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小山 博之さんのレビュー一覧

投稿者:小山 博之

6 件中 1 件~ 6 件を表示

大合併の舞台裏で繰り広げられた,臨場感あふれる人間ドラマ

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 「今後3年間でクライスラーの従業員2万6000人を削減し,6工場を閉鎖する」。世紀の大合併といわれてダイムラー・クライスラーが誕生したのは1998年5月。それから3年もたたない2001年1月,予期もしなかった旧クライスラー部門の大幅赤字で,北米での自動車事業に大なたを振るうことを余儀なくされた。誤算はどこから生じたのか。
 ダイムラーとクライスラーは,製品でも顧客層でも販売地域でも重複しない。相互補完型の合併といわれた。しかし,これは裏を返せば,重複の整理によるコストダウンの余地も小さいことを意味する。そして,当初からある程度は心配されていた,両社の企業文化の違いが表面化することになる。伝統的なドイツ企業らしく形式と階層的組織を重んじるダイムラーと,いかにも米国企業的で簡潔で形式張らないクライスラー………。
 しかし,現時点で所期の合併効果が上げられないのは,旧ダイムラーのトップから新会社のCEO(最高経営責任者)となった,「ランボー」の異名を持つ豪腕のシュレンプに,旧クライスラーの経営陣が太刀打ちできず,クライスラー側が「抜け殻」のようになってしまったからのようだ。その象徴が共同CEOでありながら,その任期を3年と決められ,ストック・オプションだけで7000万ドルを手にして早々と退職してしまった,旧クライスラーのトップ,イートン。そのほか,合併をめぐるさまざまな人物が登場し,この本を読みごたえのある人間ドラマに仕立てている。
 2人の著者はいずれもジャーナリスト。綿密な取材で臨場感にあふれ一気に読ませる。合併を前にした両社重役の相手本社への相互訪問をはじめ,印象に残るシーンが随所に散りばめられ,ドラマを厚みのあるものにしている。ダイムラー・クライスラーの合併の成否はまだ即断できない。これからどんなドラマが展開するのか,同じ著者たちによる続編をいずれまた読んでみたいと思わせる本である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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リーダーに必要な21の資質を,軽妙な語り口で分析。豊富なエピソードが魅力

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 牧師からコンサルタントに転じた著者が,いろいろな分野の偉大なリーダーたちを分析,その結果を21の資質に要約し,機知縦横の語り口で解説する。リーダーシップに関する本は山ほど出版されているが,本書は凡百の類書と異なるのは,分析の鋭さと豊富な事例に裏打ちされた説得力にある。21の資質そのものは人格,不屈の精神,コミュニケーション,勇気,洞察力,集中力,独創性,前向きな姿勢,問題解決力,対人関係能力,責任感,自己規律,奉仕の精神,ビジョン,カリスマ性など,取り立てて珍しくはないが,その切り口が鮮やかである。
 たとえば「カリスマ性とはこの人についていきたいと思わせるもの」と簡潔に定義。カリスマ性は一般に考えられているような,神秘的で天与のものなのではなく,開発できるものだとする。人をひきつける人間になるには,人生を愛しこんな人といっしょに過ごしたいと思われる人物になれとする。また人は希望を与えてくれるリーダーに引きつけられるとして,ナポレオンの「リーダーは希望を売る商人」という言葉を紹介する。
 次に読者に向かって,自らカリスマ性があるかないか判断し,なければどうしたらいいかを提案する。そこではカリスマ性を発揮するうえでの障害として,不安,不機嫌,完全主義,冷笑癖とともに過剰なプライドをあげ,「自分が他人よりすぐれていると思っているリーダーに従おうとする人はいない」と忠告している。
 21の資質がそれぞれ9〜10ページで要領よくまとめられていて読みやすい。また優れたリーダーの名言が多数散りばめられているのも楽しい。「成功の目安は,処理すべき難題を抱えているかどうかではなく,去年と同じ問題をそのまま抱えているかどうかである」(元米国務長官ジョン・フォスター・ダレス)といった具合だ。現在,リーダーの立場にある人にも,また将来,リーダーを目指す人にも好個の読み物である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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冷酷と慈悲。新資料を駆使して,巨人ロックフェラーの矛盾した人間像に迫る

