複臣さんのレビュー一覧
投稿者:複臣
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父は空母は大地 Chief Seattle’s speech 1854 対訳版
2023/09/26 12:45
すばらしい本、すべての人におすすめ
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1854年、アメリカ政府からの申し出、先住民から土地を買うとの申し出に対して、シアトル首長が返したスピーチ。
大地も空も、売り買いすることはできないものと語る。美しい詩のようなスピーチ。改めて、私たちはこの深い叡智から、これからの社会システムを構想、構築したい。

邪馬台国は別府温泉だった! 火山灰に封印された卑弥呼の王宮
2020/08/18 17:47
邪馬台国別府温泉説に1票!
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関裕二先生がFB上で評価していたので、早速読んでみた。
魏志倭人伝に記載されている、方位、距離、あるいは陸路や海路での日数について、当時の技術力は高く、かなり正確であったと考えられることから、方位について、南とあれば南、東なら東とそのまま解釈している。距離については、1里=77mの短里を採用している。
また、魏志倭人伝にある地名について多くは、中国側から見た意味での呼び名であると解釈している。なので、日本の地名で近い場所を探すのではなく、まずは方位と距離から、地点を探している。
例えば、従来の末廬国は、松浦とはせずに、洞海湾沿岸の枝光と推定。そこから、見事に方位と距離を忠実に辿って、別府温泉に辿り着く。
また、魏志倭人伝では、不彌国までの記載は、方位と距離の表現であったが、そのあとの邪馬台国と投馬国についての記載では、海路何日、陸路何日となっている。これについては、不彌国からの追加の日程ではなく、不彌国から分岐しての邪馬台国と投馬国への、帯方郡治からの旅程表現ととらえている。
いままで、なぜこの解釈がされてこなかったのかと思うほど、目からウロコの説明である。
これなら、「女王国の東に千余里の海を渡るとまた国がある」との記述にも、文字通り矛盾しない。
タイトルから、とんでも本かと思いきや、丁寧に、だれもが分かるように、推理を進めている。
これは、すばらしい。きっと邪馬台国論争の新しい基点となりそうに思う。
星5つ。大推薦。

道元 自己・時間・世界はどのように成立するのか
2018/11/23 10:16
たぶん最高の入門書
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すばらしい入門書だと思う。
分からない言葉が多い正法眼蔵のほんの一部だが、現代語訳と解説を付けている。この解釈がすごいと思った。こんな風に読み解くのかと、眼を見張る思いで読んだ。
正法眼蔵に興味があるが読めずに立ち止まっている初心者には絶対のおすすめだと思う。
現在は絶版のようで、この本の内容に更に章を追加して、正法眼蔵入門 (角川ソフィア文庫)がでている。

帝国ホテル建築物語
2019/05/14 12:05
帝国ホテルライト館、ドラマチックな建築物語。おすすめ。
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話は、帝国ホテルのライト館解体が決まった後の谷口吉郎建築設計事務所から始まる。それを明治村へ移築できないかとの話だ。
そこから時代は遡り、ライト館はまだない。洋館建ての本館に、帝国大学建築科の学生が見学のため、支配人林愛作を訪ねるところから話が始まる。このとき、学生の中に遠藤新がいた。
当時支配人の林愛作と学生の遠藤新のそれまでの物語とその後のあゆみ、そして世界的に著名な建築家フランク・ロイド・ライトと帝国ホテル建設に関わった人たちがどのようにして、帝国ホテルの新館、ライト館を作り上げたかのドラマである。
使用する煉瓦一つ、石材一つをとっても、ライトの求めるものを探すだけでも一苦労も二苦労もあり、その上での加工の仕方にも多大な時間が費やされていく。
基礎工事の工夫、芸術家気質のライトと周囲の軋轢、やり直しの頻発、さらには火事や地震の混乱もあり、予算大幅超過と納期の大幅延期など、多くの困難の中で、設計者とその助手、石工や陶工達、経営者達が、帝国ホテルのライト館を作り上げる。
予算は当初、ライトとの契約では130万円、五年後の再見積時には272万円、そして最終的には900万円を超えたとある。納期も大幅に遅れている。経営者ならば気が気ではなかっただろう。
思わず一気に読んでしまう。ライトのファン、大正期の建築に興味のある人には大いにおすすめの本。

MMT〈現代貨幣理論〉の教科書 日本は借金し放題?暴論か正論かを見極める
2019/11/11 09:16
教科書ではないだろう。
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他のMMT派の本(中野剛志「目からウロコがおちる 奇跡の経済教室 基礎知識編」)を読んでから、さらに疑問点について知りたいと思い、この本を部分的に拾い読みした。
MMTの立場から書かれた本ではなく、従来の経済学の立場からMMTを評価した本のように思う。前半の「1 MMTの定義」から「3 これまでの理論との比較、違い」でMMTを説明しているが、貨幣のとらえ方についてはあまり詳しく書かれていない。デフレ化での考えとインフレ下での考えをしっかり区別して説明していないように思う。また、後半の「4 MMTの主な問題点は何か」「5 わたしたちの生活への影響」では、従来の経済学から見たMMTの問題点、不信感をあげている。
先にMMT派の本を読んでから、従来の経済理論の立場の人はどんな評価をしているのかを知るには良いかもしれない。この本で、MMTとはこんなものだ理解しない方がよいだろう。
なので、教科書ではないように感じた。
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