ちーさんさんのレビュー一覧
投稿者:ちーさん
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2005/04/04 23:39
心とともに近づく距離
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一夜の夢がエマとウィリアムの距離を近づけてしまう。
お互いの立場や地位をわかっていても、募る思いが二人を近づける。
まあ、ぶっちゃけ言うとウィリアムが死ねば全て丸くおさまると思うんですよ!!
奴さえいなくなればエマもエレノアもウィリアムの事を美しい思い出にかえられるじゃないですかっ!!ってぐらいウィリアムの事が憎くて仕方がありません!
エマがお屋敷に戻ってから明るく振舞っている姿に胸が押しつぶされそうでした。ウィリアムが行動を起こしたのは良いのですが、それがどういう事になるのか、この先の事を考えるとまた胸が押しつぶされそうです。もうこれ以上エマを傷つけないで下さい。イギリスは紳士の国なんじゃないのかよっ!!
次巻の予告を見て「キャンベル子爵、居なくなればいいのはウィリアムです!そうすればお嬢さんも傷つかずにすみますよっ!」と余計なアドバイスをしそうでした。
紙の本そして、警官は奔る
2004/03/24 21:25
法の壁と温情
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隣家の主婦という善意の第三者の通報により不法滞在外国人の子供の人身売買が発覚する。
蒲田署の刑事課に勤務する事となった武本は新しい相棒である和田とともに事件を追う。
国家試験に受かった潮崎はその報告のために武本の元を訪れ、そのまま事件にかかわる事となる。
武本・潮崎シリーズの第二作目。
作者の書く事は人があえて見ようとしない事に目を向けさせようとしている。そして目を向けるべき事が多すぎる。
不思議なことに焦点を武本に据えると、考えなくてはいけない物事が整理されてくる。
それは武本の考え方が自分の信念に基づき、不偏だからだろう。
少年課の温情刑事小菅。同じ刑事課で相棒として組んでいるが冷血に犯罪者を追い詰めていく和田。
両極にいる二人に触れ、武本は正しい警察官のあり方について悩むのだった。
潮崎は、偶然知り合った女性が法を犯しているとわかっていても不法滞在外国人の子供達を助けているのを知り、正しくそれが出来る方向を探しながら、それに協力しようとする。
悪い事だとわかっていても…。世の中にそう思いながらたいした事ではないと悪い事をしてしまう人はいるだろう。
しかし、それが法に触れる以上は犯罪である。そして、悪いとわかっていても、法に触れなければ犯罪ではない。
今回この本を読んで一番驚いたのは「人身売買に関する明確な罰則がない」という事だった。
取り締まる側の司法が追いつかず野放しになっている事(あえて犯罪とは書かない)も今の日本にはたくさんあるが、全くそういう事が関係ない人間がいるのも事実である。作中にも出てくる存在なき人々である。
何をしても犯罪にすらならない存在。そういう人々が今の日本に溢れかえり、減る事はない。むしろこれから増え続けていくだろう。
毎日のように今までにない形の残酷な事件が報道で繰り返されている。
だが、誰も危機感等は持っておらず、あいかわらず深夜の繁華街は人々で賑わい、一人で歩く子供は減らず、犯罪を取り締まる法律は追いつかない。
だからと言って犯罪を犯しても良いという理由は、どんな境遇の人間にもありえない。
この物語の犯人に当たる人物は、自身が不法滞在外国人の子供で、児童ポルノに売られていた。
可哀相ではある。だが、人々の優しさに付け込んで犯罪を犯しても良いのだろうか?