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 製鉄王アンドルー・カーネギーらとともに,19世紀の米国資本主義の草創期の基礎を築いたスタンダード・オイルの創業者である石油王ジョン・デイビソン・ロックフェラー(1839〜1937)の生身の人間像を浮き彫りにしようとする意欲的な試みである。ロックフェラーは私生活が知られるのを嫌い,終生,秘密主義を通したこともあり,これまで毀誉褒貶(きよほうへん)が絶えなかった。石油の一代帝国を築いた天才経営者として賞賛される一方,株式交換やトラスト(企業合同)結成で,ライバル企業を次々に傘下に収めていく強引な事業展開の方法がしばしば非難された。そうかと思うと,敬けんなバプテスト派信者であり,ロックフェラー財団を設立した世界最大の慈善家でもある。
 こうしたさまざまなロックフェラー像をどう解釈したらいいのか。すでに『モルガン家 金融帝国の盛衰』『ウォーバーグ ユダヤ財閥の興亡』で数々の賞を受け,財閥家族史の研究家として定評のあるロン・チャーナウがロックフェラーの私信や埋もれていた資料の発掘,インタビューなどによって,企業の発達史ではなく,人間ロックフェラーに焦点を絞り,喜怒哀楽のある一人の人間の姿を描こうとしたものであり,それはかなりの程度,成功しているといっていい。
 とりわけ興味をひくのが,家を何カ月も留守にしてインチキ薬を売って,西部辺境を彷徨していた父親ウイリアムの存在である。時にろうあ者を装って同情を引き,時に得意の射撃の腕を披露して客を引き付けるなどの手段を弄(ろう)する悪賢いなペテン師だった。ロックフェラーが高校を卒業して商品取引を始めると,父親は金を貸してやり,あくどく取り立てては息子を怒らせたという。それは息子を鍛えるというより,単なる利己心から出たもののようで,後年,高いシェアを武器に,ライバル企業を強圧的に屈伏させ「冷酷,悪魔」とも批判されたロックフェラーの経営手法に少なからぬ影響を与えたようだ。
 著者はロックフェラーの人間像を「敬虔と貪欲,哀れみと悪魔のような狡猾さを合わせ持つ」と要約している。ともあれ,あのビル・ゲイツの4倍以上の資産を築いたという米国歴代第一位の富豪にして,複雑極まりない内面世界を持つ巨人(タイタン)の内面を知る手掛かりとなる,興味の尽きない本である。ただ,上巻,下巻それぞれが600ページを超す大著で通勤電車で気軽に読むというわけにはいかないのが難。
(C) ブッククレビュー社 2000

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企業の課題解決へのヒントをビジネス・スクールの教授陣が実証研究に基づき提示

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 企業が抱えるリーダーシップのあり方と,社会問題などへの倫理的対応という大きな課題に,どう対処すべきかを考えるうえで示唆に富んでいる。米ペンシルバニア大学ウォートン・スクール,英ロンドン・ビジネス・スクール,スイスIMDという世界のトップクラスのビジネス・スクールの教授たちが,実証研究と鋭い現実分析から,これから企業のトップやビジネスマンが取り組むべき視点を明らかにしている。
 これから求められるリーダーシップは,従来の決断力に優れた男性型だけでは不充分で,人間同士の公正さに関心をもち,調和を重んじる女性型ともいうべきもう一つの側面を備えるべきだとする。そして,ともすれば混同されがちな「支配」と「リーダーシップ」を次のように区別する。支配とは「侵略的で,何かを強制し,1カ所に縛り付け,息の根をとめる」ものだとし,支配型トップをいただく組織は破滅すると警告する。これに対してリーダーシップは「他人の気持ちをほぐし,自由にさせ,解き放ち,感動を与える」まったくの別物だという。男性型,女性型という相互補完的な2つの側面を合わせもつ真のリーダーシップこそが必要だと指摘する。
 一方,倫理的対応については,広告,マーケティング,など幅広い角度から企業の取組むべき姿勢を論じている。ただ,その中で「金銭を支払わなければとてもその社会で通常のビジネスを合法的に行うことができないなら,わいろはとても避けることのできないものだ。また不承不承行うものでもなければならない」としている。慣習に抵抗しながらもわいろを払えといっているのだ。国ごとの個別事情など考慮することなく,ビジネスを失っても倫理に厳しい企業という名誉を守った方が長い目でみてプラスだと明確な方針を打ち出している米テキサス・インスツルメンツ社のような企業もある。読者はこのあたりをどう判断するだろうか。
(C) ブックレビュー社 2000

