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  3. 大坪未果さんのレビュー一覧

大坪未果さんのレビュー一覧

投稿者:大坪未果

28 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

自身の経験も豊富に盛り込み、具体的なノウハウをきめ細かく披露

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 大人が勉強を必要とするのはどんな場面だろうか。昇進試験、資格取得、各種検定試験…。いずれも、今の自分をレベルアップするために通るべき関門であり、だからこそ、勉強する人の「成果を挙げたい」「身に付けたい」という思いは切実であろう。本業の仕事や家事・育児を抱えながら勉強する人が多いから、なるべく無駄なく効果的な勉強法を確立したいところだ。

 本書は精神科医であり、数々のベストセラー参考書を輩出してきた著者が「本気で勉強したい」読者に向けて勉強法をアドバイスする1冊。ベストセラーとなった「大人のための勉強法」の続編である。2000年秋、多忙な本業と執筆活動の合間を縫って臨床心理士資格試験に挑んだ自身の経験も豊富に盛り込む。

 大人の勉強術は「いかに時間を確保するか」「短時間でいかに効果を挙げるか」「いかにやる気を持続させるか」などが重要なカギ。著者はテーマに沿って、「どうしてもやりたいことは我慢しない」「金で済むことは金で解決する」「過去の問題を徹底利用する」「点が稼げない分野は潔く捨てる」など、具体的なノウハウをきめ細かく披露していく。

 結局のところ、成果が上がる人、上がらない人の差はこうしたノウハウを実践するか、ただやみくもに勉強するかの差だと著者は指摘する。「大人になってからの勉強の成果の差や頭のよさの差は、生き方の差なのである」という記述は含蓄に富む。

 勉強のテクニックやノウハウは当然ふんだんに紹介されているが、ビジネスマンの“生き方指南書”としても興味深く読める。

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紙の本

仕事にふと疑問を感じ、立ち止まってしまった時に最適な1冊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「今の仕事は好きですか?」——この問いに、迷わず「イエス」と答えられる人はどれくらいいるだろう。

 どうせ働くなら、限られた人生の時間をかけるなら、自分に合った、やりがいのある、やっていて楽しい仕事に就いた方がいいのは当然だ。しかし実際には「特別嫌いな仕事ではないから」「自分にできる仕事はこれしかないから」「会社をやめてまた探すのは大変だから」といった理由で“妥協”しているケースも少なくない。

 著者は日本では聞き慣れない「天職探しコンサルタント」である。本書では好きな仕事、本当にやりたい仕事に就くにはどうすればいいのか、その理論と実践を説いている。

 まず手を付けるべきことは何か。本書によれば、自分の才能、スキル、関心事、経験などを紙に書き出し、その傾向を分析していくことのようだ。否定的なことばかり言う人を遠ざけたり、インナークリティック(内なる評論家)を棚に上げることも必要らしい。自信を持ち、希望をはっきり示して自分を売り込むことも重要だ。本書はこのように「演習」や「実践」を通して、天職を見出す手ほどきを与えてくれる。

 それらの合間には、著者が過去に関わった事例を数多く紹介する。学校の理事から高齢者の生活全般を世話する代理人、セラピストからインディアンのラグ(敷物)ショップの経営者、ソフトウエア会社の業務マネージャーからカウンセラー…。天職探しの結末は実に様々で面白い。まさに十人十色。正解などないのだ。

 天職探しとは要するに“自分探し”である。本書は天職探しの過程で、日々の仕事に追われて見失いがちな「本来の自分」を取り戻すことの大切さを気付かせてくれる。

 誰でも今の自分の姿、今手がけている仕事にふと疑問を感じ、立ち止まってしまうことはあるはずだ。そんな時、手に取って読んでみるのに最適な1冊と言っていいだろう。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト) 

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紙の本

現地従業員の生の声がきこえる貴重な1冊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 企業のグローバル化と言えば、かつては最先端の技術と巨大な消費市場を抱える欧米諸国に進出することに他ならなかった。だが、1985年のプラザ合意後は、格安な生産コストを求めたアジアへの進出も、それに加わるようになった。

