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商品説明
スペインU−17との親善試合に出場した志野リュウジは、世界との壁に愕然とする。そんな彼のもとに、スペインのユース育成担当から連絡が入り…。『Number PLUS』連載に書き下ろしを加えて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
野沢 尚
- 略歴
- 〈野沢尚〉1960年愛知県生まれ。日本大学芸術学部卒業。「破線のマリス」で第四十三回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。「深紅」で吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に「反乱のボヤージュ」など。
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紙の本
誰か、この小説を漫画化してくれ!!
2003/12/08 18:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:徹志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
非凡なサッカーセンスを持つ主人公・リュウジは、16歳のある日、U-17スペイン代表との親善試合に召集される。だが、監督が採った作戦は、リュウジの突出した突破力を活かすのではなく、なるべくリスクを避けて守備的に試合を運ぶというものだった。スペインの圧倒的な攻撃力の前に防戦一方の日本だったが、監督の意図を無視して、リュウジはドリブル突破を試み、点を決める。試合後、点差以上の敗北感を感じた彼は、ここにいたんじゃダメだ、と組織にこだわり過ぎる日本サッカーへの嫌悪感を抱くようになる。そこに飛び込んできた、スペインのクラブチームからの移籍申し入れを、躊躇うことなく承諾する。
移籍先のチームで出会ったチームメート達は、チームの勝利より自分が目立てるプレーを優先するという、一癖も二癖もある連中ばかりだった。当然のようにボールが回ってこない状況にリュウジは苛立つ。だが、ある日の試合、ひとつのプレーからチームに変化が起きる。
この小説、何より描写が素晴らしい。試合でのプレーひとつひとつからは主人公の息遣いが、街並みの描写からは人々の喧騒や木々のざわめきが聞こえてきそうなリアルさがあるのだ。それを支えているのは、サッカーへの惜しみない愛情と丹念な取材なのだろう。
特に、試合の描写は圧巻だ。ドリブル、パス、シュート、全ての描写がまるで目の前で起こっているかのような圧倒的な臨場感を伴って、脳裏に入り込んでくる。読みながら、眼前(想像上の映像)のプレーに手に汗握ってしまう。
肝心のストーリーはというと、作者曰く「ひねくれている」というリュウジだが、ひとつの物事に一生懸命に打ち込む彼の姿は、なかなかどうして清々しい。苦悩しながらも、一筋縄ではいかないチームメートとの信頼を深め合っていく様に惹きこまれてしまう、良質の成長譚だ。そこら辺のサッカー漫画よりも断然面白い。
サッカーはもとより、スポーツ漫画が好きな人にも、是非オススメしたい一冊だ。
紙の本
脛を削り合う音が聞こえてきそうなほどのリアルさがたまらんぞ
2003/10/29 16:29
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投稿者:キムチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年のW杯で熱病に浮かされたにわかサッカー・ファン必読かも(^_^;)。裏側はこういう積み重ねで表舞台へ出てくるのだよ、と教えてくれます。いつの間にかテニスから鞍替えして今やでっかい顔してサッカー通気取ってる某大作家さんよりは、意外や意外、『破線のマリス』等ミステリ畑の野沢尚の方がサッカー好き好き人間の琴線に触れる作品をしっかり提供してくれました(某大作家さんもドーピングネタで描いてるようですが…暇があったら読んでみましょうか(^_^;)。中田や川口やらちょっと名が売れたサッカー小僧との交流を売り物にしてしゃしゃり出てくるのもいい加減にしたらとご忠告モードで…さて本書。帯で稲本のコメント引っ張ってますが、内容はサッカーミーハーとは一線を画すハードな本格サッカー小説! ハードボイルドしてるよな>志野リュウジ。
