武村知子さんのレビュー一覧
投稿者:武村知子
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日蝕狩り ブリクサ・バーゲルト飛廻双六
2004/04/01 12:18
著者コメント
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この本は、わたしの「ブリクサ・バーゲルト研究」の十数年の集大成です。「研究」、それは実は「追っかけ」とほとんど同義かもしれません。ひとりのひとの音楽を長いこと聴きつづけ、追いつづけるというのは、何かとても尋常でないことのようです。長い年月のあいだに音楽が変わっていくにつれて、つくりたいと思う本の形もだんだん変わっていきました。紆余曲折をへて本作りのスタッフも次々に変わりました。最後には、集まってくれた編集者やデザイナーたちと一緒に、ちょうどバンドを組んでスタジオにこもるようにして、印刷所にこもって本をつくっていました。その結果、著者がひとりで書斎で書いた本ではなくなって、清濁あわせのむ人間どうしの関わりのなかで音楽が生まれるようにして生まれた書物になりえていればいいな、と思います。著者が音楽を解釈するのではなくて、そういう開かれた形で、ノイバウテンの音楽とブリクサの営みとがこの本に反映しているといいな、と。
この本はそういう意味で、音楽の本であると同時にむしろ文学の本であったりするのですが、「ノイバウテンのブリクサ」としてしか日本では知られていない彼の、文学方面へ広く展開している豊かな営みを初めて紹介する、というのも、この本のひとつの目的でした。本邦初公開の彼のテクストがたくさんのっています。歌詞の翻訳もたくさんあります(ついでにディスコグラフィーも)。そしてファンの人にも、ファンでない人にも楽しんでもらえるように、本の中にいろいろな仕掛けをつくりました。その仕掛けは、ブリクサ・バーゲルトの声とコトバと音の世界にもともと密かに施されている、知られざる仕掛けを反映したものになっているはず!?
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