作中には優しい人間がたくさん出てくる。誰もが他人の事を考えて何とかしようとしている。
温情である。
今の日本は犯罪に対してとても無防備で甘い。これからも犯罪者は増え続けていくだろう。
それでもたぶん私たちは犯罪に対し無防備で甘く生きていく。
自分達に、そして日本という国に対し温情をかけていくのだ。
武本は警察官として職務を全うし、正しい警察官として生きていく。
一番生き難い人生を選ぶ武本だが、武本にはそれが一番楽なのかもしれない。
悩む間もなく起きる事件に対応しながら武本は警察という組織に温情をかけているのだろう。
そして潮崎はそんな武本が生きやすい組織を作るべく奮闘して欲しい。
紙の本鎮火報
2003/01/27 15:54
消防士って大変
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大山雄大は消防士だった亡き父が事故現場で助け、またその彼も消防士の道を歩んだ仁藤による売り言葉に買い言葉で父や仁藤と同じ消防士になった。だが彼は世間のイメージする正義の消防士ではなく、今時の普通の若者の考え方による楽した生活をするために「公務員」になり、一日も早く現場から脱し日勤の事務職を目指していた。
雄大が出動した火災現場では入国管理局による不法滞在者への検挙が行われていた。
今時の若者らしい考え方の主人公は勢いで亡き父と同じ道を辿るが、どこに行っても消防士の鏡であった父との比較が続く。だが、それは職場での評価で家族としての父親に疑問を持ってしまった雄大にはとても迷惑な物でしかなかった。父のように人に尽くしたあげく命を落すのではなく、世間がイメージしている「国民の税金で養われている恩恵にあずかれる公務員」を目指していた主人公だが、自分が出動した現場で直面した出来事によりその考え方とは全く反した行動を取り、自身でもわからないまま雄大は事件にのめり込んでいく。
今、現在も増え続ける不法滞在者。日本人は日本を不況の国だというが、外国から見れば日本はまだまだ黄金の国として栄えている。そのギャップが事件を起こす。
何が悪く何が正しいのが混沌としている中、雄大だけは自分の正しさを貫いて行く。そして自身の葛藤でがんじがらめになっている人々の糸を強引ながら解いていく。
自分は恵まれていないと思っていた雄大。父のような生き方はしないと思っていたはずなのに、事件の終息とともに父親がなぜそのように生きたのか理解していく。
それでも雄大は強がり、自分はやはり楽に生きていきたいと願うのだった。
主人公の語りで話が進んでいくので、今時の若者らしい考え方と口調にそれを苦手と思う人はいるかもしれないが、読みやすく前作よりも物語にのめり込めた。
誰に感情移入するかで物語は全く違う面を見せるのではないだろうか。前作同様、現在日本に起きていて、誰もがなあなあにその問題から目をそらしている事を作者は取り上げている。色々考えさせられる物語でもある。
なかなか詳しく知る事のない消防士について詳しくなれるうえに、雄大を囲むキャラクター達もよく、このあと他のキャラクターの活躍も期待させられる。また前作の主人公の名前もチラリと出て来て楽しませてくれた。
紙の本彼氏彼女の事情 11
2001/07/05 17:14
眠り姫つばさ
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待ちに待っていたつばさと一馬編である。義理の姉弟であるつばさと一馬。しかもつばさはとびきりの美少女で、普通の高校生ならば何かしら生々しいものがあっても良いのに、津田雅美はその世界をとてもピュアに美しく表現している。一馬の自分の中の男としての正しい感情の目覚めに対し、頑なに自分の世界に閉じこもるつばさ。有馬や父親の事がきっかけなのだが、崩れかけた自分のバランスを一馬で支えていた。その均衡を一馬が自分の感情に気付き一方的に崩してしまう。だか、それは一馬の目覚めでもあった。では感情の眠り姫であるつばさの目覚めはいつになるのか?
2005/04/04 23:35
美しき友情
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江利子様と約束した妹を紹介する日が近づいてきた由乃は、祐巳を巻き込んでスールオーディションを開催する。なぜか祥子様も乗り気で祐巳を参加させる。
いよいよ由乃ちゃんが妹を選ぶ日がやってくるのだが、江利子様怖すぎです…。と、いうか前薔薇様ズは三人とも怖いです。三人ともまだ19歳なのに…。
それはさておき、女子高ゆえの同性に対しての嫉妬。その嫉妬と憶測にさらされながらも引くに引けない性分な瞳子ちゃんは意地を張り続ける。乃梨子ちゃんはそんな瞳子ちゃんを心配しているのだが、最初は相容れないと思っていたのにいつの間にか乃梨子ちゃんは友達として瞳子ちゃんを受け入れていたのだね。志摩子さんとは違う意味で大切な人になっていたのだね。
と、いう事で、由乃ちゃんの妹選びよりも、瞳子ちゃんを大切に思う乃梨子ちゃんにヤられてしまいました…。
祐巳ちゃんはいつの間にかスーパーガールになってしまい、ドンくさく書かれているものの何でも出来る人になってしまっている。蔦子さんと笙子ちゃんのくだりはちょっとウザかったが、まさか蔦子さんにスール候補が出てくるとは。いつまでも変質カメラ小僧でいて欲しかったのに…。
祥子様は自分で祐巳ちゃんを追い込んでおいて自分達みたいに信頼しあえる妹を選べって…。いや、あんた達あんまり信頼ないように見えるよ…。むしろ江利子様と由乃ちゃんの方が信頼しあっているような気がします…。
今の薔薇様が卒業しても良いように餌はまかれたが、まいた以上その餌は食べさせてもらえるのだろうか?
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