かれんさんのレビュー一覧
投稿者:かれん
紙の本十二支のはじまり
2001/03/22 15:40
十二支のおはなしは、この絵本がおススメ!
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「正月の朝,御殿に来るように。来た者から12番まで,順番に1年ずつその年の大将にする。」…十二支の絵本は沢山ありますが,その中でも,私はこの絵本が一番気に入っています。御殿までのかけっこ(^^; だけを描いた絵本とは違い,どうして,犬とサルの間にニワトリが入ったか,そしてイノシシが最後のわけ…などを遠目の効く大きな絵で描き,幼児でも簡単に十二支を全部覚えてしまいます。昔から語り継がれていた日本の民話は,いつの時代でも,読んでほっとする安心感があります。お正月にどうぞ。
紙の本チロヌップのきつね
2001/03/15 12:28
いつまでも忘れないでほしい…親子の愛情、動物保護を描いた素晴らしい絵本
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
戦争が激しくなった年、チロヌップという北の小さな島で2匹の子狐が生まれました。夏の間だけ、島に渡ってくるじいさん、ばあさんの様に、狐や生き物を大切にする人ばかりならいいのに、この島では、密猟者が後をたちません。島中にある 密猟者が仕掛けたいくつものワナ、自然の多い島なのに、狐にとっては、危険がいっぱいです。
夏の間、じいさんとばあさんの子どもみたいに育ったちびこも、冬が近づくと親元に帰りました。そして、密猟者のワナにかかってしまいます。…人間が近づいてきます。何の罪もない、子狐をどうして殺さないといけない…同じ人間の仕業でありながら、悲しくなります。ちびこを守る為、自ら飛び出し鉄砲で撃たれたとうさんぎつね。その傍で母さんぎつねは、必死の思いでちびこを隠します。ワナで身動きが出来ないちびこの為に、雪の降る寒い冬は、母さんギツネが毛布となり、ちびこの身体を温めます。読んでいて、とても胸が苦しいです。
この絵本は、小学生の頃に一度読んだことがあります。タイトルは、忘れていましたが、ずっと心に残っていたストーリーです。親子の愛情は勿論、動物愛護の面でも考えることの多い絵本です。こういう素晴らしい絵本が、子どもたちへ、そして、その子どもたちへと受け継がれる事を願います。
2000/09/14 10:02
サンタは本当にいるよ(^^)
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
子どもがサンタクロースの存在に疑問を抱き始めたら、是非この本を。
皆サンタなんか いないっていってるよー。
どうして夜中にくるの?おかあさんやおとうさんにはこないの?
どうして死なないの?
子どもたちが疑問に思ってくれる事にずばり答えてあります。
おろおろせず、真剣な顔で答えているお父さんは、とても素敵です。
… サンタクロースは 本当にいるよ。世界中いつまでもね。
サンタを信じる子供の夢は壊したらいけないなと思います。大切にしたいです。
サンタは信じている人の心の中に ちゃんと存在するんですね。
この本を読むと、本当にサンタはいるような気持ちになります。
…サンタクロースはね 子どもを喜ばせるのが なによりのたのしみなのさ。
子どもたちのサンタの夢がいつまでも続きますように。
2000/09/10 11:01
友だちを思う優しい心を描いた絵本
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
チビウサギが、デカウサギに聞きます。
「どんなに、きみが好きだか あててごらん。」
そこで、チビウサギは、一生懸命手を伸ばして表現します。
でも、所詮、チビウサギ。デカウサギにはかないません。
デカウサギは、もっともっと 手を長く伸ばします。
デカウサギに負けないくらい、チビウサギはデカウサギのことが好き。
そして、デカウサギもチビウサギのことが好き。
ほのぼのタッチのイラストで、ここだけ時間がゆっくり流れているようです。
とても 微笑ましい競走です。勝ち負けなんて関係ありません。
言われる方も言う方も嬉しくなります。
「ぼくは、きみのこと、お月様まで行って、帰ってくる位好きだよ。」
チビウサギが疲れた眠ったあと、デカウサギはそっと囁きました。
友だちを思う気持ちがひしひしと伝わってきます。
