四月うさぎさんのレビュー一覧
投稿者:四月うさぎ

トマト缶の黒い真実
2018/05/31 18:11
ジャーナリズムの傑作
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
トマト缶を愛用していただけに、この本の内容は衝撃でした。私がよく購入していたホールトマト缶は「イタリア産」と書かれていましたが、実際のところはどうだったのでしょうか。
腐敗して「ブラック・インク」と化したトマトに化学的処理を施して「食品」とし、製品化して売り出すのは、もはや犯罪に近い行為だと思うのですが、それで暴利を得ている人たちと、知らずに被害を受けている消費者がいるという事実に憤りすら覚えます。
特定の国や企業を悪く言いたくはありませんが、利益を伸ばすことだけに目を向けるのではなく、もっと自社製品の製造に誇りを持って真面目に取り組んで欲しいと思います。彼らが今までのやり方を反省し、自社製品を買ってくれる消費者に誠意をもった対応をしてくれることを望んでいます。

虹の岬の喫茶店
2017/11/20 16:02
現実に希望を見出したい人に
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本を読んで、久方ぶりにあたたかい気持ちになりました。心が沈んでいるときに読むといいかもしれません。正直、話がきれいすぎて現実的ではないかなと思うところもありますが、そういう点も含めて良い作品だと思いました。リアルな展開はミステリー小説だけで充分ですし、現実の厳しさを味わうのは、それこそ現実世界だけで結構ですからね。
また機会があったら、ただひたすらに優しいこの世界をもう一度堪能したいと思います。そして、現実にもこんな優しい世界があることを信じたいと思っています。

ゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らし
2017/04/29 00:25
五つのR
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
リフューズ(断る)、リデュース(減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル、ロット(堆肥化)の5つのRを基本としたエコ生活を送るベアさんの、環境に対する熱意が伝わってくるような本でした。
とにかく、自然に還らないものはとことん排除しようとする姿勢を衣食住のどの分野でも貫いており、さすがに全部は真似できませんが、参考になる事柄は多く見つけることができます。
掃除や洗濯、洗髪にお酢が役立つことは知っていましたが、虫刺されにも効くというのは嬉しい発見でした。
他にも、ファンデーションとしてコーンスターチを使うという点が、個人的に衝撃でした。
ワセリンが危険物質として挙げられていましたが、正直これがなぜ危険なのかよく解りません。原料が石油だからなのでしょうか。
ご家族四人で一年間に出したゴミの量が、わずか小さなガラス瓶一個程度だったというベアさんに及ぶべくもありませんが、私も少しずつ見習いたいと思います。

新しい食べ方で肉よりおいしく&やせられる!高野どうふレシピ 中性脂肪&コレステロールが減り、ダイエットに効果的
2018/05/31 17:29
高野豆腐の世界が広がります
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
高野豆腐といえば、一口大サイズのものか昔ながらの一枚板のものしか知らなかったので、パウダーや、小さいサイコロ状になっている高野豆腐があるということにまず驚きました。用途に応じて使い分けると、確かに便利だと思います。
いくつかのレシピを参考に料理を作ってみましたが、特に難しい手順もなく、出来具合や味も概ね家族に好評でした。ただ、お肉の代用として高野豆腐を使うレシピでは、実際にお肉ではないので味が淡白になってしまう傾向があると感じました。ヘルシーではあるのですが、物足りなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

麦の海に沈む果実
2017/11/20 15:37
ホラーミステリーの傑作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
恩田さんは、ホラーミステリーを描くのがとても上手な作家さんだと思います。ネタバレになってしまうので詳しいことは省きますが、この作品も終始不穏な緊迫感漂う恩田ミステリーの傑作でした。ラストで事件やその他の謎が明かされても、物語の中の不穏な空気は晴れない、そんな重苦しい余韻が強く印象に残るのです。
この物語は、主人公が古い革のトランクを取り戻すまでの出来事を描いたものですが、私はこのトランクというのは主人公が失っていた記憶をも表しているのではないかと考えています。果たして、主人公がトランクを取り戻したことは、彼女にとって本当に幸せなことだったのでしょうか。
2017/04/30 17:23
幸せになって欲しい二人
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
主役の二人があまりに初々しくて、見ていてとても癒されます。
最近は、少女漫画でも性的に直情的すぎる漫画が多いような気がしますが、こちらは情緒的というか心理的な過程を丁寧に表現されていて、より主人公たちの気持ちに共感することができます。
そもそも身分違いの恋物語なので、これから辛い展開が待っていると思われますが、何とかそれを乗り越えて幸せになって欲しいと思います。