ストーリー自体は、漫画にも出てきそうな在り来たりな展開丸出しなのですが、サッカー小僧の息遣いがグラウンドレベルで感じ取れる臨場感。脛を削り合う音が聞こえてきそうなほどのリアルさがたまらんぞ。リュウジの疎外感が個人主義の巣窟ヨーロッパでさらに磨きが掛かり研ぎ澄まされた孤独感へと、サッカーベースで話は進んでいきますが、スペインでの人間模様とともに少年の成長譜としてもかなり読ませます。
ただ、『ナンバー・プラス』連載当時の作品と、間に合わせに書き足した最後の数章との出来不出来の差が軽みとなって画竜点睛を欠くきらいはあるけれど瑕疵にまでは至らず、リュウジが高校生ゆえに主戦場はユース…それでも結構手に汗握っちゃう試合の描写。本人はまだまだ浅いサッカー観戦歴と謙遜しておりますが、サッカーのコアな部分をしっかり掴んで読者にフィードバックする良質なサッカーライター(創作部門)であると個人的に認定致します。読後『ああ、生試合見たいっ!』って来る欧州シーズン開幕に思いを馳せること請け合い。本作品の続編=その後のリュウジを読みたかったのであるが、出ましたね『02-03』。『03-04』構想も既に練っているらしく期待してしまうのではないか。
紙の本
単身スペインに渡るサッカー少年の闘い
2002/05/12 23:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は16歳の高校生でサッカー少年リュウジ。スペインU-17との親善試合に突然呼ばれて出場するが,その試合で日本のサッカーに絶望する。ドリブルを得意として,もてるだけもったうえでラストパスを送るという司令塔タイプを目指すリュウジ。違うタイプだが,監督によって大事にされる自分より上の同世代の少年がいる上に,監督は組織だけを大事にする。また,リュウジは,何のために自分が呼ばれたのか疑問に思いながら,守りに専念させられる。そして,相手はすさまじい強さ。
ところが,その試合を見ていたスペインのサッカーチームのオーナーに見初められ,スペインに呼ばれ,少年は即座にスペインへ渡ることを決意する。
おもしろい。試合中のリュウジの眼を通した心理描写と相手の分析はするどく,また,サッカーの描写も迫真。もっとも十六歳の少年にここまでの分析ができるとはとても思えないが。
スペインに渡って,少年リーグでの苦労もまた,丁寧な描写でおもしろい。仲間たちやその親達。そして,少年の下宿先のお爺さんと娘。そして,お決まりのパスをもらえない話から,チームの中に受け入れられるようになるまで。皆同じ苦労をしているのだろう。
もっともそこからのとんとん拍子での話はちょっとテンポが速すぎる。もっと,じっくり描いてほしかった。次作があるということで期待したいが,ここからもっと急に活躍するのはちょっと行き過ぎだ。どうなるか。
紙の本
熱いスポーツ小説なら別腹
2002/09/03 12:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山本 新衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
▼久しぶりにスポーツ小説をたんのうした。▼埼玉・草加の小料理屋の息子が、突出したドリブル突破力と持ち前の負けん気で、スペイントップリーグのピッチに最年少デビューを果たすという、ワクワクのサッカー物語である。▼あまりにもすべてが調子よく行きすぎる、との感もないでもないが、読後の爽快感は、間違いなくこの調子のよいテンポから生まれていることも確かだ。▼「リュウジの体内に燃える龍」といった陳腐な表現も、「スポーツ小説は、こうでなくちゃ」と、最後は拍手を送っていた。そう、なにが何でも目標貫徹の気概と、恋愛感情だけは別腹なのだ。▼一方で、あまりに高度な戦術や技術にこだわりすぎたり、国籍の問題、両親の離婚、ヤクザに成り下がった父親の扱いなど、もっと軽いタッチにすればいいのにな、という気はした。なぜなら、すべて剛球勝負のため、これらの脇を固める事柄であっても、1章を割きかねない勢いだからだ。リュウジの目線と呼吸に同調している読者には、煩わしいといえる。▼いずれにしても、元気のいいスポーツ小説をどんどん読みたい。衰退著しいといわれる「ノベルズ」で、スポーツ小説の新シリーズでも創刊したらどうだろう。活性化間違いなしと思うのだが。