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さらさんのレビュー一覧

投稿者:さら

4 件中 1 件~ 4 件を表示

大金の舞う真剣勝負

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 阿佐田哲也の『麻雀放浪記』を思わせるギャンブル小説。ただしジャンルは競馬。
 時代は昭和40年代。本文の言葉を借りれば「大卒の初任給が四万五千円」「タクシーの初乗りが百三十円」の時代である。この小説に登場するギャンブルに取り憑かれた人々はそんな時代の金銭感覚を嘲笑うかのように百万を超える勝負に命を賭ける。彼らは競馬のプロを自認している。だから支払えない勝負は原則的にしない。百万超の勝負に耐えられる金は律儀にプールしている。まさにガチンコの真剣勝負。
 ただ誤解はしてはならない。この勝負は中央競馬会の発行する馬券でやるわけではない。それなら払える払えないの問題などない。買うか買わないかだ。彼らの勝負は「サシウマ」だ。言いかえればアトサキ(後先)勝負。例えば2人が16頭立てのレースで各々A馬、B馬を選んだとする。かりにA馬が15着、B馬が16着ならばA馬を選んだ人の勝ちになる。つまり全体の着順は関係ない。一方の選んだ馬がもう一方の馬にハナ差だけでも先着していればいいのだ。中央競馬会の単複枠連(当時は馬連はない)では味わえない興奮だ。しかも恐ろしいことに配当金は単勝人気で決まる。つまり単価五千円で十番人気の馬で先着すれば5000×10=50000円になる。現在ならどうってことないが、当時でいえば大卒初任給をあっさり超える額をわずか数分で手にすることができる勘定になる。逆の立場ならそれを失うことを意味するのだが。
 戦後の混沌・飢餓感からくる迫力を背景とした『麻雀放浪記』と比べるのは可哀想だが、昭和40年代ということでむしろリアルな勝負を感じることができる。競馬場がまだ鉄火場で、電車内で競馬新聞など開けなかった頃。競馬賭博を生き甲斐にする勝負師たちの熱気が伝わってくる。

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紙の本「武豊」の瞬間

2001/04/16 01:40

武豊がすごい理由

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 昔よしだみほのマンガであった話。あるマンガ家志望が武豊物語みたいのを書いて編集部にもっていったら(担当者は競馬を知らないという設定)、新人賞は取る、2年目で菊花賞を勝つ、アイドルと結婚する…などなどあまりにうまく行きすぎる展開に、こんな話は非現実的でおもしろくない!と叩き返されるというのがあった。その通りだと思う。主人公がよい目にあっている場面ばかりではドラマにはできない。
 だけど彼の人生は傍からみるとそんな詰まらない人生なのか。
 改めて彼のデビューから今までの足跡を思い返してみよう。一時的なスランプもあった。だが平均して常に一流の騎乗を見せてきた(そもそもスランプが話題になること自体、彼の特別な存在感をあらわしている)。その持続力は驚異的だ。騎手という危険を孕んだ稼業で精神的肉体的に大変な負担を抱えながら多くの取材をこなし、かつ本業はおろそかにしない。第一人者としての自覚と努力。そしてあくなき向上心。波乱万丈の人生は直接的におもしろいが、高みを維持しなおかつ進歩していく超人的な人生はストイックな醍醐味がある。
 本書は当代随一の「タケユタカ番」である島田明宏が武豊の正体を、その息遣いが聞こえる近さで綴られている。武豊ファンのみならず騎手の生態に興味のある方、スポーツ好きの方などにおすすめ。

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冠名マニアにはたまらない

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 「ウマ家」シリーズの最新刊。競馬ファンには馴染み深い冠名を徹底分析した本。今回は事典的な部分が強調されており、いままでに存在したほぼすべての冠名が記載されている。
 競馬ファン暦が長くなってくると冠名それぞれに特徴があることに気づく。一問一答式にみてみると、Qタイキは?Aマル外。Qフサイチは?A高そう。Qシルクは?Aブライアンズタイム産駒。Qメイショウは?A大穴。 Qマイネルは?A出走数が多いetc。
 競馬ファンで統一見解を出したわけでもないのに不思議と皆同じようなイメージをもっている。こうした各ウマ家を平成以降のデータをもとに分析していくのだが、そこは井崎・須田の競馬お笑い界の黄金コンビ。普通の見方はしない。例えば「トキオ家」ならばスマップのつく馬との対決結果はどうか?あるいは「ビッグ家」や「タイキ(大器)家」ではデブ馬が活躍しているのか?などなど。こうしたおもしろ分析の他に馬券検討に直接役立つ情報もあり、「冠名馬券作戦」が作れるかも。

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紙の本サラブレッドの誕生

2001/03/12 20:16

競馬評論の第一人者が語る競馬とは何か

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 「競馬には学術的にも、文化的にも、社会的にもさまざまに興味深いテーマが秘められている。」(3ページ)。
 競馬はギャンブルであり、それ以外のなにものでもない。ここまで断定的でないにしても競馬ファンを含めて少なからずの人がもつのが「競馬=ギャンブル」という考えであろう。競馬はギャンブルである、それ自体は正しい。しかしそれだけのものでないことはこの書からわかるに違いない。
 冒頭の言葉に従い、筆者は多面的に競馬をとらえ議論は多岐にわたる。
 まずサラブレッドという馬の一品種が誕生するまでの永い永い進化の歴史を追い、そしてサラブレッドとはいかなる馬のことなのか、その厳格な定義について述べる。次に近代競馬の成立に至る経緯そして世界的な競馬への発展が語られる。最後にサラブレッドの血統、生産、調教について述べられる。
 各章において慎重かつ精緻な議論の組み立てを好む筆者は進化論の知識や英国文化の理解、遺伝学によるアプローチなどを知識を総動員し、読者は筆者の博識振りに驚くとともにわかりやすさが追求された文章により競馬のみならず多くの薀蓄を獲得することができる。知的競馬ファンになりたい人、人はなぜ賭けるのかを知りたい人、近代競馬発祥の地・英国の文化、思考を知りたい人、この本は単なる競馬本ではないことを是非手にとって知って欲しい。

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