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東野陽子さんのレビュー一覧

投稿者:東野陽子

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何もかもが「はじめて」の驚き

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作家でもない私たちが本を出版するなど分不相応ではないかと何度も悩みました。

 しかし、女性が暮らしても不自由をほとんど感じないという現在の昭和基地での生活を伝えることは、「女性初の越冬」というお題目があろうとなかろうと、必要なことだろうと思います。私たちにできることは、少しでも南極や昭和基地での生活の様子が伝わるようにと、自分の見てきたもの、感じたことを正直に書くことだけです。それだけを念頭にいれて、この越冬期を書かせていただきました。

 計12章で構成されたこの本は、「南極へ」「昭和基地の夏」「越冬の日々」「オーロラ観測と地震野外観測」、「2度目の夏」「帰国の後に」という6つのテーマを持って、2人がそれぞれ1章づつ書いています。話題の1つ1つは重ならないように調整したものの、似通った内容になるのではないかという不安が最初はありました。しかし、最初に出来上がった原稿の一部を坂野井さんとメール交換し、それは杞憂だったことがすぐにわかりました。同じ場所で同じ時を過ごしてきたのに、二人の生活や感じ方はここまで違うのだろうかと正直に驚くほどです。

 二人の違いはまず、第1、2章で浮き彫りにされます。坂野井さんにとっては、「南極での越冬」は高校生からの夢であり、実現できるように努力してきたのに対し、私にとっては、大学院でたまたま興味をもった地震観測点の中の1つでしかなかったということ。そのことによって南極や越冬生活に対する知識への大きな差が生じています。第3、4章から知識量の差は歴然となります。

 個人的には、第5、6章との間に最も差を感じました。坂野井さんは「話には聞いていたが、実際に閉鎖社会を体験するということの難しさや楽しさ」を書いています。それに対し、何もかもが「はじめての生活」という驚き、その生活の中で印象に残ったエピソードを私は書いています。また、二人の観測の様子も大きく異なります。坂野井さんが夜勤生活、一人で室内作業をすることが多いのに対し、私は野外で他の隊員たちと一緒に観測。この二人の観測の様子は、同じ昭和基地でも個人の仕事によってこれだけ違う生活になるのだという事実がよく表されています。

 全編を通して、私は南極での生活に順応するのが精一杯だったのに対し、坂野井さんは余裕をもって南極を楽しんでいることがわかります。特に、自然の描写などは、時間をかけて観察されている上、彼女の感性の中で美しさがより際立っています。私自身も彼女の目を通して「南極」追体験をし、新たな感動を覚えました。全く意図していなかったこの2人の対称性は読者にとっても、非常に面白いのではないかと思っています。

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