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ウェルチの発言をリーダーシップの観点から分類,解説したユニークなデータベース

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 米国の経済誌フォーチュンは20世紀最高の経営者(the greatest manager of the century)に米ゼネラル・エレクトリック(GE)社会長兼CEO(最高経営責任者)のジャック・ウェルチを選んだ。ちなみに20世紀最高の実業家(the business man of the century)に選ばれたのは自動車王ヘンリー・フォードだった。現在,米国ではウェルチはあのヘンリー・フォードに比肩する存在として認められているということである。
 本書は81年に45歳でGE会長に就任して以来のウェルチの膨大な量の発言をテーマ別に分類し,解説したもので,今日,ウェルチに関する多数の本が出版されている中でも異色の切り口といえる。独自の視点に基づく人物論や一代記とは異なり,生の発言を基に読者が自由に考えを巡らすことができる仕組みといえる。発言の出典は巻末に一覧表として明らかにされている。米国のフォーチュン,ビジネスウィーク,ハーバード・ビジネス・レビュー,ウォールストリート・ジャーナル,ニューヨークタイムズ,ワシントンポストから英国のエコノミスト,ファイナンシャル・タイムズ,さらに日本の日経ビジネスの編集長インタビューからも引用されている。
 「成功しているときの経営は難しい。自身と傲慢はまったく別物であるが,成功はこの両方を育ててしまうことが多く,変革を求める姿勢を鈍らせてしまうからだ」「常に自らを新しくする。過去を切り捨て,変化に順応していく。そういう会社に私たちはなりたいと思う」など日本企業の足どりを振り返り,今後を考えるときに参考となる傾聴すべき発言が至るところに見出せる。
(C) ブックレビュー社 2000

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歴史好きのビジネスマンには格好の決断の指南書。信長,秀吉など英傑20人に学ぶ。失敗例も分析

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 企業経営で最も大切なのは人である。特に,難局に直面した時のリーダーの先見性,判断力,勇気が企業の浮沈を決める。それは,経営史をひもとけば明らかである。成功の事例もあれば,反面教師となる失敗のケースもまた多い。
 本書はリーダーの意思決定のケース・スタディーだが,その材料をすべて歴史上の英傑にとっている。登場人物は戦国時代から幕末の将軍まで全部で20人。それらを,選択肢が他にない「絶体絶命における決断」,いずれの方法を選ぶかが問われる「二者択一における決断」,八方ふさがりの中で生き抜く意志が試される「正念場における決断」の3つ分け,決断のポイントを解説している。
 桶狭間の合戦で今川義元を破った織田信長。兵力は4万対3000と劣勢だった。篭城しても持ちこたえられそうにないし,平野に打って出れば壊滅するのは明らか。そこへ今川軍が桶狭間に向かっているとの情報。狭い狭間なら大軍といえども細長い隊列とならざるをえない。信長はこの機を逃さずに一気に攻めて九死に一生を得る。難局打開の勇気と情報を重視した素早い動き。現代の企業経営にも適用する教訓を読み取ることができる。
 その他,味方が敵に包囲されて退却を余儀なくされたとき,最後尾にとどまり敵の追撃を食い止める危険な役を自ら買って出て組織内の信頼を得た秀吉,藩という組織存続のためあえて肉親の情を捨てて,敵将にとらえられた父を,撃てとの父の指示があったとはいえ,敵将もろとも撃った伊達政宗など。成功事例だけでなく,失敗例も分析している。明智光秀が信長を討ったものの諸将を味方にできず,「三日天下」に終わったのは「事後の展望を伴わない暴走」だと断じている。
(C) ブックレビュー社 2000

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