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Yostosさんのレビュー一覧

投稿者:Yostos

88 件中 1 件~ 15 件を表示

歴史の教科書を信じられなくなる!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『舞い降りた天皇』いわゆる歴史ミステリーです。

歴史について独自視点で新たな仮説と推理で歴史上の謎に新たな結論を導きだ して行くという歴史ミステリーの典型的なスタイルです。その謎解きの過程は、小説上に登場する架空の小説家に仮託して展開されていくというのもよくあるスタイルです。

わたしは、本当はこういったスタイルの小説は好きではありません。どうしても物語りが、現代で展開していく謎解きストーリーと、歴史上の謎そのものという2本立てになってしまい、どちらが主なのかわからなくなるからです。

ところが、この小説は語られる謎が圧倒的で、なおかつ説得力を持って語られるので、そんなスタイルの好き嫌いを越えてのめり込めました。

内容は邪馬台国から大和朝廷成立までの過程の謎に迫っています。学校で習う歴 史では確かに邪馬台国から一気に、いつの間にか大和朝廷が成立していたこと になっていて飛躍している感がありますが、その間の過程を埋める考証がなされています。

魏志倭人伝や古事記/日本書紀を中心に資料を検証し、出雲、福岡、奈良の三 輪山、伊勢神宮などのフィードワークも交えての推論が展開される様子は本当にリアル。天皇家の 由来や縄文/弥生の区別、縄文人とサンカとの関連など、その仮説は驚くほど 大胆ですが、非常に説得力があります。特にわたしは先日たまたま読んだ『 宗像大社・古代祭祀の原風景』の内容と関連していて、「なるほど!」とうなってしまいました。推論としてはかなりの飛躍もありますが、かなりの部分は本当に真実を突いているのでは? と考えさせられます。

これを読むと、対馬の現状について「このままでいいんかい!」という気持ち 半分、「元はと言えば……」とか複雑な気持ちになります。


ただ、小説という形を取っているところはどうしても好きにはなれませんでした。
歴史の 推理の部分が強烈な分、この現代のほうの小説としてのストーリーはかなり練りが甘く、老人の夢っぽい感じがしました。

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紙の本宗像大社・古代祭祀の原風景

2008/11/02 21:57

秋の夜長、古代のロマンに思いを馳せさせてくれる一冊

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中学の頃、福岡に住んでいた。夏休みに暇を持て余して「神社でも回るか」と思ったのは、太宰府天満宮の近くに住んでいたからだろうか。最初に目指して50kmの道のりを自転車を漕ぎだし、途中で挫折したまま一度も音連れたことがないのが宗像大社だ。
「大社」というのは平安のころ延喜式神名帳に大社として格付けされた神社。500ほどの大社があるらしいが、まぁ大きな神社なのだろうとなんとなく思っていた。が、この『宗像大社/古代祭祀の原風景』ってのを読んでみると、とんでもなく古い由来のある神社で、500どころか古代にはベスト5には入っていて、平安のまでもの凄い権勢をふるっていて、それが戦国時代まで続いていたらしい。

この宗像大社の神領、というか御神体のような扱いをされているのが玄界灘に浮かぶ沖ノ島だ。福岡に住んでいながら全く知らなかったが、この島は海の正倉院と呼ばれるほど戦後の発掘調査でお宝がざくざく出たらしい。縄文時代から聖域で、北九州地方の宗像大社が治める地域はもちろん、古代から平安まで数百年に渡って大和朝廷が盛んにこういったお宝を奉納し祈祷を捧げていたらしい。それが、島が神領で立ち入り禁止だったこともあり、宝物がそのまま1000年の時を経て出てきたのだから驚く。

遣隋使や遣唐使の無事を祈ったというのもあるだろうが、大和から遠く離れた地方にあってこの重視の仕方は、とても不思議な感じがする。当時のこの島の神通力と、もしかすると天皇家や大和朝廷の成り立ちに関わっているのでは?という説が出てくるのもうなずける。

この本ではこういった宗像大社の歴史と沖ノ島の成り立ちを解き明かしながら、今年沖津宮現地大祭で禁断の島に立ち入った作者の新しい情報が紹介されている。また、同行した夢枕獏氏との対談も興味深い。

秋の夜長、古代のロマンに思いを馳せるのに最適な一冊。

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あれは定説だったの! と目から鱗

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

題名に惹かれて手に取った本。

わたしの世代だと、Apple IIcが発売されたときに「Dvorakという効率のよいキーボード配列がサポートされる」という記事をよく目にした。そこに必ず書かれていたのは「現在のQWERTYキーボードは、タイプライター時代に高速タイプでアームが引っかかるという問題のためわざとタイプ効率を下げるよう配列されている」という内容。もうこれは刷り込みに近く長年信じていた。

