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夜来香さんのレビュー一覧

投稿者:夜来香

14 件中 1 件~ 14 件を表示

周囲の視線をはばかりながらも……ぜひ読んで下さい

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「もっとなんとかできんかったんかい!」と、思わずシャウトしたくなるようなキワ物くさいタイトル。初出は、知る人ぞ知る少女向け少年愛愛好雑誌(ややこしい)『JUNE』という怪しい出自。マットウな大人だったら絶対に近付かないであろう衣をまとった本作は、しかし、そんなことで敬遠してしまうのは実に惜しい、知識と興奮に満ちた一冊です。
 24本のコラムを貫くテーマは、もちろん「少年愛」。しかし、筆者がこれらのコラムに登場させる事柄は、あきれるほど多方面に渡ります。シャーロック・ホームズとDrワトソンの名コンビに始まり、日本初の美少年漫画家、平賀源内作「根南志具佐」の超訳バージョン、澁澤龍彦も一目置いた幻の文筆家・酒井潔、哲学者ヴィトゲンシュタイン、はてはビニ本の美少年モデルまでが、この一冊には共存しているのです。膨大な知識を、あくまで軽い文体でさばいてゆく手際も実に見事。読み終わった時には、いっぱしの物知り気分に浸れます。
 もっとも、一つだけ余計なことを言わせてもらえば〜この本で勉強して、少年愛好きな乙女たちの心理を理解しよう〜なんてことは試みない方が無難ですよ。

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紙の本るきさん

2002/05/22 23:27

るきさんへの道は険しく

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 私が「るきさん」に出会ったのは、
彼女が世の中に登場してから大分たってからです。
世の中はどん底の不況にずぶずぶとはまりこんで、
ちっとやそっとじゃ抜け出せめぇ、てな状況。
だから、
三十路に近そうなのに男っ気ゼロ。
きれいな服にもレジャーにも興味なし、
楽しみは近くの図書館で焼きそばパンを食すこと、
てーな「るきさん」が、
バブルまっただ中の日本で産まれ、
それはそれは華やかな「hanako」てな雑誌を飾っていたなんてことを知って
(かつて斎藤美奈子先生も指摘していたと思いますが、この雑誌、地方ではほとんど売ってません、
田舎者が読んでも意味ないから)、
なんだかとても意外な気がしました。
私は、バブルな時にはまだ子供でした。
「hanako」なんて売ってない地域に住んでいたしね。
でも、あのころのぎらぎらした雰囲気は、
口を開けてテレビを見ているだけのガキにも何となく伝わっていました。
テレビからは「欲しい物はみな手に入れろ」ってメッセージが、しきりと流れていたような気がします。
るきさんの生き方は、このメッセージからとてつもなく離れたところにあります。
彼女は、月のうち一週間だけを仕事に当てて、
余った時間は自分の稼ぎに見合った楽しみで埋めているのですが、
刺激的に楽しみたいとか、
仕事を通して自己実現を図ろうなんて考えを一旦捨ててしまわない限り、
こんなペースを保って生きてゆくのはちょっと無理です。
るきさんはとてもらくちんな生き方をしているように見えるので、
私たちはるきさんの生き方をまねたくなってしまうのだけど、
いやはや、実際にあんな生き方をするのは、すごくすごく難しいのでしょうね。
まして、るきさんみたいにふわりと他の国に旅立ってしまうことなんて私にはとても無理
……そう思うと、なんだかため息が出ちゃいます。
とはいえ、めげてばかりもいられません。
せめて形だけでもるきさんに近づきたい。
そこで……ええ、図書館が近くにある町に引っ越しましたとも。
でも、図書館には滅多に行けなくて、せっかく借りた本を延滞してばかり。
るきさんへの道はまだまだ長くなりそうです。

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つまらない『二元論』など揺るがしてしまえ!!

