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宮島理さんのレビュー一覧

投稿者:宮島理

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紙の本国防

2005/01/30 14:09

“にわかタカ派”とは一線を画す軍事的リアリストが語る日本の国防

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 石破茂・前防衛長官が、2002年9月30日から2004年9月26日までの在任期間中に体験したエピソードをまじえて、国防観、政治観を語っている。
 2003年、北朝鮮が日本海に向けて地対艦ミサイルを発射したときのことだ。大騒ぎするメディアとは対照的に政府は冷静だった。報道記者たちに対して「君たちは弾道ミサイルと、地対艦ミサイルの違いもわからんのか」と石破氏は諭したという。
 2004年2月には、京都で鳥インフルエンザが発生した。鶏の処分をする人手が足りない。自治体からの要請で自衛隊が出動することになった。当時を振り返り、「イラクは危険だからと心配してくださる方々も、鳥インフルエンザの恐怖には寛容だったようです」と石破氏はぼやく。“自衛官の命”を心配するポーズを取りながら、実はただ“反戦”をしたかっただけの人たちに対する、強烈な皮肉だろう。
 2004年4月に日本人3人がイラクで誘拐された。世間でも“自作自演”という噂があったが、政府でも「これはひょっとしたら自作自演かもしれない」と「あらゆる可能性」を考えたらしい。
 このほかにも、在任中はなかなか語ることのできなかったエピソードが、数多く紹介されている。
 本書では、イラクへの自衛隊派遣についても、率直にその理由が挙げられている。いくつか理由はあるが、なかでも「小泉総理はあまり表立って言いませんでしたが、私はもっと堂々と述べてもいいことだと思って」いたのが、“石油”である。中東に石油を「90%も依存している」日本にとっての「国益」を、石破氏は堂々と語る。
 石破氏は“軍事オタク”として有名で(実は“軍事”よりもオタクなものがあるという秘話も収められている)、“タカ派”“戦争好き”と揶揄されることもある。
 ところが、本書を読めばそういった揶揄がレッテル貼りでしかなかったことがわかるだろう。石破氏は、民主主義を“少なくともワーストにはならない制度”として擁護し、日本の防衛戦略についても“専守防衛”の立場からミサイル防衛の導入を支持してきた。一方で、「行け行けどんどん」の“にわかタカ派”には危惧を覚えるような、軍事的リアリストなのである。
 防衛長官を務めた2年間は、石破氏が「自分の持っている知識を使い果たしてしまった」というほど過酷な仕事であったようだ。そこまで神経をすり減らし、頭脳の“ストック”を消耗させるものなのかと、驚かされる。
 現在の石破議員は、“充電期間”に入っている。本書には過去のエピソードだけではなく、これからの国防を、そして日本の政治をどうしていきたいのか、おそらく近い将来を想定しての“意気込み”も込められている。
(宮島理/フリーライター 2005.01.30)

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