この本を読むと、歴史的にQWERTY配列は決してそんな出生ではあり得なかったこと、上記のようは誤解はDvorakの信者たちの布教活動と一部の経済学者たちの「市場の失敗」例としての恣意的な取り上げ方によるものであることよくわかる。こういった誤解が解けたのはこの本を読んだ大きな収穫だった。

ただ、結局なぜQWERTYキーボードがこの配列となったかは結局わからない。
母音や頻度の低い子音の配置を考慮したらしいこと、当初1(いち)をI(アイ)やl(エル)で、0(ゼロ)をO(オー)で代用したことからI,O,Lの配置が決まったらしいことは分かる。だが、期待していた結局なぜこの配列というはわからないのが残念なのでマイナス。誰にも分からないことかもしれないが。

結局、テレタイプでのエンコードの問題や、タイプライタートラストや市場を独占する企業の意図によりだんだんとQWERTYも規格として統一されていく様子も説明されている。日本のJISと一般的なUSタイプのキーボードが微妙に違っている(例えば@のキー位置の違いなど)は理由がわかったのはなかなか面白かった。
おめえのせいだったのか! IBMめ。

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貴重な手ぬぐいのコレクション

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

落語協会の噺家さんらが作っている手ぬぐいを約三百種、写真で紹介した書籍です。

噺家さんの手ぬぐいは、既製品ではなくほとんどがオリジナルの手ぬぐいです。
噺家さんたちは落語で使うのはもちろん、名刺代わりに噺家同士やご贔屓筋への贈り物などに手ぬぐいをやり取りするのだそうです。そのため、自身で絵や字を書いている方、プロのイラストレータ(中には山藤章二、石ノ森章太郎、手塚治虫なんて大御所も)にデザインしてもらってる方など様々ですが、皆それぞれ工夫を凝らして粋と洒落の詰まったオリジナルの手ぬぐいを作っていらっしゃいます。

すべての手ぬぐいに、監修の玉の輔師匠の解説、噺家さんのプロフィールと自身のコメントが添えられています。手ぬぐいのデザインで、自分の名前をどーんと一面にデザインしている方、判地紋がちらしてあったり、謎掛けやオチがあるものなど意匠もそれぞれで、それらの文章と手ぬぐいと比較して読んでいるだけで、噺家さんの性格がわかったり意外だったりと楽しくなります。

すばらしい手ぬぐいばかりで、といって一般に手に入る物ではないだけに、よけいに物欲を刺激されます。

噺家さんは現在東西合わせて800人程度ということですから、そのうち300種を網羅しているというのは「手ぬぐい図鑑」と言っても過言でないコレクションの素晴らしい紹介書です。資料としても貴重なものとなっていくはずです。

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紙の本大和撫子のための手ぬぐい学校

2008/09/23 19:12

手ぬぐいを見なそう

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

学校に授業に見立てて手ぬぐいの紹介がなされている。

例えば、手ぬぐいの歴史、染め方、色、柄などが、それぞれ歴史、理科、美術、算数の授業に見立てられていて楽しく手ぬぐいの基本的な知識を得ることができる。

手ぬぐいというとある程度年配の方には木綿統制解かれ戦後の生活向上に伴う再普及の過程で生活必需品や年末年始の企業の贈答品というイメージが強いかもしれない。しかし、現在は伝統的な注染という染め方で非常にバラエティの飛んだデザインと晒の風合いから伝統を引き継ぎつつ新しい嗜好品として女性に密かに人気となっている。

この本では伝統的な柄名、色名の由来だけでなく、新しい現代的な使い方、かぶり方、包み方、かばんや小物の作り方まで載っていて、読んでみると必ず手ぬぐいのイメージが変わる。

いくつかの手ぬぐい店のものも交えて紹介されているが「染の安坊」と「京のてんてん][]」の手ぬぐいが中心で、通販もやっているお店なのでカタログ的にも使える。

さて、明日からハンカチ代わりに手ぬぐいをはじめてみよう。

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紙の本ナツメグの味

2008/06/01 00:15

善良でない笑みをあなたに

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

タイトルからもう少しほのぼのとしたクラシックな内容を想像していたが、わたしの中では阿刀田高さんのブラックな短編集に近い印象だ。短編作家として一番活躍した時代は1920-40年代らしいので、このブラックさをその時代に発揮していたのには驚かされる。この感覚は今読んでもある種の新しさを感じさせてくれる。

