やまだちさんのレビュー一覧
投稿者:やまだち
万華鏡
2022/12/24 13:58
「おまえは俺のモノ。俺は、おまえのモノ」本文より。
16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「必読書のエピソード満載v シリーズ初の番外編集 全14作を収録!!」帯より。
ネタバレがあります。
1.境界線 尚人視点。自転車通学の男子高校生を狙った暴行事件に遭い怪我をした尚人が、雅紀の運転する車で登校することになり・・・
2.密やかなジェラシー 雅紀視点。桜坂が学習室で刺されたその後のエピソード。
3.攣哀 沙也加視点。高校受験を控えていたある日、母の訃報を知った沙也加は・・・
4.咒羅 沙也加視点。尚人が暴行事件に遭ったことを知った沙也加は、裕太に電話をしますが・・・
5.悔夜 桜坂視点。野上に刺され入院し、尚人に電話をしたその後のお話。
6.スタンド・イン 雅紀と直也、加々美視点。桜坂の入院で落ち込む尚人を、心配した裕太が雅紀に何とかしろと直談判して・・・。雅紀と尚人の夏休み・プチ旅行のお話。そこに加々美と伊崎が絡んで温泉旅館に落ち着く展開です。
7. 紲 裕太視点。「スタンド・イン」前後のお話。
8.浸透圧 雅紀視点。尚人を身も心も手に入れ吹っ切れた雅紀のお話。家族を支えながら尚人への肉欲が愛情に浸透しないよう、理性という圧力で抑え込んでいたという解釈でいいのかな?
9.閑話休題 尚人視点。高二の夏課外授業後、夏祭りの花火見物に誘われるお話。
10.ジェラシーの法則 雅紀と尚人、桜坂視点。尚人たちDKが花火見物に行くお話。カピバラのぬい(笑)。
11.夜想曲 雅紀視点。オフの日に尚人のためピアノを弾くお話。尚人のため練習してから披露する、これが雅紀プライド。
12.後朝 尚人と雅紀視点。文化祭翌日、朝風呂のお話。
13.秘蜜 雅紀と裕太、尚人、そして伊崎視点。ロックバンド『ミズガルズ』のPV第二弾のお話。
14.ミスマッチの条件 『ミズガルズ』のメンバー視点。PV第二弾のお話。推しに会えて大感激の尚人を、みんなで愛でる会。
内容は番外編なのにエピソードもエッチも充実しています。文庫書き下ろしはございませんので、ご注意ください。
昨今は、ストーリーを説明するようなタイトルつけ、例えば「◯◯したら◯◯だったので◯◯します」系が多いのに『万華鏡』。シンプルでいいわ〜。
そして表紙はもちろんですがカラー口絵が美しい!『ミズガルズ』のPVで演じた悪魔でしょうか?また、挿絵も両極端なシーンを切り取っていて目の保養です。
今更ながら、きっかけはどうであれ雅紀がモデルという仕事を選んでくれて、萌えの神様っているんだなと(笑)。もしもサラリーマンだったらこんな姿、拝めなかったでしょう。
シリーズ初の番外編集ということで初出をチェックすると、よくぞ収録できたなぁと思うものもありました。ライセンスの問題をクリアした関係者の方々に感謝します(涙)。吉原先生のあとがきにありますように、第二弾もお願いします。
【電子限定おまけ付き】 春になるまで待っててね 【イラスト付き】
2021/07/18 19:47
「特別な木の実だ。・・・春になったら食べよう」本文より。
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
もふもふぬくぬくな「冬眠」を獣人目線で書かれていて、「冬眠」のない私たちもあたたかな気持ちにさせてくれる、とても素敵な作品でした。
ネタバレがあります。
消防官の熊獣人の攻め・ディビス・ゲラー、飲食店の厨房で働きもうすぐ二十歳になるリスの獣人受け・リック・エドワース、受け視点。
「冬眠休暇」を迎える前夜、リックは火事によって住んでいた部屋を失い途方に暮れてしまいます。そんなリックをみかねて、消火活動を終えた隊員のひとりが冬眠休暇を取る同僚を紹介してくれました。リックは好意に甘え、冬眠休暇を取るその同僚の家を訪ねると、迎えてくれたのは大型獣人である熊獣人のディビスで・・・
あとがきにもありますが「冬眠」がテーマです。「リス獣人と熊獣人が、ひとつ屋根の下で冬を越す同棲物語ですので、全編にわたって場面は家の中、もっというとほとんどベッドの中で過ごす話」となっています。
リックとディビスたち獣人の「冬眠」に思いをめぐらせほっこりしたり「魔のトントン」にきゅんとしたり、かわいい挿絵の効果もあってとてもメルヘンな世界観でした。
それなのにBLらしく恋が芽生えたり自覚したり、互いにいたわりと慈しみを抱くエピソードを織り交ぜたりと、恋人同士になる過程もきちんと書かれています。リックがほっこりなら、ディビスはむっつり派だと思う(笑)。ページ数の多い作品なのに、時間を忘れて読みふけりました。
本編は冬を越すお話でしたが別の季節のお話も収録されていて、そちらも面白かったです。愛らしい獣人たちの「冬眠」物語、おすすめです!
