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前田昌孝さんのレビュー一覧

投稿者:前田昌孝

3 件中 1 件~ 3 件を表示

日本経済新聞2001/2/25朝刊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 株式相場の先行きを予測する手法は大きく分けて二つある。一つは経済環境や企業業績などを分析し、株式の「真実価値」を見いだそうというファンダメンタル・アプローチ。もう一つは値動きを記録したチャート(ケイ線)を分析し、売り買いのシグナルを探るテクニカル・アプローチだ。
 多くの経済学者は前者の手法をより説得力があると考え、チャート信奉者らを軽く見がちだ。実際、チャーチストらは結論は言っても理由を説明しない傾向があった。しかし、本書はマクロ経済の予測は不正確すぎて「投資家には値打ちがない」といい、ファンダメンタル信奉者は相場に勝てないと指摘する。なぜチャートが有効なのかを心理学の概念を活用して理論的に説明している。
 というのは、チャート上に繰り返し表れる相場のパターンは、人間の心理を素直に反映したものだからだ。例えば、相場の上昇時には売買高が増加し、下落時には細る傾向がある。
 そこには自分の過去の判断が誤りだったことを示す証拠を見たくないという人間の心理が端的に表れている。買った株式が予想に反して値下がりした場合、売却して損失を確定すれば、誤りを認めることになる。こんな心理学上の「認知的不協和」を避けたい気持ちが、売却をためらわせているという。
 ほかにも、「自我防衛的態度」「自己過信」「選択的受容」など多様な心理現象が相場を動かす。強気が強気を呼んで株価が急上昇したり、二重天井を付けて株価が下落に転じたりというパターンも、心理学で説明できる。人間の心理が簡単に変わらない以上、相場は過去の歴史を繰り返す宿命にあるともいえる。
 本書は終章で投資で失敗しないための二十の指針を示し、「自分がどんな存在であるかが分からないならば、株式取引所は自分自身を知るための高価な場所である」という格言を紹介している。チャートだけを頼みにした売買には失敗も多いが、投資に当たって心理学の研究が経済学よりも大切だという主張は的を射ている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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紙の本クリック&モルタル

2000/12/26 15:32

日本経済新聞2000/12/17朝刊

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 インターネット事業を成功させるのに、ざん新なアイデアだけでは不十分だという意味で、「クリック&モルタル」という言葉が使われる。クリックはマウスのボタンを押すこと、モルタルは既存ビジネスに不可欠の店舗や倉庫を象徴している。
 著者のデビッド・ポトラック氏は米国で最も急成長した証券会社、チャールズ・シュワブの社長兼共同最高経営責任者(CEO)を務めており、この言葉を最初に使ったことでも知られる。
 読んで最初に気がつくのは、著者が「モルタル」を「店舗網」などと狭くとらえていないことだ。激しく変化する時代に企業が成功するには、「人間の意気込みと情熱が欠かせない」という問題意識が出発点だという。優れた企業文化、的確なリーダーシップ、献身的な従業員、顧客満足を作り出す努力——一連のビジネスの原則のすべてが「モルタル」、つまり、事業に成功をもたらす基盤と見ている。
 第一部では「変化の竜巻の渦中でも決して変わらない」企業文化の大切さを強調。共通のビジョンを持つ従業員が生み出すエネルギーが企業の成長の決め手だと説く。第二部では経営者が第一線の従業員とコミュニケーションを積み重ねることが、業務の革新につながるアイデアの吸収に役立つと述べる。
 「経営の実践」と題する第三部では目標設定の仕方、報酬の与え方、技術者の生かし方、市場調査の手法、広告の出し方、ブランドの育て方などについて、基本を指南する。実際、シュワブが手数料が安いだけの証券会社から、顧客に投資助言もするフルサービスの証券会社に脱皮する際には、「顧客第一」の理念を守るため、営業担当者の報酬を手数料収入に連動させない仕組みにした。
 本書では理念もなく、成長戦略も描けずに安売りに走るネットビジネスは結局、「道端の安売り商と同じ」と指摘する。どんなビジネス上の教訓を読み取るかは、読者の置かれた立場によって異なるだろうが、企業人にとっては示唆の多い一冊だ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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日本経済新聞2000/6/25朝刊

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 インターネット・ビジネスの成功のカギは何か。こんな問いに、資金を提供する側から答えたのが、本書である。著者は米国のシリコンバレーを代表する女性ベンチャー・キャピタリスト。ネットベンチャーを興し、株式を公開して一獲千金を夢見ている日本の起業家にとっても、耳の痛い話が詰まっている。
 日本ではネットベンチャーに手当たり次第に出資をする業者が一世を風靡(ふうび)したこともあり、幅広く投資して成功確率にかけるのが、ベンチャーキャピタルと思われがち。米国では創業したばかりの企業の将来性を判定した後も、株式公開というゴールにこぎ着けるまで、経営にもっと積極的に関与する。
 取締役に就くだけでなく、事業モデルを書き換えたり、経営陣を捜し出したりと、「気が遠くなるほど長く神経が擦り減るような過程」をたどるという。もっぱら創業時にお金を出すだけの「エンジェル」と異なり、「投資のプロ」だと著者は自認する。企業を成功に導くカギは市場環境か経営陣か。両論ある中、著者は経営陣説を信奉している。
 ベンチャーキャピタルが出資を敬遠する事例は参考になる。(1)最終顧客を持たずに特許料収入に頼る企業(2)拙速で経営陣をそろえてしまった企業(3)創業一族の持ち株比率が高い企業——などだ。何よりも大切なのは相互の信頼感だという。最初の出会いで事業内容を「誇張して見せたりする必要はない」と訴える。
 出資後も難問が山積する。ある企業では創業者が会社を経営し続けることにこだわり、売却時機を逸した。別の企業では創業者が経験を積んだ経営陣の採用をためらったばかりに、経営が迷走した。株式公開に至る道のりが甘くはないことを日本の起業家に印象付けるだけでも、本書を日米同時に出版した目的の半分は達せられている。
 米国の起業家精神を支える社会構造を知るうえでも、面白い。企業の良否を判断する基準などが整理されていない点は気になるが、それだけ現実は複雑ということだろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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