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高原 慶一朗さんのレビュー一覧

投稿者:高原 慶一朗

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本不況もまた良し

2001/03/29 18:15

日経ビジネス2001/3/19

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2月26日に、早稲田大学の経営セミナーで「アクション重視と経営理念」をテーマに講義させていただいた。松下幸之助氏の『経営百話』を座右の書にしている私としては、氏の「自己観照の大切さ」を引用し、人間は油断するとすぐに自惚れてしまいがちで、そのためにも忠告してくれる師や友人を持つことの大切さを失敗談を交えてお話しした。
 講義をしながら四半世紀前の邂逅を思い出した。上場を目指して東奔西走していた40代の頃に参加したある経営セミナーでのこと。幸之助氏が70代の頃で、講師を務められたあと、何かを学び取ろうと思って、生理用品事業をやっていることを告げたところ、逆に「生理用品ってどんなもんでんねん?」「ナプキンってどないやって作りまんねん?」などと詳しく質問され、一生懸命説明したら「そら、ええ商売やと思いまっせ」と言ってくださった。競合との価格競争で悪戦苦闘していた頃で、随分勇気づけられた。
 幸之助氏に関するサクセスストーリーは枚挙に遑いとまがないが、この本の特徴はその題の通り順境の中ではなく、逆境下でその環境をいかに受け止め克服したかにフォーカスされている点だ。
 好況は良いが不況は困る、と普通は考える。幸之助氏は違った。曰く“好景気の時は、駆け足をしているようなものだ。一方、不景気はゆるゆる歩いているようなものだ。駆け足の時は他に目が移らないから、欠陥があっても目につかないが、ゆるゆる歩いている時は前後左右に目が移るから欠陥が目につき、修正訂正ができる。”つまり、不況で商品が売れない時は、それまで目が届かなかったアフターサービスを消費者の立場で見直したり、忙しくてできなかった社員研修を実施して人材育成を図るなど、改革への真剣さは10倍に上り、不況なりにメリットがある。不況で停滞している時こそ、「千載一遇のチャンスになる」ものだ。危機=危険+機会と言われるゆえんである。
 全編にわたってそのような具体事例が生き生きと描かれており、幸之助氏の商人としての遺伝子は逆境の中で醸成されたということがよくわかる。同時にその遺伝子を社会に広く継承しようとする幸之助氏の意気が感じられる。
 バブル真っ盛りの頃、幸之助氏の教訓「土地は使う時に買いなはれ、株はその会社を応援する時に買いなはれ」を愚直に実践していれば、「失われた10年」は存在しなかったであろう。海は荒れる日もあれば穏やかな日もある。だが波の下は、それほど変わらないものである。
Copyright (c)1998-2001 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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日経ビジネス2000/11/6

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 タレント、笑福亭鶴瓶さんの「鶴瓶の家族に乾杯」という人気テレビ番組がある。鶴瓶さんがゲストとぶっつけ本番で日本各地の家族を訪問し、そこで繰り広げられる人情味溢れるふれあいが好評である。
 主役は、何といってもお年寄りと子供である。“名優の演技も子供と動物には勝てない”と、映画の世界では言われるが、朗らかなお年寄りが、純粋で元気な子供に囲まれている様子は、それだけで絵になる。
 見ていて思うのは、高齢・少子化もむしろ少子化が問題なのであって「健全な高齢化」は歓迎すべきことではないかということである。長寿国ニッポンと言われて久しいが、お年寄りが元気で暮らせる国であり続けていれば誠にめでたい話である。
 本書では、直面した高齢・少子化社会で、人々がその生活を支えるために、どのような商品・サービスを望んでいるかに焦点を当てている。自立社会を促進する一助として、これからの生活直結産業がどのように展望されているのかが、例示されている。データも豊富なので、起業家の方がフィージビリティースタディー(事業化調査)をするにも役立つ。
 ビジネスチャンスの発見は、高齢・少子化のネガティブな面を是として発想しても失敗する。高齢化であれば、紋切り型の弱者救済型ビジネスから頭を切り替え、厚生省が提唱する「寝たきりゼロ」を推進するようなところにチャンスは生まれる。少子化であれば、少なくなった子供に贅沢をさせることを考えるより、子育ての楽しさが実感でき、子供は社会の宝だと再発見できるようリードするところに成功の糸口がある。
 介護保険施行時はもてはやされた介護ビジネスも現在は悪戦苦闘しているが、高潔な志を持ち続け政府も規制改革を継続すれば必ず活路は開けると確信している。
 また本書では触れられていないが、育児環境では、小児科医の減少が近い将来問題として顕在化するのではないか。石原慎太郎東京都知事の救急医療体制構想も、仏ほとけは作られて(都立病院の休日・夜間診療体制)あとは魂を入れる(人材育成と現場末端のレベルアップ)段階に進んできている。
 土日は当直で潰れて、平日の夜中も呼び出し、お正月もお盆もなし、という生活をしても、報酬面でさほど考慮されていないのが、小児科医、救急医、集中治療室医であると聞く。魅力のある仕事であるから、若い人たちがこれらの科を選択してくれる体制が整うと、数も増え良い方向に向かうだろう。
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日経ビジネス2000/8/28