聖路加国際病院の愛情健康レシピ 1食500kcal 100歳まで動けるからだをつくる
2016/12/31 01:36
病院食とは思えない美食
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
病院食メニューとはいえ、普通の定食屋さんで見られるような料理ばかりだったので、とても親しみやすかったです。和洋中、どのメニューも美味しそうで、しかも手順はさほど難しくありません。
カルシウムは、その働きを助けるマグネシウムと一緒に摂り、更にそれらの吸収率を高めるクエン酸を食べると良い等のアドバイスも参考になりました。また、魚が苦手な人はアマニ油、えごま油を摂ると肝臓で脂肪酸のEPA、DHAが作られると知って、魚嫌いの父に試してみようと考えています。

風神秘抄
2016/09/30 23:48
イメージしやすい世界観
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
荻原さんの代表作といえば勾玉三部作を連想しますが、神話の世界が舞台なのでイメージしにくかったのですが、こちらの作品は平安後期が舞台なので映像として思い浮かべるのはあまり困難ではありませんでした。その分、スケールは小さくなったような気もしましたが、作品自体はとても面白いです。
この作品も荻原さんらしい魅力的な人物がたくさん登場します。現実世界でも大層な食わせ者だった後白河法皇と主人公が対峙する場面は、読んでいて本当に興奮しました。物語の初めは、幸薄そうな主人公が心配になりましたが、相手役の白拍子の無鉄砲なほどの明るさに救われ、運命に立ち向かっていく姿に感銘を覚えました。

マスカレード・ホテル
2018/05/31 23:49
二作目も期待しています
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
東野さんのミステリーは好きで何冊か読みましたが、登場人物に感情移入することができないと感じることが多くありました。けれども、この作品に登場する主役二人は本当に真っ当な正義感の持ち主で、最後までとても楽しく読めました。
謎解きもとても面白かったのですが、ホテル従業員一同のプロとしての「おもてなし精神」がとても細やかで感服しました。一流ホテルのサービスは、本当に行き届いていますね。
マスカレード・ホテルは二作目もありますので、そちらもぜひ読んでみたいと思っています。

きのこで毎日菌活レシピ エリンギ、マイタケ、ブナシメジ、ブナピーの健康パワーでからだ活き活き!!
2018/05/31 17:07
菌活を始めました
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他の方のレビューにも書かれていましたが、ホクトさんの自社製品が使われたレシピ集なので、すべてのキノコ料理が網羅されているわけではありません。ですが、個人的にはキノコに対する見方が変わり、料理にキノコを取り入れる機会を増やしてくれた本なので、高く評価したいと思っています。
キノコのレシピだけでなく、キノコの栄養効果、下ごしらえの仕方や保存方法等が詳しく書かれているところも参考になりました。
家計に優しく、しかも健康的なキノコ料理のレシピは、いくつか覚えておいて損はないと思います。

世界で一番貧しい大統領と呼ばれたホセ・ムヒカ 心を揺さぶるスピーチ
2017/11/12 14:51
心貧しき人たちへのメッセージ
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ムヒカ大統領のスピーチを読んでまず思ったのは、彼のように地に足を付けて地道に生きる人の言葉には、とても強い説得力があるということです。どこの国のとは言いませんが、口では共栄を唱えつつ独善的な経済観念をお持ちの政治家たちにも見習ってほしいですね。誰に言われたからでもなく、虚栄心のためでもなく、自分の考えで信念を持って質実な暮らしを貫いているムヒカ大統領は、本当に尊敬に値する人物だと思います。
「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、限りなく多くを必要とし、もっともっとと欲しがることである」、古人の残した名言に学ぶべき時がきているのではないでしょうか。物の豊かさではなく、心の豊かさを追求する世界であってほしい、それがムヒカ大統領の願いであり、私たち人類の幸福だと信じています。