 本書はアジアの現地法人に派遣される日本人駐在員がどんな体験をしたか、現地で働く従業員は日系企業をどう評価しているか、経済的結び付きによって相互理解が深まったのか否かなど、「経済のアジア化」がこの地域に与えたインパクトを国際社会学的に考察する1冊。手間と時間をかけて関係者へのアンケート調査、インタビュー調査を遂行し、丹念に現状をあぶり出している。

 興味を引くのは、インタビュー調査によって明らかになるそれぞれの“お国事情”である。日本人駐在員がアジアで現地経営する際に味わった苦労は実に様々。「強いタテの支配—服従関係を基本として人間関係が出来上がっており、人事管理が難しい」(タイ)、「民族間関係が最大の問題で、これに細心の注意を払わなくては基本的な経営管理もおぼつかない」(マレーシア)、「欧米的な就労意識が浸透し、積極的に実力登用主義を求める傾向が強い」(シンガポール)など、アジアの多様性を再認識させられる内容になっている。一方、現地人従業員からも、日本人駐在員に対して「日本人ばかりでまとまる」「会社への忠誠心を強調する」といった厳しい指摘が出ている。

 企業のアジア進出に的を絞り、長年かけて収集したデータや従業員の生の声は非常に貴重で価値がある。アジア駐在を希望するビジネスマン、アジアでのビジネスに関心がある経営者などに、ぜひ一読をお奨めする。 

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紙の本

紙の本代議士になったパリの娼婦

2002/04/04 22:15

「あとは夢しかない」と言いきれるたくましさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 少し前のベストセラー『だから、あなたも生きぬいて』(大平光代著)は、割腹自殺未遂、極道の妻などを経験後、一念発起して弁護士となった著者の半生を記したノンフィクションだった。
 本書も著者の半生のすさまじさ、転身の意外性など『だから、あなたも...』に通じるものがある。転落の軌跡やどん底生活の悲惨さなどの記述が、経験者にしか書けない迫力に満ちている点も同じだ。
 著者が娼婦になったのは、特別な事情があったからではない。大恋愛をものにし、都会的でリッチな生活を送っていたつもりだった。ところが娯楽の1つだったはずの麻薬にのめり込み、その金を稼いで恋人の心をつなぎ止めるため、街で自分を売る羽目に陥る。実は最初から仕組まれていたことだと気付いた時には既に遅く、薬と暴力、恐喝で身も心もズタズタの日々を送る...。
 どんな女性の身にも降りかかり得る危険なワナにはまった著者だが、自らの力でその地獄から脱し、新しい人生を切り拓いていく。
 故郷のジュネーブに戻り、地道なOL生活を送るうち、政治に目覚めてスイス社会党に入党。町議会議員、州議会議員となって女性問題の解決などに力を注ぐ。その間、プライベートでも結婚、出産、離婚、再婚、闘病とあらゆる出来事に遭遇する。
 著者に感じるのは、「より良い状態」「ベストな状態」を求めるどん欲さだ。仕事も家庭も、出直しがきかない事態などない。前向きな思考と姿勢を失わずにいれば道は拓ける----本書からは、そんな著者の力強いメッセージが伝わってくる。
 傷だらけの半生を送りつつ、「しかし私は生きている。あとは夢が残っているだけだ。夢しかないと言えるのは、大勝利ではないか」と言える著者は、なんとたくましいことだろう。
 順風満帆な人生などそうあるものではない。誰だって様々な問題を抱えながら生きている。くじけそうになった時、落ち込んだ時など、勇気と希望を“お裾分け”してくれる1冊だ。
(ジャーナリスト・大坪未果)

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紙の本

人生設計の基本から指摘し、アドバイスの中身は具体的かつシンプル

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 大事なパートナーと一緒にいかに資産を形成し、人生を有意義に過ごすか——。実に重要で切実なテーマである。だが、実際には「お金の話はしにくい」「パートナーに任せている」などの理由で、このテーマに真剣に向き合っているカップルは少ないのではないか。

 本書はカップルを1つのチームと見立て、資産形成で「最後に笑う」までのロードマップを提供するものである。著者によれば、カップルが目標に向けて協力し合わなければ資産形成は闘いの場と化してしまう。逆に力を合わせられれば、別々にやった場合の2倍以上のスピードで達成できるという。