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 ここ数カ月、何社かで発覚した品質管理における杜撰さの露呈は、企業の情報開示における危機管理のあり方を示した。さらに近年の過度な株主偏重主義・業績至上主義を見直し、ステークホルダー(利害関係者)間でバランスを取りながら経営にコミットすることの重要性を図らずも強調することになった。
 まえがきにもある通り、我々は「株主を重視するアメリカ型経営」と「従業員を大事にする日本型経営」の2つのベクトルの中でこの10年経営のあり方を模索してきた。これに対し、本書はまさに新たな経営モデルの枠組みと手法を提示したものである。
 商品・サービスに不具合が生じた時、株主の困惑はもちろんであるが、消費者の安全は脅かされ、社員は生活面で不安を覚え、取引先は生活の糧を失い、社会には不信感が蔓延する。
 「個の時代」の到来とともに、規格大量生産方式のプロダクトアウトからマーケットインに移行したが、21世紀の企業戦略の条件はステークホルダーコミットメントだと考える。
 消費者へは安全で差別化された品質・サービスを提供し、株主へは業績に連動した配当や、希望が持てるビジネスプランを約束し、取引先とはバリューチェーンとして連携し、社員へは青天井の処遇で報い、社会へは環境に配慮した企業であり続けることだ。
 著者は、そのような企業努力から生まれるブランド価値の数値化と、財務指標としての開示を提案する。確かにブランド価値を資産の部に計上した方が、実態を正しく把握できる業種もある。赤字にもかかわらず高株価を維持している企業の存在は、市場が暗黙のうちにそういう評価基準を採用していることにもなる。ブランドからの情報が十分にあれば販売量まで予測可能となる。ブランドは資産である。
 近年、欧米ではそのような「ブランド」を包含したレピュテーション(外部からの企業評価)を重視する傾向にある。企業イメージやブランドは、広告や広報活動など、「発信」で形成されていくが、レピュテーションは「相互の信頼関係」である。
 レピュテーションの醸成には、受信力と発信力に秀でることが必要条件で、対象はマスコミ・オピニオンリーダー・ステークホルダー・非政府組織(NGO)と範囲は拡大し、人には人徳、企業には「社徳」を求める評価軸へ変化しつつある。ますますトップの魅力が求められ、社内外へビジョンを示し、企業に新しい風を吹き込むリーダーシップが欠かせなくなってくることを本書は気づかせてくれる。
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日経ビジネス2000/7/3

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 1989年のベルリンの壁崩壊、今回の朝鮮半島の南北対話と、戦後の冷戦構造が終焉を迎えている。一方日本に目を向けると、消費者としての日本人は多様化しているが、半面、世界というステージの上では、日本人のアイデンティティーがますます問われる時代が来ている。
 歴史的に見て日本は、世界的に最先端の兵器を、早い段階で使用されるという悲運にありながら、奇跡とも言える平和を長期間享受できた稀有な国である。元寇の時は、てっはう(鉄砲)という新兵器の洗礼を浴びたが「神風」に助けられ、黒船による恫喝に屈しはしたが開国によって近代化の道は開かれ、太平洋戦争では世界で初めて核による被爆国となったが米国一国の占領により分割は避けられた。
 そのような不運と幸運の綱渡りの真因は、いずれも己を知り敵を知ろうとする世界観の欠如ではなかったか。21世紀に向けてますます世界の垣根は低くなる。いつまでもニッポンでいることを世界は許してくれなくなる。
 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国(万葉集巻第十三)
 題の「言挙げせよ日本」は万葉集から引用して、言葉に出して特に言い立てないことを美徳としてきたことに触れ、そのような価値観との決別の手引書としてこの本は書かれている。
 松原久子氏は以前より比較文化論を展開、日本人が世界でどう考え行動すべきかの示唆を与え続けて今も米国から警鐘を鳴らし続けてくれている。
 <今日、国際社会を動かす方法や手段は長いヨーロッパの歴史のなかで培われたものであり、それには地理的環境、自然風土、宗教が大きな役割を果たしている。この方法や手段は後にアメリカへ移植され、高度な情報技術を使いつつアメリカはまさに地球規模の戦略を展開している。この本は、ヨーロッパとアメリカの歴史をこの観点より辿ることによって、日本人に必要な糸口を掴もうと試みている>
 90年代米国経済の活況をもたらすきっかけともなった85年の大統領産業競争力委員会報告書(ヤングリポート)は米国経済再活性化についての「取扱説明書」では決してなく、中長期的な戦略を示した明確な処方箋だった。日本も熱しやすく冷めやすい国民性をそろそろ直す時で、長期のスパンで息の長い戦略を構築するクセをつけ、それを世界に示すべきである。
 ビジネスにおいても世界の垣根は限りなく低くなり続ける現在、21世紀に向けていかに戦略を構築すべきかの精神的示唆を与えてくれる1冊である。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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