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江湖之処士さんのレビュー一覧

投稿者:江湖之処士

23 件中 1 件~ 15 件を表示

これは読まなきゃ損ですな

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 二人の女子高校生が日々の暮らしの中で、ちょっと変わった近所の人や世界に触れるホラーのようなコメディのような、秀逸な作品である。ホラー少女雑誌『ネムキ』に連載された。「栞と紙魚子」シリーズはこの巻を筆頭に、他に三冊刊行されている(連載は既に終了)。作者自身が後書きで書いているように、怖さを追求した作品というよりは、ちょっとずれた可笑しさを描いた作品になっている。この作者の意図は、つまり例えて言えば(こんな場面はこの本には無いが)幽霊が迫ってきた時主人公に引きつった顔での逃走をさせるのではなく、幽霊を見て「この幽霊ちょっとハンサムじゃない」と言わせてしまうような感じである。そしてこの試みは大成功を収めていて、なんとも不思議なホラーコメディの様相を呈している。実際のところ、一番怖いのは本のカバーと題名である。恐れずに思い切って読んでみてもらいたい。諸星大二郎といえば「孔子暗黒伝」が有名だが、「栞と紙魚子」から諸星ファンになる人がいても、すこしもおかしくないだけの出来になっている。

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我々が想像するより明治ははるかに多忙であった。

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 精緻な画と確かな物語。夏目漱石が名作「坊ちゃん」を構想してゆく過程が、明治から大正へと移り行く世相とともに描かれる。堀紫郎、太田仲三郎といった知られざる人々と漱石との交流から、山県有朋、桂太郎などの政界の大物についての話までが盛り込まれ、文学者としてだけの漱石ではない、人間としての漱石像がえがかれている。「明治人も忙しかった」という帯の通り多面的に文人達を捉えようとした試みによって、漱石や石川啄木、森鴎外生きた時代は同時に安重根や東条英機が生きた時代でもあったことに気付かされる。尚この本は全五巻の第一巻であり、以下の続巻では鴎外、啄木そして幸徳秋水が、いかに日々に追われる現在の我々と同じく「忙しく」生きたかを描いている。

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紙の本日本美術史

2001/12/21 23:08

必読書

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 フェノロサ、岡倉天心が再発見した奈良大和の文物について、天心が東京帝大で講義をした、その講義ノートである。この講義を受けた和辻哲郎は天心が「君達はまだあの仏像を見ていないのか、それは幸せだ」と語ったと記している。あの仏像を見るというすさまじい感動をまだ味わい得るからだ。今我々が当然の様に自分達のルーツとして語る大和。それが再発見されてあまり間が無いと知ることは自分達の相対化に大きな意義を持つだろう。

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紙の本貧困旅行記 新版

2001/07/25 16:29

つげ氏の苦悩と我等の苦悩

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 つげ義春氏の作品に、前進、進歩といった現代社会に称揚されている思想への絶対的信頼を見ることはない。つげ氏の作品の中で人物たちは、一種運命に流されるようにして日々を送っている。彼らに、前進、進歩への憧れはあっても、どうしてもその価値観を懐疑してしまう。彼らは全体は、「日々の生活を生きるよりない」という考えをもたされた運命共同体の仲間である。しかし彼ら全体は社会からはみ出した存在に見える。そうした作品を描く作者の旅行記が、名所旧跡を社会に紹介するが如き物になろうはずもない。
 たとえばこの旅行記の作者は、「伊豆の踊り子」の一高生、「雪国」の島村の正統的継承者であるといえなくもない。社会との間に懸隔が生じた時に、そこから逃げ出し自分自身を受け入れてくれる土地を探すのでもなく、自分を疎外しつつある社会に猛然と挑みかかるのでもない。自分を前進させようとか進歩させようとは思わないのだ。そうではなくて旅に出て逃げてみながら、心の奥には常に、逃げてきた社会東京を思い浮かべている。この旅行記は自分の内面を旅する本なのである。
 したがって作者の旅する土地はたとえば福岡や山梨であったりするのだけれど、それらの土地々々が福岡、山梨であることよりも「東京でないこと」のほうが重要なので、この本の中ではあらゆる土地がその固有の土地の名を捨象されているように感じる。我々はこの本中のつげ氏の旅に立ち会うことで、一人の人間の精神的回復に立ち会うことになるのではないだろうか。私は題名の「貧困」を、読了後、精神的未回復という意味で捉えた。  
 この旅の記録はいささか古く、今これと同様の旅をしようにもどうにもかなわない。かつての畦道はアスファルトの道路となり、鄙びた旅籠はビジネスホテルになっていることだろう。しかしこの旅があくまで精神的なものであると思えば、我々に追体験の出来ぬはずはない。作者の抱く社会からの疎外感を感じる私は、この本を読みとても勇気付けられた。一人でも多くの人に読んでみてもらいたい本の一冊である。