 本書はカップルが取り組むべき資産形成のステップを9項目挙げて、ひとつひとつ説明していく。

 読後、最も重要なのは「自分の人生にとって大切な価値観は何かを見極める」ことだと痛感した。人生の目標を明確にし、そこでお金がどんな役割を果たすべきかを明らかにしておけば、資産作りは計画しやすく、実現に向けた努力もしやすくする。カップルで事に当たるのであれば、なおさらそれをはっきりさせておく必要がある。

 では実際にどのように資産を作っていくか。著者は「“ラテ・マネー”(コーヒーなどちょっとしたものに費やす少額のお金)を抑えてお金を貯める」「将来の自分を守る“退職金のカゴ”、予期せぬ出来事から自分と家族を守る“安心のカゴ”、夢を実現するための“夢のカゴ”を作る」などのアドバイスを披露する。読者がそれらのステップに沿って、実際に資産形成への行動が起こせるよう、あえて空欄のままにした図や表も掲載してある。

 少し前までの米国の株高を背景にしているため、やや楽観的に過ぎる面もある。だが、アドバイスの中身は具体的かつシンプルで、誰でも手を付けやすく、試してみようかという気にさせられる。

 著者も何度か指摘している通り、資産設計とは人生設計に通じるものだ。人生設計の基本から指摘しつつ、実践的な資産形成方法に踏み込んでいる点で、本書には類書とは違う読みごたえがあった。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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紙の本

ミッション・ステートメント(社訓)は効果絶大、身近なところにも復活へのヒントがあることに気付く

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 米国の優良企業のミッション・ステートメント(信念、基本理念)を集めた1冊である。ミッション・ステートメントとは自社のビジョン、姿勢、哲学などを社内に示す宣言文。日本流に言えば社訓だ。

 社訓というと日本企業に固有のもの、というイメージがあったが、実は米企業にも存在していた。日本企業との競争に破れ、失意の底にあった1980〜90年代、復活を期して導入したケースが多いようだ。

 その効果は絶大らしい。ある調査会社によれば、業績給、品質管理などの経営管理手法の中で、経営者が最も好んで使い、また最も満足できる結果が得られた手法として、一番多くの支持を集めたのがミッション・ステートメントだという。著者はミッション・ステートメントが「成功への道しるべ」だとさえ言い切っている。

 もちろん、それだけの効果をもたらすには、ただ高邁な理念を掲げればいいわけではない。社員が常に拠り所とできるよう、表現や浸透方法には各社なりの工夫が必要だ。

 バウンダリレス(境界をなくす)、スピード、ストレッチ(全力を出す)というわずか3つの単語で表すゼネラル・エレクトリック(GE)、スナック菓子のおまけに小型のミッション・ステートメントを付け、社員に配ったサウスウエスト航空、管理職の適性について言及したボーイングなど、本書で取り上げる事例は内容豊富だ。

 米国でミッション・ステートメントが経営の根幹に定着しているのに対し、日本では今、一体、どれだけの社訓が経営に活かされていると言えるだろう。日常の業務に埋没し、死文化してしまったものが少なくないのではないか。

 長引く不況で目先の業績にとらわれがちな日本企業だが、自社の使命、存在意義などを見つめ直すために、今一度、社訓を掘り起こし、活用することも必要かもしれない。本書はこんな身近なところにも、復活へのヒントがあることを気付かせてくれる。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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紙の本

小売業はコンシューマーを対象にしていては勝ち残れない、“カスタマー”獲得を狙おう

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 小売業の今までのマーチャンダイジングは“コンシューマー”に向けたものが中心だった。これからは“カスタマー”に焦点を当てなくてはならないというのが本書の主張である。

 コンシューマーとカスタマーとは一体、どこが違うのか。

 ごく簡単に言えばコンシューマーが不特定多数の「全員」なのに対し、カスタマーは「会員」。店が想定したライフスタイル、価値を支持する特定顧客がカスタマーである。小売業は今後、コンシューマーを大勢呼ぶことではなく、カスタマーに何度も来てもらうことを考えなくては勝ち残れないという。

 著者の表現は刺激的だ。価格第一のコンシューマー向け商品は「半額化革命」が進む。マクドナルドの半額バーガーやしまむらの台頭、発泡酒の普及などは、半額化という新しい流通革命の現れ。コンシューマー向け商品を扱う業界は淘汰が進み、小売業はなんと「99%が倒産する」というのだ。

