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竹島 愼一郎さんのレビュー一覧

投稿者:竹島 愼一郎

32 件中 1 件~ 15 件を表示

人間の習性を行動心理学の立場から解き明かし,目の前の相手の心理を思いのままに操るテクニックを教える

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ホントかな,というのが最初の印象だ。第一,「心理操作」がうさんくさい。悪名高き例の事件ではあるまいに,自分にそんなことが……と,思って読んでみると,ついつい没頭。はっきり言って,おもしろいのである。映画になぞらえて本を,クライマックスという海に流れ込む川のような展開のタイタニック型と,数分に1度ははっと息を呑むダイハード型に分けるなら,この本はまさしく後者の典型。読むページごとに,そうだと膝を打つ個所が数カ所,ページをめくる指が止まらない。
 たとえば,人に約束を破らせないための心理テクニックでは,事前に「あなたの才能にはいつも感心している」と言っておけば,相手はどうしても約束を守らざるをえなくなく。なぜなら,「人間には自分の態度,信念,行動に一貫性を持たせようとする強い欲求がある」(一貫性の法則)からで,しかも「人は自分の目で見た自己イメージと,他者の目を通した自己イメージとが一致するように演じたがる」(期待の法則)。ずばり示された人間の習性,具体的なテクニック,そしてそれを裏づける行動心理学。
 この本で紹介されているのは,相手の心の襞(ひだ)にそって,そっとなでてあげる,いってみればそんなテクニックだ。一方,世にある仕事術や営業の説得のテクニックの本といえば,やれ勢いだ,根回しだ,果ては持論の精神論,と相場が決まっているだけに,「人はいったん公の場で,ある立場を表明してしまうと,それに態度を合わせるようになる」など心理学的にさらり言い放ってくれると,胸にストンとおさまってくれるのも道理だ。
 窮地に立たされたときの心理テクニックあり,相手の嘘を見抜く謎かけのトリックあり,恋をゲットする魅惑のマジックありで,悩める(病める!)現代人を最後の最後まで飽きさせない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本真・コンピュータ用語辞典

2001/02/23 00:15

コンピュータ業界やネット社会にはびこる慣例や風習,そこに生きる人々の奇妙な実態を「定義」で笑う

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 最先端の技術を駆使したパソコンのハードやソフトだが,いかんせん考える主体である人間優位には作られていない。この用語辞典が皮肉るのは,そんな融通の利かない独善的で奇怪なカルチャーに対してである。
 槍玉にあげられるのは,「1時間に一度の再起動。1週間に一度の再インストール。3ヶ月に一度のFDISK」と定義されている【Windows】を筆頭に,メーリングリストや掲示板などネット世界の放埒なさま(【サブジェクトは内容を表すものにしてください】【空気が読めない】),外見とは裏腹に,閉鎖的で理不尽な慣例がまかり通るプログラマ業界(【残業】【客先の意向】),そしてそれは実に日本の企業社会そのものだということ(【インパク】【日本型IT社会】)。
 この本は,特殊な世界をシニカルに定義づけているように見えて,その実,人間心理や行動様式では何ら変わらない,われわれの社会そのものを笑っているのである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本あなたの知らないビル・ゲイツ

2001/01/31 18:16

私生活のエピソードや語録も交え,「第二のビル・ゲイツ」になる方法を説いた,“正統ソフト帝国”の物語

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 小さなチャンスひとつで世界一の資産家となったフロックの人なのか,それともカーネギーやロックフェラーのように誰もが認める資質があったから時代の人となれたのか。揶揄するウエッブサイトの多さを見るなら,ビル・ゲイツに対する世間の見方はおのずから明らかだろう。
 表紙に12個のビル・ゲイツが踊るこの本も,そうしたおちょくり本のひとつか,と思いきや,内容は生い立ちから,仕事ぶり,私生活,財産と寄付,それに夢と,つまり「どうして一代で一大帝国を築けたか」を正統に論じた,世にも希有な本なのである。
 知られざるエピソードに加え,著名人こそが残せるあまたの語録。世界中に快哉を叫ばせた「パイ投げ事件」もなんのその,こそばゆいくらいの個人賛美もまた希有だ。これは「第二のビル・ゲイツになるための12カ条」というより,ひとりの教祖を崇拝し,その正統性を力説した“バラエティー宗教書”だと言った方が当たっている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本マックな人 Go

