山本 新衛さんのレビュー一覧
投稿者:山本 新衛
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紙の本龍時 01−02
2002/09/03 12:00
熱いスポーツ小説なら別腹
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▼久しぶりにスポーツ小説をたんのうした。▼埼玉・草加の小料理屋の息子が、突出したドリブル突破力と持ち前の負けん気で、スペイントップリーグのピッチに最年少デビューを果たすという、ワクワクのサッカー物語である。▼あまりにもすべてが調子よく行きすぎる、との感もないでもないが、読後の爽快感は、間違いなくこの調子のよいテンポから生まれていることも確かだ。▼「リュウジの体内に燃える龍」といった陳腐な表現も、「スポーツ小説は、こうでなくちゃ」と、最後は拍手を送っていた。そう、なにが何でも目標貫徹の気概と、恋愛感情だけは別腹なのだ。▼一方で、あまりに高度な戦術や技術にこだわりすぎたり、国籍の問題、両親の離婚、ヤクザに成り下がった父親の扱いなど、もっと軽いタッチにすればいいのにな、という気はした。なぜなら、すべて剛球勝負のため、これらの脇を固める事柄であっても、1章を割きかねない勢いだからだ。リュウジの目線と呼吸に同調している読者には、煩わしいといえる。▼いずれにしても、元気のいいスポーツ小説をどんどん読みたい。衰退著しいといわれる「ノベルズ」で、スポーツ小説の新シリーズでも創刊したらどうだろう。活性化間違いなしと思うのだが。
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