学歴低収入の男性が負け犬になるための条件と言うが、私は齢36歳にして「無職」という結婚には致命的な欠陥を持っていた。そんな私が歳も同じにして、仕事と趣味にまい進するバリバリの女と結婚してしまったのだから、世の中分からない。現金なものだが、結婚すると「甲斐性のないダメ男」という重圧から解放されたような気がして、ガラにもなく独身の友人に「結婚はいいもんだぞ」などと余計なお世話を言ってみたくもなる。

 思えば私は新卒の時、本書で「石を投げれば負け犬に当たる」とされるマスコミ業界にいた。男は1年目から全国の支社に飛ばされるが、女子社員は組合婦人部の力もあって地方転勤はご法度。また、男は接待交際費が足りずに自腹で営業するため生活カツカツという時に、同期の女は事務職でしっかり貯金して20代で大台(1000万円)当たり前だった。男女平等と言いながら、女の仕事はおいしいとこ取りでキャリアウーマン気取り、男はそのしわ寄せで汚れ役ばかり、何て世の中不平等なのだろうと思っていた。

 しかし、この書を読んで決して世の独身女性みんながみんな望んで独身でいるわけじゃないということが分かったし、それぞれ悩みは多いのねと思った。鼻につくキャリア組たちにも少しは親近感が持てるようなった。

 ただ、この書は単なるエッセイではなく、日本社会が抱える構造的問題にも折に触れ言及している。私を含め、現在30歳代後半の人間は、バブル時代の気分から抜け切れない大きな子供であり、抱える問題も他の世代から見れば贅沢な悩みでしかない。世の中みんなが独身を謳歌し、子育てもしなければ社会は消滅してしまうわけだから、ダメ女(男)をカミングアウトすることで良しとするのではなく、この状況を打破するにはどうしたらいいかと考えるためのきかっけになる書であって欲しいと思う。

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紙の本理由

2003/03/28 00:27

ドラマとノンフィクションの間

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最近某テレビ局プロデューサーによる「ドラマとドキュメンタリーの間」という講演会を聴きました。まさにこれがそれ。ルポのようなタッチで描いた虚構の世界。作られた世界なのに限りなく現実に近い恐怖感を覚えました。工場跡地を再開発して建てられた、SFの世界に出てくるような現実離れした未来型マンションと、ローンという裏技を使って実力以上のハイソな暮らしを手に入れようとして失敗した人々…。そしてその隙間を縫うように生きていく「占有屋」という嘘で塗り固められたような家族。しかし嘘の中に実は今まで求めていたけど決して得られなかった家族愛、安らぎを見つけていった。結局それは蜃気楼に過ぎなかったのだが、虚虚実実の現代社会においてはそれが実は本物の愛だったのかもしれない…。まさにいろんなものが交錯して一つの事件に束ねられてゆく、そんな日本社会の縮図を見たような気がします。

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紙の本ドナービジネス

2004/02/28 00:56

そもそも中国は価値観が180度違う国

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 私は中国で暮らし、この国は日本とは全てにおいて価値観が全く違うことを知っている。だからこの本を読んでも驚かなかった。カネで臓器を売り買いするという話は、自分の身の回りではさすがに聞いたことはなかったが、そういう事があってもおかしくない社会だとは思う。それに政府が加担していたとしても…。

 ある日、中国で知り合った韓国人が泣きながら言っていた「オレの友達が車に轢かれたが、丸一日道路上で放置されたために死んだ。犯人の手がかりは全くない。警察も相手にしてくれない。もし通行人が救急車を呼んでくれていれば助かったかもしれない。これから俺は絶対に中国人は信用しないことにする」と。13億人もの人口を抱え、「一人死んでも代わりはいくらでもいる」というのが中国の生命観だ。「人の命は地球より重い」という日本とは価値観が180度違うのだ。

 あくまでも臓器移植はボランティア精神で行うというのが日本だが、それを待っていてはいつまでたっても救われないと考える患者もいるだろう。金を払って臓器を買うというのはある意味ホンネの世界で、手っ取り早い。確かに日本人の倫理観では受け入れがたいものがあるが、そもそも人の生命は平等ではないという世界の現実を見れば、完全に否定することもできないのかなと思う。