2001/01/07 18:16

連載マンガに,裏話やネタばらし,それにPalmやMP3などは図解も加え,マックの今が楽しめる本

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 『Mac Fan』連載の定番マンガの最新版が出た。今回は1999年4月からの1年間に掲載されたもので,スティーブ・ジョブズのCEO復帰以来絶好調のMacintoshを象徴するかのように,iBookにG4,AirMac,それに流行のPalm OS機やMP3など話題は満載で,雑誌掲載から半年以上たっても古びた印象は受けない。
 単なる連載の単行本化でないのがいい。雑誌では文章はマンガに付随したコメント程度だったのが,裏話やネタばらしへと内容をふくらませているし,PalmやMP3では図解や操作手順も新たに書き起こされていて,すでに雑誌で見た人でも十分楽しめそうだ。
 日記サイトや面白メールソフトの紹介などインターネットネタも加わり,全体に印象は華やかだ。しかし同じく「マックな人」として過ごした私には,話題にとぼしい時代をモノクロでがんばっていた「とほほ」な極貧K氏がすこしなつかしい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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Macintoshのトラブルならお任せ。頼もしいユーティリティ・ソフトのビジュアル・マニュアル

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 5年間愛用したMacintoshがハードディスクの不具合で,あえなく昇天。そこで2代目購入時に真っ先にインストールしたのが,トラブルシューティングで定評のあるNorton Utilitiesだったのは当然として,ところでこのソフトって解説がいるほど難しかったっけ,というのが正直な印象だ。
 見ると解説は丁寧だ。ひとつひとつに操作画面やダイアログボックスを見せ,細かい手順はクリックするボタンを「指さし手印」で示してあるので,とてもわかりやすい。
 さてそこで肝心のハードディスクの故障の場合だが,Disk Doctorの検査と修復に加え,Volume Recover,UnEraseでのディスクの復旧とデータの救出という2弾,3弾の方策が無駄なく説明されている。
 で,結論だが,なくても手順を大きく踏み外すことはないが,最悪のことを考えるとそばに置いておいて損はない本。ただし値段は割高。
(C) ブッククレビュー社 2000

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Web用アニメーションを作成するツールを図版中心に丁寧に解説した,短期間かつ着実にマスターできる本

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 ホームページの動画は敷居が高い,という先入観がある。しかし簡単に自作できるのなら,オリジナルのものを作って,おまけに自慢もしてみたい。この本は,動画は初心者だが,意欲はある(自慢もしたい!)という人のための,Web用アニメーション作成ソフトの解説マニュアルである。
 一週間完結を目標としているので,月曜日の簡単な図形の描き方や,動かす仕組みの説明からはじまり,既成の画像の利用法,HTML編集を経て,アニメーションを制御するビヘイビアの使い方といった高度なテクニックまで土曜日までにマスターすることができる。見て理解しやすい図版中心の構成が特長だ。
 付属のCO-ROMにはアニメーションのサンプルが収録されているので,それぞれの曜日に作成するものがどう動くかを確認できる。だた,CO-ROMを付けたのなら体験版も入れてほしかった。サンプルを体験するのにダウンロードとは,どうしても面倒に感じるものだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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Web画像のサンプルをまず掲げ,それを可能にする機能の面から3つのソフトを解説していくユニークな本

