懺悔の値打ちもないさんのレビュー一覧
投稿者:懺悔の値打ちもない
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![こんな上司が部下を追いつめる 産業医のファイルから](https://img.honto.jp/item/1/f8f7ef/75/110/02669018_1.jpg)
こんな上司が部下を追いつめる 産業医のファイルから
2006/06/06 22:17
この一年に進退を賭けようと決意しました。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
国産車から輸入車販売の店に移って14年。同僚たちが月に3台売れば、私は5台売った。キャンペーンをして店を訪れる人が増えれば、売り上げはおもしろいように増えた。
月に12台の契約をしたこともある。そのころには、トップセールスとしての自信があった。
専門的な研修を受けた後、雇われ店長というかたちではあったが、店長になった。
それから2年。売り上げは減少するばかりか、休職者が2名出てきた。ひとり4台のノルマを与えていたから、2名の休職者が出れば、売り上げは数台減る。一年を通しての売り上げ台数が、来年の割り当て評価に直結するこの商売は、セールスが売り上げる台数だけが頼りである。
朝礼でそのことは何度も触れてみたつもりだったが、効果は出なかった。
おととい、朝日新聞の書評欄で、この本を知り、本屋に出向いた。昇格はしたが、遅刻者や欠勤者が出ている上司は一読を、とのコメントが気になった。
……堪えた。
というより、顔から血が引いてゆく思いがした。部下は自動ワーク装置と思い込んでいる上司がいる——との指摘に、肯定するしかなかった。
月に4台売れ! というのは、ノルマであると同時に、自動ワーク装置としての見方をしていること以外の何ものでもないことに気づかされた。
私は上司として、これまで何をしてきたのだろう? 何人もの部下たちが職場を去っていくなかで、それは時代のせいだと結論し、今の若者たちは我慢を知らない、と考えていた。
決定的なコミュニケーション不足を、この本は指摘している。営業マンが10名前後、メカニックその他を入れれば、私の部下は20人ちかくいる。その部下たちの何人と、コミュニケーションが取れていただろう? 私は旗を振っていただけで、誰も見向きもしない状態が、この2年の結果ではなかったか?
明日の朝礼で、私はそのことを語ろうと思う。あなたがたセールスが、これまで思っていたことのすべてを、語ってはもらえないだろうか? 毒のある言い方でもいい。すべてを語って、私に教えてくれないだろうか?
この一年、私はそれをいしずえにして、ゼロからのスタートをしようと思う。結果が出なければ、店長は別の人間に譲ろうと思う。セールスとしての生き方しか、私にはできないのだとしたら、それはそれで仕方ないことなのだから。
もし、もしもの話だが、部下たちが付いてきてくれるのなら、そして楽観的かつ希望的数値がクリアできたのなら、そこで仕切りなおしをしよう。そこから先をどうするかは、そのときあらためて考えればいい。
自分の無知さ加減をこれほど知らされた本はなかった。
今という時期に読めて、掛け値なしによかった、と思う。
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