春夏秋冬さんのレビュー一覧
投稿者:春夏秋冬
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紙の本
紙の本シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説
2004/03/06 14:43
「競馬の物語なんか…」と言っていてはいけない、物語でした。
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私は負け犬が成り上がっていくストーリーにはとても心がうたれる。絶望的な状態からの復活劇は、涙なしには語れません。この「シービスケット」に出てくる者達は、残念ながらみんなが負け犬。時代、恐慌にのまれた人たち。「気がついたら声援を送っていた。」なんていうのは、あたり前な物語でした。
自転車修理工で大成功を収めた実業家のチャールズ・ハワードは、家族の死を未だに引きずって生きている。
レッド・ポラードは少年時代に親に、「置いていかれた。」という思いに心は荒んでいた。
トム・スミスは、人を好まず、馬を好む無口な調教師。
そしてシービスケット。反抗的な馬だ。
一見、どう考えてもかみ合いそうにない三人と一匹が力をあわせ、さまざまなトラブルを乗り越えて勝利をもぎ取っていくストーリーは、激しく心を揺さぶられた。しかもこれが実話で、彼らが勝利するたびに、何万という人々の心に感動と希望をもたらしたという事実は、感動をよりいっそうの感動にした。
しかし、ただの「感動実話」で終わらせなかったのが、シービスケットと騎手の一体感を感じる事が出来たからだと、私は思う。競馬の面白さと危険を同時に体感できたのだ。
私は、この物語に大きな拍手を贈りたい。雑誌などでも良く目にし、とても良いと評価されている。しかし、ここまでの書評は「私」にとってであって、「万人」ではない。確かに良く出来ている。だからこそ、「出来過ぎている。」と思う人もいるだろう。しかし、この「実話」をストレートに受け止められる人なら、勧められない理由はどこにもないと思う。
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