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謎のルポライター、衝撃のデビュー作

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 世の中を震撼とさせた劇場型犯罪「グリコ・森永事件」の真犯人から著者の元にテープと手紙が届き、それを警察に鑑定してもらったところ「本物」と認定されたというから凄い。真犯人は世間があっと驚くような人物らしい。本書では、警察が科学捜査など最新技術を駆使し、総力を挙げて真犯人を突き止めようとする。その肉薄する様は壮絶だ。しかしあと一歩というところで逃してしまう。犯人は相当に頭脳的で警察との知恵比べだ。そこまでして犯人を突き動かすのは何なのか。相当な怨恨だ。犯人は企業が過去に行った強引な事業推進で身を潰した元職員のグループではないかと言われている。

 文庫化にあたり、時効を迎えての所見や被害者の社長が開いた記者会見の模様が描かれているが、被害者が犯人と裏取引をしたのではないかという疑惑は払拭されない。この事件は戦後高度成長で成功した企業の闇を問いかけた事件といえよう。何十年後でもいい。新事実が発掘され、事件の真相が明らかになり、再び一橋氏が本を出すことを願っている。

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紙の本OUT 下

2004/02/09 13:03

普通の主婦が抱く絶望感が恐いくらいリアルに伝わる

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 この作品が海外の文学賞にノミネートされたというニュースを見て読んでみた。自分が昔、日雇いの工事現場で働いていた頃を思い出した。仕事は汚くてきつくて危険で暗くて賃金が安い。夢も希望も無くただひたすら自分を消耗し、絶望しかない日々…。そんな日々を思い出して重い気分になった。しかしそれだけ、この作品が現代社会に暮らす絶望感がリアルに描けているということ。

 前半は悪い夢にうなされるほどの恐怖を味わい、「こんなに凄い小説が日本にあったのか」と興奮気味に読んでいた。海外の文学賞も夢ではないと思った。しかし、終盤になるにつれてモンスターのような相手と対決姿勢を強めていき、非日常的な戦闘シーンになる頃にはすっかり興醒めしてしまった。もっと日常の中で主人公が追い詰められていく恐怖を味わいたかった。そういう意味では残念。ただ、自分の中では最近読んだミステリーはハズレばかりなので、その中ではかなりいい線いっていると思った。80%くらい納得した。

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紙の本対決

2003/04/17 09:40

妻に読ませたい一冊

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昭和50年代の大手メーカーを舞台にしているだけに、肥大化した労働組合、完全なる男社会など今や隔世の感のある時代設定だが、それを差し引いても楽しめる「高杉良ワールド」である。正義感溢れる中間管理職はこの作品でも健在だ。

昭和50年代と言えば、イケイケの高度成長時代のほころびが出始めた時期であるが、まさにこの小説でも凋落した日本経済の原型が見事に描かれている。本来、戦時中や戦後会社に使い捨てにされる労働者を救うために作られた労働組合が、「天皇」と呼ばれた人物に私物化され、団体交渉も茶番劇と貸し、社員は見事に騙され、本来の主旨と大きくかけ離れていく…。各企業のこういった一つ一つが日本をダメにしていったのだろうと思う。

主人公の三田社長や小津秘書も劇画のヒーローのようなヒロイックな存在ではなく、いろいろなしがらみの中で生きる一サラリーマンであるところがいい。フェミニストから見れば男はこの男社会でいい思いをしているかのように思われるかもしれないが、毎日苦渋の選択の連続だということを知ってもらうにはいい小説だ。また私には縁のない話だが、夫を「給料運搬人」としか思っていない妻がいるとすれば、そういう人にも是非読んで欲しい作品だ。

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800億円というお金のすごさ

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800億円とは一体どのくらいのお金なのだろう。私の会社の20年分の売上に匹敵する。3億円事件で驚いていたあの頃は、一体なんだったのだろうと感じてしまうのだ。何故天下の大銀行が総会屋一個人にこれほどまでの巨額のお金を差し出さねばならなかったのだろう。世のエリート中のエリートである会長をはじめ、国会議員までもが自殺するという大惨事に発展するこの経済事件。

これは小池隆一氏だけでなく、その背後の黒幕、故木島という人物が大変重要な位置を占めている。本書はこの総会屋を生い立ちから追い、日本社会が抱える病理の一端を見事に描く迫真のルポである。

