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  3. 日経産業新聞さんのレビュー一覧

日経産業新聞さんのレビュー一覧

投稿者:日経産業新聞

29 件中 16 件~ 29 件を表示

2001/09/03

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 終戦後の混乱の中から再出発した日本の自動車産業。欧米メーカーに「がらくた」と酷評された小さなクルマは三十年で欧米市場を席けん、貿易摩擦に発展するほどの隆盛を誇る。だがその二十年後にはグローバル再編の渦に巻き込まれ、今や国内メーカー十一社中七社までが欧米メーカーを筆頭株主に仰ぐ。
 本書は、目まぐるしい「自動車の世紀」の軌跡をインタビューを通じて検証する。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの完成車メーカートップだけでなく、部品メーカーや販売会社の経営者、銀行家として再編の黒子役となった中山素平氏(日本興業銀行名誉顧問)や〓外夫氏(三井住友銀行特別顧問)、貿易摩擦を巡る対米交渉にかかわった官僚などが登場。節目節目に当事者たちが何を考え、どう行動したかを語っている。
 例えば「自分の城は自分で守れ」というトヨタの企業風土の源流となった一九四九—五〇年の経営危機。戦前からの販社トップの証言には、大労働争議で車両の出荷が止まる中、販社経営者たちを前に豊田喜一郎社長(当時)が突如辞任を表明したという秘話も盛り込まれている。題材は自動車産業だが、日本経済の盛衰史としても参考になる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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2001/08/20

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 筆者は武田薬品工業の専務を経て、昨年六月から同社顧問。徹底した成果主義で知られる武田薬品の人事政策を長年にわたって指揮してきた。
 本書は一九九四年から本格的に始まった同社の人事制度改革の歩みとその要点を余すところなく記述している。人事担当者にとって貴重なケーススタディーとなるだけでなく、一般の社員にとっても「何のために働くのか」「働きがいとは何か」を見つめ直す参考になりそうだ。
 柳下氏の主張は明快だ。仕事の成果に対して公正な評価で報いることを人事制度の根幹に据える。背景には「どんな反論があろうと、人事制度が組織の活性化を目指すものであるのなら、今後の方向性は成果主義しかあり得ない」。「成果主義は、むしろ人を育て、人を大事にするシステムである」との確信がある。
 もちろん、年功序列を排した制度の導入には反発も伴う。本書には実際に起こったトラブルや労働組合の反発なども盛り込まれており、単なる成功談に終わっていないのが特徴だ。「透明性と納得性の高い改革を(役員など)上から導入する」ことが何より重要だと主張。経営者にとっては耳の痛い内容かもしれない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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紙の本金融の権力

2001/08/10 18:15

2001/08/06

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 筆者はフランスを中心に発展したレギュラシオン(調整)派に属する経済学者。レギュラシオン派は市場が不安定で矛盾をはらむという視点に立ち、本書も米国のハイテク株下落やアジア通貨危機などのエピソードを織りまぜながら、グローバルな投機経済の本質をえぐりだそうとする。
 市場の参加者が共有する一群の信念を指すコンベンション(共有信念)という概念が全体を貫く。インターネットバブルが象徴するように金融市場がしばしば経済の現実とかい離しながらブームとパニックを起こすのは株式相場が企業の収益性だけではなく、共有信念に大きく影響を受けるという論理を展開する。
 独自の市場観に並行し、企業経営や国民生活の隅々にまで金融市場への依存がいかに進んでいるかを歴史的なプロセスを踏まえて分析していく。結論として導くのは、市場が長期に安定した集団的な評価を維持できない以上、「大規模な修正の動きが起こるだろう」という予想だ。
 筆者は投機の危機の繰り返しから脱却する道筋を明快に示しているわけではなく、市場の効率性に疑念を持つレギュラシオン派としての予定調和に終わっているということができるかもしれない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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2001/07/02

