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  3. 白井道也さんのレビュー一覧

白井道也さんのレビュー一覧

投稿者:白井道也

192 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本レ・ミゼラブル 改版 1

2002/06/24 10:14

訳は岩波より新潮

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

岩波は4分冊で新潮は5分冊。ついつい岩波文庫で買ってしまいそうだが、訳は新潮がいい。これは1ページ目を読めばすぐわかる。
19世紀の長編小説がいいのは、ゆったりしてることだ。登場人物が少なくはないが、ひとりひとりに関する記述が濃い。第1章は神父、第2章はジャン・ヴァルジャン、というふうに、ゆっくりじっくり物語を味わえるのがいい。
第1巻は、マドレーヌ市長として振舞ってきたジャン・ヴァルジャンが、良心に従って自らの本性を現すところで終わる。この第1巻だけでも完結できる内容だ。今後、物語がどう展開していくのか楽しみだ。

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紙の本

紙の本うらおもて人生録

2002/05/19 18:13

人生はギャンブル、ではないけれど

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

つらいことが重なってヘコんでる時期に読んだせいもあるけれど、この本の中のコトバがすごく胸に染みた。
「全勝を狙うな。9勝6敗を狙え」とか、「運と実力を見極めろ。運の総量には限りがある」とか。ギャンブラーならではのコトバはすごく含蓄がある。人生をギャンブルに置き換えて考えるのは安易なことかも知れないけど、それにしてもグッと来た。

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紙の本

紙の本私の国語教室

2002/03/25 18:02

「福田」や「国語」としか表記されないこともじれったくなる

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「昭和精神史」を読んだときに、どうして桶谷秀昭は「歴史的かなづかひ」を貫いているのかと思っていたけど、この「私の国語教室」を読んだらその理由がわかったような気がする。
 福田がこの本でやっているのは、“表音文字”に徹してないと言われている「歴史的かなづかひ」がいかに理論的なものか、そもそも欧米で考えられている“表音文字”という概念を日本語に当てはめることが間違っているということ、そして「現代かなづかい」がいかにいいかげんなものか、ということである。
 福田が冒頭で書いているとおり、第1,2,6を読めば、彼の言いたいことはじゅうぶん伝わる。残りの章は「歴史的かなづかひ」のテクニカルな解説にあてられていて、それも面白かった。

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紙の本

紙の本ドン・キホーテ 前編1

2002/02/19 09:46

やっぱり面白い

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 何世紀にも渡って読み次がれる小説だから読み継がれる小説だから面白くないわけはない、というのは読んで初めて分かること。騎士道物語を読みすぎた頭のおかしい男が時代錯誤の冒険に出る、というこの『ドン・キホーテ』は、物語が絵巻物のようにトントンと展開していって、読みやすい。登場人物たちの言動が滑稽で、面白い。

 前後編を合わせて、岩波文庫は計6冊、ちくま文庫は計4冊。でも装丁も訳も岩波の方がいいので、僕はこっちを買いました。

 えらいもんで、『ドン・キホーテ』を読んだ直後に、いろいろな文章で“風車に戦いを挑むドン・キホーテのような”という文章をいくつか見かけたのだけど、そういう時に“教養としての「ドン・キホーテ」”というのを実感した。

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紙の本

紙の本アンナ・カレーニナ 改版 上

2001/12/12 12:44

新潮より岩波

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 新潮文庫より岩波文庫の方がいいと思ったのは、出だしを読み比べて訳が簡潔でいいと思ったのと、主要登場人物が巻頭にリストアップされているから(これがないとロシア文学はつらい)。岩波の方が文字は小さいのだけど。
 内容は、さすが古典、という面白さ。3組の夫婦の「それぞれに不幸な様子」がディテールまで丁寧に描かれており、1500ページほどもある長さもほとんど苦にならなかった。

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紙の本

紙の本地下室の手記 改版

2001/04/24 14:15

やっぱり面白いドストエフスキー

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 最初の章はやたらに晦渋て、というか主人公の憤懣が抽象的な形でしか語られず、こりゃ大変だと思っていたら、次の章から読みやすくなってほっとした。