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 とある飲み会に集った九人の人物。職業も服装も口調も様々な彼らの中から、読者は「本物の女性」を探り当てねばならない。一見、気楽に解けそうな問題。しかし、「本物の女性」を求めて探索を続けるうちに、読者の中に染みついている「常識」は、おおいに揺らいでしまう。ゲイ、レズビアン、バイ・セクシュアル、トランスジェンダー、トランスセクシュアル、トランズベスタイト、そして異性愛者などなど、本書で紹介されている「性」のあまりにも多様なあり方には、読んでいて目が回ってしまうような衝撃がある。
 と同時に、本書で提示される恐ろしく多様な性のあり方は、男女二元論でくくられた性に息苦しさを感じている人間にとって、大きな救いになるはずだ。ちなみに私は、「性欲をほとんど感じない人間=Aセクシャル」という存在もありだと提示されていることに、ちょっとした安らぎを感じた(余計な検索はしないよーに<笑>)
 下らない常識に捕らわれた世界に、痛快な風穴を開けてくれる本。現代新書の若者向けシリーズ『JEUNESSE』に入っている本書だが、むしろ分別のついた大人に読んで欲しい本かもしれない。 

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紙の本アメリカ横断TVガイド

2001/05/30 06:12

テレビが映すリアルなアメリカ

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 アメリカの全世帯に対するケーブルテレビの普及率は66%。アメリカに住むほとんどの人が、べらぼうな数のチャンネルがあるテレビを見ていることになる。それだけたくさんチャンネルで、毎日膨大な数の番組が放送されているのだから、なかにはしっちゃかめっちゃかな番組も出てくる。と、いうか、アメリカのテレビってしっちゃかめっちゃかな番組だらけみたいで、本書ではかなりの数のトンデモ番組が紹介されている。
 それらの番組のトンデモ度も、日本のしょぼいテレビとはスケールが違う。視聴者参加のトーク・ショウでは、出演者同士が殴り合いの大喧嘩をおっぱじめ、果ては殺人事件にまで発展する。芸無し芸人のトム・グリーンは、自らの睾丸摘出手術の一部始終を番組で放送(ついでに、ドリュー・バリモアのハートを射止める)する。アニメ番組には、ポケモンならぬチンポコモンが登場。とまあ「面白ければ何でもあり」状態の番組の数々が、ハイテンションな文体で紹介され、読んでいるこっちは呆れ果てるやら爆笑するやら、である。
 しかし、著者はしっちゃかめっちゃかな番組たちの向こうに、きれいごとではない本当のアメリカの姿を見いだすことに成功している。本書の中に繰り返し登場するのが、『ホワイトトラッシュ』と呼ばれる下層の白人たち、『フリークス』や『ギークス』というハイスクール生活に馴染めないいじめられっ子たち、といった存在。彼らは『強き良きアメリカ像』から、あらかじめはじき出されしまうような人たちであり、日本に輸出される<良質な>テレビ番組に登場することもほとんど無い。しかし、テレビとセックスの他に娯楽を持たないホワイトトラッシュたちや、学校に馴染めないフリークスたちにとって、テレビとは他に替えようがない娯楽であり、彼らを狙って作られたテレビ番組には、きれいごとではないアメリカの生の姿が赤裸々に映し出されているのだ。
 思いっきり断言させていただくが、この本はアメリカのいまを知る上で欠かすことの出来ない名著である。

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映画が輝いていた時代の美女たち

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 まだ映画がサイレントだった1920年代から、高度成長時代に突入しつつあった1960年代までの女優さんを紹介した写真集。
 原節子や美空ひばりのような誰もが知っている大女優から、老け役脇役専門の渋い演技派、果ては幻の女優葉山三千子(谷崎潤一郎の義妹だった人)まで、296人ものポートレートがずらりと並ぶ様は、圧巻の一言。しかも、紙面に掲載されている写真は、その女優さんの魅力を伝えられるよう選び抜かれたもので、ただ眺めているだけでも、彼女たちが放つオーラを感じることが可能です。「最近の女優は、かわいいんだけど神秘性に欠けるなあ……」などとお嘆きの方に、お薦めです。

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こんなこと、聞いてどうするの?