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紙の本研修医なな子 7巻セット

2001/12/28 01:11

医者志望者登竜門?

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 ダイナミックなロマンストーリーと息詰まる手術描写、患者の命は、安楽死の問題は……なんて重いものとはあんまり縁のない、新米のお医者さんの奮闘記。医療という男社会、序列社会の中でもけなげにめげずに頑張るなな子先生は、なんて書くとやっぱりちょっと重々しいドラマもあるのかなと思わせてしまうかもしれないけど、奈々子先生は自分を女とも男とも変に意識せず元気いっぱいなのです。作者はお医者さん? と思ってしまうほど、医者ならではの爆笑エピソードが詰まっていますが、きっと取材がしっかりしているのでしょう。絵は少女マンガ的だけれど、皆同じに見える美男美女満載ということもないので、誰にでも親しみやすく、楽しく読めるはずです。
 作品中「なんで『こんなに大変な』医者をめざしたのか」について、げっそりつかれた研修医仲間が語る件がありますが、ブラックジャックにあこがれたのだ、や、小中高と生物係ばっかやってて気が付いたら医学部にいたのよね、なんてのまで、しかしこの研修医ななこの書かれた今は、この本を読んだから医者を志したのだという人もたくさんいそうなほど、ニヤニヤと笑って読める面白い本です。

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紙の本京都帝国大学の挑戦

2001/12/22 22:19

京大にあこがれてます…

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 官僚養成学校などとも呼ばれる東大に対し、京大は明らかに違う色をもって東大との差を明確にしようとしているかに見える。「アカデミックな学風」といった宣伝がそれだ。しかしそれは本当のことなのだろうか。一般に日本一の大学と位置付られている東大に対するルサンチマンにすぎないのではないだろうか。しかしこの本を読めば、京大が東大といかに違う意図のもとに創設されたかが良く判る。京大は、創設当時から東大と違う校風を持つことを広く一般の人々から期待されていたのである。この本は京都大学がいかにして作られたかということを語りながら、帝国大学に憧れを抱く人や、当時の社会の中で大学とはなんだったのかについて知りたい人、日本の大学は一体何にモデルを採っているのかに興味のある人などの、広範な読者層に十分たえうる内容を持っている。読み物としても格段に面白い。京都大学には、これからもずっと挑戦を続けていってもらいたいと思う。

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紙の本行け!稲中卓球部 13巻セット

2001/12/22 01:26

彼らを私は憎めない

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 これは時代の生んだ、若しくは一時代を作った、偉大なるギャグ漫画である。然し、たとえばバカボンが、おそまつ君が、こまわりくんが、恐らくは広い世代に受けたであろう(そうではないかもしれないが)のに対し、この「稲中卓球部」はひょっとすると若い世代に多く受けるものなのかもしれない。というのも、この漫画を貫く独特の「間」は、まさしく若い世代のものであるからである。私は今大学に通う者であるが、この漫画の台詞のやり取りに、自分や自分の回りの友人を強烈に感じる。いままでの何にも無かった新しい感覚がこの漫画によって初めて表現されたのではないだろうか。…などと固いようなことを書いてしまったが、これは実に面白い漫画である、ただただ時代を写して人を笑い転げさせるギャグまんがである。いやはや、楽しいなあ、ハハハ、イヒヒ。

