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葉月さんのレビュー一覧

投稿者:葉月

20 件中 16 件~ 20 件を表示

紙の本項羽と劉邦 上巻

2002/12/14 09:04

壮大な歴史絵巻

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漢の始祖・劉邦と猛将・項羽の戦いは、あまりに有名だ。この戦いから「四面楚歌」や「背水の陣」という名言も生まれた。
歴史の授業でも漢文の授業でも習うし、今さら本書を読まずとも……と思う人もあるかもしれない。
けれど、これはただの歴史書ではない。
普段聞き慣れない地名や人名など、当時の時代を背負った緻密な設定描写により、一見堅く味気ないかのようなこの作品だが、苦労するのは最初だけ。
一度世界に入ってしまうと、もう抜け出せない抜群の面白さがある。
フィクションかノンフィクションか、の違いだけで、そこに書かれているのはやはり、紛れもない一つのドラマである。
広大な中国を舞台に、個性と魅力に溢れた登場人物たちが、司馬氏の筆を借りて現代に甦ったかのように活き活きと動き回る様は痛快でもあり、彼らが様々な知略と思惑を駆使して行なうかけ引きは、どんなサスペンスをも凌ぐ息をつかせぬほどの展開の妙を思わせる。
もちろん、ただの物語としての面白さだけではない。
時代が違えば常識も価値観も異なり、現代に生きるわたしたちには、理解し難い彼らの常がある。それでも、そこにいるのは紛れもなく「人間」であり、彼らの悲喜こもごもを見るにつけ、人間というものの愚かさ、素晴らしさを思わずにはいられない。
そしてそれこそが、「歴史を知る」ことではないだろうか。
戦国という世は、人をもっとも裸にしてしまう恐ろしさがある。その者自身が持つ資質が、これでもかと言うほど露になる。
「もしもこの時代、自分が生きていたら?」
そんなことを思って本書を読んでみるのも、また一つの楽しみ方かもしれない。

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紙の本呪われた町 上

2002/12/09 09:49

怖がりたい、あなたに。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

わたしは、恐怖に鈍感な人間だとしばしば思う。

有名無名の多くのホラー映画を見たけれど、どれも「怖い」と実感出来るほどの恐怖感はなかった。
本に関しても、話題になったオカルト本や心霊体験集、ホラー小説をいくつか手にとってはみたものの、さしたる感動もなく記憶の彼方へと追いやられていった。
当時の自分は、正直「恐怖」という娯楽に落胆し、見下していたように思う。所詮人間が作り上げる恐怖などこの程度のものだ、と。そんな風に高をくくっていた。
そんな時、キングという作家を知った。
知らない人間はもぐりだ、と言われるほどに、すでにスティーブン=キングという作家は、日本でも有名なホラー作家となっていた。
「へぇ、そんなにすごいホラー作家の作品なら、一つ読んでみようじゃないか」
そう思って手にとったのが、この「呪われた町」だった。

家に帰って制服を着替え、さっそく部屋に寝転んで読み始めた。
最初の印象は、いやに読みやすいな、というものだった。読みやすいから、どんどん読み進んだ。
しかしページを捲るごとに、自分が緊張していくのが感じられた。
この緊張感はなんだろう?
わからないまま、まるで操られているように、一心不乱に読み進んだ。
母親の「ごはんよー」という声すら聞こえなかった。
いきなり肩を叩かれて、飛び上がるほど驚いた。
いぶかしげな顔の母親に、興奮しきった声でわたしは叫んだ。
「すごい面白い本を買っちゃった!」

夕食を終えると、また自室にこもって続きを読んだ。
読めば読むほど、手に力が入る。
結局その日の内に、上巻を読み切った。
半徹夜の頭で学校へ行き、またその帰りに同じ本屋へ寄って下巻を買った。……わたしの悪い癖だ。いつも上巻だけ買って、後で下巻も買うべきだったと後悔する。

眠い頭で、それでもまた熱心に下巻を読んだ。
背中がゾクゾクした。
読み進めるのにためらいがあるのに、読まずにはいられない。
何かに憑かれたように本を読むわたしを、家族が呆れた目で見ていた。
読み終わった途端、激しい脱力感と、まだ何かに追われているような、そんな感覚に陥った。
慌てて周囲を見回し、不浄へ向かう時も廊下の闇に怯えた。
—— わたし、怖がっている!?
初めての経験だった。