ブラック一辺倒という訳ではなくて、不思議な話やなんだか前向きな話もあったりして作品の幅が広くそういう意味でも楽しめる。(結末が「??」と理解に苦しむものもあり、この辺は時代のズレか自分の理解力不足か……)しかし、いずれも短編の結末の後に余韻を残し、そして多くの作品は更に後の皮肉な展開を想像し、読者をついニヤリと善良でない笑みに引き込む。

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紙の本やがて目覚めない朝が来る

2008/05/21 23:54

老いと死と、そして子供

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

有加という女性が大女優であった祖母との関わりを少女時代から祖母の死までを追想の形で書かれた物語。あくまで有加の視点で彼女の聞いたことだけが語られていく語り口と登場人物のからりとした生き様で切ない内容ながら読後はとても浄化されて清々しい気分になる。

現代では同居する家族が減ってきているので、親以外の大人、特に老人と触れあったり話したりする機会が限られている。わたしは身近に祖母が同居していたのでこの物語の雰囲気はとっても懐かしく思われる。祖母との関係は当然親とのそれとも違ったし、特に大人との触れ合いを避けたくなる思春期にある種大人でない特殊な大人としてつきあえた気がする。

そして、老いと病からは、どこかで弱っていく姿を見ることになり「やがて目覚めない朝」を迎えることになる。命の重みを周りにぶつけるように主張する大人は多い中、どこかで迎えなければならない死を受け入れ、自身の生きた証も他人の中に求めず、静かに老いと死を見つめつつ、それでも淡々と生きている老人の中にある種の美しさを見る。そして、子供時代に見えたことは「生きること」がより大事に思え、自分もそういう大人でありたいと願うようになれた。

そういうことを思い出させてくれる本だった。

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ブロガーは必携、わかりやすい文章を書く指針!

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

以前かな漢字変換のATOKのオプションとしてこのハンドブックを辞書化した『記者ハンドブック辞書』を使用していて大変便利でした。合わせてこのハンドブックを手元においておくと、非常に参考になります。気をつけて自分の文章をよりわかりやすい表現にしましょう。

かな漢字変換を使用していると、つい漢字を多く使いがちです。例えば「比喩」とか「便箋」とかつい書いています。このハンドブックを引けば「比喩→例え」や「便箋→便せん」などの言い換えを示してくれます。普段は「私」と書いてしまいますが、一般的には「わたし」とひらがな書きした方がよいとかなかなか気づきません。

これは記者が記事を書く時に使用される「新聞用字用語集」をベースに共同通信社でさらに練られたものです。ハンドブックは3~4年ごとに改訂されていますし、「新聞用字用語集」は今回10年ぶりに改訂され、この11版ではそれが反映されています。

これを参考にすれば、ある程度トレンドを押さえ一般的にわかりやすく正しいとされる用字がわかる仕組みになっています。

最近はブログで文章を書いている人も多いでしょうが、こういった一般的な指針を参考にしながら自身の流儀を作っていけば文章のレベルも上がるとはずです。

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闘いたかった新人類へ

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昨年10月に作者の打海文三さんが亡くなった記事を目にしてから、ずっと読 みたいと思っていた作品。

近未来、アジアの経済崩壊、大陸からの難民により無政府状態になった日本で の孤児たちの生き様を描いた作品。

戦争状態なので、戦闘、戦況の描写が多い。無政府状態の日本というとかなり 突飛な設定のように思えるが、アフリカやアジアの状況を見ていると起ること が起れば結構ありえる設定だと思える。戦況の推移は都合がよすぎる 面もあるが、作者の並々ならぬ筆力で淡々と語られるそれはリアリティのある 世界を作りだしている。

上巻は軍隊の中で成長している孤児・佐々木海人の視線で、下巻は女マフィア を形成していく双子の月田姉妹の視線で語られていく。タイトルの「裸者」と は持たざる者・孤児としての両者を指しているとも取れる。

混沌の中で強くなっていく少年・少女の成長物語とも読めるし、否応な戦闘に 巻きこめれていく子供や性的マイノリティら弱者の姿を通して戦争の無惨さを テーマとしているという読み方もあるだろう。