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紙の本町奉行日記

2001/07/25 16:23

町奉行日記

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 昭和35年のこと、沢島忠監督、東千代之介、中村賀津雄主演で、「暴れん坊兄弟」という映画が製作された。私はこれが大好きで「原作 山本周五郎」と字幕の流れるのを見てはいつも、その原作の書を追い求めていた。その原作のうちの一つがこの短編集に収められている「わたくしです物語」である。実に楽しい、読む内に声を立てて笑ってしまう秀作で、お勧めの一編である。また表題作の「町奉行日記」も映画「どら平太」の原作であるらしい。

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紙の本現代思想の冒険

2001/12/28 01:31

判りやすいと思うのでお勧めです。

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 現代思想と聞くと、とりあえず知らなくてはいけないような気になってしまうとか、哲学史を勉強してきたけれど今現在、まさに我々の生きるこの時代における哲学者という人達は何を考えているのか知りたいといった動機や興味に十二分に答えてくれるのがこの本である。やはり現代思想を知るには、現代の思想界で問題になっている事柄が、どうして問題となるのかについての思想史的な背景を知らなくてはいけない。「うへえそいつはうんざりだ、ひょっとするとギリシア哲学から勉強しなくちゃならないのかなあ」。いえいえ、この本が判りやすく現代思想のおもな源泉となったニーチェやソシュールについて解説をしてくれる。目次から少し拾ってみよう。「序  思想について」、「第一章  〈思想の現在〉をどうとらえるか(1.戦後思想の推移、2.マルクス主義の崩壊と現代社会、など)」、「第三章  近代思想のとらえ返し」等々。
 素人には嬉しいことに、作者は哲学の教授ながら「哲学を“耳学問”で済むようなものに引き下げたかった」という意識を持ちつづけている方である。「哲学はどこを切ってもその根は一つの問題に通じている。それは自分が現に生きて思い悩んでいる問題とさほどゆきちがっているわけではない」という言葉通り、わかりやすく、しかし平易であり過ぎない、格好の入門書となっている。オススメである。

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紙の本新書アフリカ史

2001/12/22 01:23

アフリカ史入門

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 アフリカが我々の興味範囲に入ってくることは少ない。しかし、それでもマスコミは「今にアフリカは重要な地域となる」と言い、我々も時に「やはり少し位は知っておかなくちゃなあ」と考える。そういえば、森前首相がアフリカを訪問したことも記憶に新しい。そんなときには、やはり新書から入門するのが手っ取り早い方法ではないだろうか。
 もっともこの本はあまり新書らしくは無い。新書なのに厚さが三センチもあるからである。それにしても考えてみれば、アフリカについて語るには、入門書でもこうして三センチの厚みが必要なのだ、どうしてこれまで我々はアフリカを無視することが出来たのだろう。そして内容が面白い。アフリカといえば動物だと考える、という日本人批判は、今では多くの日本人がナイロビのビルや内地の動乱を知ることによって、いささか古臭い物になってはいる。だが、依然我々のアフリカに対する知識は低い。わかりやすい記述とアフリカ史自体の面白さによって、この一冊はとても読みやすいものとなっている。「歴史好き」といわれる日本人ならば面白く読め、しかも来たるアフリカとの更なる接触に必要な知識を得られる当書は、オトクな本である。

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フランスっぽい絵

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 日常生活の中で良く使われる語が「生活、自然に関することば」、「交通に関することば」といった大まかな分野に分類されており、さらにその中が「趣味、娯楽」「スポーツ」「自然、気候」「花、木」や「乗り物、道路」「駅、列車」「空港、港、旅」といったより細かい分野に分類されている。そして一つ一つの単語にはカタカナの読み方が併記されており、初級者にもわかりやすいよう工夫されている。そしてこの本で特筆すべきは秀逸なイラストである。ページを開いたときに左側には単語が並び、右の頁にはその単語群に関わるイラストが載っている。このイラストをみてページをめくるのもまた面白い。そしてその間に「あれ、飛行機ってなんていうんだっけなあ」といった具合に単語を覚えてしまえたら幸せである。