2020/05/15 00:21
同人誌電子書籍化作品。
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
シリーズ4巻で完結したアーサー×トキシリーズの番外編集です。
この作品は、過去のイベントで出された同人誌を再録した「番外編再録集」の電子書籍化になります。先生がSNSで告知されていたとおり、電子書籍化にあたっての書き下ろしはありませんので、紙の「番外編再録集」をお持ちの方はご注意ください(あとがきは書き下ろし)。私はイベントで出された同人誌と「再録集」も持っていますが、何も問題ありません(笑)。
内容は思いを遂げた次の日の朝や渡米する前の出来事など、本編と本編のあいだを埋めるお話やその後談となっております。もちろんハリーと大智、腐女子の鑑・エミーも登場。
あとがきで先生は「なにせ番外編ですから、本編よりもアーサーの過保護ぶりと変態度が増し増しになって」いることを心配なさっています。ですが個人的にはそれが番外編の醍醐味だと思っているので、こちらも問題ありません。異常なしです(笑)。
本編よりもエロス(の濃度と回数)とアーサーの過保護さと変態度が増した番外編、どうぞお楽しみください。
それは運命の恋だから
2018/05/14 23:15
ロマンス小説よりも甘く。
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
月村先生は私にとって、切ない系作家さんの代表です。この作品も切なくて、でも最後は幸せな気持ちになれるお話でした。
雑誌に掲載された本編と、二話目はその後の二人、そして三話目は攻めの従弟とあの人のお話、合計三話収録です。
ネタバレがあります。
職場ではクールな受けは、実は女性向けロマンス小説が好きでシャイなゲイ。過去の悲しい恋愛経験から、次の恋に臆病になっていましたが、思い切ってゲイの恋活パーティーに参加することに。
すると好みのタイプの攻めと見事、カップリングが成立したのですが、そのお相手は、付き添いで参加したノンケのサラリーマンだったのです・・・
受けと攻め、交互の視点で書かれているので、読み手としては双方の気持ちが分かり読みやすいです。
恋活パーティーでカップリングが成立して嬉し泣きする受けと、カップリング成立に戸惑いつつ、事実を打ち明けられないまま、受けに惹かれていく攻め・・・
トキメクーッ(笑)。
そして案の定、攻めが恋活パーティーに参加した理由が受けに知られてしまい、誤解とすれ違いに発展。
この見事なお約束が、イイ!