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 シンプルに考え、行動することが力の源泉だ——。一般的なビジネス書のように最新の経営手法やコンセプトが紹介してある訳ではない。市場のグローバル化や顧客ニーズの多様化など企業を取り巻く環境変化への対応に頭を悩ませている経営者にとっては、いささか拍子抜けするほど単純かつ明快な論旨が一貫して展開してある。
 企業経営を単純化するためにはどうすれば良いのか。取り組むべき問題を絞り込めるかがポイントで、それができれば自然と目標や解決策も明確になる。その際に興味深いのは、経営を複雑化させる要因の一つとして、経営コンサルタントを痛烈に批判している点だ。海外と日本の企業ではコンサルタントの活用状況について単純に比較することは難しいが、経営者が自ら考えず、安易に社外の人材に頼ってしまう経営姿勢を厳しく問う。
 「真の経営者というのは、上下に関係なくすべての社員に対し、ビジネス目標を明快、正確に、はっきりと伝える信念を持っている」。引用されている米ゼネラル・エレクトリック(GE)のウェルチ会長のコメントは、日本の企業や経営者が新たな活路を見いだすヒントとなるかもしれない。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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紙の本あきらめるな!会社再建

2001/06/22 12:17

2001/06/18

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 倒産寸前の企業をいかに再建するか——。単なる解説ではなく七十ものケーススタディーに基づいて、再建への道筋を示す。著者は造船、建設などあらゆる業種の企業再建を手掛けてきた弁護士。再建には「モノ」「カネ」があって「ヒト」が動く、という経済原則を首尾一貫して説く。
 例えば銀行が融資してくれない場合、自前の資金でどこまで事業が続けられるかを、手形の決済日、給料の支払日など「日繰り表」を作り、支出・収入のすべてを確認することの重要性を訴える。不振の建設会社が工事受注を優先し、逆に赤字を膨らませる事例などで持論を肉付ける。債権者に対する根回し、労働組合との交渉など再建のヒントをふんだんに盛り込んでいる。更生会社といえども、日々の営業活動から生まれる利益なくして再建はありえない。往々にして再建計画が借入金返済を第一義的にとらえている点に疑問を呈する。
 著者はある更生会社の保全管理人に就任し、従業員にこうあいさつした。「お前の会社は再建するに値する企業だ、と権威ある裁判所から認定された。自信を持って業務に専念してくれ」。法律論に偏りがちな類似書とはひと味違う再生ノウハウがつまっている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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紙の本図解民事再生法

2001/05/09 12:18

2001/04/27

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 昨年四月に民事再生法が施行されて一年が経過した。同年七月には百貨店のそごうが同法を申請し、一躍脚光を浴びたが、同法の趣旨は従来の和議を全面的に見直し、企業の早期申請・再建を助けるというもの。申請件数は三月末までに七百五十四件に達し、企業の大小にかかわらず幅広く同法を活用している様子が浮かび上がっている。
 とはいえ、法律の運用が専門家以外に分かりにくいのは同法も例外ではない。本書は項目ごとに具体例と図解を多用し、専門用語を極力排除したのが特徴。数多い民事再生法解説書のなかでも理解しやすい入門書の一つだ。しかも、同法での重要なキーワードについては末尾に簡単な解説と、関連する条文を記載する工夫が施されている。
 著者は民事再生法が将来の統一倒産法制の第一歩になると期待する。つまり会社更生法と民事再生法が、並列した再建型の手続きとして統合され、次の段階として、清算型の手続きである破産法や特別清算も統合し、最終的に再建型と清算型の手続きを統一した法制を整備すべきという考えだ。そこには法律は現実に応じて使いやすくあるべきという主張で一貫している。事業再生、倒産処理、不良債権回収などを国内外で実際にビジネスとして経験しただけに、法解釈だけで解決の道を探ろうとする日本の法曹界の現状には不満を隠さない。
 本書では民事再生法そのものだけでなく、同法を申請した企業の合併・買収(M&A)ビジネスの将来性に言及し、広がりを持たせている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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2001/3/2