 確かに「過剰の自意識な男の独白」なのだけど、彼が語る過去の物語がメイン。ほっとけばいいのに嫌な奴に復讐しようとして逆に嫌な目に会ったとか、風俗嬢に説教垂れてそのおねーちゃんに惚れられてうざったくなる話とか、もちろんテーマを真面目に考えればとても深いものがあるのだけど、それを抜きにしても単純にバカな男の失敗談としてすいすい読めてしまう。ドストエフスキーはやっぱりストーリーテリングが巧み。で、その物語をいちど読んだ上で最初の章に戻ると非常に面白い。

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紙の本

紙の本ムーミン・コミックス 第1巻

2001/01/29 10:19

冷静に物語を分析すれば、そこからはシニカルな現実認識が見えてくる

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ムーミンは物語を読んだこともなければ、アニメも見たことがなかったのに、この「ムーミン・コミックス」にはいともたやすく魅了されてしまった。それはまずは、祖父江慎(「伝染るんです」などでお馴染み)の上品な装丁に負うところが大きい。いくら面白いコミックでも、幼稚な体裁の本は購入する気にならないから。
 シンプルな線で豊富な表情をあらわしている表現力と、小さいフレームの中に少なくない要素を盛り込む構図の妙。そのイラストレーションの表現力は、すごいとしか言えない。そしてなにより、ユーモラスな画とは対照的なシニカルな物語が、抜群に面白い。以下では、その物語を簡単に紹介する。
 「黄金のしっぽ」:しっぽの先のフサフサがハゲかけているムーミンが、いろんな医者にかかるが効果が現れず、しかしムーミンママの中世的な療法により、何と金色のフサフサが生えてくる。ムーミンは一躍人気者になり、有頂天になるが、次第にその人気を利用する人間も現れる。次第に金色のフサフサもなくなり、ムーミンは普通の生活に戻る。この物語では随所にスナフキンが登場し、うかれるムーミンに対して冷笑的な言葉をかける。その冷めた視線が面白い。
 「ムーミンパパの灯台守」:灯台守の求人広告を目にしたムーミンパパが、ロマンチックな夢を求め、一家総出で灯台に赴く。ムーミンパパはそこで海に関する壮大な物語を書こうとするが、インスピレーションが湧かず苦悩する。きちんと灯台守の勤めを果たさないムーミン一家は、前の灯台守に追い出され、ムーミン谷に戻る。ここで面白いのは、ムーミンパパは本当に創作意欲があるのではなく、ロマンを求める男のイメージに憧れているだけだ、というところ。それは、「みんなは気楽でいいよなあ。書けもしない本を書かずにすむんだから」というセリフに顕著だ。さらに、そんなムーミンパパを見守るムーミンママは、殺風景な灯台に生活雑貨や植物を持ち込もうという強迫観念めいたところがある。そこには、「ロマンを求める男、現実的な女」という構図が見える。もうひとつ興味深い箇所は、ムーミンがママに対して「ママ、若いころ暗闇が怖かった?」と聞くと、彼女は「いいえ。パパのために怖いふりをしただけよ」と答えるところ。ここにも、男と女の役割意識(あるいはジェンダーの問題)のようなものが垣間見える。

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紙の本

紙の本文学入門 改版

2001/12/12 12:31

少なからず得るものはある

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 “文学”とは何か、“良い小説”とは何かについて、仏文学者の桑原武夫が述べる。話は抽象的であるが、小説という芸術ジャンルに興味を持っている人間ならば、一読して得るものは少なからずあるだろう。最終章にある、『アンナ・カレーニナ』の読書会の模様も興味深い。
 世界の近代文学傑作選が巻末にあるのも参考になる。

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紙の本

パリ金融道

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ナニワ金融道」のパリ/バルザック版、というのはちょっと語弊がある言い方だけど、香水商セザール・ビロトーが公証人にまんまと騙されて財産を失い、しかしそこから法の網目をつくようにして復活を遂げるというそのドラマチックさは「ナニ金」の面白さに通じるものがある。

 物語の構成はやはり重層的なのだけど、「ペール・ゴリオ」にいたような強烈なキャラクターがいない分、ちょっと痛快さには欠けているかと思う。とは言いながら、やっぱりそんじょそこらの小説よりは断然面白いのが天才バルザックの小説である。

