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シンシアさんのレビュー一覧

投稿者:シンシア

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本「赤毛のアン」の秘密

2004/05/05 00:59

フェミニストの嫉妬する「アン」

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1874年カナダの辺境に生まれ、女流作家として成功したモンゴメリは、生前にも幾多の批評家に酷評されたことがあった。しかし、世を去って60年以上もたってから、作品のみならず、その生涯や作家としての根幹まで徹底して断罪されることになるとは、あの空想好きな「赤毛のアン」でさえ想像しなかったことだろう。

「女性であること」と「作家であること」の両立不可能性に、自殺という結論を出したモンゴメリとヴァージニア・ウルフの投げかけた問いに対して、60年以上が過ぎてもいまだ日本では明確な答えは出されていない。(本文より)

と第8章「ロマンチックの呪縛」にあるのだが、本書を読むかぎり、モンゴメリの薬物自殺の確たる証拠はない。推測にすぎない。もっともそれを検証することは本書の主眼ではないと思うが、終章の結論でその前提が生かされている以上、確たる証拠を提示するべきだろう。あるいは心身ともに病気で衰弱した67歳当時のモンゴメリの死因を探るより、モンゴメリがアダルト・チルドレンであったために人生が生きにくくなってしまった事情も掘り下げていってほしかった。

モンゴメリの抱えていた幸福になることへの不安、作家になることへの情熱、夫の選択など、ACに根ざしているとも取れる問題について、「父と娘」の章で父との関係においては語られているが、フェミニズムの視点だけでは一方的である。15年以上もモンゴメリの作品や人生を研究した心理学者であれば、「赤毛のアン」がなぜ戦後の日本女性に人気だったのかという理由を、現代の心理学者ならではの視点も入れて、導き出すという方法もあるのではないか。

AC的側面ということでいえば、本書で引用されている、猪熊葉子氏を含めた児童文学関係者らによる「赤毛のアン」の評価をめぐる座談会は、1979年のものである。猪熊氏は20年後の1999年に行った大学での最後の講義をまとめた「児童文学最終講義」で、ACという言葉こそ使っていないが、ご自身の傷と成長過程を自覚的にふりかえっておられる。今の猪熊氏が本書への引用についてどう思うだろうか、という率直な疑問もわくのである。

モンゴメリは、一般的にアンよりも自伝「的」小説といわれる「エミリーはのぼる」(新潮文庫)で書いている。

”わたしのペンは傷を与えるためではなく、傷をいやすためのものとする。”

モンゴメリは、世界でほんとうに面白いことは、誕生と結婚と死である、ともたびたび書いている。自分が一流だと公言したこともない。彼女が結婚を作品のテーマにしたから、癒し系だから、二流だと自分で認めたから、社交家をよそおった嘘つきだから、田舎ものだから、夫を苦しめたから、男女差別や人種差別を何とも思ってなかったから、フェミニストが嫌いだったから、そんな作家の作品を長年にわたってありがたく拝読する日本人女性はだまされている、というトーンには、著者の嫉妬すら感じる。本書が受け入れられるのは、大学でのフェミニズムのテキストとしての枠内であって、「作品の細部の面白さ」を身上とする、一般読者からの明確な支持理由をしのぐことはできないだろう。

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作家モンゴメリの人間的魅力がアップしました。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

L・M・モンゴメリが亡くなった1942以来、彼女が大切にしていた
手書きのレシピは行方不明となっていました。それが60年もたった今、
日本語で本の形になって、本物のレシピと出会えたうれしさ。
そして、モンゴメリのレシピが、実のいとこの女性を通じて子孫に伝わり
(モンゴメリには息子しかいなかったせい?)、今も、トロント近郊
で一族の経営するベーカリーレストラン「クロフォード」の人気メニュー
となっているとは、二重の感動です。この事実は、モンゴメリの料理人
としての情熱が、生半可ではなかったことをあらわしているのではないで
しょうか。

モンゴメリの作品に魅せられて、手に入る本はほとんど読んでいますが、
これまで、本人の手によるレシピブックはありませんでした。というより
存在しえなかったわけです。本書は流行のビジュアルタイプの本ではなく、
料理そのものの紹介に徹し、シェフの的確なアドバイスが添えられています。
20世紀初頭のカナダ料理を知るという意味も含め、意義があります。

それにしても、モンゴメリの料理にかける情熱がこれほどとは、うかつ
にも甘く見ていました! 作家でありながら牧師夫人としての立場もこなした
能力は理解していたつもりでしたが、彼女が根っからの「食いしん坊」だったと、
意識したことはありませんでした。おいしいものを作って、仲間や家族と
一緒に味わう悦楽を語るレシピは、まるで、J・R・R・トールキンの創造した
「ホビット族」を連想させるほどです!

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