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 企業価値を評価する際に貸借対照表(バランスシート)に載らない「資産」にも光を当てるべきだとの考え方が日本でもようやく本格化してきた。その資産の代表がブランドだ。特に日本企業は世界に通用する商品は多く販売しても、世界に通用するブランドはソニー、トヨタなどごくわずか。日本の経営者のブランドに対する認識は低く、社名とブランドの違いも明確に分からないほどと指摘されている。しかし、グローバル化の進展とネット時代の本格的な到来で企業間の競争や消費者の企業を見る目が厳しくなるなか、企業が世界で生き残るにはブランドを確立し、価格以外の面で他社と競争する戦略が欠かせないものとなっている。
 本書が唱えるブランド・リーダーシップとは、戦略と展望を備えたブランド構築概念のこと。マーケティング戦略を超えた長期的な企業資産として位置づけている。
 デービッド・アーカー氏は米カリフォルニア大バークレー校の名誉教授でブランド論の第一人者。本書は同氏によるブランドに関する著作「ブランド・エクイティ戦略」「ブランド優位の戦略」に続く第三弾で、同氏のブランドもの著作の集大成ともいえる。一方、共著者のエーリッヒ・ヨアヒムスターラー氏はブランド・コンサルティング会社の最高責任者(CEO)として活躍している。
 本書の特徴の一つは理論と実学の両面からアプローチしており、具体的な企業の例を成功、失敗の両面から数多く引用している点。ブランド戦略担当者や経営者にとっての実用書として説得力に富む内容となっている。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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2001/2/9

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 コーポレートガバナンス(企業統治)のあり方を巡る議論が活発になっている。企業の持ち合い株式の解消や外国人株主の増加などを背景に、「会社はだれのものなのか」といった議論が産業界や学会などで展開されている。
 日本経営者団体連盟(日経連)の昨年の夏季セミナーは、経営者の多くが従業員を中心とする幅広いステークホルダー(利害関係者)の利益を企業が重視すべきだとしたのに対し、一橋大学の米倉誠一郎教授が「米国型の株主重視を貫くのが日本企業の発展につながる」として議論の応酬になった。
 本書の著者である伊丹敬之氏の主張は米倉教授とは異なる。伊丹氏は以前から従業員を中心とする「人本主義」と呼ぶコーポレートガバナンス論を展開してきた。本書はその集大成だ。著者によると、日本企業の企業統治は「建前は株主主権、本音は従業員主権」。それは「日本の企業社会全体が戦後、米国の標準的な企業システムとは違う生き物を無意識の試行錯誤の中から作り出した」という。
 八〇年代までは有効に機能した人本主義だが、九〇年代の日本企業の低迷を招いたのは「人本主義がオーバーランしやすい原理であることに十分な配慮をしなかったから」とみる。株主による経営者のチェックが機能しにくい日本で、ガバナンスを改革するポイントとして、企業のミドル層を中心とした従業員による経営者の信任投票制度の創設を求めている。
 ドイツの企業法制度が従業員の主権を一部で認めるように、企業統治は国や文化によって異なる。日本型の統治のあり方を考えるうえで、本書は参考になる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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紙の本よくわかる成果主義

2000/12/26 15:31

2000/12/15

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 ゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者(CEO)ジャック・ウェルチ氏は、四十四歳のジェフリー・イメルト氏を次期CEOに指名した。
 就任時期は来年末。半年先の経営環境を予測するのも難しい時代に、「一年以上も先の人事を今発表するのはリスキーでは」とも思えるが、株式市場はいまのところ、CEO交代を好意的に受け止めている。その理由について、「最後まで三人の候補者を競わせるなど、プロセスの透明性が高かったから」とある米国人コンサルタントは話す。
 企業の規模を問わず、経営者が頭を悩ます最大の懸案は後継問題という。といっても、GEのケースをそのまま当てはめてみたところで、市場の評価を受けられるとは限らない。人事・報酬制度の改革で日本企業が陥りがちなのが「仏つくって魂入れず」。本書流にいえば、「人事制度がうまく働かないのは、『形』を導入することが目的化してしまう」こと。
 本書は、冒頭で「成果主義への転換が失敗する理由」と題し、失敗例から成功のポイントを説明する。「成果主義」が中核テーマだが、取締役会改革、組織運営、報酬制度まで幅広く人事戦略を解説。日本企業の大きな課題は「セクシーな経営者を育てること」など、軟らかいキーワードを使ってわかりやすく論を展開している。
 著者は人事コンサルティング会社ワトソンワイアットのコンサルタント。人事部門担当者向きといえるが、著者が「経営者が舞台の主役として立たなくてはならない」と述べているように、経営者も目を通す価値のある一冊だ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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2000/10/20