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 本書は、世界で最も知的な人物にして、(1)全てを知っていて(2)決して間違いを犯すことのないコラムニスト、セシル・アダムスが、全米の『読者連』から寄せられる質問に答えるというコラム、「Straight Dope」を一冊にまとめたもの。
 それにつけても素晴らしいのは、読者連がえらく切迫した調子でセシルにぶつける、恐ろしくどうでもいい疑問の数々。なにせ、「人はパンだけを食べて生きられるのか?」とか、「オレンジがオレンジと呼ばれるのはオレンジ色だから?それともオレンジ色はオレンジの色だからオレンジ色なの?」とか、果ては「全中国人が椅子にのぼって同時に飛び降りたら、地軸がぶれるほどの衝撃を起こせるのか?」とか、こんなんばっかりですぜ。で、こんな質問に筆者のセシルがちゃんと律儀に答えているのがおかしい。「チョコチップ・クッキーを作るとき小さじ半分の水を加えるのはなぜ?」という質問が寄せられた時など、自分でクッキーを作っちゃってます、このオヤジ。
 「この本で得た知識って、役に立つのかしら?」などと野暮なことは考えずに読むべし。ちなみに、全中国人が同時に椅子から飛び降りても、地軸がぶれることはないそうです。よかったね

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クラヤミの楽しみ〜GuiltyPlesure〜

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 著者の映画評によく出てくる言葉に、『ギルティ・プレジャー』というのがあります。おおっぴらにはせず、秘やかに愛する女のことを指す言葉なのだそうですが、川本氏の文章でみるかぎり、「少年期の憧れの女」といったニュアンスもあるようです。
 本作で『ギルティ・プレジャー』の称号を送られているのはエリザベス・テーラー。結婚離婚を繰り返したり、中年期以降肥満に悩まされたこともあって、若い世代の映画ファンには、彼女に対して、いささかグロテスクな印象を抱く人も多く、同時代のオードリー・ヘップバーンたちにくらべて、人気は今ひとつです。それだけに、リズへの愛を綴る川本氏の筆にも力が入ります。とびきりの美女だったリズが、実はとびきりのグラマーでもあった!!という、少年時代の密かな発見を、恥ずかしそうに、でもとびきり愛おしげに披露してくれるのです。
 例え単なる偶像に過ぎなくても、悲惨な私生活を送らざるを得なかったとしても、川本氏のような人に愛される『女優』たちってなんて幸せな存在なのだろう。そんな思いを抱かせてくれる一冊です。

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紙の本女たちよ!

2001/05/10 01:07

たぶん死ぬまで男の子だったであろう人による、うんちくとこだわりの一冊

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 「プロセスチーズなんて絶対に食べたくない」なんてこだわりを抱いているあなた。「どこかガキっぽさを持った男性に弱い」というあなた。そんなあなたには伊丹十三氏の著書こそがふさわしい。
 『お葬式』や『マルサの女』といった一筋縄ではいかない映画の監督であり、外国映画にも積極的に出演した個性派俳優であり、あまりにも唐突に自殺を遂げたことでも知られる筆者による本作は、とにかくチマチマと微細なこだわりで満ちた一冊。食事、装い、車etcに対する筆者の造詣の深さには感心させられるけど、あまりに細かい面にまで及ぶこだわりは時に読者を呆れさせる。ところが、チマチマしたうんちくの山に耐えて読み進むうちに、こだわりの向こうにかいま見える筆者の少年じみた純粋さが、私たちの心を捕らえて放さなくなるのだ。
 「正しいスパゲッティの作り方」だの、「美味しいキュウリサンドイッチの作り方(試しに作ってみたが、本当に美味しい)」だの、ちょいと役立つ情報も満載で、実用書としても魅力的な一冊。

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双子でもゲイでもないけどバーカー・ボーイズだ

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 特攻編集者ウェイン町山+特殊翻訳家ガース柳下=ファビュラス・バーカー・ボーイズ!!
このコンビ名を聞いただけで血が騒ぐ映画好きは多いはず。
ただし、その内訳は、
「宮●駿夫はロリコンかもしれん」とか、
「四時間近くある芸術映画見るくらいなら『チャーリーズエンジェル』三回見るぜ!」
みたいなこと常々思ってる友達少なげな映画好きばかりって気もしますが。