個人的には、この小説は「ガンダム」だ。
就職期には「新人類(ニュータイプ)」と呼ばれた僕等の世代で最初のガンダム がウケたのは、僕等は戦争を知らずガンダムでは子供が戦争の中に居て戦争を しているからだ。僕等の世代は勿論戦後だし60年代の安保闘争に終っていたし、 ティーンになった頃にはノンセクトの学生運動はあったけど学園紛争自体は下 火だった。かと言って80年代の学校が荒れた頃にはもう大学生だった。本当に 紛争とか戦いを知らない世代なのだ。だから、きっと戦争ごっかが好きなんだ と思う。「一個小隊を本部の防衛にあてる。おまえは七個小隊を連れて敵司令 部を攻撃しろ。すばやく、徹底的に叩け!」とか言ってみるのが好きなのだ。

この小説はそんな雰囲気と科白に溢れている。

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紙の本新世界より 上

2008/04/05 16:05

最後の最後まで人の業の救いなきこと……

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

少女の一人称で語られる物語、描かれる世界は昭和初期を思わせる農村的風景、世界感を支配する「呪力」に架空の生物たち。なんとなく宮崎駿的ファンタジーを思い浮べながら読みはじめた。

ローレンツの動物行動学に発想を得たという、オオカミなど凶暴と言われる動物以上に同族への攻撃抑制ができない人間の不完全さが全編に渡って描かれている。描かれる人間の業は、後半に向けて繰り返し更に救いの無い形でより深く描かれていく。

かなり悲惨な展開の中で主人公の強さということが物語でも出てくるが、どちらかというとこれは展開上の必要性で与えられた属性でテーマは人間の業の救いの無さにあるように読める。

そして、最後の最後で更に救いのない形で世界を反転させてみせる結末ははSFとしてもホラーとしても見事と言える。これだけの長編で膨大な伏線とエピソードを張り巡らしながら、どれもが無駄なく論理立って繋っていき、なおかつ読後にテーマが一本の軸でブレれていないと読者を唸らせる作者の力量は並のものではない。

基本的にはホラーな人なのでかなり描写がグロな部分があるが、それが受容できる方にはお勧めの一冊。ページ数はかなりあるが一気に読めてしまう。

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紙の本ランドックの刻印

2008/03/02 19:53

SFは向いていない……

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「アウラ」についでシリーズで重要なキーワードとなっている「ランドック」がついにタイトルに。

10巻近く続いていた記憶喪失編もこれでピリオド。
だが、なんとなくすっきりしない。記憶喪失自体はもともとこの物語の発想が「コナンシリーズ」に刺激されたヒロイックファンタジーとして出発しているのだから、主人公があるとき記憶や地位などを一切失しなって一から冒険を求められるというのは伝統ではある。だが今回はどうだろう。10巻分が無かったことになっただけ……

また、古代機械に入ったとき古代機械のグインの扱いにかなりグインが何者であるかの示唆が示されている。だが、個人的にはかなり違和感あり。1960年代のSFを読んでいるよう。この人はSFは書かないほうがよい。

本編も長い歴史の中でなかなか衝撃的な進展を見せた巻だが、「あとがき」もかなり衝撃的。作者の栗本薫さんが胆管癌(後に[神楽坂倶楽部][]で膵臓癌であったとの記事)との告白がありビックリ!

まだまだ物語は終りそうにないし、早く健康を取り戻していただきたいものである。いっそのこと、今回の巻で古代機械にグインを入れた際、そのまま古代機械を動かしてノスフェラスへ、且つ時空も越えて過去へグインを転送してしまったことにして、「一巻に戻る」とかって落ちではダメ……だよね。


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食について考えるきっかけになる本

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

なんとなく手に取った本。

食品添加物の元トップセールスマンだった著者が実体験に基づいて語る食品製造の裏側は、ミートホープ事件やなど「まだ、肉を使っているだけマシかも」と思わせるほど恐ろしい。もしかするとでっち上げだった段ボール肉まんレベルのものを食べさせられているのは私たちかも!?と疑ってしまうほど。

よく考えると子供の頃は不便だった。食品の持ちも悪かったし、すぐに食せるインスタントなものはチキンラーメンくらいのものであった。今は不審に思いつつ便利さに負けて「便利な食品」を利用する。不審に思っても確かめる術がなかった。

この本を読むと「なるほど!」と思う。
たしかにわたしにとってはコーヒーフレッシュの話など衝撃的な内容もあった。が、闇雲に食品の危険を訴えている本でない。きちんと添加物の功罪が書かれている。