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 ドット・コム・カンパニー、ネット革命、eコマース——。
 情報技術(IT)の発展とともにこれらの言葉が最近の新聞、雑誌、テレビなどで出てこない日はないといっても過言ではない。
 ITは日本経済再生の切り札とも指摘される一方で、ネットバブルという言葉も生まれ、すでにバブルがはじけた企業も出ている。あまりの展開の速さに多くの人が戸惑い、世間に取り残されるのではないかとの不安を抱かせるほどだ。
 本書はITの進歩が企業、ビジネス、経済構造に与える影響や将来像などについて分かりやすく説明した入門書といえる。
 著者はともに米経営コンサルティング会社A・T・カーニー社の幹部。彼らは、「今日のインターネット代表される情報通信革命のインパクトは一九世紀の米国で鉄道がもたらしたものに匹敵、あるいはこれを超える」と指摘する。
 短時間で大量輸送を可能にした鉄道は物価の低下と市場構造の劇的な変化を招いたが、いまは「情報のトラフィック革命」が起きていると定義付けている。
 分かりやすさを助けているのが、実際の企業や公的機関などの事例を具体例として数多くあげて説明している点だ。
 さらに、一般の人が理解しにくい技術的な説明は最小限にとどめ、技術革新の意味や、それに伴う企業のあり方、ビジネスが具体的にどう変化を必要としているのかを説く。個人の生活に及ぼす影響などにも焦点を絞っている。
 入門書とはいえ、経営者やビジネスマンの理解を助ける啓もう書といえそうだ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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紙の本自動車合従連衡の世界

2000/11/10 21:15

2000/10/13

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 金融機関の相次ぐ破たんや合併などを除けば、ここ数年の国内の産業界を巡る最大のニュースは、ルノーと日産自動車、およびダイムラークライスラーと三菱自動車それぞれの資本提携であろう。
 高度成長を支え、かつては永遠に繁栄するかとも思われた花形産業の巨人たちが、マスメディアを通じた衆人環視のもとで外資の軍門に下った様は衝撃的だった。
 自動車業界と共に日本経済を支えてきた電機業界は製品構成の複雑さゆえ、企業がまるごと再編の渦に巻き込まれるケースはめったにない。一方で、「車」という身近な製品を巡る国際陣取り合戦は門外漢にも分かりやすい。
 著者によれば「自動車産業は典型的な資本集約型産業で、技術力、販売力もさることながら、最後にそれを支える資本力がモノをいう」。世界規模の弱肉強食の状況下で「生まれながらにして寡占化の宿命を持っている」という。
 本書は、一九六六年の日産によるプリンス自動車工業の吸収合併を皮切りに、今日までの合従連衡を巡る動きを時系列でつづる。通読すると、再編の歴史にいくつか節目があったことがわかる。六〇年代の輸入自由化、七〇年代の石油ショック、八五年のプラザ合意、最近の金融ビッグバンである。
 押し寄せる環境の変化にほんろうされながら、経営者や銀行など業界関係者が業界再編に向けた決断を下す過程が、濃密な現場取材に基づいたインサイドストーリーをちりばめて描かれている。最後まで読む者を飽きさせない「現代自動車産業史」だ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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紙の本ウェルチが日本を変える