もう両想いなのに誤解からすれ違って、それが余計に切なく。でも仲直りをして二人が寄り添う姿に、満ち足りた気持ちになります。
人との出会いは一期一会ですが、その出会いを大切にし、仲を深め続ければ、現実的な出会いでも「運命」になるんだなぁと思いました。
2018/05/07 19:21
二人のお仕事と恋を応援したい。
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
さちも先生による、俳優さん同士のお話し。
ネタバレがあります。
王子さま系俳優の攻め(白)とヒール系俳優の受け(黒)。2人は秘密の恋人同士ですが、初めての時に失敗してまだキス止まりで・・・
仕事の方ではコミュ力の高い攻めの方が売れていて、演技力はあるものの口下手な受けは悪役や脇役ながら真面目に頑張っています。
芸能界ならではの問題(ファン、スキャンダルなど)に二人は悩みますが、救いなのは互いのマネージャーが味方であること。そして二人が思い合っていることです。
しかし、とあることがキッカケで受けの名前が売れ出し露出が増え、周囲からの評価が変わっていきます。困惑する受け。そして受けがもっと評価されて欲しいと思いつつ、独占欲に悩む攻め。
ああああ、ジレンマ〜(涙)。攻めの方が、独占欲が強そうなのがいい。
次巻はもっと波乱の展開になりそうな予感がするので、ヒヤヒヤです。余計な心配だといいな・・・
でもようやく二人が結ばれた時は、本当に良かったです。受けはもちろん、攻めの方も受けのことを大切に思っていたし。
芸能界の表側のキラキラだけではなく、悩みや嫉妬、陰口といった裏側も見られるので、読めば二人の恋だけでなく、仕事も応援したくなると思います。
スパデート 8 (office YOU COMICS)
2021/12/04 19:37
「全く 寒くない」作中より。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
身代わりをたてた結婚式を終え、「マウカ」を辞めた美羽ちゃん。かねてから希望していた仕事に就くため海外へ。そんな美羽ちゃんを朋哉は・・・
ネタバレがあります。
高校時代、気になっていたクラスメイトと15年ぶり再会した物語。
二人が結ばれることを期待してしまいましたが、現実はそう甘くないなと。もしあのとき声をかけていたら。もしあのとき追いかけていたらと、無意味な「if」を繰り返し考えてしまいました。
ハルさんの授賞式のあと朋哉とハルさんがお祝い会をした帰り、「ツシマヤマネコ」について話しながら二人が部屋に入るところを「誰か」が見ています。美羽ちゃんか丸山さん、どっちだ!?と(笑)。これは各自の想像になるのかな?
そしてあの結末に気持ちの整理出来ず、また改めて1巻から読み返し、ようやく作品のラストを受け入れることが出来ました。
4巻で寒空のした話し込むカップルを見て、
「アイツら よくこんな 寒いとこに ずっといられるな」と言った朋哉に、
「あの人達には 寒さは感じないのよ (略) それは一之瀬くんが 本当に好きな人と 過ごしたこと ないからよ 一之瀬くんにも そーいう人がきっと 現れるわ」と返した美羽ちゃん。
季節がまためぐり、8巻で朋哉と美羽ちゃんが最後のデートとなる寒空のしたイルミネーションを眺め、
「そろそろ 中入ろうか 寒いでしょ 一之瀬くん」と声をかけた美羽ちゃんに朋哉が、
「寒く ないよ 全く 寒くない」
ーーーこのやりとりに、朋哉の告白と美羽ちゃんの返事が込められていたと気付きました。うまくいく恋もあれば、そうでない恋もあるでしょう。
離れた場所から相手の幸せをただ願う、そんな恋も素敵だと思います。
「私 人混みに 埋もれやすいから」と言った美羽ちゃんを、朋哉が雑踏の中から見つけられたのか。その先は読者に委ねられていて、本当に「切ない」です(涙)。
誰かとこの恋について語りたい、そんなお話でした。
愛されオメガの婚姻、そして運命の子
2019/05/19 18:33
愛されてる〜!
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
18世紀。帝政ロシアが舞台の、年の差オメガバース・溺愛主従ロマンス(帯より)。架空の世界。
雑誌掲載作品と書き下ろしのその後談、SSの3話収録。主に受け視点、ときどき攻め視点。SSは二人の息子視点。
ネタバレがあります。
左目と足の自由を失った貴族で受けの従者兼教育係の攻め(25歳)と、オメガであることを隠しているロシア帝国の皇太子受け(18歳)。
雑誌掲載時から、文庫化を待っていた作品です。権謀術数が渦巻く宮廷内で、オメガであることを隠しそれを後ろめたく思っている受けと、受けへの恋心を隠し支える攻め・・・萌えますよ〜!