とにかく、このお二人のおそれを知らない言いたい放題ぶりは実に気持ちがよくて。
アベック作って大作映画を見にゆく人にも、
渋谷くんだりでおしゃれ映画を見てくる人にも、
難しい顔して映画史的な映画を見る人にも、
決してなれない、(友達少なげな)映画好きの気持ちを大いに慰めてくれます。
随所に挟み込まれる深くて濃ゆい映画知識や、
人種差別的な描写に本気で憤るウェイン氏、
プロデューサーばかりが増殖する映画界の現状を深く憂うガース氏、
といった場面にみられるお二人の「まっとうな感覚」が、
ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画漫談を、
ただの言いたい放題以上のものにしていることも見逃せません
(個人的には、杉浦兄弟が見せてくれる言いたい放題ゲイもとい芸も、結構好きですが)。

もっとも、幻の名著「地獄のアメリカ観光」に掲載された異様な密度の語り合いに比べれば、
本書の内容は、紙面が読みやすくなった分、やや物足りない印象。
まあ、発表媒体「クレア」てな原稿もあったりするから、
いささか薄味なのも仕方ないのかもしれない。
いや、むしろ、これを薄味と感じてしまう私の味覚は、
すっかりバーカー・ボーイズに毒されてしまっているのでしょうか?
最後になりましたが、
表紙にも使われている三留まゆみさんのイラストが、
かわいい中にもご両人のキャラクターを感じさせてくれてよいです。

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紙の本にっぽん心中考

2001/06/10 01:22

『心中』は時代を映す

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 明治の初期から平成まで、状況も知名度も様々な心中事件を、たくさん紹介してくれる本。
 読んでいて興味深かったのは、心中という行為の向こうに、その時代の空気がありありと現れていること。たとえば、昭和初期に起こった心中ラッシュの背景には、戦争を前にして『死を軽んずる』傾向があったし、最近めっきり心中事件が減ってしまったのは、昔ほど恋愛が切実なものではなくなってしまったから。紹介されている心中事件のうちで最新のものが、ホームページで知り合った男女の心中事件だったというのも、いかにも「いま」といった感じだ。
 また、心中する男性にはある種のパターンがあって、みんなそうだとは断定できないものの、知的だがどこか弱々しい優男といった人たちが多い。十八歳の歌手と心中した(未遂だが)作家・中村進治郎など心中タイプ(?)の集大成みたいな男で、この手の男性が好きな方には、『優男カタログ』的な楽しみ方も出来るかもしれない。
 ロマンティックな出来事がたくさん紹介されている本書だが、読了して感じるのは、やっぱり心中は卑怯で迷惑な行為だと言うこと。太宰治心中事件の現実(彼は自分だけ薬物を飲んで安らかに死に、心中相手は溺死させているらしいのだ)など読んでいると、心中に対するロマンティックな憧れも、ほどほどにしておいた方が良いという気持ちにさせられる。

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紙の本日本の喜劇人

2001/05/10 01:30

その筋(?)の方にとってはバイブルのような本だとか

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 古川緑波(ロッパ)、榎本健一(エノケン)、クレージーキャッツ、藤山寛美、渥美清などなどなど、戦時中から昭和四十年代までの日本喜劇界を彩った人々について書かれた本。「あくまでも自分の体験に即して語る」という小林氏の方法論が大いに活き、不思議な熱気と臨場感に溢れる一冊になっています。
 鍛えられた芸の輝きが、筆者の記憶から見事に再現されるほか、芸人の落魄や舞台裏での小競り合いについても、赤裸々に書かれ、一冊読み終わった頃には「芸人」という奇妙な生き物がたまらなく愛おしくなってしまいます。また、「喜劇亡き時代の喜劇人」ビートたけし&タモリについて語るくだりの文章は、切れ味鋭い「現代文化批判」としても読める出来。
 テレビで垂れ流されるヌルい笑いが我慢できない人に、共感と尊敬を込めて贈りたい本です。
 

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紙の本アディダスマンガフィーバー

2002/05/22 14:06

漫画読みとサッカー好きってどこまで重なるんでしょ?

