ただの人間さんのレビュー一覧
投稿者:ただの人間
紙の本憲法9条へのカタバシス
2019/05/16 11:30
やはり占有
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占有概念を起点に9条やそれと広く社会レベルで関連する論点を取り扱う。いかに実力、自力救済に制限をかけるかというグロチウスなどの歴史的淵源は非常に明確にされていた。さらに、実力、自力救済と社会の質との関連についても言及されていた。実力や自力救済といった問題を民事法よりは認識しやすいからか、書籍全体を通底する問題意識はローマ法案内やカタバシス(旧版)よりも捉えやすいと感じた
紙の本憲法講話 24の入門講義
2021/12/31 19:09
副読本
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語り口は柔らかいが、時折判例の鋭い読みも見せている。分かりやすいがやや割り切りすぎと感じることのある歴史的背景等の叙述を含めて、初学者というよりある程度学習した段階で読むとより理解を深められそう
紙の本国法学 人権原論 補訂
2020/05/31 23:12
樋口憲法学比較人権論編
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「人権」という言葉の持つ、あるいは持たされてきた意味を徹底して自覚的に精緻に分析する第一部は、広く言葉の意味の整理を試みるにあたっての模範とすることができるように感じた。それ以外の叙述も、トクヴィル=多元主義、ルソー=一般意思モデルの対置や国家による個人の中間団体からの解放など、樋口憲法学の考え方を前面に押し出しつつ主に英米独仏を視野に入れた考察を行なっており、非常に読み応えがあった。
紙の本担保物権法 第4版
2020/05/31 21:47
骨太な一冊
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はしがきで書かれたスタンスに偽りなく、歴史的な経緯や現状を示す部分と、自らの解釈を示す部分の使い分けが非常に意識的になされており、また、解釈論の理由づけも端的に行われている箇所が多い。扱うジャンルが担保物権法なだけに内容は難解だが、叙述の仕方も含め参考になる。細かい部分が論文集に委ねられていることもあり、基幹的な内容を骨太に記載している印象
紙の本センスメイキング 本当に重要なものを見極める力 文学、歴史、哲学、美術、心理学、人類学、…テクノロジー至上主義時代を生き抜く審美眼を磨け
2019/10/31 18:39
人間の領域
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データやその収集ではなく、それらをどのように活かす際に人文科学的な観点や手法が役立つのではないかということが論じられる。哲学者の著作なども引用しつつ、いわゆる名人芸やひらめきといった領域を言語化しようとしていた。機械に代替されない領域という視点からも読むことができる。
2019/06/22 17:24
実践も意識
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自己肯定感や自己効力感の重要性、養い方を論じる。いろいろな課題も中に組み込まれており実践にも役立ちそう。モチベーションを上げるのではなく基準を変える、はなるほどと思った
2019/05/29 09:47
衝撃の書
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日本人からすると少なからず親しみがあるかもしれないが、著者の来歴を含め、アメリカ人がぶったまげたのも納得の内容。伝統的西洋の価値観の中でエリートとして生きながら、しかしそれに限界を感じてもいた西洋人の立場から、それとは異なる価値観について説かれている。 既存のフォーマットなど全く気にしない故の凄味がある原書第2部が縮小コピーで載っており、雰囲気を感じとることができた。
2019/05/06 21:04
類書にない雛形も
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2版からは共同開発契約とフランチャイズ契約が追加されたらしい。検討する機会が多い割に類書にもありそうで意外とない共同開発契約についてまとまっているのはありがたい点。それ以外のところでも、どのような理由で条項が提案されるか、どのような理由で落としどころを受け入れられるのかという思考が丁寧に書かれており、実際の検討にあたっての補助線とすることができそう
紙の本契約法 新版
2021/11/30 20:36
定番
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債権法改正に伴い、瑕疵担保責任の性質論など旧法下での議論がコラムに移されるなど構成としては大きく変わっているが、内容面は相変わらず細かい点まで理由をつけた検討がなされている。
法改正で変わった(特に規定として明文化された)部分がかなり多いと感じた一方で、引き続き解釈に委ねられる部分がわかりやすく触れてある点も参考になるとの印象を受けた。
紙の本事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック 第2版
2021/11/30 20:28
ビジネスカット
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法律オリエンテッドではなく事業を基準にして関連する法律問題を拾っていく書籍の新版。
やや独禁法に分量を割きすぎな印象を受けるなどもちろん全ての論点をくまなく拾っているわけではないが、こんな視点があったかと気付かされる場面も多かったので、レファレンスを含め出発点や念のための確認のために手元に置いておくと重宝すると思われる
紙の本憲法講話
2021/08/31 23:02
断絶と連続
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統治機構に関するものが大部分を占め、国民の権利に関する言及はわずかしかないなど当然日本国憲法との断絶は見られるものの、比較憲法史の観点から各国家機関の発展が論じられている箇所などでは予想以上に日本国憲法との連続性が目についた。
紙の本2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義
2020/07/31 23:57
圧倒的熱量
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講義を再現して書籍化したもの。2012年の段階でこれだけ後の著書につながる主張が固まっていたのかと驚かされる。擬音の使い方が独特なのも含め、非常に臨場感を持って、ロジックなどの議論の仕方や仲間づくりといったこれから必要とされる人材のあり方について語られていたという印象を受けた。
紙の本金融商品取引法 第5版
2020/07/31 23:44
根拠を細かく
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脚注をつけないスタイルなので、流して読む際の読みやすさはあった。やはりいろいろな主体・行為に関する規定が広くカバーされているので、金商法の規律対象になるとしてどの領域が規定されるかの目星をつけられるようになることが第一と感じた。(内閣府設置法も含め)非常に詳細に根拠条文の引用がなされていた点は、調査の際重宝すると予感したのはもちろんだが、実務法学の一つの到達点を見たという印象すら受けた。
2020/07/31 23:43
具体的な作業過程を示す
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様々な条項のサンプルを掲載するのではなく、特定の契約書の条項を前提に、どのような理由で、どのように具代的に修正していくのかを示している点で実践的な内容になっていると感じた。ここはあまり問題の生じるところではない、とある程度割り切るところも参考になった。加えて、日本の損害賠償条項と英文のIndemnify条項の区別に関する説明はこれまで読んだ文献の中でもっとも丁寧になされているという印象を受けた
2020/05/31 23:16
フロー体験の言語化
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フローというともすれば個人的な体験に解消しかねない現象を、スキルやチャレンジといった素材を通じて言語化した一冊。自己目的的(Autotelic)に、集中してものごとに取り組むことへの言及など、著者自身も触れている点だが禅の発想との類似性もたしかに感じられた。いろいろな制約があるなかで、どのように自発的に生きる(感覚を持てるようにする)かが人生の感じ方に影響するかについて様々な例が挙げられていた。