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 3つのソフトを扱い,WindowsとMacintoshのハイブリッド版とは欲張りすぎ,というのが最初の印象だ。しかし開いてみると,そうではない。この本は「Web画像」にテーマを絞り,やってみたいことを最初に具体例で示し,それを可能にする機能面から3つのソフトを紹介するというユニークな本である。
 私自身「Web画像」に挑戦してみようと考えたことがあるが,購入すべきソフトが定まらない。作りたい「Web画像」のだいたいのイメージはあっても,入り口(ソフト)がわからなければはじまらない。初心者が一番知りたいのはそのことだ。
 パラパラマンガのように動くGIFアニメーション,ゲームのような使い方ができるShockwaveムービー,画面が切り替わるJavascriptなど,だいたいどんなものがあり,どのソフトのどの機能で可能になるかを概観することができ,下勉強にテーマを絞れば格好の本だと思った。
(C) ブッククレビュー社 2000

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「システム管理者」が語る,意外と知られていない職種と情報システムのあるべき姿

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 システム管理者とは企業のパソコン,ネットワークの保守管理を行う人だとわかっていても,この本を読むまで,イメージがつかめなかった。
 その実態とは,信じられないパソコンの使い方をするユーザー(利用する側の社員)の勝手気ままと渡り合い,パソコンに弱い管理職からは逆にしったされ,突然のトラブル出張,残業,休日出勤続きは当たり前で,ほんとうに眠れない人たちだ。そしてそうした実態がわかるほどに明らかになるのが,情報システムそのものが抱え持つ,けっして人間にやさしくないという変てこな実状だ。
 文章には期待できない,と思って読むとそれは偏見で,意外とよく書けている。ところどころに飛び出すユーモアもひとりよがりではない。で,まっとうな人だと読者にはわかるから,ユーザーが突きつけてくる無理難題と対決する姿が,おもしろおかしく目に映る。大阪弁の会話文も,単なるボヤキと読まれる平板さから救っている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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これからの人,リニューアルを考えている人が参考にできる,好感が持てるホームページの項目別実例集

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 見栄えのいいホームページを作ろうとするとき,まず最初にやるべきことは,これだというサイトにいくつもあたって,じっくり観察することだ。レイアウトはもちろん,色使いやセンス,全体の統一感などサンプルは多ければ多いほどいい。だがそれをいちいち探すとなると,けっこう骨だ。
 翻訳本にはあったが,いかんせん高価だったサンプル集が手頃な値段で出た。この本は,書籍,雑誌につづくホームページ編という位置づけだが,ひと目見て,これこれ,と思った。
 こうした本は選ぶ人のセンスがそのまま表れるものだが,悪くない。有名人,有名企業偏重でないところや,へたなコメントをいちいち付けないという潔さも気に入った。
 望むべくはCD-ROM。せっかくならこの目で確かめてみたい,リンクをたどってあちこち探ってみたいと思うのは人情だ。画像をデータベース化して,ワンクリックで実物が見られるようにすれば最高によかった。
(C) ブッククレビュー社 2000

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インターネットの2000年時点での意義と課題を,各分野の第一人者がそれぞれの立場から論じた“座標軸”

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 近所のおばさんまでもが口にするようになったインターネットだが,そもそも何なのかとストレートに聞かれると,はたと迷ってしまう。この本は,そんな疑問に答えるインターネットの“ミレニアム座標軸”である。
 執筆陣は,“インターネットの父”村井純・慶応義塾大学教授や,純国産OS・TRONを開発した坂村健・東京大学教授をはじめ,金融,流通,出版,放送・映像,音楽,教育,医療,環境問題など各分野の第一人者で,「初心者にも読みやすい展望書」として依頼され,書き下ろされたものだ。
 ただ,モバイルはNTTドコモ,ゲームはセガ,デジタル家電はソニーと各企業関係者が執筆するのは,関った当事者ならではの意見が聞ける半面,それでそのテーマを代表させるのはどうかとも思う。インターネットの2000年時点での意義や課題がコンパクトにまとめられた好著であるが,ロータリークラブの紀要のような感じも否めない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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インターネットを活用した企業変革を「理論」「実践」に分け、とくに企業内システム構築に重点を置いて詳述

