ちはるさんのレビュー一覧
投稿者:ちはる
紙の本イヌのいいぶんネコのいいわけ イヌとネコにともだちになってもらう本
2003/09/05 23:18
子供にも読める優れた入門書
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いや〜良い本です! これ見よがしに可愛い子犬や子猫の写真が散りばめられてるので、どうかと思ったんですが、読んでみたら優れものの入門書でした。例えば「イヌやネコに触る前に気をつけることは?」「どこなら触ってもよくて、触っちゃいけないのはどこ?」よそのイヌにいきなり近付いて、ガシガシ背中を触って無言で去って行く子供に、読ませたい気持ちでいっぱいになりました。とはいえ、これ読んだ翌日に息子がしでかしたことを思うと、ぜひ親子で読んでおくことをお勧めします。
「イヌネコを飼う前に」もぜひ読んで欲しい。厳しい現実のことも書かれていて、「これができないなら飼わない方がいい」ときっぱり言ってくれてます。ああ、だから可愛い写真で和ませつつなのね、と納得。「イヌやネコと仲良くなりたい、できれば飼ってみたい」と、軽い気持ちで思う人ほど読んでもらいたい、まさにそのための本です。もちろん、真剣に考えている人にもかなり参考になるはず。
イヌネコ初心者へのプレゼントに最適、ではないでしょうか?
紙の本カブトエビの寒い夏
2003/08/19 00:30
今年だから読み返したい本
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また、冷夏がやってきました。米を買うばかりの者にとっては「じゃあまた米不足ね」「二度目だし、何とかなるわ」くらいの話題かもしれませんが、農家にとっては深刻な事態でしょう。本書の内容は、発行されたばかりの頃よりも、今年に入ってからの方が胸にくるような気がします。
主人公は、生き物の好きな農家の末息子。その日も田んぼで妙な生き物をつかまえて、いつものように飼育を始めます。それがカブトエビ。私も小さい頃田んぼで見ましたが、「オタマジャクシじゃない変なモノ」としか思わず、捕まえはしたものの、透き通った体に血のような色が見えて「吸血かもしれん」と放してしまった覚えがあります。とまれ、少年は、手元で成長と繁殖を繰り返すものと、田んぼにいるものとを比べてみたりして、いっぱしの研究を試みます。
そのうちに、どうも今年は冷夏らしいということがわかってきます。大人達もできることは全部するんですが、それでもどうしようもなくなります。立ったままの空の稲穂に、俯きそうになる気持ち。そこに、不思議に光を差すのが、この小さなカブトエビでした。その辺は、作者もちょっと言いよどんでいて、読者の汲み取り能力が試されてる気がしますが、おそらく、冬も乾きも、何年かおきに静かに忍び寄ってくる冷夏にも、丈夫な卵の形で命を繋いでいくカブトエビのように、我ら人間も、しぶとく、長い目で適応して、頑張っていこうよ、と言いたかったのでは、と思います。
そんなわけで、お話としてはおさまりが今ひとつですが、読んで啓蒙されることは沢山ありました。今年こそ読みたい本、お勧めです。
紙の本ニホンザルの山
2003/01/19 17:17
今一番子供に紹介したいニホンザルについての本
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世界で一番北に棲んでいる、人間以外の霊長類は? =下北だけでなく日本にいるサル全部です。では、日本にサルは何種類いるでしょう? =答えはニホンザル1種類、屋久島に棲むヤクザルは亜種とされています。ちなみにニホンザルは日本にしか棲んでませんよ、念の為。
著者は、檻で囲った動物園でもなく、餌付けで寄せる野猿公園でもない、日本の山の中を自由に遊動するニホンザルの後を追いかけて、研究をしている方です。子供向けに書かれたこの本にも、ほとんどの私達が普段目にすることのない、自然な姿の山のサルが描かれていて必見です。時折ニュースに登る観光地の暴れザルや山畑の猿害についても書かれていて、この薄い本に、近年のニホンザルに関する知っておくべき知識が大変うまくまとめられて納まっています。
上の問いに答えられなかった人は、大人も子供もぜひ一度この本を読んで下さい。そして、同じ日本列島に生息している仲間として、ニホンザルをちゃんと知っておいて欲しいと、心から願っています。
紙の本ボーソーとんがりネズミ
2002/11/12 22:14
「動物物語」に辟易しているクールな生物愛好家の方々も大丈夫!
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ボーソーとんがりねずみ…こう聞いたら、まず大抵の人は、表紙のような黒グラサンかけた暴走族ねずみを思い浮かべるのでは? 正確には「房総トガリネズミ」、民話では人語を解すると伝えられ、絶滅したはずの、千葉土着の生き物です。…えっ本当?
ユーモラスな筋立てですが、野生生物とのコンタクトというものが実に良く描かれています。ゴキブリと間違って(!)母にはたかれてしまったトガリネズミを淡々と保護する少年の姿や、どう見ても奇妙なトガリネズミの行動に、そうだったらいいな、と思いつつ、思い込みは極力控えるところなど、もう納得! よくある感動を押しつけてくる動物物語とは、一線を画しています。
そして、出来上がったばかりの何にもない新興住宅地で、引っ越したばかりの友達もいない夏休みに、少々うんざりしている主人公の少年が、リアルです。日本中、特に首都圏周辺に、ゴロゴロいそう。そんな彼らにも、どうかこんなちょっと素敵な出会いがありますように…。今夏この本を課題図書に選んだ選者の声が聞こえてきそうです。