真実が明らかになった時、受けだけでなく読者の方も驚くと思います。女帝アンナの強さと愛情の深さにも注目。疑ってゴメンね(笑)。
タイトルの通り、受けが愛されています。
ミキライカ先生のイラストも素敵。
書き下ろしのその後談は二人の間に息子が生まれ、その関係に受けが悩むアットホームなお話。
特典ペーパーは攻め視点。川の字に寝る際の、父と息子の攻防が楽しいです(笑)。
特典小冊子も攻め視点。二人目の子作りに際し、父と息子のやり取りが面白かったです。「弟か妹を作るお手伝いをしたい」とのたまう息子に(作る方法は分からないのに)、絶句する父(笑)。受けを愛するがゆえの、攻めの執着ぶりが見て取れます。
世界史や帝政ロシアをよく知らなくても、大丈夫でした。面白かったです。
ボナペティ!
2019/05/18 20:43
召し上がれ!
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
特典インタビューペーパーによると、月村先生のお好きな属性の一つである「溺愛年上攻×不憫受」のカップル。
雑誌掲載作品である長編と、文庫書き下ろし短編の二話を収録。どちらも受け視点。
キラキライケメンのオーナーシェフ攻め、天涯孤独のフリーター受け(帯より)。
ネタバレがあります。
色々なことに絶望し疲れてしまった受けは、19歳という若さで人生を終わらせようと決意。何もかも片付けて最後の晩餐にと、前から憧れていたビストロに行き・・・
健気で不幸な受けが、年上の攻めに甘やかされて幸せになるお話です(涙)。
万事控えめな受けが、じれったく感じます。でも普段は優しい攻めが、ここぞという時はリードしたりエッチも積極的という二刀流(?・笑)なので、受けだけでなく読者の方もお腹も心も身体も満たされると思います。
世知辛い現代社会で、一人で生きていくのは辛いものです。受けが攻めと出会えて本当に良かったと、本当に思いました。
特典ペーパーは、作品についてのインタビューペーパーでした。お店のお話は興味深いです。
水面ノ月
2020/10/27 20:21
「俺、まーちゃんの話ならいくらでもしゃべってられそう」本文より。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
待ってました!の新刊です(涙)。
1巻が出て何年経ったでしょうか。ストーリー上ではようやく(失礼)、尚人の高校二年生が終わりました。いよいよ大学受験か〜。
ネタバレがあります。
内容は、バタフライ効果凄いの一言です(笑)。修学旅行の通訳効果とか、空港のピアノとか、撮影のため再来日したユアンのお世話とか。これらの経験が尚人にとってどう活かされるのか、進路も含めて楽しみです。
そして沙也加はヒール役としての面目躍如、今作も際立っていました(汗)。例え肉親であっても尚人にとって、敵か味方かに書き分けられてしまう『二重螺旋』。容赦ないぜ。
イラストは今作もひれ伏すくらいの美しさです。特にカラー口絵!『ヴァンス』の衣装を着たユアンと尚人が!本編では叶いませんでしたが、幻のグラビアといえるでしょう。吉原先生流で言うと眼福です(涙)。
店舗特典ペーパーは『アズラエル』の統括マネージャー・高倉視点のお話。尚人とユアンがお昼ご飯を食べている様子を見守っています。『二重螺旋』は全サなどのネタが、本編とクロスオーバーしているので見逃せない(汗)。
2020/10/08 18:52
「ヘビメタじゃなくて メタル」作中より。
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「メタルお兄さん」と聞いて、あなたは何を想像しますか?
コミックス帯の「メタルお兄さんと貧乏大学生の穏やかで優しい日々v」を見て、お恥ずかしいことに私は「金属好きお兄さん」と早とちりしていました。メタルとは音楽メタルのことです(汗)。
ネタバレがあります。
雪国生まれで幼年教育を専攻する貧乏大学院生の攻め、会話が苦手なメタル好きパティシエ受け。
大雪の日にアパートの廊下で凍え倒れていた攻めを、隣室の受けが助けたことから、二人の交流が始まります。ーーーそれから一年。ゲ◯の攻めは受けに惹かれていきますが、この穏やかな日々を守るため気持ちを打ち明けずにいて・・・
優しい人たちによる優しいお話です(ホロリ)。もうプラトニックでもええ!と思ったけれど、ゼロ距離はもっとええなぁ(笑)!
