いずみさんのレビュー一覧
投稿者:いずみ
2024/01/28 18:48
安楽死の変質を追って
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
海外の「死ぬ/死なせる」をめぐる論議を追いかけて来て、いつからか、これは実は「いかに死ぬか/死なせるか」という問題ではなく、終末期医療の問題ですらないのでは・・・と私は考え始めた。むしろこの問題の本質は、医療が患者(家族)との関係性をいかに問い返していくかではないかと考えるようになった(192頁)
2023/12/01 20:53
独居老人より怖い同居老人
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
同居しながらまるで一人暮らしのようになっていた(家族団らんの輪から外され、誕生日や正月にも同じ食卓につくことができない)65%と子ども家族との関係が維持されていた35%、そこにあった違いで重要なもの「祖父母の健康状態の良しあし」と「子ども家族への貢献度の大小」・・・。
「人に迷惑をかけなければ、何をしてもいい」と「個」の自由を語る思想は、いつのまにか互いの自由を主張して家族が綱引きをしたり、無干渉であることで互いの自由を侵害しあわずに共存しようとしたり、誰かに迷惑をかけずには生きられない子どもや高齢者の存在を危うくしたりもしている。インタビューではそんな子どもや配偶者、高齢の親に「頼られたくない」「依存されたくない」「犠牲になりたくない」という言葉を何度も聞いた。「自分のことは自分でやってほしい」は、いま家族共存の大切な要件になっていると言っても過言ではない。
個の自由を尊重することが、個と個の関りを疎み、他者が自分の自由を侵害し脅かす存在のように感じられるなら、人間の最も親密な関りを前提とする「家族」ほど危ういものはない。非婚化や少子化さえ、自分の自由を犠牲にしてまで配偶者や子との関係を引き受けるか否か、という選択の結果かもしれず・・・私たちはいつの間にか「個」の尊重を目指しながら、それとは似て非なる超「個」のせめぎあう時代へと突き進み・・・(あとがき)
2023/11/16 20:09
良い紙を使ってずっしり重い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ファーブルの故郷、生家、「荒地」、手書きの論文、そして昆虫記に登場する虫たち…カラー写真が見事。全10巻221章の抄録も便利で面白い。昆虫記に引用されている名言集もあり。
「最も小さなものに最大の驚きがある」「月の好意ある沈黙の中で」など。
2023/10/08 07:59
アメリカが生んだ共存の哲学
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
主人公であるロジャー・ウィリアムズの思想・経験だけでなく中世の寛容論、クエーカーの歴史、ピルグリム父祖のこと、次々に興味深い内容が出て来て、付箋をつけながら読みました。
エピローグより、「多くの日本人は、寛容は美徳だと思っているだろうし、自分のことをどちらかと言えば寛容な人間だと思っているだろう。だがそれは、あくまでも一般論であり、問題が他人事の時だけであり、寛容の問いが自分自身に及び、深刻な利害が身の回りにひた寄せてくると、ようやくその不愉快さに思い至るようになる」否定的な感情を内にもちながらも、何とか相手と一緒にやってゆこうとしている人が寛容のお手本、「寛容はちっとも美徳ではない」
2023/06/04 10:50
よみがえるポワロ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
むかしクリスティのポワロ本をけっこうよく読んで、テレビのポワロシリーズも楽しんでいたつもりでしたが、スーシェが演じるにあたってクリスティのポワロ本をすべて読み、歩き方・話し方・習慣を考えていったくだりを読むと、ポワロが敬虔なカトリック信者であったことなどそうだったのか~と新たに気付かされることがたくさんありました。読んでいる途中から思わず動画でポワロを(上映順に)見始めました。
2023/12/15 19:26
暴力とは、他者を自らの欲望を満たす手段にすることのすべて
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
贅沢な食事をしないこと、搾取によってつくられた服を着ないこと、性欲の虜にならないこと、異教徒とともに生きること、そして植民地支配を倒すことー。ガンディーの「非暴力」の思想はこのすべてを含む。西洋文明が生み出すあらゆる暴力に抗う思想・実践としての非暴力思想はいかにして生まれたのか。真実を直視し、真実と信じるものに極限まで忠実(サッティヤーグラハ。真実にしがみつく)であろうとしたガンディーの生涯・・・(見返しの紹介より)。贅沢な食事をしない、というのはかなり和らげた表現で、単に菜食というのではなく、砂糖スパイスコーヒー紅茶はダメ、はじめは果実食を実践していたというのに驚いた。そして、そのような実践をするに至ったのは・・・
ガンディーは社会的不正を糾弾するトルストイやソローの思想に決定的に抜け落ちていた人間の「身体」という次元の問題に目を向けた。ガンディーはトルストイやソローが説く、抑圧される側の「良心」に基づく市民的不服従論は、それだけでは楽観的な理想主義に過ぎないと考えた。なぜなら、為政者だけでなく、抑圧される者もまた、同じように欲深く、自分よりもさらに弱い人間を見つけては傷つけ、他人を押しのけて優位に立ちたいという願望を持っており、良心は曇らされているはずだからである。そして、このような願望の根源は全ての人間の身体に生まれながらに備わっている自己中心的本能である。この自己中心的本能の問題に向き合うことなしには、真の意味で「良心」に従うことなどできないはずである(80頁)