 ではカスタマー企業になるためには、どんな発想で店を作り、どんな欲求に応えていけばいいのか。米国の小売業の事例などをふんだんに取り入れながら、それを詳細に記したのが本書だ。

 あえて犬やネコは販売せず、エサや薬、おもちゃなど日常的な買い物に絞って品揃えしたペッツマート、パソコンと周辺機器をつなぐケーブルや部品に焦点を当てたレイディオ・ジャック、食器や調理器具など非食品分野を充実させたスーパーマーケット・ウエグマンなど、登場する小売店の事例は読んでいるだけでも楽しい。

 単に店の特徴を知るだけならば、その独自性は感心しても、カスタマー獲得を狙ったマーチャンダイジングを実行していることまでは思い至らないだろう。著者が説く新しい流通革命論を読んだ後には、これらカスタマー企業の秀逸さがすんなり理解できる。

 流通業に、新しい視点を植え付ける本である。米国の最新小売り事情を中心に、変革著しい流通業界を理解する一助となるだろう。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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紙の本

“カリスマ企業”になるための12の要素を提示、会社の現状を評価するためのチェックシートも付いている

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 タイトルから受ける印象とは異なり、サービス論に終始する本ではない。もっと幅広く、製品や経営者の魅力も含めて、顧客の心をつかんで離さない“カリスマ企業”になるためはどうすればいいのか、その条件をあぶり出そうと試みた本である。

 “カリスマ”とはそもそも何だろうか。著者は「人を夢中にさせ、興味や愛情をかき立てる資質」だと説明している。顧客と企業との間に、単なる顧客サービス、単なるカスタマー・リレーションシップを超えた何かを生じさせるには、企業の隅々にまで、このカリスマを吹き込むことが重要なのだという。

 ではそのカリスマを生み出す要素は何か。著者は「壁を打ち破る努力」「人間性あふれるサービス」といった誰もが思い浮かべるもののほかに、「恋愛感情を呼び起こす」「ハイテクの魔力」「かわいらしさ」など意表を突くものも含め、12の要素を提示する。

 読者はこれら12の要素を俯瞰し、自社はどの要素が優れているか、逆にどの要素が足りないかを振り返りながら読むことができる。「何が必要かという自覚を、会社全体に行き渡らせること」こそ、カリスマ企業への最初の一歩。最終章では、会社の現状を評価するためのチェックシートを付けるなど、至れり尽くせりだ。

 顧客満足度(CS)の向上というと、CRMや顧客応対マニュアルの整備のように、とかく技術や設備といったハードに目が向きがち。本書は、社員はどんな気持ちを持つべきか、経営者はどんな社風を確立すべきかといった、より本質的なソフトの部分に光を当てている点で価値がある。

 顧客の立場から拾い集めた実例を、随所に「嬉しいサービスの物語」「悲惨なサービスの物語」として差し込むなど、読み物としても肩肘張らずに楽しめる。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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人間が犯す失敗について心理学的なアプローチで検証、ミスをゼロにすることは無理だが減らすことはできる

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 私はアクション・スリップ派。それもドジ型のようだ。さて、あなたは? ミステイク派か、違反派か。それともアクション・スリップのボケ型だろうか。

 人間は誰しも失敗を犯す。コップを割ったり、会議の予定を忘れたり、スピード違反で捕まったり…。多くの場合、それらの失敗は「しまった」と反省し、迷惑をかけた周囲の人に謝れば済む。一方で、航空機事故や臨界事故、医療事故、入試の採点ミスなど深刻な被害をもたらす失敗もある。

 身近で起きる失敗も、深刻な被害をもたらす失敗も、実は発生要因やメカニズムは共通しているという。こうした失敗の「本質」を知っておかなくては、事故を防ぎ、適切に対処することはできない。本書はこうした観点から、人間が犯す失敗について心理学的なアプローチで検証したもの。

 冒頭に挙げたのは著者が披露する失敗のパターンだ。アクション・スリップとはやろうとした動作は正しいのに行動の段階で犯す失敗のこと。一方、錯覚や勘違いなど動作の計画段階や、もっと前の認識、判断の段階から犯す失敗はミステイク。その他、違反という人間行動も失敗の危険を増大させたり、結果を重大なものにする。