平成12年度東京書籍版「あたらしい国語2年上」にこの本は紹介してあります。
紙の本ぶたのたね
2001/01/10 09:13
実ったらさっさと食べないとね(^^;
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ぶたよりも走るのが遅いおおかみがいました。
ぶたを食べようと思っても いつも逃げられてばかり。
それどころか ぶたにまで馬鹿にされてしまいます。
これまで野菜と木の実しか食べたことがない とろいおおかみです。
そこで きつね博士に相談し、ぶたの実がなる「ぶたのたね」、
そして、早く木に成長する薬をもらい、早速、きつねはタネを植えます。
そしたら、なるなる ぶたの実…。
絵本館の出している本の紹介ページに この場面が載っていました。
ぶたたちが何食わぬ顔で木に実っている(?)姿を見て、
この絵本は絶対読みたい!と思いました。
それだけ、インパクトのあるページです。笑えます。
でも、実際、公園の木にぶたが実っていたら怖いぞーー(笑)
ぶたが実ったらさっさと食べないと何が起こるかわかりません。
おおかみさん。感動している場合ではありませんよー。
紙の本絵で見る 日本の歴史
2000/10/11 09:50
これはすごい!日本史の全体が分かります。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
石器時代から現代まで 1枚の絵巻のように描かれています。
貝や木の実、魚などを食べていた人たちが、沼で稲作をはじめ、その後、水路を掘り、
だんだん現代の稲作に近づいてきます。
収穫も増え、食料に困らなくなると、人々は権力を巡って争い事を始めます。
鎖国が終わり、ヨーロッパ文明がはいると、わらぶき屋根や西洋館など
日本の文明も少しずつ変化していきます。
また、昭和初期の時代では 空襲で逃げまとう人々を描かれ、
見ていて胸が張り裂けそうです。
文字ばかりの教科書では、到底 学ぶことのないものばかりです。
過去があるからこそ、今の私たちがいます。
沢山の歴史の積み重ねにより、今日の社会は成り立っています。
最後の解説から、この本を作るにあたって大変な苦労があったことが伺えます。
日本史の全体を知るには、とても勉強になる絵本です。
絵本の域を越え、これは参考書ですね。
歴史の勉強を始める前に 是非この本をどうぞ。
2000/08/31 08:32
核兵器がこの地球からなくなりますように
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
1954年3月1日、太平洋上でアメリカの水爆実験がありました。
そこで何も知らずマグロをとっていた第5福竜丸の乗組員は、「死の灰」を浴びてしまいました。
このお話も、1954年 同じ太平洋上で起こったお話です。
それは、突然の出来事でした。
まるで、空が大火事のような真っ赤な夕焼け、海の水がぐらりと揺れる恐ろしい音がしました。
その後、雪のように降りつづける、白いふわふわな粉。
トビウオ坊やは、面白がって、その白い粉の上を飛んで歩きました。
その後、トビウオの坊やは、白い粉(死の灰)を被った為、強烈な頭痛に苦しみます。
医者という医者に診せ、薬屋さんを探すおかあちゃんトビウオ。
どうにかして、我が子のこの苦しみを救いたい。
おかあちゃんトビウオの事を考えると涙が出ます。
水爆実験さえしなければ、罪のない人たちがこんなに苦しまなくてすんだのに。
たくさん死んでいった魚たち。その無駄な死もなかったのに。
第5福竜丸の無線長、久保山さんの最期の言葉が印象的です。
「自分が人類史上最後の被爆者であるように。」
2度とこういう悲劇は起こしたらいけない事だし、
時代は変わっても、いつまでも忘れてはいけないことだと思います。
…核兵器がこの地球からなくなりますように。
紙の本ジローとぼく
2001/02/13 13:36
犬になって初めて知る犬の気持ち…
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
拾ってきた時は、腕にすっぽり収まるくらいの大きさだったジローは、今では横になったら、ぼくと変わらない位の大きさ…それでも一緒の布団に寝ているぼくたち。
ある日、お父さんとぼくで 格好いい犬小屋を作りました。勿論、今晩からジローは外の犬小屋で寝ないといけません。それなのに、ジローは、悲しそうに鳴いてばかり。ぼくは、仕方なく犬小屋に布団を持っいき、一緒に寝てあげます。