自身、家族、子供などの食について考えるよいきっかけになると思う

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紙の本キマイラ青龍変 新版

2007/11/26 13:59

弘です、わたしはこのとき目覚めたとです……

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

長かった。
以前文庫本で出版されたキマイラシリーズが加筆された単行本が発行されるようになってから、「今後は、文庫本ではなくまず単行本で先行して出版していく」という宣言がなされた。そして2002年に文庫本をまとめた最後の単行本『キマイラ 8』が出版されて以来初めての単行本だ。
今回は本伝から少し離れて、サブキャラクターである龍王院弘が宇名月典善に出会った若き日から格闘家(?)としての目覚めまでを追ったストーリーになっている。信じられないことにいじめられっ子だった弘が典善の導きで天性の才能を開花させていく過程は、この蛇のような二人だけにほほ笑ましい少年の成長物語とはなりえない。どちらかというと凄惨な場面も多いが、それでもちゃんと成長物語として成立しているところはさすがに夢枕獏。
そして、馬垣勘十郎も登場して、人間の常識を超えた技と技、力と力の格闘シーンが続く。もう、これは、『獅子の門』や『我狼伝』の世界だ。そして、キマイラシリーズだけによりエグい。が、男の子ならば血に沸き起こるものを感じずにはいられない一冊。

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紙の本赤とんぼの謎

2007/10/30 21:25

子供に語ろう! 赤とんぼの話

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この虫の中でも赤とんぼというニッチにテーマを絞り込んだマニアな本。

内容は一章で日本人と赤とんぼとの関わりについて語ったあと、アキアカネの話、ウスバキトンボの話、その他赤とんぼ全般の話とまとまっていて読みやすい。

日本ではこれほど風物としてなじみ深いトンボが、外国では「刺す」という誤解もあって忌み嫌われていたり無視されていたりするというのは驚いた。日本のように親しみを感じるのは水田で稲作を行う韓国や台湾に限られているというのも興味深い。また、有名な「赤とんぼの唄」について語られている蘊蓄はさすが!

赤とんぼが羽化して後避暑のため山に登って秋に帰ってくるという話はわたしでも知っているくらい有名だが、それはアキアカネというトンボの話で、一般に見られる赤とんぼには大きく分類するとこのアキアカネと外国から飛来するウスバキトンボに分類できるというのも初めて知った。本のタイトルになっている「謎」とは、

1. アキアカネは何故夏の間山に移動するのか? (避暑のためのというのはあくまで説らしい)
2. ウスバキトンボはどこから来て、何故日本に来るのか?

の2つが大きく取り上げられている謎である。

結局、研究家の方が集めたデータやそこから著者が考える説がいくつか示されるが、決定的な結論に至らないところは少し歯がゆい、もともと著者は大学の研究員だった方が、現在は愛好家として趣味でトンボを研究しているようで、結論に至るデータを集めて検証するには膨大な採取とデータの分析が必要なので限界があるのだろう。トンボにそこまでの資金を提供する研究機関もないのかもしれない。

しかし、あまり学術的に難しい話にならずにわかりやすい内容なので興味本位でも十分に楽しめる内容になっている。最後に環境の問題も出てくるので赤とんぼという目に見える形で環境を考えるというのはよい啓蒙のアプローチだろう。

身近な虫だけに子供たちに聞かせる蘊蓄としてはよいテーマだし、威張って話ができそうだ。

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最後のいくさ人として生き様

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

隆 慶一郎の遺作『死ぬことと見つけたり』を久しぶりに読んだ。

あの『葉隠』から、よくもまぁこんな痛快な物語を編み出したものだと今さらながら感心する。葉隠をベースに江戸初期の鍋島藩を舞台に浪人斉藤杢之助の活躍を描いた物である。

隆 慶一郎といえば、『影武者徳川家康』などで代表されるよう網野史学を下敷きに自由民、職能民(道々の者)と体制、権力者との戦いを描くというのが得意とする作風である。

この作品もやはりこれから本格的に江戸幕府の体制に移行する時期に、戦国時代が終わり活躍の場を失いつつあるある種の職能民「いくさ人」である斉藤杢之助、中野一馬、鍋島直茂らが、体制側である鍋島勝茂、老中松平信綱らとの戦いが描かれている。そして、彼らのいくさ人としての苛烈さが姑息な体制側との対比で鮮明となり隆慶一郎の本領である痛快な時代劇に仕上がっている。

ただ、どの作品においても、最初は痛快であるが後半は必然として時代が体制側へと流れていき、主人公たちはある種の悲しみを纏うことになる。どの主人公もその悲しみを笑い飛ばす奔放さを持つため、爽やかな読後の印象につながる。残念ながら、この作品は作者の逝去により未完に終わっているが、解説に示されてる斉藤杢之助などの最後を読むと、『影武者徳川家康』などと同様素晴らしい作品に仕上がっていただろうと思わせる。

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