 著者は心理学分野で行われる様々な実験を引き合いに出したり、錯視図形の実例を取り入れながら、スリップやミステイク、違反が起きる仕組みを丁寧に解説していく。読者はスリップやミステイクを“実体験”しながら読み進めていくことができる。

 最終章でミスとのつきあい方を指南するが、著者はまずミスをゼロにしようという考えを否定する。「ミスは起きる」ことを前提に、その確率を減らし、万一ミスが起きても大事に至らない仕組みを作ることが重要だというわけだ。人間の心理面から失敗のメカニズムを読み解いた後だけに非常に説得力がある。

 何も失敗なく仕事を進めていけるビジネスマンはいない。手痛いミスを犯して落ち込んでいる時、日常のミスを少しでも減らしたいと思っている人には、ぜひ読んでみてほしい1冊である。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト 2001.12.11)

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紙の本

グループ経営の高度化という命題に「あるべき組織像」を提示、個人のキャリアプランについても論じる

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 日本企業のグループ経営は大きな転換期を迎えている。2000年から連結会計制度が始まり、2001年に会社分割法が施行され、近々連結納税制度も導入される見通しであることなど、法制面での改革が進んでいることが要因だ。

 企業はこれまでの単体主体の経営を見直し、「グループ経営の高度化」という命題に答えなくては勝ち残れない時代になった。分社、M&Aなどの企業戦略が今後、ますます活発になるのは間違いない。

 本書は、こうした環境変化の中、「あるべき組織像」を描いてみせた1冊である。GEやソニーなど先進企業の事例を紹介したり、本社と間接部門の役割を論じながら、日本企業の理想の組織とはどんなものかを説いていく。

 グループ経営というと、まず思い浮かぶのは持ち株会社への移行だ。だが、本書はあえて日本独自に発展してきた事業部制やカンパニー制の活用も含めてパフォーマンスの高い組織とは何かを追求している。現在ある組織に磨きをかけて新時代に備えたいと思う多くの企業に参考になる内容だ。

 特に興味深いのは、こうした新しい組織で、ビジネスマンがいかにキャリアを積んでいくべきかを論じた部分だ。

 出身大学や社内のローテーションで幹部候補生を形成していくこれまでの「出世コース」はもはや存在しないと思った方がいい。新しい組織の中で、グループ会社やカンパニーの経営を担う幹部候補生を目指すのか、あるいは特定のスキルに長けた専門家を目指すのか。自らのキャリアイメージを具体的に抱き、それに見合う能力を自分で開発していくことが重要だとの指摘は、説得力がある。

 経営の変革は常に、そこで働く従業員にとっても大きな変化をもたらすものである。本書は経営者に関心の深い最新の組織論として有用なビジネス書だが、ビジネスマン一人ひとりのキャリアプラン設計のための参考書としても、読むに値すると思う。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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紙の本

キャピタル・フライトもそれに続く経済破綻も回避できる可能性は残っている

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 本書はキャピタル・フライトへの警鐘を鳴らす1冊である。キャピタル・フライトとは「資本逃避」。日本経済に対する信認が崩れ去った時、マネーの海外への大脱走が始まる。となれば、円相場の暴落、金利上昇、日本経済破綻という悪夢が待っている。我々は今、「最悪のシナリオを回避できるか、できないかの臨界点に佇んでいる」状態なのだという。

 著者は元日銀マンにして金融コンサルティング会社KPMGフィナンシャル社長。市場関係者などが経営不安視する建設、不動産、流通など大手企業への適切な対応なしには不良債権問題は解決しないとの、いわゆる「大手30社問題」を取り上げてきた人物だ。

 著者は不良債権、量的緩和、財政赤字など日本経済が抱える問題の本質を詳細に記していく。不良債権処理問題について、「ヘボ医者が切開手術に踏み切らずヘボな絆創膏の張り方を研究しているうちに、病巣がさらに悪化し、深刻な状況に陥っている」と指摘するなど舌鋒は鋭い。

 危機を直視しない、問題が先送りされる、ルールを無視したごまかしがまかり通る…。現状を観察し、分析した結果、著者がたどり着くのは「この国の資本主義は、一体全体どうなってしまったのだろう」「こんな国の通貨が買えるわけがない」という嘆きである。危機感というよりむしろ悲鳴に近く、読んでいる方も、暗澹とした気分にさらされる。