ガラスのうさぎ アニメ版 長編アニメーション映画「ガラスのうさぎ」より
2017/05/18 23:24
戦争の非人道性と、日本の安全保障
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戦時下という非日常を生きる、ごくありふれた家族の物語です。
徴兵や空襲によって次々と家族を失っていく主人公の敏子ちゃんが、辛さや悲しみ、憎しみさえも越えて一生懸命生きようとする姿に、とても感銘を覚えました。健気で思いやりのある敏子ちゃんが、進駐軍のアメリカ兵の手を払いのける場面と、その後、アメリカ兵を敵ではなく一人の同じ人間として理解しようとする場面は、特に印象的です。
内容的には、有名な「ほたるの墓」と似ているところもありますが、「ほたるの墓」は破滅へと向かうイメージなのに対し、こちらは平和な未来へ向かっていく物語だと思いました。
最後に日本国憲法について触れられていますが、私個人は「専守防衛」には限界があると考えている人間なので、少々複雑な気持ちでした。「武力放棄」が全ての国の憲法に明記されているのならともかく、国の安全保障問題が複雑化してきている今日、一人一人がこの問題について真剣に考える時が来ているように思います。

世に棲む日日 新装版 1
2017/05/18 22:44
幕末のエネルギーを感じる作品
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前半二冊が松陰先生、後半二冊が高杉晋作をメインに著されていますが、登場人物の多くが幕末の偉人であることや、政局のめまぐるしい変化などが細かく記されており、大変読み応えのあるシリーズでした。
幕末の長州に対しては、賛否両論、色んな意見があるかと思います。私は山口出身ゆえに長州贔屓ですが、新撰組や他の幕府側からの目線で描かれた著書を読み、彼らも同じように国の行く末を案じて行動を起こした有志の人々なのだと思うようになりました。
思想家として、活動家として、教育者として…松陰先生の多彩な可能性が刑死という形で断ち切られても、志を引き継ぐ若者達がその先へと未来を築いてゆく。幕末は、若い人達の力強いエネルギーが国を大きく動かした日本の変革期です。その余波は明治に繋がっているので、できれば続きを読みたかったと思います。

折々のうた 正
2017/05/15 21:58
美しい「言葉の宝庫」
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先達て、大岡さんの訃報を新聞で読んだとき、久しぶりに読み返したくなったのがこの本でした。
奈良時代から現代まで、時には外国の詩歌も取り上げながら、その歌の本質を大岡さん独自の感性で捉えたエッセイですが、初めて読んだ時に、和歌の解説をこんなに美しい文章で書ける人がいるのかと大変感動したことを覚えています。
学生時代の参考書のような注釈程度の解説ではなく、歌に対する生身の、血の通った愛情が感じられる大岡さんの言葉は、まるで歌への言祝ぎのようでした。
「和歌も漢詩も、歌謡も俳諧も、今日の詩歌も、ひっくるめてわれわれの詩、万人に開かれた言葉の宝庫。この常識を、わけても若い人々に語りたい」と、大岡さんが望まれたように、多くの人達がこの言葉の宝庫から自分だけの宝を見つけて欲しいと願ってやみません。

飛ぶ教室
2016/12/31 01:52
ケストナーの名作
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最初は本ではなく、映画でこの作品を知りました。映画では主にヨナタンに焦点が当てられていましたが、本ではヨナタン含む五人の少年達の生き生きした感情が、ケストナー独特のあたたかい眼差しで語られています。気の弱いウリーがいじめられ、大胆な行動を起こす場面でさえ、友達の優しい気遣いにほっとさせられ、読んでいて心が和みました。
時に少年らしく羽目をはずしながらも、理解のある教師や他の大人たちに見守られ、成長していく彼らの物語を、多くの子供達に読んで貰いたいと思います。