翌日、目を覚ましたぼくは、ジローとぼくの立場が入れ替わっているのに気付きます。ぼくの服を着て、ごはんを食べているジロー。宿題も妹の世話もしなくていいや。と高を括ったものの 夜になって初めてジローの寂しさ分かります。
明かりが全部消えた家の外で 一人で寝ないといけない寂しさ、カギがかかった家は、まるで、ぼくを追い払っているように感じます。イヌになって 初めて知ったイヌの気持ちです。ジローは、お世辞にも格好いいイヌではありませんが、ぼくにとっては、きっと友達以上に大切な存在に違いありません。いつまでも、ずっと一緒に寝られるといいね。>ぼく
紙の本きょだいなきょだいな
2000/10/20 11:05
子どもたちにかかればすべて遊び道具に早変わり。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表紙のキツネは、かがんで何を見ているのか…と思えば、ピアノの足なんですね(^^;;
---- あったとさ あったとさ 広い のっぱら どまんなか 巨大なピアノがあったとさ
と、まぁ、出てくるものは どれもこれも本当に大きい。
野原に 子どもが100人やってきて、その巨大ピアノで元気いっぱい遊びます。
そして、石鹸、電話… と巨大なものが次々に登場していきます。
# 昔、懐かしい黒電話なんて 今の子どもは知ってるかな?
小さいと信じていたものが、こんなに大きくなっても、
子どもたちにかかれば、すべて遊び道具。さすが(^^)
リズミカルに流れる言葉で 子どもたちの元気がいっぱい詰まっている絵本、
紙の本あめふり
2000/08/26 08:20
梅雨の時期に読む絵本
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ずっとずっと雨がふっていた。なかなかやまない雨。
外で遊べない動物たちとばばばあちゃんは、ほとほと困り顔。
空に向かって、たまには雨ふらしを休むように言うが…。
そんな事お構いなし。かわりにバケツをぶちまけた様な雨を降らす意地悪な雷さまたち。
ばばばあちゃんは怒った…。
他のばばばあちゃんシリーズ同様、ものすごい反撃に出ます。
家にあるいらない物を燃やし、その上からとうがらしを…
ばばばあちゃんは とにかくやることのスケールが大きい。
え? そんなに… と思うくらい徹底してやります。
だから、中途半端な反撃より、気持ちがいいです。
とうがらし攻撃(?)にあった雷さまたちは空から皆落ちてきます。
4ページにわたって 落ちてくる雷さまたち…
雷さまにもいろいろな個性があって面白いです。
同著者の『せんたくかあちゃん(こどものとも傑作集 54)』(福音館書店)
と一緒に読むと、楽しさ倍増間違いなし。
紙の本自然のかくし絵 昆虫の保護色と擬態 写真絵本 改訂新版
2001/05/23 13:48
まさに自然界の神秘…
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
子どもの絵本で2800円は高い!! と躊躇してなかなか購入できなかった絵本です。
でも,購入して2800円の価値はありました。外敵から身を守る為,草や木,石にカムフラージュする昆虫たち。写真をひとめ見ただけでは,その姿を安易に発見することが出来ません。まさに,自然界の神秘です。上手く隠れている昆虫を探し,撮影した著者の根気強さには 頭が下がります。子どもと一緒に,隠れた昆虫を探してみませんか?それぞれの昆虫が持つ色には,生きのびる為の意味がこもっています。
平成13年度東京書籍版「新しい国語3年上」にも掲載,素敵な写真絵本です。
2001/03/12 12:37
涙、涙!子どもたちにもおばあちゃんにも読んで欲しい絵本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
核家族化が進んで,祖父母と同居している家庭も少なくなってきました。家に帰った時,おばあちゃんがいるだけで,ほっとし,そして,お母さんに怒られた時は,おばあちゃんの傍にいるだけで,涙が乾いてしまう。何も言わなくても,「ぼく」の心を分かってくれる大好きなおばあちゃん。