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紙の本

紙の本ガープの世界 上巻

2001/03/12 09:38

風通しのよい自伝的長編

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ジョン・アーヴィングは「小説は長ければ長いほどいい」なんてうそぶいているらしいけど、この自伝的小説も上下巻合わせて約900ページ。自伝的なのに、1人称では語らない。ガープという主人公を立て、ガープの自伝を引用する形で書き進めてる。ガープの作品もまんま引用されている。おまけに、ガープの死後まで記している。変な構成。でもそのおかげで、日本の私小説のような窮屈さ(読者と著者の距離の近さ)はなく、文章がものすごく風通しのよいものになっている。そして、900ページがすいすいと読める。アーヴィングは凄いや、としか言えない。

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紙の本

紙の本外国語上達法

2002/05/25 15:07

これぞ王道

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

外国語習得で大切なのは時間と金。で、その時間と金をかけて何を学べばいいかというと単語と文法。
自らを天才ではないといいながらもマルチリンガルであった千野先生によるコトバは、ストレートで説得力がある。辞書や教師の選び方、発音の大切さなども説いており、とても読みがいのある名著。

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紙の本

紙の本整体 楽になる技術

2001/12/12 12:57

もっとこの本は注目されるべきだ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「身体感覚を取り戻す」と同じぐらい興味深い身体論の本なのに、注目度が薄いのは、やはり書名に問題があるのではないか。実は整体の技術に関する記述はほとんどない。参考になるのは、不眠に効く背伸ばし運動のやり方と、眼の疲れをとるためのアクビを出す方法で、あとは身体論の話。
 いろんな話があちこちから飛び出すのだけど、面白かったのは身体と音楽の関係。著者によると、身体感覚が人々にあった数十年前はロックのグルーヴ感が有効だったけど、身体感覚が希薄な現代人にとってはそのグルーヴもあまり効果的ではなく、むしろレディオヘッドの『Kid A』的な浮遊感が効く、というもの。整体の本でレディオヘッドが出てくるとは思わなかった。著者の懐の深さを痛感した。

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紙の本

紙の本チャタレイ夫人の恋人 完訳

2002/07/21 16:01

精神と肉体、とか

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

すごくまっとうな小説だ。都市と農村とか標準語と方言とか精神と肉体とか、近代化にともなうそういった二項対立が物語の根底にあると思う。チャタレイ夫人が森番メラーズとするセックスは、自然賛歌というか肉体賛歌で、それはさすがに男の作家が書いたものだなぁという印象を受けるけど。あと、メラーズがセックスの時、男女同時にオーガズムに達することにこだわっているのも、マッチョな感じだ。

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紙の本

紙の本AV女優

2002/06/25 13:50

『約束された場所で』を読んでる気分だった

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これは、どんな人がどんな気持ちで読むんだろう。興味本位で手にとって、インタビューのうまさに感心し、知ってる女優の裏話に興味を覚え、ちょっとエッチな気分にもなったり。そういう“ヒトゴト”な読み方が出来ればすごく楽なんだろう。僕は、彼女たちの人生がヒトゴトだとは思えない。読んでいて重い気分になって、途中で投げ出した。村上春樹の『約束された場所で』を読んで、オウム信者と僕たちとが共有する“闇”に気づいた時のように。

僕は以前、風俗嬢とつき合ったことがある。はじめは「風俗嬢とタダで寝れる」と思っただけで興奮していたけど、だんだん彼女の人生について考え出した。古い考え方かもしれないけど、セックス産業で働く女は、“愛”に恵まれないで育ったのではないか。僕は彼女とつきあいながらそんなことを考え、それを確認するためにこの本を手にとった。風俗嬢にしろAV女優にしろ、体を張って金を稼いでる姿勢は立派だとは思う。でもそれは、やっぱりイビツな姿ではないか。と同時に、彼女たちの性を消費している男たちも、同じようにイビツな姿をしているのではないか。

体を張って金を稼いで何が悪い。自分のやりたいことをやって何が悪い。需要があるから供給がある。供給があるから需要がある。そのすべては正論だ。でも、と僕は思う。

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紙の本

紙の本連合赤軍「あさま山荘」事件

2002/04/15 16:03

映画を観てから読むと面白い

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 役所広司主演の映画を観た後で読んだけど、面白く読めた。事件当時は「警察=権力=悪、連合赤軍=弱者=善」という風潮があった、というのはこの本を読んで知ったのだが、だから映画はひたすら警察内部のドラマを描いたんだなぁと納得した。
 映画になかった点で面白かった記述は、連合赤軍の歴史と、佐々が海外で爆発物処理の方法を学ぶくだり。固有名詞が頻出するのと文章が多少荒いので、映画を観てから読むとかなり面白いと思います。

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