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比加理さんのレビュー一覧

投稿者:比加理

3 件中 1 件~ 3 件を表示

成長過程の人類

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本は同シリーズの「カウントダウンエンブリオ炎上」の前編にあたる。「〜炎上」を読む前に、まずこちらを読まないと、せっかくの幕引きも感動が薄くなってしまうので注意して欲しい。
前後編という扱いだが、二冊手に入れる価値はある。

見所は、各章ごとに冒頭にある一行詩。詩と呼ぶと語弊があるかも知れないが、これがまさにエンブリオ、さらにはすべての生き物に対するメッセージのような存在となっている。
ちなみに、この詩は後編にも受け継がれ、しかも嬉しいことに、後編の最後のページに見開きで詩が載っている。それだけでも「エンブリオ」の読者としては嬉しい。わたしの場合は、読後の印象がさらに強くなった。

この本は、「最強」と「侍」の邂逅編とでも呼べばいいかも知れない。
「最強」は言葉の通りすでに敵もなく、だからこそ物足りなさを感じている。一方「侍」は、自分の力が至らないばかりに苦悩する。
「エンブリオ」は「生命の胚芽」と言う意味合いもあり、殻を突き抜ける——本書では「突破」という表現を使っている——ことによって、ひとつの段階をクリアするというイメージだ。
殻の中に詰まっているのは「可能性」。だが、その可能性を開花させることができるかどうかというのは、本人次第だ。
読後、そんな印象を持った。丁度悩んでいた時期でもあったので、この本に出会えて、少し吹っ切れた。いい意味でポジティブに切り抜けられたと思う。

ブギーポップらしいシリーズで、これまでのシリーズが面白いと思った人は、まず間違いなく楽しめる。

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紙の本バッカーノ! The rolling bootlegs

2003/05/10 08:02

一気読み!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

時は禁酒法時代のニューヨーク。「不老不死の酒」を巡って、マフィア、警察、民間人をも巻き込んだ、大きな螺旋が描かれる。
裏組織「カモッラ」の構成員、泥棒のバカップル、マフィア「マルティージョ・ファミリー」の三兄弟、不老不死の酒に取り憑かれた老人、それに人形のように仕える女性、復讐をもくろむチンピラ、警察機構…それぞれの行為と思惑が、面白いほどの偶然で、さらなる激流を生み出していく。
まるで映画のような視点の切り替えとテンポの良さに、一気読み!
登場人物の多様さも、バランスがとれていて好感が持てる。

「不老不死の酒」を巡る物語の始まりは、少しばかり時代をさかのぼる。
学問の探究者、「錬金術師」。古来より錬金術は様々な学問を研究してきたが、その中のひとつが「不老不死」である。
ある日、錬金術仲間の一人が悪魔を呼び出した。悪魔は契約に従い「不老不死の酒」とその製造法を与える。「不老不死の酒」は等しく全員に振る舞われたが、製造法は悪魔を呼び出した錬金術師だけが知っていた。
去り際、悪魔はひとつの置き土産をする。「不老不死」である者が「死ぬことのできる」方法。仲間が皆死に絶えて、最後の一人が死にたくなったら、その時は悪魔が殺してやるという約束。
不老不死である者が死ぬ方法——言い換えれば、「不老不死」である自分を「殺せる」ということ。その恐怖。
そしてその手段を用いれば、死んだ者の知識が継承できる——。

そして賽は投げられた。
ここに、二百年にわたる妄執の幕が開く。追う者と追われる者のデス・ゲーム。
決戦の舞台はアメリカ、禁酒法時代のニューヨーク——。

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最後にひとつ残るものは……

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

すべてを与えられたもの。
まさしくその通りだと思った。「パンドラ」の題名にふさわしい内容だ。
「パンドラ」とは言わずと知れたギリシャ神話の有名なエピソードである。けれど、聖書で言うアベルやカインのように、非常に誤解されやすいという性質もある。本書の冒頭で、末真和子と霧間凪がそれらについての会話をしているので、ここでは詳しい説明は省くことにする。

物語の中心は、未来が予知できるという少し不思議な力をもった、六人の少年少女たちだ。一人一人の能力は不完全だが、その能力故に孤独を感じている。最初はなんの接点もなかった六人だったが、引き寄せられるかのように一点に収束し、つるむようになる。
同じものを共有する「仲間」たちとの、満たされた時間。
それぞれ別の、不完全な能力を六人で補い合い、笑って泣いて喧嘩して、まるですべてを与えられたかのような、もうこれ以上満たされることのない関係。
けれど、その関係にも終わりがくる。
知っての通り「パンドラの箱」のエピソードは、箱の中からすべてが飛び出て、最後のひとつをかろうじて箱の中に閉じこめることができたという話だ。
最後のひとつは「希望」で、それがあるからこそ、人はどんな苦境にあっても生きていられるのだという。
彼らは、彼らの共有する「未来を予知する能力」のせいで大きな陰謀に首を突っ込んで、まともにあおりを受ける。すべてを持っていたといえるほどの幸福な時間は、あっけなく終わる。悲劇的な話だが、わたしは別の感想を持った。
「すべてを外に放り出すと、最後に残るものがある」と言うことだ。
この悲劇的な話にも、「最後に残るもの」がある。
これから彼らがどうなっていくのかは誰にもわからない。彼らは一人一人では不完全で、与えられたもののほとんどは失ってしまっている。けれど一歩を踏み出した。
最後にひとつ残るものは、それは「希望」である。

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