ケルベロスさんのレビュー一覧
投稿者:ケルベロス
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紙の本異端の人間学
2015/11/02 19:12
五木寛之が存在感を示す一方で・・・
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佐藤優の対談本の中では、かなりおもしろい部類に入るものだと思う。やはり決めては対談相手。互いにロシア通であり、領域が重なるところが対談をおもしろくしているのは間違いないが、やはり作家としての年輪、蓄積の差か、一方の佐藤が精彩を欠くほどの五木の圧倒ぶりを感じさせた。
佐藤の発言も相変わらずおもしろいのだが、粗い発言も見られる。たとえば、第三部「詩人が尊敬される国」の中で、チュッチェフの詩を紹介するくだり。「ウモーム ラシーユ ニ・パニャーチ アブシーニム オープシム ニ・イズメーリチ・・・(知恵でロシアはわからない、一般の物差しでは測れない・・・)」と引用したのはよいが、明らかに「アブシーニム」は「アルシーノム」の間違い。佐藤は、この「四行詩のようなものがすぐに出てこない人は尊敬されませんね」とまで発言しているが、引用者が間違えてどうする、と思ったのは私だけではないかも。
対談の収録時に佐藤が言い間違えて、それをそのまま文字に起こした結果、起きた誤植かもしれないが、その責任は出版社はもちろんだが、著者である佐藤のチェック責任も免れないだろう。
出版不況下で本を量産できる売れっ子だからチェックのひまもないのかもしれないが、才能を浪費することなく、質の高い本を出すように心がけていただきたい。
2015/10/28 17:14
歴史はてがるに学べない
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水戸黄門が「大日本史」の編纂をはじめたのにならい、出版不況知らずのジャーナリストと作家のふたりが「大世界史」の記述に取り組んだ。一口に世界史といっても、この時代の話は面白くて好きだとか、中国史は好きだが欧州史は苦手とか、人それぞれだろう。だが、それでは歴史の理解は深まらず、現在の自分の立ち位置が認識できないと考える二人は、イスラム、中国、ドイツ、米ロ、などを軸に幅広く、かつ長いスパンで歴史をとらえようとする。新聞でも外報面は、もっとも読まれないページのひとつと聞くが、それはおそらく、多くの読者に世界史に対する知識が不足していることも一因であろう。この本を読んでから、新聞の外報面を「ななめ読み」すると、少しは外報面が面白くなるかもしれない。
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