tshtさんのレビュー一覧
投稿者:tsht
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紙の本キャプテンサンダーボルト
2014/12/07 20:21
キャプテンサンダーボルト
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「東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29」「公開中止になった幻の映画」「村上病という、致死率70パーセントの感染症」
これらのキーワードにまつわるエピソードが、二人の男の活躍をとおして描かれ、ひとつの解へと収束していく。その過程では今まで信じていた世界に対する解釈、認識が次々と覆り、この本を読む自分自身、いかに不確かな世界に生きているのかということをあらためて実感させられる。まさに著者二人が言うところの、「世界は見た目通りとはかぎらない」というのを小説の上で体現している。
著者二人による様々な企みが散りばめられていて、読みながらそれらを見つけていくのもたのしい。それは阿部和重の小説を読んでいる時に感じる複雑精緻な小説構造に触れた時の驚き、喜びと、伊坂幸太郎の小説を読んでいる時に感じる遠くはなれた場所に書かれた文章同士が想像もしていなかった形で融け合っていくカタルシスの両方で、それらがひとつの小説の中に自然な形で存在し、なおかつエンタメとしても優れた内容で、一度本を開けば読み進める手が止まらないとくれば、この合作小説は奇跡的なほどの高い完成度をもって成功をおさめたといっても過言ではないと思う。
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