kamomeさんのレビュー一覧
投稿者:kamome
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紙の本キャプテンサンダーボルト
2015/01/11 14:23
「小説」に対する挑戦?
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合作のニュースを見て、いったいどんな「クセ」のある作品になるのだろうとわくわくしました。阿部和重も伊坂幸太郎も、一筋縄ではいかない作家です。『シンセミア』も『ピストルズ』も、『ラッシュライフ』も『重力ピエロ』も、それぞれ「ひねり」があって、その「ひねり」こそが、作品を読む醍醐味でした。
そして、この『キャプテンサンダーボルト』。読み終わった印象は、当初予想していたとは違い、驚くほど正統なエンターテイメントでした。読みながら、頭の中に映像が浮かび、それがスピーディーに展開していって、これはたしかに面白い!
けれど、すべてのページをめくったあとで、「ではこの小説には、読む前自分が期待していた『クセ』はあっただろうか」、とはたと考えました。そして、印象に残ったシーンや、伏線になっていた箇所を拾っていくうちに、その「クセ」や「ひねり」とかつて自分が認識していたものは、きっと「技術」と呼ばれるものではと思うようになりました。
合作になったことで二人の個性的な「技術」が合わさり、より普遍的で正統的な、けれど驚くほど面白い小説が生まれたのだと。そしてこれは「小説」というジャンル自体に対する挑戦のようにも感じられたのです。
二人の愛読者だった自分にとって、他では得がたい読書体験になりました。読み終えて、高揚感で胸がいっぱいです!
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