 もちろん、政府が問題を認識し、適切に処理すれば、キャピタル・フライトもそれに続く経済破綻も回避できる可能性は残っていると、本書はその処方箋も明確に示す。そして、著者は「私は、小泉首相の英断に期待している」という熱いエールで本書を結んでいる。

 難題山積の小泉政権は今がまさに正念場。本書を読んだ後は、その決断の1つ1つから目が離せないのだと強く感じた。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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“抵抗勢力”があふれる中、どのように着実に戦略を実行していったのかをあますことなく記した書

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 米ゼネラル・エレクトリック(GE)の前会長兼CEO(最高経営責任者)、ジャック・ウェルチ——。米国を代表する老舗企業に活力を与え、成長させ続けたことで「最も称賛される経営者」の名声をほしいままにしてきた。

 その名経営者が、20年間にわたった経営者人生を振り返り、自らつづった回顧録が本書。これほど、多くの経営者・ビジネスマンに求められるビジネス書はないだろう。

 ウェルチがGE、さらには経営史に残したものは大きい。世界シェア2位までの事業に絞り込むナンバーワン・ナンバーツー戦略、それに基づく数々のM&A、品質改善運動のシックスシグマ、サービス事業の推進.....。日本でも、その経営理念や手法を採り入れようとする経営者は数多い。

 この回顧録では、ウェルチがなぜこれらの戦略を思い立ったのか、“抵抗勢力”があふれる中、どのように着実に戦略を実行していったのかをあますことなく記している。当初、「ニュートロン(中性子爆弾)・ジャック」「アメリカで最も厳しいボス」とのレッテルがついて回り、強く打ちのめされていたことも正直に吐露している。

 苦しい局面でも自身の経営方針を貫くことができたのは、ウェルチが誠実さ、情熱、自信、形式にとらわれない姿勢など、人生哲学に通ずる「ごく基本的な考え方」を全うしようという強い意志を持っていたからだ。本書にはそうしたウェルチ精神といったものがあふれている。

 ウェルチ自ら「規格外の男、会社人間になれない男が何度もつまずきながら前進し、世界有数の企業で生き延び、大きな仕事をなし遂げた」と語る経営物語は、なんと夢のあることだろう。

 事業の構想を思い付くまま書いたメモや部下へのメッセージなど、ウェルチの人物像を浮かび上がらせる付録も豊富。「20世紀を代表する経営者」の足跡をじっくりたどってみることをお奨めする。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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“抵抗勢力”があふれる中、どのように着実に戦略を実行していったのかをあますことなく記した書

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 米ゼネラル・エレクトリック(GE)の前会長兼CEO(最高経営責任者)、ジャック・ウェルチ───。米国を代表する老舗企業に活力を与え、成長させ続けたことで「最も称賛される経営者」の名声をほしいままにしてきた。
 その名経営者が、20年間にわたった経営者人生を振り返り、自らつづった回顧録が本書。これほど、多くの経営者・ビジネスマンに求められるビジネス書はないだろう。
 ウェルチがGE、さらには経営史に残したものは大きい。世界シェア2位までの事業に絞り込むナンバーワン・ナンバーツー戦略、それに基づく数々のM&A、品質改善運動のシックスシグマ、サービス事業の推進……。日本でも、その経営理念や手法を採り入れようとする経営者は数多い。
 この回顧録では、ウェルチがなぜこれらの戦略を思い立ったのか、“抵抗勢力”があふれる中、どのように着実に戦略を実行していったのかをあますことなく記している。当初、「ニュートロン(中性子爆弾)・ジャック」「アメリカで最も厳しいボス」とのレッテルがついて回り、強く打ちのめされていたことも正直に吐露している。
 苦しい局面でも自身の経営方針を貫くことができたのは、ウェルチが誠実さ、情熱、自信、形式にとらわれない姿勢など、人生哲学に通ずる「ごく基本的な考え方」を全うしようという強い意志を持っていたからだ。本書にはそうしたウェルチ精神といったものがあふれている。
 ウェルチ自ら「規格外の男、会社人間になれない男が何度もつまずきながら前進し、世界有数の企業で生き延び、大きな仕事をなし遂げた」と語る経営物語は、なんと夢のあることだろう。
 事業の構想を思い付くまま書いたメモや部下へのメッセージなど、ウェルチの人物像を浮かび上がらせる付録も豊富。「20世紀を代表する経営者」の足跡をじっくりたどってみることをお奨めする。