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 「e-ビジネス」「ITソリューション」に関する書籍は多数出版されているが、骨のあるものが少ない。“骨のある”というのは、入門書のレベルから一歩進んで、新しいビジネスの実際のプロセス変革の仕方やシステム構築法まで踏み込んだ、という意味である。
 この本は、インターネットの市場性とe-ビジネスの定義などからなる「理論編」と、戦略策定、ITに関する大まかな設計図であるITアーキテクチャー、それに先進企業の実例からなる「実践編」に分け、随時図解を挿入して、専門性と明解性の両立を図っている。
 ただ、図解は豊富だが社内資料そのままだし、先進企業の実例は大企業病からの脱却を果たしたIBMで興味を引くのだが、日本IBMの社員が著者のため、自画自賛と目に映る。しかし、これからCRMやSCMなどのビジネスプロセスの変革や、ネットワークの構築を策定しようという企業の専任者が一読するだけの価値はありそうだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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ゲノムの研究で知られる分子生物学者が、遺伝子の働きを通し、人間の健康や幸福についてやさしい言葉で語る

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 ヒトゲノムの解読により、近い将来、人間は遺伝子治療、再生医療、ゲノム創薬などの恩恵を受けると期待されている。もちろんそうした技術の進歩は喜ぶべきことだが、それと人間個々の幸福とは別問題のような気がする。科学というと冷たい学問だと多くの人が考えるのも、そうしたことにかかわりがありそうだ。
 遺伝子と聞くと、親から子へと受け継がれる設計図と学校では習い、静的なイメージを持ってしまうが、そうではない。環境の刺激を受けることにより遺伝子はオン・オフの信号を発し、タンパク質がその場にふさわしい指令を身体に伝達するのだという。「遺伝子のオン・オフ」は最新の研究でわかったというが、説明がわかりやすい。
 遺伝子の解明だけではわからないこともあるのだと著者は言う。著者は、1983年に高血圧の黒幕である「レニン」という酵素の遺伝子解読に成功した分子生物学者であるが、その人間の能力を超えた神のようなものを「サムシンググレート」と呼んだことでも知られる。そうした何者かに生かされているという実感が、幸福を考えるときの原点にあるのだろう。自身がリーダーを務める「サクセスフル・エイジング」という、見事に歳を重ね、いかに見事に死ぬか、というプロジェクトもそれとつながっていそうだ。
 前著『ナイトサイエンス教室1』に続いてこの本も、ちょうど「○○夜話」の名で呼ばれる本のようなくだけた語り合いのため、科学に疎い私のような読者をも話題へと引き込んでくれる。ただ途中から、主客が逆転して、インタビュアーが進化論などについて話し込んでしまうのはナイトサイエンスならではといえばいえそうだが、副題にある「ゲノム科学から見たいきがい論」からは脱線していると感じた。しかしそうした部分も含めて、いろんなエピソードを交え興味深く語られるので、読者はその場に居合わせ、ふたりの話に耳を傾けているような心地よい気分を味わえる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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1997年から99年まで,雑誌に掲載されたユーザーの意見をスクラップ。どう利用するかは読者次第

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 頻繁かつ無意味に繰り返されるバージョンアップ,使えない機能ばかりが増えて肥大化したソフト,シンプルとは無縁で,なおかつ壊れやすいパソコン本体。この本には,1997年から99年にかけて雑誌に掲載されたユーザーの不平不満800以上が収められている。
 97年といえば,あのWindows 95の熱狂的発売から1年,ユーザーの怒りの矢面に立つのは独占の騎手・Microsoft社というのは当然として,この3年間とは,ほしいパソコン,使い勝手のいいソフトはユーザー側が決めるもの,という逆転現象が起きたスタート地点だと,のちのち回想されるかもしれない。
 さてこの本はただのスクラップで,脈絡もなければ,結論もない。しかし何かを考え出そうと意欲する人なら,無差別に列挙されたこれら数々の意見からいくつものヒントやアイデアを引き出せるだろう。そういう読み方をしなければ,この本は“ただの論点”にすぎない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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科学はむずかしく敷居が高いと考える人でも気軽に読める,ゲノム研究で知られる学者の生命論,人間論

