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打人山さんのレビュー一覧

投稿者:打人山

2 件中 1 件~ 2 件を表示

興味と通史

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時間軸と空間軸の配列が良く、特定分野の入門書・通史として大変優れた構成になっていると思う。解説文と図版のバランスも適度で、資料体としての使い勝手も評価したい。印象深いのは「学生時代、とりたてて歴史が得意だったというわけではありません」という筆者前書きの一言。個人的な興味が拡がりバランスの良い通史を物すまでに至った実例として興味深い。だからだろう、本書は時間と空間が味気なくシャッフルされる世界史の教科書と違い、バレエとの出会いがそのまま「歴史」との出会いになった、という筆者の手応えも随所で見出せる。「歴史とは過去との対話である」という例の金言を思い出した。

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奇妙な良書

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 西欧視点からの日本文化論・日本批判というのは珍しくないが、バレエをはじめとする舞台芸術の研究者・鑑賞者である著者の立場が終始一貫している点が際だっている。スマホ依存の没交渉カップル、「先生の言ったこと」がそのまま解答になる国語の試験、スポーツ選手のオウム返し=「応援よろしくお願いします」、食い物も見せ物もとにかく思考停止でとにかく行列……といった部分だけを拾い読みすると、そんなことは分かってる分かっちゃいるがやめられない、と言いたくなるのだが、そういったどうしようもないことどもも、まず冒頭で詳述されていた日本人の舞台鑑賞マナー(なんでも拍手・なんでも「ブラボー」)への違和感から発しているのだと考えると、奇妙な説得力がある。
 著者は、初等教育をベルギーで受けたという。このことが「西欧基準」の思考を身につけさせたのだろうし、西欧の舞台芸術研究という生業と矛盾なくつながるわけだが、その作業プロセスが日本語による思考・叙述であるゆえに、さまざまな局面で軋轢がうまれるのに違いない。要は、近代化と西欧化が同義であった時代から続く問題意識である。だが、それを真正面から吐露し続ける本書を読み進めると、多くの日本人の中で常識化したあげく麻痺忘却されているそれが未だ切実であり何らの解決を見ていないのだ、という痛感がリアルに湧く。痛感そのものはむろん既知だが、リアルさのほうが新鮮なのである。前述の奇妙さとは、多分この読感からもきている。
 私自身は日本で生まれた日本人なので当然凹む記述が多く、「古き良き日本」みたいなものに逃げ込みたい心持になったりもしたが、本書は歌舞伎や能など、近世以前の日本の舞台鑑賞にも言及していて、安直な逃避を許さない。歌舞伎・能を支える観衆の階層(町人/武家)が異なるということにもさらっと触れており、ここでも現代日本人の忘却を突いている。細心である。

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