二人の服装が室内・屋外問わず、受けより攻めの方が厚着しているのが面白いです。雪国生まれ、関係なくない?そして年長組のみちこさんによる「れんあいそうだん」が正論過ぎてクセになりそう(笑)。
日常系BLが好きな方にオススメです。
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 10巻特装版 純愛(ピュアラブ)Wedding Book付き【デジタル版限定特典付き】
2022/04/29 19:39
(先日俺達は 結婚式を 挙げることを 決めた)作中より。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
結婚式編です。
ネタバレがあります。
結婚式を挙げると決めた黒沢と安達。ところが、式場の予算や希望をネットでリストアップしたり新居を探すものの、みながLGBTに理解あるとは言い難い現実に直面します。そんな心が折れそうなタイミングで、黒沢姉の言葉が沁みる・・・!
一方で、理解ある人たちがいることも描かれていて救われました(黒沢が友達に安達を紹介する第48話)。見どころは、黒沢の友達・尾上のニワトリTシャツ(え?)。腕組みをするとニワトリを抱っこしているように見えてジワる(笑)。そして柘植&湊もいい感じだけど、拓殖は魔法使い続行中。
個人的に第49話、藤崎さんの昇天を予告するカットが好きです。招待状が届いた直後の様子を漫画で読みたい!それにしても、カミングアウトせず式に招待したってことは・・・藤崎女史に対する黒沢・安達の信頼の高さよ。
結婚式はもう、素晴らしいのひと言です。ぜひ本編をご覧ください。
特装版小冊子はゼ◯シィ的な『チェリまほウェディングブック』。ハネムーンも期待していいの!?そして巻末には招待状が!ファー!!!
次巻は2022年発売予定。「結婚がゴールじゃない。人生はまだ続く。」のコピー、まだまだふたりの物語が読めるので嬉しい。
2021/07/25 20:47
「俺は・・・ あなたが欲しかったんだ・・・」作中より。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「心が◯◯するような短編集」、商品説明のこの一文を見て(盛りすぎ)じゃないの?と期待半分で読んでみたら・・・期待以上でした!
ネタバレがあります。
三作品を収録しています。
1.落果 ボディーガードの攻め、ナンバーワンコールボーイの受け。元モデルの「りんご」は人気ナンバーワンのコールボーイ。多少のわがままも許されていましたが・・・。ヤンデレ攻めの執着が、全てを失った受けの拠り所になるから面白い。
2.落果スピンオフ 落果に登場した風俗店の店長攻め、ノンケのホスト受け。再会もの。元タチ専ナンバーワンだった店長の攻めは、世間話からあるホストを思い出します。それは先輩の嫌がらせでゲ◯向け風俗店に来た新人ホスト・レオを当時コールボーイだった攻めが◯◯落ちさせたことで・・・。これは良かった〜!◯◯落ちのフルコース、エロいです。なのに慎み深さや純情な一面もあってギャップもいい!続編の「蜜果」も読みたいです。
3.君のいる家 在宅の40歳バツイチプログラマー攻め、家事代行サービスの受け。共にノンケの年の差もの。きっかけは何であれ、寂しさが愛おしさになるのもアリです。オジサンの性欲を舐めてはいけない(笑)。
4.描き下ろしは「落果」より。「りんご」ちゃんこと司が、ボディーガードだった大倉と青森に帰省したお話。開放的な屋外エ◯チ(笑)。
ディープなストーリーとエロスを楽しめる作品です。
2021/04/09 09:30
「そなたとともに生きていきたい」本文より。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
BL的身代わり婚というとコメディのイメージがあった私ですが、こんな展開は予想出来ませんでした。
ネタバレがあります。