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 アルキメデスがローマの公衆浴場で“浮力の法則”を発見したとき,喜びのあまり,裸のまま街なかを走り帰ったというエピソードは有名だが,科学の発見がかくもエキサイティングなのに比べ,どうして学校の理科はおもしろくなかったのか。
 それは「結果」だからとこの本はいう。教科書にはないほんとうにおもしろい科学とは,思いがけない出会いや,直感,ひらめきといった「プロセス」にこそある。前者(「結果」)の論理的な面を昼の(デイ)サイエンスというのに対し,後者を夜の(ナイト)サイエンスといい,こちらは主観的で想像力豊か,霊感の世界とも通じているという。これを学校で教えないから,理科に限らず勉強は,しちめんどくさくてつまらなかったのだ。
 著者は,高血圧の黒幕である「レニン」という酵素の遺伝子解読に成功した分子生物学者の村上和雄・筑波大学名誉教授で,聞き役=この教室の生徒役は,科学哲学者の竹内薫氏。ふたりとも科学を楽しいもの,人に語って聞かせるのがすばらしいものだと信じているから,語る言葉も説明もやさしくわかりやすい。何というか,酒の席で語り合っているのを隣席で聞いている感じとでもいうべきか,なごやかな雰囲気がそこにはあり,これもナイトサイエンスと呼ぶらしい。
 テーマもひと味違う。遺伝子から問う生命の意味といったものなのだが,興味を引くのは,科学者の立場にありながら,生物を生かし,宇宙の根源にある解き明かすことのできない神のようなものがあると言い切っているところで,村上氏はこれを「サムシンググレート」と呼ぶ。
 遺伝子というと,親から子に伝えられるDNA暗号だというように静的にとらえられがちであるが,環境で人生が変わったり,努力して成長するところまですべて設計図に描かれているとは考えがたい。それについては,酒に弱い人が次第にアルコールが分解できるようになる例をあげて,「遺伝子のオン・オフ」というものが働くのだと説明する。
 科学にも創造にも,運命的な出会いや不思議なつながりというものがつきものだが,これも「サムシンググレート」という概念を拝借できそうだ。運命はあらかじめ決められている,というより,遺伝子だけでは解明することのできない,人間の能力を超える宇宙の意思が,その人を生かそうとしてくれている。そう考えることは非科学的だと一概に黙殺できないような気がする。
 というより学問とは,人や,もっと大きく,生命すべての幸福を願わずにいられないもののはずであるから,その根源の意味について思いを馳せないものは,学問とはいえないのではなかろうか。「わたしは神の考えを知りたい」とアインシュタインは語り,宇宙から地球を見たアポロ9号の飛行士は神秘に打たれて詩人の言葉を口にしたというが,この本には,従来の権威=デイサイエンス“信仰”への(軽い)プロテストという意味合いが込められていそうだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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メーリングリストの開設サービスの選び方から,実際の運営方法まで,具体例を交えてそのすべてを解説する

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 とあるメーリングリストに入ろうと思っているのだが,二の足を踏んでいる。ワッとメールが届いて収拾がつかなくなったり,入ったはいいが話題についていけないのでは,と心配だからだ。この本は,これからメーリングリストを運営しようという人のために書かれたものであるが,私のようにメーリングリストへの参加を希望する人が読んでもためになる。
 実は,非公開のメーリングリストで自動的に入会したものがあるのだが,すでにゴースト化している。この本を読むと,そうなる前に,管理者が進んで話題を盛り上げるべきだ,とアドバイスを送る。
 ほかにも,英語のエラー・メールが山のように届いてパンク状態になったとき,あるいは口論や中傷といった参加者同士のトラブルが発生したときの対処法も示されていて,基礎知識からさまざまな問題解決まで,一冊ですべてを知りたい人には格好のテキストになるだろうと思った。ただし値段は割高だ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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