キングという作家のこの作品に出会い、わたしはようやく恐怖を知った。

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紙の本ウォッチャーズ 上

2002/12/09 09:18

犬好きの人、読んでください。

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なんて贅沢な本だろう……。
それがわたしの最初の感想です。

まず初めに訪れるのは、孤独。そして恐怖。不安。驚愕。
安らぎ、喜び、情熱、悲しみ、祈り、そして愛。
この作品では、そんな虹のような「ドラマ」が、ギュッと凝縮されて、一つのお話になっています。
読者はおそらく、主人公トラヴィスに共感し、同調し、ページを捲るたびに、彼と同じように驚いたり、喜んだり、悲しんだりするでしょう。
そして彼と一緒に、相棒のアインシュタインを連れて冒険し、恐ろしい敵に立ち向かい、愛する人を守りたいと願うでしょう。
エンデの書いた本に登場する少年のように、本の世界に入り込み、手に汗握りながら広大な冒険の世界へと旅立つのです。

わたしは敢えて、細かなあらすじは教えません。
物語は全て、その本を手にした人のものです。ページを捲るあなたの手だけが、その続きを教えてくれます。

最後に。
この作品には、ブレーキはありません。
一度ページを捲ったが最後、エンディングを見るまでは、本を置くことすら辛く感じるかもしれません。
わたしは大失敗して、最初にこの上巻しか買わず、翌日また下巻を購入するため、同じ本屋まで走る羽目になりました……。
くれぐれも、試験前にちょっとだけ、なんて軽い気持ちで読み始めたりしないように……ご用心。

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狂気という名の恐怖

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

乱歩を推理作家だ、と言って異論を唱える人はいないと思う。
けれどわたしは断言する。
乱歩は恐怖作家である、と。しかも「超一流の」ホラー作家だ。

文章に追い詰められる感覚を初めて味わったのは、スティーブン=キングの「呪われた町」という作品だった。
ホラーの帝王と呼ばれたキングは、読者を追い詰めるのが実に上手いと思う。まるで蜘蛛の糸にからめとられた小さな虫のように、恐怖が牙を剥いてじわりじわりと迫って来るのを、読者はなすすべもなく待っている。
乱歩の作品は、読んでいる最中はさして怖いと思わない。淡々とした文章で、まるで無声映画を見ているような気分で読み進められる。
けれど読み終わった直後、首筋の辺りにひやりとしたものが伝わる。
不吉な黒い霧が、自分の周囲を覆っていることに気付く。
その瞬間、恐怖の種が自分の内部に植え付けられたことを知る。

恐怖は、外からやって来るとは限らない。

そんなことを、乱歩の作品は教えてくれる。

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紙の本デボラがライバル 1

2003/01/07 03:47

世界一ドラマチックな恋?

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若い世代では「いたずらなキス」、ちょっと古い世代では「愛してナイト」と、常に少女マンガ界の第一線で活躍されてきた、多田かおるさんの隠れた名作(と、勝手に思っています)。

この作品の主人公朝代は、かわいいけれどちょっと(かなり?)ドジで抜けてて、気が弱くてボケてるところも多くて、きっと傍にいたらイラつかされてしまうんじゃないかなぁと思える、そんな女の子。
そして朝代のお相手は、とってもカッコイイけど実はおかまのデボラ。おかまというのは語弊があるかもしれないけれど、とにかく並みの女の子より女らしくて、特殊な家庭環境のせいでかなりの女嫌い。こちらも身近にいたら引いてしまいそうなタイプ。
けれどそこはそれ、さすがの多田マジックで、この個性的すぎる二人が、読んでいるとどんどん好きになっちゃうからとても不思議。
デボラに一生懸命な朝代はいじらしくて本当に可愛いし、何気に朝代を守っているデボラも、言葉遣いなんて気にならないほどカッコイイ。
多田さんの描くキャラクターはいつも活き活きしていて、読んでいると必ず応援したくなっちゃう特別な魅力を持っている。
そして随所に施された笑いのエッセンスと目まぐるしいほどのドラマチックな展開が、まるで楽しいジェットコースターに乗っているかのように、物語の中へとぐいぐい読者を引き込んでゆく。
色んな壁を乗り越えて、徐々に惹かれあい結ばれていくヒロインとヒロイン?(笑)。
とてもドラマチックで素敵な恋のお話が、ここにあります。

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