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投稿者:これからお仕事
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紙の本児童虐待のポリティクス 「こころ」の問題から「社会」の問題へ
2006/08/16 08:21
格差社会と児童虐待ジェンダーと児童虐待
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一見中立的で豊かさや貧困など家族の経済的背景とは無関係に生起していると考えられてきた児童虐待問題。児童虐待をテーマにしたテレビドラマを想起すると豊かな家でも虐待は起きてるジャンと思う。こうしたあたりまえに見える児童虐待の常識を見事にひっくり返してくれる本。
編者の上野加代子氏の児童虐待問題に関する本はこれまでも数冊を数える。この問題と家族の経済的要因との関連性を理論的に構築してきた日本の一人者である。ただ、反面臨床家の視点がやや薄く、現場の苦悩や努力があまり伝わらない印象を残してきた。
この本では、現場の児童福祉司が、第1章と第2章で格差社会の犠牲者としての子どもたちや家族に寄り添うなかで、この問題の再構築を試みている。貧困や社会格差がこの問題の背景に深刻にあることを統計も駆使して描き出している。その真摯さと批評眼が光る文章である。また、今の児童相談所が負っているディレンマを現場の視点から指摘する。
また、ジェンダーと児童虐待の問題を、初めて描き出した村田氏の第4章も知的に刺激的な文章だ。ジェンダーの視点からこの問題に光を当てることで、児童虐待問題の背後にある社会的な排除の構造を丹念に浮かび上がらせている。
誰もが熱心に取り組むべき「児童虐待」は、その熱心すぎる志向性が却って問題を悪化させるかもしれないという矛盾に実践家もそろそろ気づくべきかな。
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