紙の本北関東の異界エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本
2023/12/03 07:38
食べて祈って集まって
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
茨城県堺町のシク教寺院「グルドワーラー」のこと。そこにシク教徒たちが月に一度集まって祈り、それから皆同じように座って同じメシを一緒に食べる「ランガル」がある。カースト制に対するアンチテーゼ的な儀式でもあるらしい。異教徒でも誰でも歓迎してくれる。
朝から来て、ボランティアで掃除買い物料理作り、配膳をやっていたシングさん(24歳)に、著者が「たいへんじゃないの」ときくと「自分のココロの幸せのためにやってることだから」と。
紙の本トレイベイク バターを使わない、バットで作るイギリス風焼き菓子
2023/11/19 20:19
良い本です
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どれも美味しそうだが、まずレモンケーキをつくってみた。
ボウルに次々混ぜていく簡単な作り方、ケーキ型ではなくバットで焼くので
焼き時間も短い。
バターの風味、濃厚さはないけれども、軽くてしっとり、レモンが爽やかで
美味しい。
紙の本みんなの宗教2世問題
2023/11/16 20:19
編著者も「宗教2世」のひとり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
一時期、マスコミで盛んにとりあげられたが、最近はさっぱり・・・。
当事者たちの証言が中心だが、専門家による論考、宗教2世はいかに描かれてきたか小説や漫画などの総覧も(5章)。
紙の本中井久夫 人と仕事
2023/11/05 08:40
グッド・ドクター
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
第11章に、中井久夫の洗礼(2016年5月29日カトリック垂水教会。洗礼名パウロ)のことが記されている。入門講座に月一回通って。
あとがきに、最相葉月が記す。ーおもわず、「先生、私、双極2型の診断を受けました」と打ち明けたところ、中井は一瞬のためらいもなく、「ほう、私と同じです」といった。「え、先生も2型ですか」「私も2型です。2型は休むのが下手でしょ」「ええ、そうですね」「悩みに悩むというところがあるね」
紙の本日本一シンプルな相続対策 今なら間に合う!認知症になる前にやっておくべきカンタン手続き
2023/10/29 21:09
家族信託
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
親が認知症になったら・・・。銀行や役所が勧める成年後見制度は問題が多く、家族信託という方法がある。親がしっかり意思表示して信託の契約ができるうちに。遺書の書き方なども勉強になりました。
2023/10/29 21:04
アンネの日記を思い出しながら
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
第六章保育士たちのレジスタンス。ユダヤ人移送拠点となった劇場から、一時的に子どもが預けられることになった保育園の職員たちが、巧妙に子どもたちを脱出させる。
第八章カルマイヤーのリスト。オランダのユダヤ人認定を審査する責任者だったハンス・カルマイヤーの事績。2659人のユダヤ人認定を取り消した。
第10章隠れ家、その後。アンネの日記のペーターについて。アウシュヴィッツでペーターが入ったバラックでバラック長をしていたユダヤ人が、ミープ・ヒースの家主の息子であった。ミープは家主の潜伏も援助していて、ペーターはそのことを教えることができた。バラック長は喜び、ペーターを収容所内の配達業務につけてくれた。そのためペーターは重労働に服することなく、所内を比較的自由に行動できたので、アンネの父オットーが11月に病人バラックに入ると毎日のように見舞い、食べ物を運んだそうだ。ソ連軍が近づいた1945年1月にアウシュヴィッツの5万6千人がまず徒歩で、ついで列車にのせられマウトハウゼン収容所におくられた。ペーターもついに病に倒れ、アメリカ軍がマウトハウゼンに到達した5月5日の直後に死亡した。
紙の本日常を神とともに
2023/10/24 06:53
黙想の講話
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ずいぶん前に買って、何度か読んだ。分からない箇所も多いが、ところどころに素晴らしい言葉がある。ずーっと本棚にあって、もう断捨離しようかと思って、さいごにとページをひらいたら、以前とは違うことが書いてあるような・・・やっぱり本棚に戻した。
紙の本みすゞと雅輔
2023/09/20 18:35
弟の日記から
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
所在不明だった弟の日記と回想録計89冊が2014年に四国で見つかったり、松本さんは3年かけて読み、判明した多数の新事実をもりこんだ・・・。どのように保管されていて、松本さんが読むことになったのか、きっとここにもドラマがあるのでしょう。
みすずがリボンをかけてとっておいた、雅輔からの手紙も、よくぞ残っていたもの。
みすずの夫のことも、丁寧に描かれていてよかった。
紙の本ちょっと作ってみたくなる大人のかしこい手抜きごはん 面倒な日にこそ、背中をおすレシピ
2023/09/02 21:25
定番料理に
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
奥薗さんのレシピなら、美味しくて簡単。
「あんなことも、こんなことも、粉々に砕いて食べてしまう」
たたきれんこんのスープをまず作ってみました。
味付けを失敗しないコツなどの読み物もあり。