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先月(2017年4月)

飯島 洋一さんのレビュー一覧

投稿者:飯島 洋一

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紙の本ル・コルビュジエとはだれか

2000/10/21 00:17

日本経済新聞2000/4/9朝刊

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 これまでに発表したコルビュジエ論を集成した本書において、著者の磯崎新は繰り返してひとつのことを語り続けている。それは一九六五年の夏に起きたル・コルビュジエの死だ。
 近代建築の巨匠、ル・コルビュジエは、南仏のカプ・マルタンの海岸で遊泳中に溺死した。それはもちろん唐突に訪れた一人の老人の死であるが、別の角度から見るともっと象徴的な意味合いを持つ出来事だった。というのも、ル・コルビュジエとは近代建築の代名詞のような存在であり、それが唐突に死を迎えたことは、言うなれば近代建築そのものの死が示唆されたともいえるからである。
 事実コルビュジエの死からわずか三年後の、一九六八年のパリ五月革命にはじまった「近代の死」という宣告を、私たちは世界的な広がりの中で目撃することになる。いま思えばそれは新しいポストモダンの始まりを指し示す事態だったわけで、近代建築を主導したコルビュジエの六五年の溺死は、その時間的な流れの中での奇妙な符号の一致を見せるのだ。だからこそ、コルビュジエに強い影響を受けながらも、ポストモダンの先導者となった著者にとって、その死の日付はいまだに重要なものとなっている。
 しかし急いで加えるならば、いま著者の磯崎がコルビュジエについて問い直す理由は、ただそれだけにあるのではない。コルビュジエの死からさらに三十年以上の歳月が経ち、私たちはポストモダンの終わりすらもすでに経験してしまったからである。そしてそのあとに一体何をはじめればいいのか、それがまったく見えて来ない時代にいる。
 著者がなぜいまこの本で「ル・コルビュジエとはだれか」、「近代とは何だったのか」と問うのか、その理由もまさにその先行きの不透明さに関っている。それゆえ本書は単に一人の巨匠をめぐる論というのではなく、先の見えない私たちの現在をめぐっての、さらなる考察を要求する一冊であるにちがいない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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