さじまつきこさんのレビュー一覧
投稿者:さじまつきこ
紙の本高橋順子詩集
2002/07/17 19:19
水のひと、海のひと。
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「こういう女の人が好きだ」と言う男の人にすすめられて読んだ。なるほど、高橋さんはステキである。しっかりしているのに、はかない心を持っていて、それは彼女が小さい頃から眺めていた海のように、濁ったり澄んだりを日々、繰り返す。波に洗われた彼女のことばたちは、どれも小さく、丸く、やさしげだ。あー、こういう女の人っていいね。としみじみしました。ギスギスしたことばのやりとりに疲れたとき、時々、読み返したくなる詩集です。
2002/07/17 19:11
あと一歩つっこみが足りないけど、まあいいか。オカルト的世界の歩き方。
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ヨーロッパ、イギリス、アメリカ…世界の幽霊スポットを案内してくれるオカルト的世界の歩き方。いまいち説明がなまぬるいのだが、観光ガイドかと思えば納得できる。それにしても多いな、幽霊の出る城って。ほんとにツアーを組んでくれたら楽しいかも。かなりの数を網羅しているので、その筋がお好きな方にはお役に立つでしょう。
紙の本あの金で何が買えたか 史上最大のむだづかい’91〜’01 文庫改訂版
2002/07/11 23:18
10年で泡と消えたわたくしたちの血税のゆくえを、かわいらしいイラストとともに。
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ひどいもんである。この中に名前が挙がっていない(公的資金投入を受けていない)銀行などほとんど、ない。もうほんとうに、史上最大の、世界最大のムダづかいだ。それの責任追及もせず、忘れ去ろうとしている日本人もまた、史上最大に寛容な国民だ。これからこの破綻した国家を支えていく学生は必読。支える気、なくすと思うけど…。この時はまだ民間人だった?竹中平蔵氏との対話もおもしろいですよ。
2002/07/11 23:06
イヤイヤやった仕事らしいが、そんなこと後書きで書かんでも。
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水族館好き、には2種類いる。ピカピカのデートスポットのような水族館がお好みの向きと、どっちかというとサビれた、うち捨てられたような水族館がお好みの向きと。春菊姐さんはどっちもOKみたいだ。彼女の描くシーラカンスやらマンボウやらは、確かにかわいくて、線が官能的で、ああこのひと魚好きなんだなあ、ということが伝わってくるものだった。でもこの仕事、イヤイヤやってたんだってさ。後書きにはいかに自分がつらかったか、前夫がひどかったかが切々と書いてあって、もー(苦笑)。読後感がぶちこわしなんだが、それこそ春菊さんの狙いのようでもある。自分では見るのもイヤな原稿らしいから。そんなこんなのドタバタを経てあらためてタイトルを見ると「ミーンズアイラビュー」。人生っていろいろだね…と考えさせられてしまう1冊なのでした。ゆるい水族館ガイドとしても機能しています。
紙の本小説中華そば「江ぐち」
2002/07/11 22:57
今日もタクヤは元気です。
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まぁ、とるもとりあえず読んで、そして「江ぐち」に行ってみるがいい。そこだけ昭和30年代のような雑居ビルの薄暗い地下に、今日もぞんざいにザルをふるうタクヤがいるはずだ。愛すべき町の愛すべきラーメン屋、そこに集った仲間たち。誰でもが、こんな「マイ江ぐち」を持っているのだ、とこの本は教えてくれる。後書きでホロリと泣かせる心憎さも、また、よし。
紙の本スリーピース!! 1
2002/07/11 22:48
リアルな3姉妹像は、ここにしかない。
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リアルでミもフタもない恋愛(とブス)を描かせたら右に出るもののいない、安彦麻理絵の代表作(と私は思う。他のは短編をまとめたコミックスが多いので)。果たして2巻は出るのか?!との不安はあるが、別につづきものではないのでこれ1冊でじゅうぶん楽しめます。エロあり、ラブあり、笑いあり、ナミダあり。小説やマンガ界では夢を抱かれがちな「3姉妹」のほんとーのホンネのところを、いやって言うほど見せてくれます。ボーイッシュな長女、要領のいいギャル次女、オタクの3女。どの子もくだらないことに悩み、くだらない男に振り回されて生きている。その姿は、思わず一緒にはぁ…、とため息をついてしまうほど、リアル。男性にもぜひ一読をおすすめしたい。傑作ですよー。2巻を待つ!!!