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危機に備えて企業が作るべきシステムの概要を紹介

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 米国で起きた同時多発テロは、現代社会で企業の活動や市民の日常生活が、いかに危機と隣り合わせにあるかを嫌というほど感じさせるものだった。

 危機管理の権威である著者は本書で「危機が発生する前に、すべての効果的な手を手遅れにならないように打つべく、そのためのシステム作りをする」ことの重要性を説いている。「米同時多発テロから企業は何を学ぶべきか」というオビ、世界貿易センターが炎上する表紙写真、「クライシス・マネジメント」というタイトルと合わせ、実にタイムリーな1冊と言えるだろう。

 といっても、本書は米国の同時多発テロが起きた後、拙速に書きまとめた本ではない。中身は企業の危機管理の要諦を収めた、ごくオーソドックスなビジネス書である。

 本書は危機に備えて企業が作るべきシステムの概要を紹介していく。あらかじめ潜在的な危機をあぶり出しておくこと、それを管理するために必要な要素を整えておくこと、危機を効果的に察知するための社内体制を築いておくこと、いざ危機が起きた場合の対処方法を身に付けておくことなどで、いずれもノウハウというよりも、危機管理の本質を突いたものとなっている。

 企業に迫る危機とは、もとより企業の業種や規模などによって異なるものではある。だが本書はどんな発想、概念で危機に備えればいいかといった普遍的・一般的な話に落とし込んで説明しており、どんな企業にも応用・活用できる内容となっている。

 コカコーラ、ゼネラル・モーターズなど名だたる企業で危機管理コンサルタントを務めた経験をもとに解説する危機管理の本質は説得力がある。企業ケースが1982年に起きたジョンソン&ジョンソンのタイレノール毒物注入事件などに限られ、もう少し実例を読み込みたいという欲求は残るが、危機管理の全体像を知るには格好の入門書といっていいだろう。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト)

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紙の本

「素人が陥りやすいワナ」も紹介、資産運用を始める人、これまで損ばかりしてきたという人は必読

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 株式や投資信託などの資産運用にはどんな危険性が潜んでいるのか。無駄な損失を防ぐにはどうすればいいのか。その考え方を経済学、数学の基礎的な知識からひもとくユニークな1冊である。

 本書には株価チャートの見方、指標の読み方、企業業績の分析方法などいわば“小手先”のノウハウは一切出てこない。著者によれば資産運用をするうえでは、それらより「ずっと前に知っておくべきこと」があるのだという。

 本書はまず「リスク」「リターン」という言葉の定義と、その計算方法を明らかにすることから説明を始めている。マネー雑誌の記事や金融商品の広告でハイリスク・ハイリターンをうたっている投資対象が、実はハイリスク・ローリターンであったり、ハイリスク・マイナスリターンであったりすることはままあるのだという。リスクを「結果として被る損失」、リターンを「儲け」と漠然と定義したまま投資すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうというのだ。

 本書は、こうした落とし穴の数々を披露する。データやグラフを頭から信用してしまうとどんな間違いを犯すことになるか、株価予測や投資信託の運用でいかに偶然を必然と思わせる詐欺的な手法がいかにはびこっているかといった、「素人が陥りやすいワナ」を紹介していくのだ。著者はこうした危険から身を守るため、初歩的な計算能力や経済知識を身に付けておくことが重要だと説く。

 「儲け話」となると、人は理性を失い、時に盲信したり、周囲の意見を聞かずにのめり込んでしまいがちなようだ。一歩引いて、客観的に判断できる材料を身に付けておくことは確かに重要だろう。

 「投資リスク」の詳細を25の小話に仕立て、ユーモアの効いた挿し絵も加えてあって読みやすい。資産運用を始めたいと考えている人、これまで損ばかりしてきたという人には、ぜひ読んでみて欲しい1冊だ。(bk1ブックナビゲーター:大坪未果/ジャーナリスト 2001.10.26)

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