momoさんのレビュー一覧
投稿者:momo
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紙の本盤上の敵
2003/11/30 01:05
本当の敵
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いきなり前書きに、「物語によって慰めを得たり、安らかな心を得たいという方には、このお話は不向きです」という作者の言葉が載せられていたので、一体どんなひどい話なんだろうと読んだ。始めにそう言われて心の準備をしていたせいか、それほど残酷な話だとは思わなかった。ただ、事件の全貌が明らかになった時に、そのあまりに予想外の展開に言葉を失った。鮮やかとしか言いようがないような裏切られ方だった。お見事!!というかんじ。ミステリーにもいろいろな種類があるが、この作品は単なる犯人探しのミステリーとは明らかに異なったものである。人間の心理を追いかけたミステリーで、読んだ後ずっしりと重い。殺人犯と本当の敵は違う。人間の本質にある残酷さが、明るみにでてきて思わず本を閉じたくなるような場面もあるが、その残酷さを知ったうえで、誰かを受け止めようとすることには救いがあるような気がした。
紙の本インストール
2002/04/17 12:05
空っぽの部屋
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雑誌に載っていた著者のインタビューが面白かったので、思わず買ってしまった。多分、現役高校生というのが衝撃的だったからだろう。何気なく本屋で見ていた時は、まず買うことはないだろうと思っていたのにただ純粋に、この子はどんなものを書くのだろうという興味が沸いたのだ。始めの方読んでいて、うまいっ!を連発していた。文体から滲み出てくる、脱力感や焦燥感はおみごとと言うしかない。決してさらさらと読みやすい文章という訳ではない。むしろ一文一文つっかかりがあって、個性を主張している感じだ。あっという間に読み終えてしまうが、そのつっかかりが心に小さな波を起こしてざわざわする。始めの心理描写がとても細かいので、話の結末部分が駆け足のやや物足りないような気がする。学校、ごみ置き場、空っぽの部屋、他人の家の押入れと、どんどん狭くなっていく主人公の空間がネットという世界を通して再び外へと向かっていく。どこか救われる。
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