2002/07/11 22:40
エッセイもいいが、マンガの方がうまい人です。
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安彦麻理絵は、ミもフタもないマンガがとても上手な人。ラブホテルの逢瀬のムナしさとか、交際2年で段々だらしなくなってく男女間とかを、描かせたら右に出る人がいません。あとブス描くのもうまい(というか本人が好きなんだそうだ)。まぁそんな、いわゆる「ホンネ」を得意とする女流マンガ家さんの初エッセイ集がこれ。マンガと違って、気ラク〜に読めました。やっぱりシャイな人らしく、文章にはマンガほどのキレがないのだった。でも男性が読むぶんにはこれくらいがいいかな、などと言ってみたり。エロとラブのほんとのホンネは、あんまりおとこの子には見せたくないからね。
紙の本鬼谷算命学SPECIAL 持って生まれた宿命を知れば、幸せのレベルはもっと上がる!
2002/07/08 19:11
もはや定番の鬼谷算命学のディテールまでが、これ一冊で。
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悩みがあるごとに街角の占い師にボラれたり、ananやFRAUの占い特集を毎号買うよりは、確実におトクなこのムック。占いの域を超えた含蓄あるおことばで人気の中森じゅあん先生による、鬼谷算命学の基礎からちょっと上級までこの1冊につまっています。巻頭の吉本ばなな氏との対談もなかなか興味深く、何回読んでも飽きないし、事あるごとに読み返せる本です。
2002/07/08 19:05
ナチュラル志向で現実的。ぬか袋をすすめるなんて、いいお医者さんです。
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ドクターズコスメ全盛の昨今。1週間スキンケアと言ったって、またカタカナの最新美容成分なんとかをこの器具で浸透させて…とはじまるのかと思ったら、すごく健全。コンビニ食生活でもなんとかなりそうな、お手軽な肌改善生活のすすめなのです。ビール酵母入りわかめスープを毎日飲む、手作りぬか袋で洗顔してみよう、ゴーヤーを食べようなど、気負わず、実践できそうなスキンケアが満載。なんせ副題は「確実にきれいになる美肌プログラム」ですから。よし、やってみるぞ!と、読むたびに思います(読むとやった気になっちゃうあたりが落とし穴かも)。
紙の本「幸福の扉」を開きなさい 新しい「愛」と「運命」に出会える本
2002/07/08 18:53
なんだかアレなタイトルだけど、中身はあたたかく、面白い。勉強になります。
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タイトルだけ見て、一生買わない人もいるでしょうが、中身がこれはおもしろい。1時間で読める気分転換(ほんとにリフレッシュする)として、会社のトイレにでも置いておくといいと思います。いや、トイレじゃなくてもいいけど。気分がいいときも、へこんでるときもそれぞれに示唆をくれる、中森じゅあん氏の入門書。騙されたと思って、買ってみて。
紙の本がんばれ自炊くん!