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マンガはわかりやすくて良いですな

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 孔子、孟子、老子、荘子、列子、孫子、韓非子の主要な言説と、史記、世説新語、大学、中庸、菜根譚の有名な説、禅思想の精神、李白、杜甫の漢詩の漫画化がこの本の内容。例えば孔子なら「吾日に吾が身を三省す」とか「故きを温めて新きを知る」といった言葉を、大体見開き二ページ位で漫画にしている。個々の名言は全て漫画によって書かれているので気軽に読める。マンガと銘打っているだけあって、字ばっかりということもない。字がずらずらと並ぶのは、思想家や書毎に分けられている各章のはじめの概説的解説部分だけである(この解説の部分と巻頭の言葉も面白い)。
 実はこの本は講談社+α文庫に収められた「〜(孔子や孫子)の思想」という、全部で九冊あるシリーズのダイジェスト版である。これをオトクであると見るか、水増し商品と見るかは人それぞれであろうが、私は前者の立場を取る。+α文庫九冊の中から重要なところを取り出してきた本書だけで、十分中国思想の代表達のそれぞれの思想と互いの違いを知ることが出来るからである。
 作者の蔡志忠さんは台湾の人ということで、つまり中国思想を母語で知る人である。しかもベストセラー作家らしいから、内容の確かさは大いに信用して良いと思う。絵もかわいらしく、私は荘子の絵を特に気に入っている。

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「使える!」参考書

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 良い辞書や参考書の条件には様々なものがあるだろうが、その一つとして索引の充実を挙げることは間違いでは在るまい。そしてこの本こそが、中国語参考書におけるその条件を満たした使い易い本である。しかも文法用語とピンインの二種類の索引がついているし、索引にしたがって開いた項目には、関連項目ページ数が傍記されている。また文字が極端に詰まった紙面は読みづらいものであるが、その点この本は余裕を持った紙面作りで、気付いたことを書きこむことも出来る。内容についても高い評価を与えることが出来る。重要な点は太字や赤字で示され、所々には量詞一覧表などが挟み込まれている。現在(2001年末)NHKでテレビ中国語講座を担当している相原茂氏も、わかりやすく学生に勧められる本だと絶賛している。

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紙の本ゼウスガーデン衰亡史

2001/12/21 23:03

面白いなあ

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 井上ひさしの「吉里吉里人」に通じる、巨大な虚構国の歴史を描いたSF大作である。経済的繁栄を武器に、日本から独立した、快楽の追及を旗印に掲げた巨大テーマパーク「ゼウスガーデン」の赴くところは…? 筒井康隆をして「小林恭二にはしてやられた」といわしめた一作で、歴史書の如き確かな叙述が頼もしく面白い。ただ、小林恭二といえば細部のリアリティであろうが歴史の形を採った物語であるため、いささかその細部のリアリティに欠けるきらいはある。しかしつぎの展開の読めぬ、だがその奇想天外な展開には不自然なところの無い語りは実にうまい物であると思う。

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紙の本マクドナルド化する社会

2001/12/28 01:15

身近なマクドナルドは世界につながっている

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 マクドナルドが平日半額を取りやめるらしい。何かにつけ、話題となる企業である。それにしても何故半額が可能であったのか。本書の筆者は、マクドナルドの高度に合理化された仕組みが世界を席巻していることを述べる。半額になった、昼御飯が安く済むと喜んだ陰で多くの人が抱いたであろう一抹の不安は、これからの世界のあり方の不透明さと関わっているだろう。世界的な規模で進む「マクドナルド化」は、世界をどこへと運んで行くのか。とても興味深く読めた。

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