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紙の本白夜行

2003/03/28 00:29

時代性は最高。でも…。

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とにかく文章の量は圧倒的ですね。ご令嬢で常に陽の当たる所を歩いてきた彼女とドブネズミで裏町街道を歩んできた彼。一見何の関わりもないような男と女が実は微妙に交差しながら時代を生きてきた。作者の時代を見る眼は確かです。時代の隙間を縫うように生きてきた男をリアリティを以ってしっかりと描いている。でも最近の日本の推理小説の傾向なのでしょか?? 事件の動機、言い換えれば全ての原点が幼児愛とか変態性欲とか結局は性的なものに完結している。構成とか描写力が高いレベルなのに「落ち」がショボすぎる。この作品も、11ラウンドまで圧倒的リードしていながら、最終12ラウンド残り30秒にKO負けしたような、何ともいえないあと味の作品でした。

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紙の本謝罪します

2004/04/18 16:58

とんだ茶番劇の可能性

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 よど号グループのHPによると、八尾恵氏は高沢皓司氏と最近結婚していたらしい。高沢氏と言えば、彼らによる日本人拉致疑惑の原点ともなったルポ「宿命」の作者として有名だ。「謝罪します」が出版されセンセーションを巻き起こしたのが2002年、八尾氏が日本に潜伏中に逮捕されたのが1988年。確かに14年もの開きがあるのはおかしい。なぜ逮捕当時に暴露せずに今頃になって暴露本を出したのだろうか。また、本書には北朝鮮に残した娘への想いが延々と綴られている一方で高沢氏と不倫していたのだろうか。

 今思えば、八尾氏がカメラの前で有本恵子さんのご両親に深々と謝罪するのはパフォーマンスだったのか。内縁関係にあった高沢氏の指示で茶番劇を演じていたということなのか。そんな疑問がわいてくる。

 よど号グループがハイジャック事件の無罪放免を求めているのは論外としても、「拉致事件とは関わりがない」とする言い分には、マスコミも目を向ける必要があるのではないだろうか。

 何が本当で何が嘘なのか分からなくなってきた…。

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紙の本オウム帝国の正体

2004/02/28 00:25

今、一番不気味なのは上祐

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 2004年2月27日、麻原彰晃の一審判決があり、求刑通り死刑が言い渡された。あの忌まわしい地下鉄サリン事件、麻原逮捕からすでに9年の歳月が流れた。また、この本が出版された4年前からも、かなり状況は変化した。まず麻原の右腕だった上祐が表向きには教団から離れた。現在のオウムは規模を縮小して活動を続け、局地的には近隣の住民とモメたりしているが、おそらくもう骨抜きで大事件を起こすような余力は残っていないだろう。また、オウムの仕業とされた警察庁長官狙撃事件の犯人は、実は現在服役中で東大中退、オウムとは全く無関係のテロリストが真犯人だったことが分かり、世間に衝撃を与えた。

 ロシアのオウム信者もかなり減ったようだが、今でも着々と武装を続けているのだろうか。上祐が今でも麻原を信仰しているとは考えにくいが、テロへの新たなる大義名分を見出し地下で活動を続けるのか、上祐はもうすでに封じ込められたと見ていいのか。2001年のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに、テロリストへの警戒は一層厳しくなっているはずだ。一度は壊滅されたと思われた赤軍派がアラブ世界と手を組んで更に過激で悲惨なテロ事件を起こしたように、上祐もアルカイーダと手を組んでまたテロ事件を起こす危険がないと誰が言えるだろう…。

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紙の本少子

2004/01/31 01:38

恐ろしい…

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 昔アニメのガンダムが好きだった。そのセリフで「(スペースコロニーの人々は)子を産み、育て、そして死んで行った…」というのがあって、結構好きだった。基本的には人間というのは、子供を産み、育て、その子供が親を見送り、墓を作り…という作業を延々と何千年何万年と続けてきた。だからこそ今の自分がある。まあ、その人が禁治産者だとか子供を産めない身体だとかいうなら仕方ないが、五体満足に生まれたにも拘らず、「出産・子育てが辛い」「子供を愛せないかもしれない」「子育てをする同世代を羨ましいと思わない」などの理由で、受け継がれてきた生命を自分の代で絶つというのはいかがなものか。それなりに言い分はあるのだろうが、それらは豊かな日本に生まれたが故の「贅沢な悩み」でしかないと思う。そしてそういうことを綴ったエッセイを読んで「共感した」などという女性がいるとすれば、まさに日本は終わりだと思う。

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