隣国の王で雷使いとしても名を馳せる攻め、姉の身代わりとなって嫁ぐ17歳の王子受け、受け視点。
魔力がある王女を他国に嫁がせ友好関係を築き自国の平和を保つ魔法国と、小さな魔力でも組織的な軍事力と魔法国から嫁いできた王女の魔力で独立を保つ武強国で成り立つ世界が舞台です。
自国の平和のため、受けの国の王女は隣国に嫁がねばなりません。ところが嫁ぐきまりの王女は身体が弱く、かと言って断ると国を滅ぼされてしまいます。そこで弟である王子の受けが身代わりとなり、詫びて国民だけは助けてもらう代償に命を捧げるーーーそんな決意を胸に、受けは攻めがいる隣国へ旅立ちますが・・・
様々な国の思惑や国益がおおいに絡むため、受けの願いや事情がことごとく裏目に出る展開です。また隣国に嫁ぐ旅は死地に赴くのと等しいので、嫁ぐ前日のやりとりや挨拶、側近イドの忠義、悲壮な命のカウントダウンをする受けに泣けます。それでも理解ある攻めのおかげで幸せになりそうと思ったら、更なる困難がふたりの前に(涙)。
自身の存在意義とは何なのか。無力さに絶望しながらも攻めのために戦った受けにもたらされた真実ーーー始めから終わりまで読み応えのある作品でした。ファンタジーが好きな方にはおすすめです!
また風景描写や衣装、食事、風土や文化なども詳細に書かれていて、小説ならではの想像する楽しさを味わえました。続編が出るので楽しみです。
恋の恥はかき捨て
2020/12/13 00:18
「ごめん。俺、ホント変態で・・・」本文より。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本誌の「お道具」特集号に掲載された当時、月村先生が「お道具」ネタを!?とびっくりした作品です。
ネタバレがあります。
長身で体格がよく世話焼きの攻め・渡良瀬、王子様キャラを装いながら誰にも言えない性癖を持つ受け・琳央。本編と書き下ろし短編は受け視点、雑誌掲載のその後談話SSは攻め視点。
田舎から都内に大学に進学した受けは、人当たりのいい王子様キャラを心がけた学生生活を送っています。そんな受けには秘密ーーー自分より大きな男に半ば無理矢理に快楽を引きずり出されたいーーーがあり、ひた隠しにしていました。ところがある日、寮のルームメイトである攻めにその秘密を打ち明ける事態になり・・・
切ない系の印象だった月村先生の作品に、「お道具」がどう絡むのか。期待と不安で読んでみたら・・・自己卑下キャラの切なさとエロさ増し増しでよかったです。
自身の性癖に思い悩みながらも快楽に弱い受け、そんな受けをS気質の攻めが強引にサポート。さらには「お道具」特集号の掲載だったのに、「ゴムも道具も必要ない。生身の俺で、死ぬほどよくしてやる」と。これで萌えない人はいないでしょう(赤面)。
また、左京先生の扇情的なイラストがイメージ通りで、色を添えています。
店舗特典ペーパーは、クリスマスプレゼントネタ。恋人同士なら、正しい一夜です(笑)。
2020/07/14 22:09
「あんた今、最高に生きてるよ」本文より。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ハードな調教シーンに身構えながら読んでみると・・・生きることの意味を問う、とても深い作品でした。
ネタバレがあります。
監禁して調教を施す謎だらけの攻め、攻めに助けられた元リーマンで33歳の受け。
ひとつの不幸から全てを失った受けは、人生を終わらせようとしていたところを「自分から捨てようとするなら その命 俺に寄こせ」と攻めに止められ・・・
前半は監禁による恐怖と調教からの快楽で悶え苦しむ受けですが、後半になるとふたりの関係と心境に変化が生じています。相手を生かすことによって、自分も生かされているーーーそのことに気付いた攻めと受け。濃密な時間の中、濃厚な行為にいつの間にか恋愛感情が加わったのは必然だったのでしょう。
あとがきの言葉を借りると「男性2人の偶然の出会いから、生と性の繋がりを感じ」る作品でした。