「あそんでもらえなくっても 薬ばかりのんで ねてばかりでもいいんだ。生きていてよ。おばあちゃん。」…おばあちゃんは,悪い病気にかかり,乳房を一つ取ったのに,それでも,助かりませんでした。ベッドに横たわり,人工呼吸の機械に囲まれて眠っているおばあちゃんをそっと見つめる「ぼく」。ぼくの横顔を見ていると,一緒に涙がこみ上げてきます。
虐待,青少年の犯罪と悲しいニュースが連日のように流れています。でも,世の中には,「ぼく」のような綺麗な心を持った子供たちも沢山います。おばあちゃんの優しさが,ちゃんと孫に伝わり,また,「ぼく」から子に孫に…と伝わっていくのかもしれませんね。子供たちだけではなく,おばあちゃんにも読んで欲しい「ぼく」の心が沢山詰まった絵本です。
2001/03/07 09:50
よくがんばったね>ぼく
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ぼくたち1年生の50メートル走の順番はもうすぐ。でも、順番が近づくにつれ、緊張してトイレに行きたくなってしまいました。急いでトイレに行こうとした時、転んで怪我をした小さな迷子に出会います。時間がないのだから、無視することも出来たのに…ぼくは、見捨てることが出来ず、泣いているその子をおぶって、お母さんを捜します。50メートル走はもう始っています。
何をやっても自分はだめだと思っていた。学校なんてつまらない。結果だけがすべてではないと思います。かけっこが遅くたって、タンバリンの音が外れたって…一生懸命する気持ちが大切です。「ぼく」が、迷子のお母さんを捜しているうちに、50メートル走の順番が終わってしまっていました。全校児童、保護者が見ている中、ぼくは、ただ一人でスタートを切ります。棄権してやめることだって出来たのに〜こんなに恥ずかしい思いをしながら、全速力で走ったぼく。その一生懸命な気持ちが読者にも伝わってきます。頑張っている「ぼく」を私も観客席から一緒に応援したくなりました。
紙の本まねっこルビー
2001/02/16 11:25
自分らしさを発見出来ない子どもたちへ
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転校生のルビーは、前の席に座っているアンジェラの真似ばかりします。アンジェラが赤いリボンをつけてくれば、昼休みに家に帰り、赤いリボンを、洋服だって、家に帰って着替えてきます。それだけなら、まだしも発表でも同じことを言うルビー。最初は、優しく受け入れていたアンジェラも だんだん嫌気がさしてきます。
ハート先生に、注意され、ルビーらしく生きることを勧められたのに、次の日から、ルビーはアンジェラの真似をやめ、ハート先生の真似をするようになります。ピンクのプラステックのつめをつけ、先生と同じ休日を話し、でも、そこで、嘘だと分かっていても優しく見守るハート先生に、ルビーは初めて自分のことを話します。
とても素敵なアンジェラ、ハート先生のようになりたい、そう思う心がすべて容姿だけの真似になってしまいました。最近の教育で、個性を大切にする事がよく言われています。「わたしらしさ・ぼくらしさ」の意味すら分からない子どもも多いのではないでしょうか。ルビーだって、皆がうっとりするような素敵なスキップが出来ます。「自分らしさ」がまだ発見出来ない子どもたちへこの絵本をどうぞ。
2001/02/07 12:40
ルピナスの花にこめられた願いは…
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海を見下ろす丘の上に住んでいるルピナスさん。今はもうおばあさんですが、ルピナスさんにも勿論少女時代がありました。今の子どもたちと同じ様に、夢も見ました。ルピナスさんの夢、それは、おじいさんが、若い頃、遠い国々に出かけたように、ルピナスさんも国々を旅したい。そして、おばあさんになったら海のそばの町に住む… その話を聞いたおじいさんは、一つだけその夢に付け加えました。「世の中をもっと美しくする為に何かしてもらいたい。」簡単なようで難しい願いです。
この絵本は、どうやって、ルピナスさんがこの願いを叶えたか… 回想でストーリーが進みます。そして、最後のページでは、ルピナスさんの話を聞き終えた子どもたちが、野原一面に咲く「ルピナス」を摘み、楽しそうに遊んでいます。そして、丘の上で優しく子どもたちを見守るルピナスさん。パステルカラーの優しい花 「ルピナス」は、まるで、ルピナスさんの様に子どもたちを優しく包んでいます。大人の方にも是非読んで欲しい素敵なルピナスさんの一生を描いた絵本です。