2000/10/21 00:18

2000/3/3

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 「ジャック・ウェルチという人は、大企業のCEO(最高経営責任者)らしからぬ気さくさに満ちている。どんなささいなことでも自ら相手のところに飛び込んでいく情熱はすごい」。
 旭化成工業の山本一元社長は、九八年秋に米ゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOであるウェルチ氏と初めて出会った時の印象をこう振り返る。
 ウェルチ氏のファンが日本の企業トップに多いのは、GEの高収益を引っ張ってきた実績に加えてこうした人間的な包容力にひかれる向きが少なくないためだろう。本書の著者である長谷川洋三氏は経済記者としてウェルチ氏への取材を十年近く続ける。
 本書はその“定点観測”の成果をまとめたもので、「キーワードとなる造語を次々と作り出す才能や、社員をやる気にさせる操縦術は天性のもの」と結んでいる。
 同氏の経営手法を取り上げたいわゆる「ウェルチ本」はベストセラーの常連だが、本書はそうしたビジネス書とはだいぶ趣向が異なる。
 どちらかといえば歴史小説に似ている。日本の経営者の交友録を軸に据え、語録やエピソードをふんだんに交えながら、人間・ウェルチに迫っている。
 戦後から現在にかけての産業界の役者たちにウェルチ氏を加えた群像を浮き彫りにする。ファナックの稲葉清右衛門会長、横河電機の故・美川英二前社長、ウシオ電機の牛尾治朗会長らが登場する。
 ウェルチ氏はGEのCEOとして約二十年君臨、二〇〇一年春に勇退することをすでに表明している。トップ交流を通じて日本にも受け継がれてきた「ウェルチイズム」は、日本経済の浮揚に何か効果をもたらすだろうか。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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2000/5/5

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 インターネット革命と東証マザーズなどの新しい資本市場の誕生に後押しされ、ベンチャーブーム真っ盛りだ。学生や大企業の若手社員を中心にベンチャーを起こす動き、起業家にカネを出す投資家は後を絶たない。本書はタイトル通り、数々の起業家と接し、その成功と失敗を見てきたベンチャーキャピタリストが語る起業家への提言だ。
 著者は大前・アンド・アソシエーツのパートナー上田谷真一氏ら七人。投資判断のポイントは何か。どのようなビジネスプランを作成し、人事、財務戦略を練るべきか。日本でベンチャーを成功させるのに必要な戦略を、スタートアップ段階から成長戦略を描く段階まで順を追って説明。同時に起業や資金調達、株式公開の際のリスクや落とし穴を、繰り返し指摘し、注意喚起している点で、ベンチャーブームに乗ったハウツー本と一線を画している。
 「店頭公開基準がどれだけ緩和されようが、ベンチャー支援の貸出制度がどれだけ充実しようが、それらは、悪い言い方をすれば『金集め』の手段の拡充に過ぎない。金集めだけでは経営は成り立たない」。本書で最も印象に残ったくだりだ。
 ネット関連であっても、企業経営の本質は変わるものではない。「集めた資金を有効に活用して、収益を産み出し、投資家に還元し、その実績を元にさらに資金を調達する、というサイクルを作り出すことが重要なのだ」
 ゼロ金利政策を背景に膨大なカネが投資に向かう今回のベンチャーブームは、起業家にとってはまたとないチャンスであると同時に、かつてないほどワナに陥りやすい危険な状況でもある。起業家の心構えとして、一読をすすめたい。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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2000/6/2

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 「テレビもオーディオもゲームも携帯(電話)もすべては半導体という小さな石がもたらしたカルチャーであった」。米ベル研究所が世界初のトランジスタを開発したのが一九四八年。長さ一センチメートルの円柱形の容器に納まった“小さな石”から始まったエレクトロニクス革命に、敗戦間もない日本は総力戦で臨み、電子王国を築き上げていった。
 本書は五百人を超える主要な関係者との直接インタビューをもとに、日本のエレクトロニクス産業史を詳細に描き出した。研究者や、技術者、経営者の苦心や不満、喜びや驚き、そして慢心。随所にちりばめられた証言が、本書を生き生きとした読み物にしている。
 半導体産業新聞が九七年十二月から足掛け二年に渡って掲載した長期連載が本書の下敷きとなっている。家電やパソコンなどの製品開発史としても、企業の戦略史としても、様々な角度からの関心に耐えられる内容の厚みを持つ。
 新たな技術は単に新たな製品を生むだけではなく、生活文化や経済を変化させながら、新たな雇用機会も創出する。八〇年代に向けて日本の高成長を支えた原動力のひとつはエレクトロニクス革命だったし、九〇年代の米国経済の復活の要因はインターネットを代表とする情報技術(IT)革命だ。
 そのIT革命はまだ勝者が決まったわけではない。パソコン時代の覇者であるインテルやマイクロソフトでさえ、ネットワーク社会へのパラダイム変化に躍起で取り組む。バブル崩壊を境とする「第二の敗戦」からの技術立国・日本の復活を期待したい気持ちにさせる一冊でもある。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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