ひでさんのレビュー一覧
投稿者:ひで
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紙の本凶気の桜
2002/10/09 21:03
凶気
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映画化ということもあり、期待して読んだ。
内容はおもしろかったが、本の題名が内容に勝っていると思う。
作者の現代日本に対する不満が随所におりこまれ、大変共感できる部分が
多かった。しかし、凶気ということばほど内容が凶気だったかといえば
それほどでもなかったと思う。
ただし、読んでみる価値は十分ある。この作者の凶気をどう感じるかは、
読者自身の問題。「潔く生きろ!」というメッセージを感じてほしい。
紙の本5分後の世界
2002/09/30 11:24
五分後
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主人公が5分後に現れたもう一つの日本で、「生き延びる」戦いをする物語。
5分間のずれであらわれたもうひとつの日本に筆者の思いが表れているように感じた。そこはアンダーグラウンドといわれる地下にゲリラ集団として生き延びる日本人の姿があった。なによりも、優先して「生き延びろ」というメッセージを強く感じる。そこには生への執着というよりも、生への積極性とともに死への単純な恐怖ではなく逆に死への積極性も備わっているように感じた。さまざまな局面を通し、筆者の現代日本への警鐘もこめられている。私たちは日常生活で様々な場面で様々な選択を迫られる。その小さな選択の積み重ねが大きな歴史をつくりだしていると考えると、この小説で筆者が提示した「5分後の世界」のような世界もきっと起こりえたと思う。現代日本が「平和」な国かどうか、「幸せ」な国かどうかわからないが、これから人生を送る中で、一つ一つの小さな選択を誠実に前向きにしていかなくては、と考えさせられた一冊だった。
紙の本詩のこころを読む
2002/09/22 18:37
詩心
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初めて詩の本を読みました。
作者の作者なりの解説が、詩の読み方を知る上で大変参考になりました。
それぞれの詩には、それぞれの人の、それぞれの詠み方があるとおもいますが、
より深く、想像力を駆使してよまれている作者の読み方をしることにより、
自分なりの別の解釈ができるようになりました。
詩を読んでみたいとおもいつつなかなか何をよめばいいかわからない人には絶対おすすめです。
紙の本聖の青春
2002/09/30 11:48
執念
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たくさんの書評がのっていた。
投稿するのはやめようかと考えたが、どうしても書いておきたいと思った。
それぐらい人の心を揺さぶる本だった。
いや、それぐらい人の心を揺さぶる「人間の生き方」だったと思う。
「名人になる」その執念に信念に生ききった彼の人生は物理的な時間では短いようだが、その深さにおいてはとてつもなく深かったと思う。何かにまっしぐらに突き進む人生。とてもすばらしかった。
癌になりながら、鎮静剤や痛み止めを「名人になるため」に一切のまず、ただ一人、病室でベットの上で耐え抜いた。そのシーンを読んだとき、まさしく背中に電気が走るほど感動した。こんな生き方ができるだろうか?と考えた。もっともっと小さな痛みでさえ、そこから逃げて楽になりたい、と思うのが普通の人間。彼はただ一つ、幼きころにつかんだ「名人になる」という一点に生き抜いた。
世の中には様々な人生があり目標があり世界がある。次元や世界がちがうかもしれないが、彼の生き方はすべてに通じる「哲学」があるように感じる。
世界の平和も人生の勝利も家庭の小さな幸せも掴み取るために「聖の青春」に学びたい。
紙の本神様のボート
2002/10/06 01:13
あの人と私とあたし
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「あの人」と共に存在し、「あの人」と共に生きる「私」。その「私」と共にいきていた「あたし」。パパと私と娘の物語。
小さいころは「私」と共に「あたし」は「私」の世界にいきていた。成長するにつれ「あたし」は「あたし」の世界をつくりだす。
最後までパパを愛しつづけた主人公の一途な思いは、尊敬すべきである。一心不乱に、しかしきちんと生活を破綻させずに。娘をそだて。
でも、あの人を待ち続けて旅をつづける。この心のたびは本書を読み終えたあと、きっと主人公の娘である「あたし」も同じ道を歩む、と感じさせた。
そこに人間の業を感じ、その業に流されるまま生き抜く主人公は一種、力強ささえ感じさせる。ほんとなら「箱にしまう」はずの「あの人」をしまわず、そばに置きづつけ、愛し続ける。この愛は真っ直ぐなのか? ゆがんでいるのか?
きっと君を探し出す。この言葉のままに。彼女はまちつづけ。
神様のボートで…
紙の本センセイの鞄
2002/10/06 01:01
はまりあうかたち
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いい話だったともう。いい文章だったと思う。二人の恋はいびつであったかもしれないが、恋や愛に形式や格好は必要ないと思う。年の差のある元先生と元生徒の恋物語であったが、そんなことは関係なく、ふたりはお互いの“かたち”にきっとぴったりだったんだなって思う。
最後の章は大変悲しかったが、それはそれでぴったりとおさまり、それまでの全ての物語がそこに収束していった。
そして…最後に残ったのは空っぽのセンセイの鞄。
センセイの鞄にはふたりのすべてがつまり、
ふたりのこれからがきっといっぱいいっぱいつまっていたのだ。
その空間のなかに。
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