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 なんと言っても、参加している作家の顔ぶれが豪華である。
各方面で熱い支持を集めている描き手がずらり。
「○○先生の作品が読めるのはジャンプだけ」なはずの方々まで顔を出している。
いくつか、聞いたことない名前も混じってますが、
各国の一線で活躍している漫画家さんとのこと。
そーか、ベルギーとかにも漫画家っているんだなーと、ずれた感慨を味わってしまった。

 ビジュアルに特徴がある描き手を集めただけあって、紙面はとてもきれい。
フルカラーで大判という贅沢な作りが大いに活きている。
でも、「漫画」を読むつもりで開くとちょっと辛いなー。
一人一人の書き手に与えられたページは本当にわずかで、
黒田硫黄、吉野朔実など、短編に定評がある人ならまだしも、
ほとんどの人は、ちょっとした雰囲気を書き出すだけに終わってしまっている。
外国の描き手の場合は、コマ割りのテンポや、ギャグの感覚なんかが、日本漫画のそれと全く違っていて、本来はその違いを味わうべきなのだろうけど、
正直言って、読んでいて退屈してしまう
(ヤン・ヨンスン氏のうんこギャグだけは、違和感なく読めたのだが)。
 居並ぶビックネームの中には、イラストや表紙を提供しただけの人もいて、それもなんだか詐欺じみているし、
「この人たちを集めたところで、あんまりサッカーと関係ないじゃん」てなつっこみも脳裏をよぎる。
 日本には、長年サッカー漫画を書き続けることで、読者の根強い支持を受けている漫画家たちが何人もいる。
玄人筋に評価が高い漫画家をかき集めるよりも、
そんな漫画家たちの功績にあらためて光を当てるような単行本を企画する方が、
よっぽど「ワールドカップ記念」になるんじゃないだろうか?

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タイトルにはちょっと偽りあり(確信犯だけどね)

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 タイトルから、漫画の歴史や技法についてのガイドブックみたいなものを予想していたのですが、本書の内容は私が予想していたのとはまったく違うものでした。
 ここで言う『教養』とは教養小説、すなわちビルドゥングスロマンの『教養』のことで、「まんがというメディアがキャラクターの『成熟』をどのようにして描いてきたか」という主題が、本書の中では一貫して追及されています。
 戦後日本社会が抱えた『成熟の困難さ』という命題と、記号的な絵が『成熟するからだ』を持つというまんがの矛盾、この二つを結びつけながら大胆に展開するまんが論は、刺激的ではあるけれど、いささか強引で恣意的な気もしました。
 一方、まんが編とは別の筆者によるアニメ編は、まんが編ほど大胆な解釈が施されていない分、私が想像していた教養に近い内容になっています。
 

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紙の本女のエピソード

2001/05/18 03:27

なんと言っても、すぐ読める

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 澁澤龍彦、という作家の本は、何となく敬遠していた。なにせ名前の画数が多い……というのは冗談にしても、やたらと難しく、おどろおどろしい世界を想像して、何となく彼の著書に手を出しかねていたのは事実だ。
 しかし、本作は決して難しい本ではなかった。タイトルもシンプルなら、中身もシンプル。込み入ったところのない文体は、なんのストレスも感じることなくスラスラ読める。204ページ読了までにかかった時間、およそ四十五分也。
 もっとも、さらさら読める本だけあって、内容の密度はやや薄め。原稿用紙五枚足らずの文章で一人の女性の一生が語られているため、誰でも知っているようなエピソードを並べるだけにとどまっている。また、登場する女性の一人を『現代ならばさしずめデヴィ婦人(?)』などと評する俗っぽさも気になる。(まあ、当時と今では【デヴィ婦人】という単語の表すニュアンスも大きく変わってしまったようだが)その俗っぽい雰囲気が本書の魅力だと、言えないことはないのだけれど……

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