2002/07/08 18:47
異国の食、おふくろの食、まっとうな食、お手軽な食、さまざま。
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リリーフランキー氏描く「自炊くん」キャラを出しているように、これは自炊をしない若者が自炊を通して自らの人生を問うていく意識改革の物語である。…わけではない。まあ読者投稿レシピ集なんだけれども、それをまとめる「自炊老人」の食レベルが上等なので、どれもおいしそう。実際作ったものもあるが、おいしかった。ちなみにフライパンでできる本格インドカレー。辛かったけど…。外国に住んでいる人のレシピも多くてたのしい。だしの取り方もあらためて勉強になった。がんばれ自炊くん、がんばれひとり暮らし。食材があまっても、時間がなくても、思わず料理がしたくなる。そんなありがたいような、迷惑なような本です。
2002/07/08 18:39
ナンシー関追悼(泣)。彼女の素顔?がのぞける珍品。残部少、早いもの勝ち。
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ナンシー関が死んでしまった…。呆然自失のまま、とりあえず今まで買わずにいた、ナンシーがゲストで書いている雑誌を注文しまくる。雑誌はすぐなくなるからね。その中の1冊がこれだったんだけど、とてもおもしろかった。お目当てのナンシー関とマツコ・デラックスの対談はもちろん、他の執筆陣も読ませる、読ませる。最後まで読み終えてからようやく伏見氏がゲイだってことに気づく始末。伏見氏の友人の高学歴高収入モテモテ女性(でも自他ともに認める激ブス)…の話なんかも、おもしろいよ〜〜。
ひょっと入った喫茶店で、気づくと周りがゲイだらけだった(新宿仲通りの珈琲館なんか、まさにこれですけど)という感じの、ライトに読める「変態」雑誌。すっかりファンになってしまいました。
紙の本色の名前
2002/07/08 18:25
ぜひハンディ版も出してほしい!眼がよろこぶ、色の歳時記。
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「色の名前」というタイトルが、シンプルでいい。他のシリーズ「空の名前」などと同じく、眺めていると自然の中へ出かけたくなる。海にしかない青、野花にしかない紫、樹木にしかない茶色など、ぜんぶ自分の目で確かめたくなる。この豪華で重い本もいいんだけれど、ぜひハンディ版も出してほしい。旅行に出るとき、連れていきたい本だから。
紙の本物陰に足拍子 第1巻
2002/06/27 18:14
こわいけど身にしみる。初期春菊の傑作がやっと文庫に。
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主人公は女子高生のみどり。真っ当で、正直で、(きれいで)、やり捨てされがちな春菊ワールドのヒロインだ。その脇を固めるのは存在感の薄い兄と、その嫁。この嫁がすこぶるイタい。嫉妬と妄想でどんどん間違った方向へ自分を、みどりを、夫を追いつめていく。これぞ春菊ワールドという展開です。こわいのに、引き込まれることうけあいです。
みどりが男に痛めつけられるところ、兄嫁の狂う表情、どれも非常にイタイタしい。でも、モノローグは美しいんです。ときに大島弓子?はたまた吉田秋生?と思わせるほど、みどりの独白は詩的で心を撃ちます。春菊さんの若さでしょうか、すごく新鮮に読み返しました。祝、文庫化。いま女子高生の女の子にも読んでほしいな。
2002/06/25 19:20
井筒監督のような吠えっぷりだけど、この人のお菓子はホントにおいしい。だから信用できる。
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すんごい表紙(笑)にすごいタイトルなので、この人の名前を知っていないとまず手にとらないだろう。ダンチュウや料理天国を愛読する本物志向のグルメな方は、まず読まないかも知れない。でも、この人のお菓子を食べたことのある人は、この人がウソを言う人じゃないことを知っている。裸の王様を見たら大声で「裸じゃないか!」と叫ばずにいられない、敬愛すべき真人間だということを知っているはずだ。
刊行されたのは2001年、ちょうど狂牛病だの無許可添加物だの、“狂った日本の食”が次々と明らかになる直前だ。この本の中の予言は、みごとに的中していく。食にかけては世界一だとおごってきた日本人の舌が、いかに貧しいものであったか。そしてそれを報道しないばかりか、マッチポンプとして積極的に破滅へ導いた食マスコミの無責任さを、弓田氏は容赦なく暴いていく。…とはいっても、ただ断罪するだけじゃなく、ユーモアもあるのでご心配なく。まさに井筒監督の映画批評、ナンシーのテレビ批評のようなものだ。愛があるから怒るのである。
この装丁ではもったいない、ぜひ、新書として再発してほしい本だ。それにはまず売れないと…。日本の食を憂うみなさん、いや世界一だと誇るみなさん、どちらも読んでください。行列ばっかりのダメレストランに騙されるよりは、ずっと安くて価値のある本です。